自殺 の商品レビュー
サイバラの麻雀ギャンブル物でおなじみの名物編集者「スエイどん」。漫画のイメージから、浮き世離れした豪快な人物だと思っていたが、あら、意外と普通の感じだ。いやまあ、借金三億円とか、錯綜する女性関係とか、十分普通じゃないわけだけど。 「自殺」という題材の重さや、末井氏の人生の波瀾万...
サイバラの麻雀ギャンブル物でおなじみの名物編集者「スエイどん」。漫画のイメージから、浮き世離れした豪快な人物だと思っていたが、あら、意外と普通の感じだ。いやまあ、借金三億円とか、錯綜する女性関係とか、十分普通じゃないわけだけど。 「自殺」という題材の重さや、末井氏の人生の波瀾万丈ぶりに比して、語り口が非常に淡々としているので、そういう印象を受けるのだろう。深刻にならず、露悪的にならず、訥々と語られる言葉にリアリティがある。 最初の方はそれほどとも思わなかったが、青木麓さんのインタビューのあたりから、これはまあちょっと他にはないなあと思わせられる内容になっている。野次馬的関心を抱いてしまうのが、末井氏の再婚相手である写真家の神蔵美子さん。もれ伝わる経歴がすごいんですけど…。不真面目な感想で申し訳ないが、そういう読みも許してくれそうな懐の深さがある。
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大好きな末井昭さん。 大傑作です。 各章、すべて自殺をテーマに末井さんの経験や 考えを具体的に、そして優しい視点で語ってくれています。 主張は一つ。「死なないでください」 自殺の原因第二位のお金について。 末井さんの散々な先物取引、そして土地取引。 最後は8500万円の借金...
大好きな末井昭さん。 大傑作です。 各章、すべて自殺をテーマに末井さんの経験や 考えを具体的に、そして優しい視点で語ってくれています。 主張は一つ。「死なないでください」 自殺の原因第二位のお金について。 末井さんの散々な先物取引、そして土地取引。 最後は8500万円の借金残ったけど、交渉してもらって その額が減って今、毎月5万円の返済をしているところなどは、 お金で死んではいけません、がリアルにわかるかな。 また、末井さんが悩んでいるときにブログでその気持ちを 書いていたとき、悟ったことは 内向した文章は人に見せるのが恥ずかしい。 でも、自分にとって恥ずかしいことや深刻なことほど 人にとっては面白い、ということ。これは我々が表現するときの ポイントにもなるかなと。 同僚と不倫関係となって、彼女が病んでいくお話「眠れない夜」。 小説のようで、そして最後の1行にしびれてしまいます。
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自殺を否定も肯定もしない、静かで穏やかなエッセイ。 著者の生い立ちや人生は壮絶の一言なんだけど、それを突き放して書いているから、心をざわめかせずに読んでいられる。 書かれている遍歴はかなりとんがっていて、ずいぶん生きづらい人生なんだなと思う。淡々と書いているけど、けっこうすさまじ...
自殺を否定も肯定もしない、静かで穏やかなエッセイ。 著者の生い立ちや人生は壮絶の一言なんだけど、それを突き放して書いているから、心をざわめかせずに読んでいられる。 書かれている遍歴はかなりとんがっていて、ずいぶん生きづらい人生なんだなと思う。淡々と書いているけど、けっこうすさまじい人だ。 いちばん心に残ったのは、青木ヶ原樹海の話。いかに「樹海」のイメージが作られたものかっていうのが伝わってくる。 「自殺」ってやっぱりセンセーショナルな出来事で、いろんなことを突きつけてくるから、何か言ったり思ったりせざるを得なくなるんだろう。 やたら感傷的に扱ったり、怖いもののように思ったり、腫れ物に触るように扱ったり。特別視して、自分の世界から遠ざけておきたいと思うのも無理はない。 でも、ある種の人たちにとってはとても近しいもので、気がつくと自分のすぐそばに「自殺」がある。 いいとか悪いとかって判断してみても、だからってどうなるものでもなく、死んでしまう人はどうやっても死んでしまうんだろうし、そんなことをかけらも思わない人には理解できないままのものなのだ。 年間3万人もの人が自殺してるという統計があったり、秋田県は自殺者が多いという統計があったりして、一応自殺予防の考えは出てきてはいるけど、それでもまだ、「自殺」ってどこか別の世界の、自分とは無縁の出来事だと思われてる。どうかしたら、「死ぬ奴はだめなやつ」と切り捨てられてたりもする。 「病気で、生きたくても生きられない人もいるのに、自殺するなんて傲慢だ」と非難する人もいる。 でも、誰も、誰かの代わりに生きたり死んだりはできないのだから、自殺を止めるための理屈としては不完全だといつも思う。 この本には、そんな酷い言い方はなかった。 ただ、淡々と、「やっぱり死なない方がいいんじゃないかな」と微笑んでる著者がいる。(微笑んでるっていうのは私の勝手な想像だけど) 私も、死んでしまいたいなと思うような時があったけど、たぶん「死にたい」は「生きたい」なんだろうなとこのごろ思う。 生きたいのに、楽に生きていられないから、死にたいと思うんだ。 自分が楽になれるように、いつの間にか身にまとっていたいろんな柵や鎖を取り払えばいいんじゃないかな。 読み終わってそんなふうに思った。
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