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麒麟の翼 の商品レビュー

4.1

333件のお客様レビュー

  1. 5つ

    98

  2. 4つ

    153

  3. 3つ

    58

  4. 2つ

    6

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2018/08/18

「麒麟の翼」 刑事の一言で変化が生まれる。 青柳武明は胸を刺された状態で日本橋まで移動して息絶えた。麒麟の像の下で。何故青柳はそんなことをしたのか。加賀恭一郎はその理由を探るため、被害者の足取りを追う。そこから見えたのは、七福神巡りをしていたこと。それも折鶴を持参して。家族に...

「麒麟の翼」 刑事の一言で変化が生まれる。 青柳武明は胸を刺された状態で日本橋まで移動して息絶えた。麒麟の像の下で。何故青柳はそんなことをしたのか。加賀恭一郎はその理由を探るため、被害者の足取りを追う。そこから見えたのは、七福神巡りをしていたこと。それも折鶴を持参して。家族には心当たりが無いが、松宮の何気ない一言である人物の心に変化が生まれる。 加賀恭一郎シリーズの第9作目です(読んだつもりになっていた)。家族のあり方について書いた「赤い指」と人情を描いた「新参者」の双方の要素を取り入れた作品となっているとのことだけど、なるほど。シリーズ最高傑作との声もあるみたいですが、個人的には納得でした。家族の在り方を通じて見えてくる真実が実に哀しい。 被害者は青柳武明。建築部品メーカーの製造本部長である。妻に2人の子供(悠人と遥香)がいた。一家の大黒柱が何者かによって殺されてしまったことで、残された家族は警察に武明のことについて色々と聞かれる。しかし、父のことを何も知らず、何も答えられなかったことに家族は驚く。ここに哀しくもリアリティある家族の姿が見えてくる。しかし、この家族、特に悠人が武明の死の真相によって変わっていく。死を間近にした武明から届けられるメッセージを悠人が受け取った形になる。悠人自身も回顧する様に何故生きている間に父と話さなかったのかが、とても哀しくなる。 家族の在り方に触れるのは、悠人達だけではなく加賀もであり、父の3回忌で看護婦である金森さんに咎められるシーンは、1つのハイライトだと思います。父と男の約束だと言った加賀に対して、金森さんは「馬鹿らしい」と一蹴します。しかし、そこには「死を間近に迎えた時、人は本当の心を取り戻す。彼らが発するメッセージを受け取るのは生きている者の義務だ」という金森さんのメッセージがありました。このメッセージが加賀の心に響き、武明が麒麟の像の下で死んだ意味にも繋がってきます。 また、人情を描いた点で言えばどこだろうか。 過ちを犯しても、ごまかせば何とかなる―あんたはそう教えたんだ。だから杉野は同じ過ちを繰り返した。青柳さんは、あんたに間違った教育を施された息子に正しいことを教えたんだ、それが分からないなら、教師なんて止めろ。あんたに人を教育する資格なんてない。 悠人と真犯人の罪は消えないものです。しかし、本来は彼らを正しい姿に導くべき教師に対してこう一喝した加賀の言葉からは、教師の今後を考えて発したものだったとも思えます。そう考えるとこれも人情の1つかなと感じます。 加賀の健在ぶりと共に、死を間近にした人からの強烈なメッセージがとりわけ印象深いミステリーでした。

Posted byブクログ

2018/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前作との関連もあったりして。 看護師さんの 元気な時の言動が、病に伏した際も一緒ではない、という 一言に考えされられる。。 従兄弟とは良い関係そうで何より。 ひとつきになったのは 父親は何故最初に友人から話を聞こうと思ったのだろう?? そんな大事の事ならば、まず息子から直接聴き出してほしかった。。 友人である彼は一番にブログの存在に気が付いたわけだし ごまかし方を教えた教師が全て悪いわけではないけれど 友人と、これから息子はどう付き合って行けるのだろう。。 後輩と、その家族の人生も続いていく。 娘もその後、生きていかなければならない。 容疑者の恋人もまだ若い。 これらの事を踏まえて調査してくれる警官は有難いのだろうな。。 メモメモ。 「死を間近に迎えた時、人間は本当の心を取り戻します。プライドや意地といったものを捨て、自分の最後の願いと向き合うんです。彼らが発するメッセージを受け止めるのは生きている者の義務です。」 映画は見ていないが、父親が最後どんな思いで麒麟の下へ向かったか、息子へのメッセージシーンでは泣いてしまうだろうなぁ。。 映像からそこまで読み取れるか自信はないけれど。 そういった面で小説は有難い。

Posted byブクログ

2018/06/20

不運の巡り合わせにより幾重にも絡まった鎖を丹念に解いてゆく加賀の捜査に頭が下がる。どんなことでも目に見える真実だけでは本質的な解決には至らないのだ。『罪を憎んで人を憎まず』を貫き通す彼の姿は毎回大切なことを教えてくれる。それを教えられた彼らはきっともう間違えることはないだろう。本...

不運の巡り合わせにより幾重にも絡まった鎖を丹念に解いてゆく加賀の捜査に頭が下がる。どんなことでも目に見える真実だけでは本質的な解決には至らないのだ。『罪を憎んで人を憎まず』を貫き通す彼の姿は毎回大切なことを教えてくれる。それを教えられた彼らはきっともう間違えることはないだろう。本作も読み易くあっさりしているが、それ故に余白が存在する。東野作品に感じる物足りなさは読者が考えるために提示された余白だと思う。作品を通して『君はどう思う?』と読者に語りかけているのだと感じる。

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2018/05/31

映画観て感動し、 DVD観て、松坂桃李、菅田将暉、山崎賢人が出ていたと知り驚き、 ようやく原作を読了。 もっと早く読めばよかった。 哀しい事件の終わりは真実を知ることにある。 刑事目線だけど、 人としての一番大切なものを忘れない、加賀さん。 やっぱりいいなぁ。 教師への喝は...

映画観て感動し、 DVD観て、松坂桃李、菅田将暉、山崎賢人が出ていたと知り驚き、 ようやく原作を読了。 もっと早く読めばよかった。 哀しい事件の終わりは真実を知ることにある。 刑事目線だけど、 人としての一番大切なものを忘れない、加賀さん。 やっぱりいいなぁ。 教師への喝は気持ちよかった。 青柳父の思いがきちんと悠人に伝わってよかった。 悠人達はこれからがスタート。 吉永君の両親がどんな対応するのか知りたい。 果たして私なら冷静でいられるだろうか。 自信ないな。 そして、中原香織には幸せになってほしい。

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2018/05/12
  • ネタバレ

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胸を刺され、日本橋の上で息絶えた男性。彼を刺したと疑われる男もまた事故に遭い、捜査は行き詰まる。被害者はなぜ橋の上まで移動したのか。信心深いわけでもないのに七福神巡りをしていた理由は。 思ってもみなかった人物が真犯人で驚いた。真相を追い求め、足で捜査をする加賀の慧眼に痺れた。

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2018/05/09

「麒麟の翼」の映画版を観たのが加賀恭一郎シリーズを読み始めたきっかけなので、ストーリーは知ってたんだけど、原作もよかったです。何だか昔話的な良さ。 そういえば推理ものは基本的に勧善懲悪だなぁとか、家族のことって全然知らないよなぁ、とか考えました。

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2018/04/29

加賀恭一郎シリーズの作品。 マスコミにより被害者が一転悪者のようになってしまうことってよくある気がする。死人に口無しと手のひらを返していく人間の恐ろしさ。 今回の作品も加賀恭一郎は粘りに粘って真相に辿り着く。面倒なことは早く片付けたいと思うばかりで真相に辿り着けないままであったら...

加賀恭一郎シリーズの作品。 マスコミにより被害者が一転悪者のようになってしまうことってよくある気がする。死人に口無しと手のひらを返していく人間の恐ろしさ。 今回の作品も加賀恭一郎は粘りに粘って真相に辿り着く。面倒なことは早く片付けたいと思うばかりで真相に辿り着けないままであったら結局のところ誰も報われていなかった。彼の粘りには優しさがある。こんな刑事、現実世界にいるのかな?

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2018/03/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1日で読んでしまった。 映画を見ていたので、イメージし易かった。 とても面白く、大事なメッセージに溢れた作品だった。 労災隠しは犯罪です。良いことでは決してありません。恨まれることもあり得ます。しかし、殺されても仕方のない人間なんて、この世には、一人もいません。 あんたが間違ったことを教えたからだ。過ちを犯しても、ごまかせば何とかなるー三年前、あんたはあの三人にそう教えたんだ。だから杉野は同じことを繰り返した。同じ過ちを繰り返した。 心に響いた。

Posted byブクログ

2018/03/24
  • ネタバレ

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自分的には、祈りの幕のほうが好きです。こちらは、犯人に行きつくまでがすこし疑問が残る?もやもやしました。。ただ、中原さん応援しているのでもう少し、中原さん幸せにしてあげて!!!って思っちゃ言いました!!

Posted byブクログ

2018/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

加賀恭一郎は、 殺人など残忍な事件が起きたとき なぜそんなことになったのか徹底的に追及する。 犯人を捕まえるだけでなく。 そうでないと、また過ちが繰り返される。 殺人事件でなくても、同じだ。 何かが起きたとき、本人や周囲が正しくない選択をしたとする。 そしてそれが誰かに正されないままだったら。 また、同じことが繰り返される。 ところで。 今回、「新参者」・本作「麒麟の翼」・「祈りの幕が下りる時」と3作文庫で購入して読んだ。 本作を20~30ページ読み進めて気づいた。 これ、既読だな。 いちおう、購入前にぱらぱらと眺めたんですけどね。 気づかなかった。 文庫化されたのは2014年。いつごろ読んだんだったか…。

Posted byブクログ