自殺 の商品レビュー
話題の本。自らの体験を元に、なぜ人は自殺するのかを考えている。著者はなかなかすごい人生を送っており、その点でもおもしろい。
Posted by
3月に泊めてもらったおうちの新聞で、この人のインタビュー記事を読み、"笑える自殺の本"という紹介に、読んでみたいと思っていた本。 巻頭の「まえがき」には、窓を開ける話が書いてあって、そこが心に残った。 十年ほど前、最悪だった「僕」は、うつうつして、落ち込ん...
3月に泊めてもらったおうちの新聞で、この人のインタビュー記事を読み、"笑える自殺の本"という紹介に、読んでみたいと思っていた本。 巻頭の「まえがき」には、窓を開ける話が書いてあって、そこが心に残った。 十年ほど前、最悪だった「僕」は、うつうつして、落ち込んで、「気持ちの整理がつかなくて、泣きながら近所を歩き回ったことも」(p.5)あった。そんなころ、会社のホームページに身辺雑記の日記を書き始め、知り合いから、たまに「読んだよ」などと声をかけられて、「窓ができたような気持ちになった」(p.5)。 ▼死にたいと思っている時は、窓がない、出口がないと感じている。悩みについて考え始めると、人に言えなくなって、自分の中で堂々巡りが始まります。ひとりで悩んで、考えても問題は解決しない。 だから、まず「死のうと思っている」と周囲に言いふらして、窓を開けることです。死のふちで迷っている人の話は、みんな真剣に聞いてくれるはずです。話しているうちに、何とかなるのに、その発想がなかっただけだった、と気づくこともあるんじゃないかな。(pp.5-6) 「まえがき」の末尾に、著者はこう書く。 ▼自殺というとどうしても暗くなりがちです。だから余計にみんな目をそむけてしまいます。自殺のことから逸脱したところも多分にあると思いますが、笑える自殺の本にしよう、そのほうがみんな自殺に関心を持ってくれる、と思いながら書きました。この本を読んで、ほんの数人でもいいから自殺していく人のことを考えてくだされば、少しは書いた意味があるのではないかと思っています。(p.10) そして、「あとがき」の最後。 ▼みんな死なないでくださいね。生きてて良かったということはいっぱいあるんだから。(p.357) 「お金と自殺」について書いた章は、まるで『街場の憂国会議』のようだった。あっちよりも、すっとお腹におちる文章で書かれているかんじ。 (5/27了)
Posted by
読む前は「これ読むのしんどそうだな、落ち込んじゃいそうだな」と思っていたけど、末井さん本人のエピソードがことごとくクズ過ぎてイライラしながら読んでしまった。インタビューに出てきた人達の本を個別に読んでみたい。
Posted by
新聞書評を読んで購入。著者が「自殺」を意識せざるをえない驚くべき理由と、そこから目をそらさずキレイゴトじゃない言葉で綴られた何とも清廉・正直な人生観・人間観と言える自殺論。著者は「女子をこじらせて」の著者と同種類の業界人なんだが、自分とは何か、他人とは何かを見つめる深度に同じも...
新聞書評を読んで購入。著者が「自殺」を意識せざるをえない驚くべき理由と、そこから目をそらさずキレイゴトじゃない言葉で綴られた何とも清廉・正直な人生観・人間観と言える自殺論。著者は「女子をこじらせて」の著者と同種類の業界人なんだが、自分とは何か、他人とは何かを見つめる深度に同じものを感じた。一見異様に感じだが、考えてみると正直で当たり前かもしれない、というような。 「使者を心から悼んで、見て見ぬ振りをしないで欲しいと思います。どうしても死にたいと思う人は、まじめで優しい人たちなんです」(「まえがき」より)に、この本のすべての価値が込められている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自らの、自殺に関する強烈な体験を芯に、関わった人やそうでない人の自殺について、それから自分のその強烈な体験から始まった人生について赤裸々に書かれた一冊。 雑誌でこの方の現奥さんのインタビューを読み、更に夫婦でインタビューに答えている記事も読み、「この人一体どんな人なんだろう」と思っていたらこの本を出していたということで手に取りました。 「自殺を考えている人に思いとどまって欲しい」という思いもこめて書かれたということですが…正直この装丁とタイトル、ダイレクトすぎて手に取りにくいんでは、と私は思うのですがどうでしょうか? 私がこの本を持ち歩いていたら同僚がぎょっとして「すごいタイトルの本持ってるね!」と若干引かれました。 自殺によって周りの人間の人生をいかにゆがめてしまうのかということを考えさせられますね。 著者がインタビューした人が何人か登場しますが、みなさん中々強烈です。まぁ著者(とその現奥さん)の上を行く強烈な人はいないように思いますが。 楽しい話では決してないのですが面白い、といっていいと思います。でも誰にでも薦められる本ではないですね…
Posted by
「楽しく読める自殺の本」というコンセプトで連載されたエッセイをまとめたもの。 確かに軽く読める。 著者の母は著者が幼いころにダイナマイトで心中するという派手な死に方をした。 その話を皮切りに、死にたがってた人や両親に心中された人や樹海で死にそうな人を止めてる人と話したり、著者の思...
「楽しく読める自殺の本」というコンセプトで連載されたエッセイをまとめたもの。 確かに軽く読める。 著者の母は著者が幼いころにダイナマイトで心中するという派手な死に方をした。 その話を皮切りに、死にたがってた人や両親に心中された人や樹海で死にそうな人を止めてる人と話したり、著者の思うところを書いたりしている。 死者を悼みましょう、気にかけましょうという当たり前の言葉がすごく優しく思える。 ひとりでぐるぐるしてると死にたくなっちゃうから人とかかわりましょう、ってのはその通りだけど、そこで拒まないでくれる人はどれだけいるんだろう。 少なくとも私は、死ぬ死ぬいってる人がいたら、共依存を避け自分のメンタルを守るためにさっさと距離を置く。 読み進めるにつれて自分の話が多くなっていく。 ダメな部分ほどネタになる、を実践しているのでダメさを嫌悪したり笑ったりしちゃう。 私は自分の倫理に狭量なので、嫌だと思うところがいっぱいあった。 でも、人の顔色をうかがって無意味な嘘ばっかりついている人がオープンに生きられるようになるのを見せてくれたから、ちょっと救われた。 イエスの性欲の話はうんざりする。 たまたま性欲ない人です、じゃダメなのかな。 「異常な(自分と違う)」ものを理解するためにここまで理屈をつけなきゃいけないってのは、わからないから排除する「世間サマ」と表裏一体だ。 「自分の手を汚さずに不快なものを排除しようとする世間サマ」への批判は納得できたのに。 知らないものをそのまんま受け入れるのはとても難しい。
Posted by
7歳で母親がダイナマイト自殺、億単位の借金、鬱。 どんだけ盛りだくさんなんだ、この人生。 そんな中で末井さんが自殺を選ばずにここまで生きてこられたってのはある意味一つの奇蹟だよな、と。 どの時点で死を選んでいても不思議はない状況で、それでも生きる道を選んでこられた、それはなぜなん...
7歳で母親がダイナマイト自殺、億単位の借金、鬱。 どんだけ盛りだくさんなんだ、この人生。 そんな中で末井さんが自殺を選ばずにここまで生きてこられたってのはある意味一つの奇蹟だよな、と。 どの時点で死を選んでいても不思議はない状況で、それでも生きる道を選んでこられた、それはなぜなんだろうと思いながら読んでいく。 死ぬまで自死を思わずに生きていられる人なんていないかもしれない。そんなときにこの本を読めば、ちょっと明日まで待ってみようか、と思えるだろう。 「どうせロクでもない社会なんだから、真面目に自分を突き詰めるんじゃなくて、もっといい加減に生きたらいいのに」
Posted by
末井さんのやわらかな語り口に耳を澄ますと、 暗い森に光る一筋の稲妻が、心の鼓膜を震わす。 自分だけの森の奥深く。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 死ぬ事ばかりを考えてきた少女時代から、 今こうしてここに生きている自分を思うと、時々不思議に感じてしまう事がある...
末井さんのやわらかな語り口に耳を澄ますと、 暗い森に光る一筋の稲妻が、心の鼓膜を震わす。 自分だけの森の奥深く。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 死ぬ事ばかりを考えてきた少女時代から、 今こうしてここに生きている自分を思うと、時々不思議に感じてしまう事がある。 あの混沌とした地獄絵図のような思考の中で、私はどうして生き続けることが出来たんだろうか。 いつもいつも「死」を追い求めて、 私にとってのこの世の光が「死」だと錯覚し、 光に手を伸ばすかのように「死」に焦がれていた日々。 しかし本当は「生」が眩しくて、 「生」を直視する勇気がなかった。 本当は誰よりも生きたかった日々。 様々な出会いの中で、息継ぎの仕方を覚え、 気が付いたら「生」と「死」は別々のものではなく、 二つで一つだという事を知り、 私は生かされ、生きている。 「なんとなく」の日々の積み重ねでいい。 なんとなく楽しい なんとなく嬉しい なんとなく悲しい なんとなく悔しい・・・ その意味を知ろうとするのではなく、 その「なんとなく」という全体性を感じること。 辛いこと悲しいことは今でもあるけれど、 固く固く拳を握り続けた自分の手のひらを開くと、 生きてきて良かった…という温かさが「なんとなく」いつもある。 太陽が眩しい時は、月や星を眺めりゃいい。 春の陽気が辛い時は、家で好きな本でも読んでりゃいい。 知らない事がまだまだたくさんあるから、 私はもうちょい生きたいと思う。
Posted by
親族に自殺した人がいた末井さんが自殺に関することを書き綴ったもの。 出口のない状態になったとき、誰かに聞いてもらったり、読んでもらったりしたことでとても楽になったという末井さんの体験にとても共感できました。
Posted by
スエイさんのことは奥さんの神蔵美子さんの写真集(「たまもの」)で知ったのだが、 そこに写っているスエイさんはとても不幸そうで、一体どんな人なのかなあと思っていた。 自分を語るときに外せないキーワードが人それぞれにあるが、スエイさんにとってはそれが「自殺」だったのだと思う。 「...
スエイさんのことは奥さんの神蔵美子さんの写真集(「たまもの」)で知ったのだが、 そこに写っているスエイさんはとても不幸そうで、一体どんな人なのかなあと思っていた。 自分を語るときに外せないキーワードが人それぞれにあるが、スエイさんにとってはそれが「自殺」だったのだと思う。 「笑える自殺の本を作ろう」という発想が素晴らしく、 事実こんなに暗くて辛い題材をたくさん集めているにも関わらず、この本は面白い。 それはスエイさんが「自殺」とがっぷり組んで、懐の深い相撲を取っているからに他ならない。 加えて、神蔵さんの写真集で垣間見たスエイさんのどーしょーもないところも正直に描かれているのもいい。 昔付き合っていた女の子のエピソードなど、ほんとうにどうしょーもなくて悲しくて、残酷なのに私は一番好きです。 この本を死にたかったときの私が読んだらどう思ったかなあ。 ヘビーな題材が続くので、真剣具合が悪いときにはおすすめしないが、 スエイさんがこの本で書きたかったことは「死なないでください」ということで、 それは確かな温かさを持って心に届いたのだった。
Posted by