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天、共に在り の商品レビュー

4.5

69件のお客様レビュー

  1. 5つ

    39

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

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2022/09/12

中村先生はどうしてアフガニスタンの農村回復に心血を注げたのだろう。冒頭で医者になろうとしたのは決して高尚な理由だけではないと述べられているので、中村先生が生来公益のために身を捧げられる性質があった訳では無いと思う。どこからこの偉業を成し遂げようとする意志が来るのか。 この本を手...

中村先生はどうしてアフガニスタンの農村回復に心血を注げたのだろう。冒頭で医者になろうとしたのは決して高尚な理由だけではないと述べられているので、中村先生が生来公益のために身を捧げられる性質があった訳では無いと思う。どこからこの偉業を成し遂げようとする意志が来るのか。 この本を手にしたのはきっかけも覚えていないくらい偶然である。中村先生の名前すら知らなかった。しかし、本を読み進めるうちにこんな名もなき偉人がいるのかと心から驚いた。偶々本を読まない限り全く知らなかったであろう人なのだ。恐らく自分の友達10人に聞いても知ってる人は1人くらいだろう。世の中は中村先生のような影の立役者によって支えられているに違いない。 最後の日本の人々へ向けたメッセージは日頃自分が思っていることと似通っていて、中村先生のような、世界を、飢餓を、死を見てきたような人と意見が同じで嬉しかった。私が普段感じていることは間違いではないのだ。 ほんの少しでいいから中村先生のような生き方をしてみたい。勇気と信念を貰える一冊でした。

Posted byブクログ

2022/09/10

読書する良さを改めて感じられた一冊。 生涯行くことのない場所での、することのできない経験を少しでも知るために私にとって読書は欠かせないものです。 これまでアフガニスタン情勢については、テレビのニュースで部分的に見聞きする程度でした。 でもやはり、与えられる情報だけで知った気にな...

読書する良さを改めて感じられた一冊。 生涯行くことのない場所での、することのできない経験を少しでも知るために私にとって読書は欠かせないものです。 これまでアフガニスタン情勢については、テレビのニュースで部分的に見聞きする程度でした。 でもやはり、与えられる情報だけで知った気になるのは大変恐ろしいことだと思いました。 この本に記されている中村氏の視点が全てではないでしょう。 違う国籍、立場から見たらまた異なるアフガニスタンが見えてくるのかもしれません。 この本では主に用水路の作り方が記されています。 しかしながら、その行程を読み進めるとアフガニスタンの自然環境だけでなく政治的状況、人々の考え方も垣間見ることができます。 中村氏は自然に対しても、人に対しても決して力業で事を進めることなく相手を理解し、尊重していく姿勢を貫きます。 これは普通の生活を送る私達にとっても基本的、かつとても大切なこと。その理由がこの本を読むことで心から理解できると思いました。 「世の中は相変わらず『経済成長』を語り、それが唯一の解決法であるかのような錯覚をすりこみ続けている。経済力さえつけば被災者が救われ、それを守るため国是たる平和の理想も見直すのだという。これは戦を図上でしか知らぬ者の危険な空想だ」 「知識が増せば利口になるとは限らない。情報伝達や交通手段が発達すればするほど、どうでもよいことに振り回され、不自然な動きが増すように思われて仕方がない」 「戦場に身をさらした兵士なら、発砲しない方が勇気の要ることを知っている」 「経済的利権を求めて和を損ない、『非民主的で遅れた国家』や寸土の領有に目を吊り上げ、不況を回復すれば幸せが訪れると信ずるのは愚かである。人の幸せは別の次元にある」 レビューを書くのが難しいので、終章の中で特に心に残った文章を抜粋します。 中村氏は物書きではないので、いささか読みにくさを感じるのは事実ですが、それ以上に読む価値がある一冊でした。 ご冥福をお祈りします。 2020年6冊目。

Posted byブクログ

2022/09/08

あのタリバンにも一目おかれていたなんてどんな人なんだろうと思い、中村哲さんの自伝的著作のこの本を取った。(あと、今、中村さんの活動をまとめたドキュメンタリー映画が公開されているので、それの予習もある。) 中村さんの文章は、あくまで淡々と事務的に事実を述べるにとどめているが、その...

あのタリバンにも一目おかれていたなんてどんな人なんだろうと思い、中村哲さんの自伝的著作のこの本を取った。(あと、今、中村さんの活動をまとめたドキュメンタリー映画が公開されているので、それの予習もある。) 中村さんの文章は、あくまで淡々と事務的に事実を述べるにとどめているが、その行動力と信念は常人に真似できるものではない。こうだったらいいのにな、という理想を中村さんは本当に実行してしまう。砂嵐が吹く荒涼とした砂漠が、水路と緑豊かな大地になったカラー写真のページは思わず目を見張る。土木技術なんて素人のお医者さんなのに。山田堰に見る優れた観察眼と歴史に学ぶ姿勢も本当に尊敬する。温故知新を体現している人だ。 しかし、いくらかの犠牲を伴ったことは想像できたが、伊藤和也さんという日本人の職員が、よりにもよってテロで亡くなっていたことは知らず、心が痛んだ。ペシャワール会のサイトに遺族のメッセージが載っていたので読んだが、特にお母様の悲痛な思いには涙が溢れてしまった。 読み進めていく内に、中村さんも、アフガンのために身を粉にして働いていたけれど、家庭を顧みずにいたのかもしれないと思い始めた。お子さんは寂しかったんじゃないのかな、とか。でも、中村さんが亡くなったときの息子さんのメッセージを読んで、愛情深くて、限られた家族の時間をすごく大切にしていた人なんだと知って、どこまで完璧な人なんだと驚嘆した。 「平和とは観念ではなく、実態である」 この一文はハッとさせられた。平和はいつの間にか論じるものになっていた気がする。恥ずかしいな。 この本を読んで、より今やっている映画を観に行きたくなった。中村さんの生きた声を聞きたい。

Posted byブクログ

2022/09/04

p13 旱魃 渓谷の住人たちは一斉に村を空けて退避、栄養失調と脱水で倒れる子どもたちが急増し、赤痢で死亡するものが後を絶たなかった。飢えや渇きを薬で治すことはできない。医療以前の問題である。医療事業と並行して、飲料水源の井戸を掘り、灌漑設備の充実を進めてきた。飢えは食料でしか癒せ...

p13 旱魃 渓谷の住人たちは一斉に村を空けて退避、栄養失調と脱水で倒れる子どもたちが急増し、赤痢で死亡するものが後を絶たなかった。飢えや渇きを薬で治すことはできない。医療以前の問題である。医療事業と並行して、飲料水源の井戸を掘り、灌漑設備の充実を進めてきた。飢えは食料でしか癒せない p23 共に生きるとは美醜、善悪、好き嫌いの彼岸にある本源的な人との関係だと私は思っている p27 火野葦平 花と龍 p28 内村鑑三 構成への最大遺物 p40 天、共にありをヘブライ語でインマヌエルという p86 病気治療どころでない 実際、病気のほとんどが、十分な食糧、清潔な飲料水さえあれば、防げるものであった 残った村人たちを集め、深い井戸を掘る作業がはじめられた p117 農村の回復なくしてアフガニスタンの再生なし p125 人々の暮らしの単位といえる村落は、当然、異なる水系で隔てられるからだ p228 いかに強くすくるかよりも、いかに自然と折り合うかが最大の関心となった p244 アフガニスタンの実体験において、確信できることがある。武力によってこの身が守られたことはなかった。

Posted byブクログ

2022/09/04

他人がやらないから自分がやるしかない、というそんな言葉では信じられないほどの苦難の連続だったに違いないのに、その功績をさらっと書いている。ホント、偉人だ。

Posted byブクログ

2022/04/02

私たちがテレビを通してみるものとは違う現実がここにはある。人として仕事をするうえで大切な本質に気付かされる。

Posted byブクログ

2022/01/17

今まで中村さんの本を地道に読んできたけど、この本は中村さんの軌跡が知れるから、中村哲さんという人が知りたいなら、この本がベストチョイスだと思う。 それで、もっと中村さんのことが知りたくなったらほかの本も読んでみる みたいなチョイスはありかもしれません。 最後のほうのページにあ...

今まで中村さんの本を地道に読んできたけど、この本は中村さんの軌跡が知れるから、中村哲さんという人が知りたいなら、この本がベストチョイスだと思う。 それで、もっと中村さんのことが知りたくなったらほかの本も読んでみる みたいなチョイスはありかもしれません。 最後のほうのページにある、過去と現在の対比写真がすごかった。過去にそこが砂漠だったことなんて分からない、完全な緑の大地になっていて、感動した。 今までいろんな中村さんの本を読んできて、実際に中村さんがなさってきたことを文字とモノクロ写真だけでは知っていたけど、カラーで見ると感動が全然違う。 過去には何人もの人間が死に絶えた砂漠を、緑の大地にしてしまう力。 ほんとすごいな。ただただ感嘆の声が漏れる。 元々は医師として派遣され、現地でハンセン病をはじめとする感染症の治療を始めて、団体を立ち上げて、無医地区に病院を作り、井戸を掘り、用水路を造る…。 中村さんの本を読めば、流れとしてそうなっていくのは理解できるけど、実際にその場にいたときに、咄嗟に「無医地区に病院を作る」だとか「井戸を掘る」だとか、そういう判断ができるのがすごいなと思う。 にしても、戦争って、いわゆる先進国って、ほんとに勝手だよなあ。 誰のせいでアフガニスタンがこんな目に遭わないといけないんだろう。 捏造と錯覚で成り立つ世界。これを読んだわたしですら、生きるのがつらくなってしまうのに、中村さんはずっとどんな気持ちで頑張ってこれたんだろう。 けど、日本よりずっと人間らしいアフガニスタンにいるほうが、もしかしたら心地よく過ごせていたんじゃないかな。 中村さんの生きることに対する姿勢に、ちょっとでも近づいていきたい。 だから、生き物はすべて等しい命だと思っているわたしは、人間の勝手で辛い目に遭ってしまう動物たちのために活動している団体に毎月募金と物資を送ることにした。 すべての生命が等しく幸せになってほしい。 最終章はわたしたちに向けたメッセージ。心に刻みます。金と経済発展がイコール幸せではない。人間に必要なものは、そう多くない。

Posted byブクログ

2021/12/31

現在のアフガニスタンで起きている飢餓や人権侵害問題についてのテレビ報道を見て、いてもたってもいられなくなって読んだ。 環境的要因の視点は知らなかったので、新たな発見だった。 そこに追い打ちをかけるように、国際社会が貿易を停止したことで市民が生命の危機に陥っている。 他人事じゃ...

現在のアフガニスタンで起きている飢餓や人権侵害問題についてのテレビ報道を見て、いてもたってもいられなくなって読んだ。 環境的要因の視点は知らなかったので、新たな発見だった。 そこに追い打ちをかけるように、国際社会が貿易を停止したことで市民が生命の危機に陥っている。 他人事じゃないと思った。 行動した人の文章は、説得力が格段に違う。

Posted byブクログ

2021/12/26

縁がつながって井戸を掘ったり用水路を作ったり。医療以前に水とそこで暮らせる基盤作りが大切。誰かのために何かを成し遂げる。

Posted byブクログ

2021/12/26

2021年「天、共に在り」読了。中村哲さんが、なぜ世界から賞賛されていたのかを学ぶために読んだ一冊。中村さんがアフガニスタンの人々にどれだけ寄り添っていたかがとてもよくわかった。物事にはさまざまな側面があり、見る方向によって正しさは変化する。特に国際問題にはその傾向が強く感じられ...

2021年「天、共に在り」読了。中村哲さんが、なぜ世界から賞賛されていたのかを学ぶために読んだ一冊。中村さんがアフガニスタンの人々にどれだけ寄り添っていたかがとてもよくわかった。物事にはさまざまな側面があり、見る方向によって正しさは変化する。特に国際問題にはその傾向が強く感じられる。OOが正しい、OOは間違っているだけでは語れないことが、世界にはたくさんあることを再認識できた。また、争いが起きるときには必ず誰かがお腹を空かせている気がする。食料と水、これが満たされれば、もっと世界は平和になるのではないだろうかと考えさせられた。

Posted byブクログ