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天、共に在り の商品レビュー

4.5

69件のお客様レビュー

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2025/01/21

■評価 ★★★✬☆ ■感想 ◯初めから強い志があってなにかに熱中する人も素敵だが、中村さんのように成り行きのような縁に導かれて力を尽くす人の姿も素敵だなと思った。 ◯本書は治水工事に対してかなり詳しく書いてある。現在のアフガンの人に思いを馳せるのもいいのだが、参考にした日本の治...

■評価 ★★★✬☆ ■感想 ◯初めから強い志があってなにかに熱中する人も素敵だが、中村さんのように成り行きのような縁に導かれて力を尽くす人の姿も素敵だなと思った。 ◯本書は治水工事に対してかなり詳しく書いてある。現在のアフガンの人に思いを馳せるのもいいのだが、参考にした日本の治水技術を試行錯誤でしていった江戸、それより前の人達に思いを馳せるのも面白いと思った。 ◯アフガンを苦しめている最大の原因が、戦争や貧困ではなく「大旱魃」ということを初めて知った。それの原因をたどると環境問題に行き着き、それに加担している先進国の一人間として、申し訳ない気持ちになった。

Posted byブクログ

2024/12/27

どこまでも透明で、限りなく研ぎ澄まされた言葉の数々。 理不尽や苦しみ、悲しみを幾度も乗り越えてこられたからこその悲壮な決意を秘めた言葉。 今できること、すべきことを見据えて、希望を失わずひたむきに行動していく精神力と静かな力強さに、励まされるような思いで読み進めました。 自...

どこまでも透明で、限りなく研ぎ澄まされた言葉の数々。 理不尽や苦しみ、悲しみを幾度も乗り越えてこられたからこその悲壮な決意を秘めた言葉。 今できること、すべきことを見据えて、希望を失わずひたむきに行動していく精神力と静かな力強さに、励まされるような思いで読み進めました。 自分がニュースとして与えられている情報が、いかに脆いものなのかを痛感せずにはいれませんでした。 「物騒な電力に頼り、不安と動揺が行き交う日本の世情を思うとき、他人事とはおもえない。だが、暴力と虚偽で目先の利を守る時代は自滅しようとしている。今ほど切実に、自然と人間との関係が根底から問い直された時はなかった。決して希望なき時代ではない。大地を離れた人為の業に欺かれず、与えられた恵みを見いだす努力が必要な時なのだ。それは、生存をかけた無限のフロンティアでもある」(p.240) 「しかし、変わらぬものは変わらない。江戸時代も、縄文の昔もそうであったろう。いたずらに時流に流されて大切なものを見失い、進歩という名の呪文に束縛され、生命を粗末にしてはならない。今大人たちが唱える「改革」や「進歩」の実態は、宙に縄をかけてそれをよじ登ろうとする魔術師に似ている。だまされてはいけない。「王様は裸だ」と叫んだ者は、見栄や先入観、利害関係から自由な子供であった。それを次世代に期待する。 「天、共に在り」 本書を貫くこの縦糸は、我々を根底から支える不動の事実である。やがて、自然から遊離するバベルの塔は倒れる。人も自然の一部である。それは人間内部にもあって生命の営みを律する厳然たる摂理であり、恵みである。科学や経済、医学や農業、あらゆる人の営みが、自然と人、人と人の和解を探る以外、我々が生き延びる道はないであろう。それがまっとうな文明だと信じている。その声は今小さくとも、やがて現在が裁かれ、大きな潮流とならざるを得ないだろう。 これが、三十年間の現地活動を通して得た平凡な結論とメッセージである。」 自分は中村哲医師が期待する次世代となりうるであろうか。 自問しつつ、反省しつつ、人として、社会人として、親として、自分にできる一歩を探しながら、歩を進めたいと思います。

Posted byブクログ

2024/09/24

第5回ビブリオバトル全国大会inいこまで発表される予定だった本です。 ※2020.3.15に開催予定であったビブリオバトル全国大会inいこまは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となりました。

Posted byブクログ

2024/08/19

『アフガニスタンの診療所から』では中村医師がアフガニスタンで診療を始めたきっかけや現地の医療活動について語られていましたが、今作の『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』は上の本紹介にありますように、干ばつに襲われたアフガンに井戸を掘り、用水路を建設する中村医師の活動を知るこ...

『アフガニスタンの診療所から』では中村医師がアフガニスタンで診療を始めたきっかけや現地の医療活動について語られていましたが、今作の『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』は上の本紹介にありますように、干ばつに襲われたアフガンに井戸を掘り、用水路を建設する中村医師の活動を知ることができます。

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2024/03/31

中村哲さんの壮絶なアフガニスタンでの活動の記録。生半可な決意ではここまでのことはなし得ない。 アフガニスタンは、ソ連の侵攻、大旱魃、米国の攻撃など、相次ぐ災厄に巻き込まれていく。こうした中、中村哲さんは、日本の昔の治水技術を独自に調べ、アフガニスタンに適合するよう、上手く工夫し、...

中村哲さんの壮絶なアフガニスタンでの活動の記録。生半可な決意ではここまでのことはなし得ない。 アフガニスタンは、ソ連の侵攻、大旱魃、米国の攻撃など、相次ぐ災厄に巻き込まれていく。こうした中、中村哲さんは、日本の昔の治水技術を独自に調べ、アフガニスタンに適合するよう、上手く工夫し、大規模な灌漑を実現させていった。怯むことなく、淡々とおこなっていった。私もこのように生きていきたい。

Posted byブクログ

2024/02/12

人から勧めていただき読んだ本。30年に渡り多くの人を助け駆け抜けた人生はただただ素晴らしいの一言に尽きます。皮肉な最期が悔やまれます。

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2024/02/11

ものすごく内容の濃い本である。徹底的に現場主義であり、用水路の土木工事の話は専門的で難しい。が、ここには何がしかの真実があると思われる。 素晴らしい人がいたものである。

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2024/02/08

2年前、「荒野に希望の灯をともす」を映画館で観た。泣いて泣いて、今でも、何故もうこの世界に先生はいないのか、と思って泣きそうになる。 自分が知っている人間のなかで、本当に心から尊敬している人。 映画の内容をより詳しく、先生の心情も交えて描写されており、特に書籍ならではだと感じたの...

2年前、「荒野に希望の灯をともす」を映画館で観た。泣いて泣いて、今でも、何故もうこの世界に先生はいないのか、と思って泣きそうになる。 自分が知っている人間のなかで、本当に心から尊敬している人。 映画の内容をより詳しく、先生の心情も交えて描写されており、特に書籍ならではだと感じたのは、ガンベリ砂漠(死の谷と呼ばれ、旅人を葬り去ることで有名な砂漠)を開拓、全長25メートルに及ぶ灌漑用水路を建設したときの話。 図解が豊富に示され、旱魃の原因、水の流れをどうやって作るか、洪水にも耐える設計、使う資材(現地で調達できて、壊れたら直せるようにする)、防砂林として植生する木の種類(固有植生の考え)などなど、本当に細かく書いてある。そういう資料集としても面白いくらいに! そういった仕組みを考えるにあたってのもとになっているのが、1700年代に作られた筑後川の「山田堰」。映画で、実際に足を運んで(先生は福岡の方)、川の流れを凝視する姿を見たのを思い出す。 少ない材料で、何十年何百年と、洪水にも渇水にも耐える堰を200年以上前の人々が作っていた。 それを参考にしながら、アフガニスタンにあるもので、先生達がいなくなっても現地の人々で永続的に管理していけるものを作るために、医師である先生は思考を巡りに巡らせ、その手でユンボを操縦し、米英軍からの止まない砲撃のなか、作り上げた。 もちろん、先生を中心とする邦人メンバーや、現地で雇用したスタッフ、自分達の生活全てをかけて作業する農民の方々、ペシャワール会に寄せられたら募金(約16億円)、、どれが欠けても成功しなかった。作業中事故で怪我をしたり亡くなった人もいて(誘拐されて殺害された人も)、それでもやり抜き、結果現地の方の生活まるごとを救ったのだ。 印象的だったのは、9.11の約1ヶ月後、国会での参考人招致。日本政府は米英にならって、自衛隊派遣をしようという段階。 先生が「自衛隊派遣は有害無益。アフガン難民の飢餓解消を!」と訴えるも、代議士に発言取り消しを要求された場面。 憲法第9条に守られていた、と先生はよく言っていた。武器を持たない、戦わないことが、平和を維持するにあたってどれほど大切か。 「独裁体制から民主主義へ」(ジーン・シャープ)の、逆をいくような今の世界。 「平和とは理念ではなく現実の力なのだ」 Wikipediaで中村哲先生を調べると、自民党の空虚なコメントに対して、共産党の前代表、志井和夫さんだけが、先述した参考人招致の際の出来事に触れていた。 聞き慣れた「テロに屈するな」という言説に屈してはいけないよな、と改めて思う。

Posted byブクログ

2024/01/14

中村さんの努力がすごい。 また、米国のアフガニスタン侵攻に対する批判、メディアの歪んだ報道、日本政府の無能さを明らかにしていて面白い。 信念に脱帽。

Posted byブクログ

2023/09/08

いつか読んでみたいと思っていた中村哲さんの著作にようやく触れる機会が得られた。 灌漑事業に関する専門的な説明は理解が追いつかないところが多かったが、本書の核はそこではない。 縁に導かれてとしか言いようのない経緯でアフガニスタンでの治水事業に当たられた中村さんの行動の数々。そこに込...

いつか読んでみたいと思っていた中村哲さんの著作にようやく触れる機会が得られた。 灌漑事業に関する専門的な説明は理解が追いつかないところが多かったが、本書の核はそこではない。 縁に導かれてとしか言いようのない経緯でアフガニスタンでの治水事業に当たられた中村さんの行動の数々。そこに込められた思い。 至誠にして動かざるものなし。 この言葉が真実なのだなぁと実感する。 我が身を振り返って、恥ずかしい限りではあるが、少しでもこういう無私・至誠の境地に近づきたい。

Posted byブクログ