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こちらあみ子 の商品レビュー

3.9

445件のお客様レビュー

  1. 5つ

    100

  2. 4つ

    168

  3. 3つ

    117

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

    5

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2024/06/27

3年ぶりに読んだ! 3年前は本を読み出したばっかりで、こんな作品もあるのか…っていう感想だったけど、この数年で300冊くらいの本を読んだ今、この本を読んでも、やっぱりこの作品は独特で新鮮なんだって実感した。あみ子もピクニックも、最初はなんだかちょっとほのぼの?してて、あみ子も七瀬...

3年ぶりに読んだ! 3年前は本を読み出したばっかりで、こんな作品もあるのか…っていう感想だったけど、この数年で300冊くらいの本を読んだ今、この本を読んでも、やっぱりこの作品は独特で新鮮なんだって実感した。あみ子もピクニックも、最初はなんだかちょっとほのぼの?してて、あみ子も七瀬さんも純粋でまっすぐで自由に見える。でも読み進めていくと、あみ子の許容できないはみ出し加減や、七瀬さんへの違和感、そして周りのルミたちの悪意にじわじわじわじわ気づいていって、その日常が何も改善されないまま話がスパって終わる。救われるとか救われないとかじゃなくて、ただ、人間の嫌なところとか、汚いのに汚くないように笑って生きてるところとか、はみ出してる人たちのどうしようもないはみ出し具合を見せつけられて終わる。だからすごく怖い、ざわざわする。救われる話じゃなくて、これどういう状況か分かりますよね?って提示されて、あなたもこういう気持ち分かるんじゃないの?ってなって終わる。あみ子にも七瀬さんにも、その周りの人にも、誰に共感できても正直きつい。 この短編で、ここまで嫌な気持ちにさせる、心をザラザラさせる今村夏子すごいなと思う。 あみ子じゃなくて、のりくんかわいそうだと思ってしまう。のりくんの方に同情してしまう。 ルミたちが必死に七瀬さんのストーリーを考えてる様子は本当にこわい。

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2024/06/26

やはり今村夏子さんのこの世界観、大好き。あっという間に読み終えた。 あみ子、 私の中学生時代にも同じような扱いの子がいた事を思い出して。 ただ私はそれを傍観しているだけで、咎める事も何もできなかった、、教師も見て見ぬふりだったし。 今、自分も子供を持ち、あの頃の自分の態度を後...

やはり今村夏子さんのこの世界観、大好き。あっという間に読み終えた。 あみ子、 私の中学生時代にも同じような扱いの子がいた事を思い出して。 ただ私はそれを傍観しているだけで、咎める事も何もできなかった、、教師も見て見ぬふりだったし。 今、自分も子供を持ち、あの頃の自分の態度を後悔している。 今なら発達障害などの理解や対処法も少しは進んでいるのだろうか。 いや、そう期待したい。 ただ、あみ子自身はその特性ゆえに、自由奔放で決して辛さや生き辛さは感じてないだろう。それがせめてもの救い。 物語はここで終わったが、祖母が存命中は良いけれど、その後のあみ子はどうなるのか、、、、心配、、、

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2024/06/08

読後心に澱のような何かが残るのだが、それがまだ何なのかがわからないでいる。 あみ子に自分を見出し幸せを願う反面、読み進めていくうちに自分の視点が同級生やあみ子の家族に移っていく。 あみ子はのり君以外の人間を忘れてしまうが、私はあみ子を忘れられないだろう。

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2024/06/02

あらすじに「純粋」と書いてある時ほど怖いものは無い 純粋ならなんでも許されるわけではない。けど許されるにはどうしたらいいのか。そもそも目に見えないルールが多すぎて、私たちは綱渡りしながら渡ってる あみ子は怪物だろうか。それとも、私たちが怪物だろうか。私は全員が怖かったよ

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2024/05/29

チョコレートのくだりが衝撃的すぎて、ひーってなった。 なんで殴られたんだろ、と思いながら読んでたけど、これは!!! 生理的ななんともいえない感情(嫌悪感とか恐怖にも近い)を呼び起こすという意味でものすごい。なんだろ、認識の誤差が耐えられなくなってくる感覚というか…。(しかも、そ...

チョコレートのくだりが衝撃的すぎて、ひーってなった。 なんで殴られたんだろ、と思いながら読んでたけど、これは!!! 生理的ななんともいえない感情(嫌悪感とか恐怖にも近い)を呼び起こすという意味でものすごい。なんだろ、認識の誤差が耐えられなくなってくる感覚というか…。(しかも、その差異が一律ではなく、微妙なズラしがまた気持ち悪い) けど、声出して笑ってしまう箇所もあるんよ。 (むらさきのスカートの女とかピクニックなんて、怪談だよね。) という感想は、感性の乏しい人なんだね、 とか言われちゃいそうな、読む人を選ぶ作品。 でも、今村夏子の中では一番読みやすい気がする。

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2024/05/15

 本作は今村夏子さんのデビュー作にして、太宰治賞・三島由紀夫賞をW受賞した記念碑的作品です。読了の、"悲壮感を伴わない切なさ"や"モヤモヤ"が、心の底に沈澱する感覚は何なのでしょう?  今は祖母と暮らすあみ子。両親や兄と暮らしていた小学生...

 本作は今村夏子さんのデビュー作にして、太宰治賞・三島由紀夫賞をW受賞した記念碑的作品です。読了の、"悲壮感を伴わない切なさ"や"モヤモヤ"が、心の底に沈澱する感覚は何なのでしょう?  今は祖母と暮らすあみ子。両親や兄と暮らしていた小学生時代へ時間を遡り、物語が綴られます。  何にでも敏感に反応し、自由奔放なあみ子。真っ直ぐで感情をそのまま表すが故、対人的な危うさや残酷な場面が出てきます。読み手は自ずと、あみ子が特別な支援を要する子だろうと自認します。  しかし、そんなあみ子の世界が、あみ子の目を通してだけ描かれるのです。あみ子が発達障害とか、周囲が苛立っているとか、直接的な説明がない分、読み手は、無垢なあみ子側か崩壊に向かう家族側か、立ち位置を葛藤してしまいます。この誘発要因は、おそらく著者の余白の残し方の凄さでしょう。  自分の気持ちを上手く表現できない、周囲に理解されない、悪気はないのに人を傷つけてしまう、それでも誰かと繋がろうとする‥、そんなあみ子。  壊れたトランシーバーで、「おーとーせよ。こちらあみ子」と呼びかけられたら、どう応える? 究極の問いが脳裏にこびり付き、何度も反響します。  他の2篇も含めて、視点の置き方や構成と展開が巧みで、心揺さぶられるデビュー作でした。  ブクログにレビューを書き始める以前に、今村夏子さんの作品『星の子』『あひる』を読了済みでした。当時、私にはあまり響かず、内容の記憶も薄れていますが、深く読み込めていなかったのか‥。再読する必要があるのかもしれません。

Posted byブクログ

2024/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「こちらあみ子」 発達障害と、それに向き合ってうまくコミュニケーションがとれずに苦しむ家族の話。 たぶん、端的に言えばそうなる。 だけど、発達障害とかカサンドラ症候群なんて病気をこしらえずに語るなら、自分たちの属する「集団、組織」が、自分たちの主観で「絶対的正義」と信じている「思考や習俗」から外れたものを無意識に排除する、息苦しい物語。 排除されたものは〇〇障害とか〇〇症候群なんて名前がついて、より一層生きづらくなる。 発達障害は脳の個性。 「ピクニック」 あみ子と対比させると、こちらはわかりにくいオブラートに包んだ感じの歪んだ排除だ。 2回目でまったく違うふうに読める物語で、よく考えると、語り部もルミというよりは「ルミ集団」というように感じる。相手の嘘を許容して、自分たちの世界観を押し付けることへの怖さ、とか、そうして作られる一体感みたいなものの気味悪さとか。「ルミ集団」が自分たちの主観に基づいて絶対的善として、それを行なっているようなので、偽善とも違う。 それでいて、相手のことを真剣に考えて心配するということはない。それは、七瀬さんが副乳を心配して皮膚科に行こうとする場面で表出する。

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2024/05/06

無邪気と無知が生む罪 上記を理解し接してくれる暖かい社会や家族はない それ故、主人公の振る舞いを理解できる人がおらず モラル欠如で腹正しさも湧いてくる 言語化や理解が難しいお話 単純に主人公が幸せならばよい(のはずだ)で結論づけれない。 難しすぎるが、なぜかこの本を読んで良か...

無邪気と無知が生む罪 上記を理解し接してくれる暖かい社会や家族はない それ故、主人公の振る舞いを理解できる人がおらず モラル欠如で腹正しさも湧いてくる 言語化や理解が難しいお話 単純に主人公が幸せならばよい(のはずだ)で結論づけれない。 難しすぎるが、なぜかこの本を読んで良かったと感じ、モヤモヤしたものが心に残り続けている

Posted byブクログ

2024/04/21

あみ子の結末、素敵だと思ったけどそういうもんでもないのか。最後の話は読んでからまた読んだ。何回も何回も読み返したい。薄い本なのに、世界が広がりすぎている。こんな本初めてだ、出会えて良かった。

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2024/04/14

収録作品 ・こちらあみ子 ・ピクニック ・チズさん 「星の子」に続いて読んだ本。 正直な感想は、とても残酷な話だと思いました。 あみ子がこの先受けるであろう苦労とか、仕打ちとか、今以上に辛い事(あみ子自身は辛いとか、不幸とか思わないかもしれないけど)が待ち受けていると分かる……...

収録作品 ・こちらあみ子 ・ピクニック ・チズさん 「星の子」に続いて読んだ本。 正直な感想は、とても残酷な話だと思いました。 あみ子がこの先受けるであろう苦労とか、仕打ちとか、今以上に辛い事(あみ子自身は辛いとか、不幸とか思わないかもしれないけど)が待ち受けていると分かる……読み終わった後の後味の悪さに、何とも言えない気分になりました。 こんな残酷な話を、作者は淡々と書いている……酷い話なのに、淡々としていて、話の中に酷さが軽減されている……そう書けるのは、作者の実力が凄いのだろうと思いました。 「ピクニック」も切ないし、「チズさん」はちょっと恐怖でした。

Posted byブクログ