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満願 の商品レビュー

3.8

582件のお客様レビュー

  1. 5つ

    88

  2. 4つ

    244

  3. 3つ

    175

  4. 2つ

    15

  5. 1つ

    2

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2019/06/27

短編集。みな暗い話ばかりだが、どれも引き込まれる内容。平凡な人間がちょっとしたことで運命が変わっていく話が多い。

Posted byブクログ

2019/06/14

6つの短編ですが、とにかく上手いと思います。「夜警」のぞわっとした恐ろしさに始まり、どの話も背筋がすっと寒くなる読後感を運んできます。特に「万灯」が読みごたえがありなおかつラストも秀逸。「満願」の伏線の張り方も見事です。「柘榴」だけは既読で、その時はよくできているけれど好みではな...

6つの短編ですが、とにかく上手いと思います。「夜警」のぞわっとした恐ろしさに始まり、どの話も背筋がすっと寒くなる読後感を運んできます。特に「万灯」が読みごたえがありなおかつラストも秀逸。「満願」の伏線の張り方も見事です。「柘榴」だけは既読で、その時はよくできているけれど好みではないという感想を持ちましたが、今回改めて読むとこの情景が恐ろしくも透き通ってなんだかとても美しかったのです。自分の感じたことの変化に驚き思わず読み返してしまったほどでした。6編すべて外れなしの完璧なミステリで、とても良かったです。

Posted byブクログ

2019/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ちょっとぞっとするようなお話短編集。 夜警、若い警察官はなぜ殉職したのか。 死人宿、自殺名所とされる宿で書置きが見つかる。 柘榴、美しい娘親子のお話。 万灯、仕事のために何でもやっちゃう 関守、事故が多発する峠道を取材する 満願、恩人の弁護を引き受けたけども。 こういうお話がきそうという感じだったのが関守。こういうの好き。 いろいろ感情移入しにくかったのが万灯。仕事のためにここまでやるのは普通なの? どれも読後感が爽快とは程遠いけど楽しめました。 ホラーではないけどぞくぞくするお話。

Posted byブクログ

2019/05/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一つ一つの密度が濃く濃密な短篇集。単に謎を提示して解決するだけでなく、解き方や明かされたことによる結果などが一ひねりしていて味わい深い余韻を残している。特に表題作の『満願』のひねり方は素晴らしく、不幸な生活に苦しむ中で、彼女の満願とは苦学生なのか、それとも一見するとクズのあの夫なのか、という二つのミスリードを誘いつつ、掛け軸という自分が守るべき「矜持」と、それを伝えた主人公の、過去の切ない思い出がダイレクトに繋がるこのオチはとてもいい。不幸な結婚生活の中で、先祖代々受け継がれて来た掛け軸とその教えがおかみさんの誇りだったわけなのだが、その誇りすら借金のカタに奪われそうになり、それに血痕を飛ばして殺人事件の「証拠品」にする事で、奪われることを防いだわけで、主人公にあれだけ真摯に助けたのも、ようはその掛け軸の時に語っていた先祖を模倣したわけである。それが彼女にとっての誇りであり、タイトルの「満願」であり、最後にそのことに主人公がそのことに気づいてしまったという苦いオチの一本なのだ。争点は「殺人事件に計画性があったか否か」で、主人公は現場に掛け軸が出ていたことを理由に「もし予め殺人を計画していたなら、大切な掛け軸を汚す可能性のある殺人現場に出すはずがない」と弁護したわけだが、その掛け軸を汚すことこそが殺人の理由の一つだったというひっくり返しで、ぱっと見は地味に映る短編だが、物語性と謎のバランスが最高の一作だろう。他の各短編ともにシチュエーションが面白く、特に謎の発生から解決に至るまでが非常に淀みがなくスムーズである。個人的にお気に入りは『夜警』で、警官特有の行動状況から、伏線の配置、手がかりなどが心理に寄っていて、動機が明らかになるまでの流れが非常に面白かった。遺書という僅かな手がかりから解決を導き出す『死人宿』も面白い。個人的にはやや一発アイデアじみた短編『柘榴』と、ある程度のオチが読めた『関守』などは前述の短編よりは興味を引かなかったが、短編全体に漂う昭和感というか、昔語りのような雰囲気は実に良かった。

Posted byブクログ

2019/05/13

「夜警」:拳銃の暴発を隠すために近所の危険人物田原をあおり射殺した交番勤務川藤。だが田原に頸動脈を切り裂かれ死ぬ羽目に。 「死人宿」:彼女の職場での悩みを説教で答えてしまった私。現在働いている山奥の温泉宿に会いに行く。がそこは火山ガスによる自殺できる場所として有名だった。その夜...

「夜警」:拳銃の暴発を隠すために近所の危険人物田原をあおり射殺した交番勤務川藤。だが田原に頸動脈を切り裂かれ死ぬ羽目に。 「死人宿」:彼女の職場での悩みを説教で答えてしまった私。現在働いている山奥の温泉宿に会いに行く。がそこは火山ガスによる自殺できる場所として有名だった。その夜も宿泊者が死んだ。それを通じて彼女の誤解も多少解けた。 「柘榴」・・・・・・両親の離婚に伴う親権争いで、父方につこうとして美少女姉妹が企む自作自演。姉妹が抱いていた美貌の父親への愛の正体とは。妹の美しさに嫉妬した姉は妹にナイフで傷つける。母の暴力のせいにして父方につくために。 「万灯:・・・・・・バングラデシュでガス田開発を目指す商社マン。そのために村の有力者を轢き殺し、協同した他社日本人を日本帰国後殺害。しかしその男はコレラに感染しており、自分に感染。罪がばれる?裁きを待つ身になる。 「関守」:事故の相次ぐ峠近くのドライブインで、雑誌記者の取材に機嫌よく応じていた老女が、急に自分の娘の身の上を語り出す。娘が亭主を誤って殺してしまったのを隠すために老女が殺していたのだった。 「満願」:司法試験を目指す藤井、下宿先の若妻妙子。妙子の夫の借金のかたに狙われた、妙子の実家の家宝である掛軸を守るために取立人を殺してしまう。禅画以外に血痕が付き証拠品として保管され、借金返済に充てられないように。

Posted byブクログ

2022/04/05

どれも後味のよろしくない、ミステリーテイストな6短編集。これは『万灯』がダントツで良かった。インドネシア・バングラデシュをまたにかける駐在員の話。確かに、インドネシアは賄賂大国よの~と感情移入したり、主人公の異常さもダントツで読み応えあり。次いで『夜警』。専門職なのに、徹底的に適...

どれも後味のよろしくない、ミステリーテイストな6短編集。これは『万灯』がダントツで良かった。インドネシア・バングラデシュをまたにかける駐在員の話。確かに、インドネシアは賄賂大国よの~と感情移入したり、主人公の異常さもダントツで読み応えあり。次いで『夜警』。専門職なのに、徹底的に適性のない警察官の話。前に美容院で聞いた「大概新人さんも美容師として成長するけど、100人に1人は本当にどうにもならない奴が来る」という話を思い出した。他のどの話も大外れはなくて面白かった。他の作品も読みたくなった。

Posted byブクログ

2019/04/24

2018.04.15読了。 今年8冊目。 暗く滅入るのに続きが気になってしまう。 それぞれの主人公の感情の揺らぎが細かく描かれていて面白かった。 万灯、関守、満願。

Posted byブクログ

2019/03/23

ザラつく結末の話ばかりですが、結構好み。衝撃的なのは柘榴、悪因悪果の万灯、個人的に1番気に入ったのは関守。

Posted byブクログ

2019/02/28

6編からなる短編集。いや中編か。 後味とは悪いもので、余韻と言えば良いものか? 全ての作品に何かが残る作りになっていて、途中からは構えてしまいました。それなのに妙に引っかかるものがある作品です。 何とももどかしいなぁと感じながら引き込まれました。 推理をするものやホラーなど、楽し...

6編からなる短編集。いや中編か。 後味とは悪いもので、余韻と言えば良いものか? 全ての作品に何かが残る作りになっていて、途中からは構えてしまいました。それなのに妙に引っかかるものがある作品です。 何とももどかしいなぁと感じながら引き込まれました。 推理をするものやホラーなど、楽しめたのは楽しめたが、このモヤモヤ感が消えないのが、本当に嫌です。 他の作品でもそうなのですが、スッキリしない読後の感想です。

Posted byブクログ

2019/02/14

万灯のバングラデシュの村の人たちの考え方が納得させられる。何を豊かと思うか、どこを目指すかが人によって異なっている。

Posted byブクログ