満願 の商品レビュー
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陰鬱な短編集。 タイトルでもある満願が一番面白かった。 夜警 銃を撃ちたい新人巡査のミス隠し。 死人宿 新手の宿泊サービス(永眠) 柘榴 モテモテ男 万灯 スーパーサラリーマンコレラに敗れる 関守 怪談おばあ 満願 おかみさん家宝を死守
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殺人は、日常と全くかけ離れた世界での行為な気がするが、現実の世界で毎日起きている。 その非日常的な行為が、ある日、日常の中で起きるのは、こういうことなんだなあと思い知らされる。なるほどなあと感心してしまう。 誰もが持つ、ちょっとした性格のくせや、その人が大事にしているものや、大...
殺人は、日常と全くかけ離れた世界での行為な気がするが、現実の世界で毎日起きている。 その非日常的な行為が、ある日、日常の中で起きるのは、こういうことなんだなあと思い知らされる。なるほどなあと感心してしまう。 誰もが持つ、ちょっとした性格のくせや、その人が大事にしているものや、大事にしている人。誰もが持っているものが、殺人の発端になっているんだ。
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短編。今まで意識してこなかったが、米澤穂信は登場人物たちの心の内を語らせることで、ミステリーとしての機微とかクオリティを高めることを大事にしてるんだろうなと思った。 短編の場合は限られた分量で始末をつけないといけないから、誰にどのように語らせるかは大事な問題なんだけども、今回の作品はそれがしっかりはまってた気がする。以前の作品ではピンとこなったところもあったんだけども、それがこの作品で印象変わったなぁ。
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いやミス短編集。こちらの気分なのかもしれないが、どれも冒頭から不穏な空気が漂っている(ように感じ)、伏線じみた部分が出てくると、嫌な予感を抱えつつ、恐々続きを読むような。そこまで捻りがあるわけではなく、伏線も分かりやすいので大方予想がつくのだが、やっぱり…という形で鬱々とした気分になるまさにいやミス。語り手が淡々としているのが、不気味な雰囲気に拍車をかけている。 夜警→殉職した警察官の不可解な言動の理由。小心というか、大胆というか。 死人宿→どいつもこいつも。 柘榴→少女の考えにゾッとする。近い将来波乱の予感。 万灯→まさに裁きを待つ心境。 関守→ホンモノにもいろいろあるが、そこまでやるかという。 満願→まさに満願成就。
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いまのところ、米澤穂信に関しては短編の方がより好き。この作品に出会った時の衝撃…こんなに短いストーリーの中に、ハッとなるような驚きの展開があって、しかも、それはトリックとかそういったものではなく、人間の心の動きだったり、運命、宿命というような出来事だったりして。自分の好みに合いす...
いまのところ、米澤穂信に関しては短編の方がより好き。この作品に出会った時の衝撃…こんなに短いストーリーの中に、ハッとなるような驚きの展開があって、しかも、それはトリックとかそういったものではなく、人間の心の動きだったり、運命、宿命というような出来事だったりして。自分の好みに合いすぎて、「ああ、こんなのが好きなんだよ!」と叫びたくなる。
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じめっとした、人の闇が見え隠れする短編ミステリー集。 後味は悪いが、結構引き込まれた。 ただ、読む前の期待よりは。。。
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このミス、文春で1位という高評価に期待して読んでみたけれど、期待したものとちょっと違ったみたい。 短編集だから当たり前かとも思いますが、おもしろいけど何か物足りないという感じでした。すみません。 何が始まるのかまるで見当もつかない導入から、パズルのようにピタリときれいにおさまるオチまでよくできているなあと思うんですが、短編のせいか各登場人物像にイマイチ乗れなかった。 私は自分でも小説の読み方が結構幼稚だなって自覚があって、物語そのものより、登場人物のキャラが立っているか立っていないかで好き嫌いが顕著になるきらいがあります。 キャラが自分好みに立っていれば、少々の破綻は気にならなくなります。困ったことに絶賛することさえあります。 なので、合わなかったんだろうなあ、これは。 時代設定をいちいち昭和にしているのは何か意味があるのかな。 ケータイやネットを排除したいとか以上の何かのリスペクトとか? 登場人物全般、特に女性キャラの描き方が妙に古いのが気になる。 キレイな女はもっと自分の価値を知っていると思うよ。>「柘榴」 その中で一番魅かれたのが、4話目の「万灯」。 これは長編で読みたかった。ビジネス&冒険ミステリー小説の大作にもなりそうな話。いくらでも膨らみそうなネタでもっとじっくり読めたらなあと思った。
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連城三紀彦さんの作風に似ています。つまり、秀逸といって差し支えないかと。 両作家に総じて言えることは、結末にしっかり回収してくること。そして、 読者を良い意味で、裏切ることです。 そういう意味ではどの作品も質の高いミステリーに仕上がっております。 ただ、印象に残る作品があまり少な...
連城三紀彦さんの作風に似ています。つまり、秀逸といって差し支えないかと。 両作家に総じて言えることは、結末にしっかり回収してくること。そして、 読者を良い意味で、裏切ることです。 そういう意味ではどの作品も質の高いミステリーに仕上がっております。 ただ、印象に残る作品があまり少なかった感があって、満点評価にならない感です。 どんでん返しのミステリーが好きな方には必読ですよ。
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ミステリ系の短編集で面白いのってJ.ディーヴァーだけなんじゃないかと思っていたけど、日本で面白いものにやっと出会えた。どれもきれいにまとまっているけど、『万灯』がお気に入り。長編のような重厚感と、個人的に好みな終わらせ方。
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【ぞわっとする怖さがある】 夫婦喧嘩に巻き込まれた警官が本当にやりたかったこと、離婚調停で親権を争う夫婦の娘が自分を傷つけても欲しかったもの、仕事の成功のために男が選んだ手段、とある峠道で多発している車の転落事故の秘密…。 そんな短編6編が収められていて、どれもぞわっとす...
【ぞわっとする怖さがある】 夫婦喧嘩に巻き込まれた警官が本当にやりたかったこと、離婚調停で親権を争う夫婦の娘が自分を傷つけても欲しかったもの、仕事の成功のために男が選んだ手段、とある峠道で多発している車の転落事故の秘密…。 そんな短編6編が収められていて、どれもぞわっとする怖さがありました。久しぶりにミステリ小説を読んだらひやひやしました。 本当に欲しいもの守りたいもののために人が起こす行動は、行き過ぎると怖いものだなぁと思いました。周りが見えなくなり、その願いだけを追い求めて人を傷つけてしまうと、結局それは違う形をして自分に返ってきてしまうのかもしれません。 そんなにも大切なもの(もしかすると自分の命よりも大切なもの)を守ったとして、その人たちは幸せなんだろうかと思ってしまいました。 直木賞や本屋大賞にノミネートされていたのを知って、気になり読んでみたのですが、米澤さんの本は他のも読んでみたいと思いました。
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