なぎさ の商品レビュー
登場人物一人一人の心情と背景を丁寧に無駄なく書かれていて、あっという間に引き込まれ、読み続けてしまう。 物語の展開と回想シーンの挟み方が見事で、楽しめた。 この人の作品は好きだ。
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20代の頃、夢中になって読んだ山本文緒さん作品。アラフォーとなった今、どう感じるかな・・・と不安になりながら手に取ったものの、「そうそう、この感じ!」と心理描写の丁寧さにあっという間に引きこまれた。 アラフォーとなり、自らの「働き方」「生き方」を再構築していかなければならなくな...
20代の頃、夢中になって読んだ山本文緒さん作品。アラフォーとなった今、どう感じるかな・・・と不安になりながら手に取ったものの、「そうそう、この感じ!」と心理描写の丁寧さにあっという間に引きこまれた。 アラフォーとなり、自らの「働き方」「生き方」を再構築していかなければならなくなった今、登場人物たちが家族と、仕事と、自らとに不器用ながらも必死で向き合っていく姿、もがき苦しみながらも解放されていく姿に妙に背中を押された気持ちがした。 個人的には、飄々とした様を演じながら、ブラック企業に少しずつ少しずつ壊されていく佐々井の姿、その再生に自らを重ねてしまった。 正直、読んでて辛い描写も多いし、苦しくなることも少なくないが、最終的に救われたような気持ちになる作品。
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冬乃と菫の姉妹、冬乃の夫佐々井、佐々井の会社の後輩の川崎、菫の友人のモリ。 とりとめのない話が、繋がっているようで繋がってない。何も解決せずだらだら話が流れる。 でも嫌な感じではない。 登場人物誰も好きになれない。 でも冬乃の言った 最低限しなければならない仕事はしているが、隙あらば 手を抜こうとしていること、どこか投げやりな態度がチラチラ見えて不愉快だった どんなことが起ころうと人ごとで、ただ決められた時間に来て時給分働くだけ というくだりに、共感した。今、私が職場で抱えている悩みと同じ。 私は文才ないのでモヤモヤ不快に思ってたが、しっかり文章化されていて、読んでてスッキリした!
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どこにでもありそうな、普通の、平凡な話。 でも面白かった! 妹が勝手に転がり込んできて、勝手に店を始めて、勝手に店を売ったときは、そりゃ主人公も怒るだろ、と思いましたが、両親のこととか姉には言わずに苦労してたところもあるんだろうし。 なんかみんなそれぞれ不憫で可哀想な人たち。 結局モリは最後までよく分からない人でした。
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“私が子供の時、うちの中にもこんなふうにくつろいだ時間がいっぱいあった。その時間がなければ私はこんなに苦しまなくて済んだのかもしれない。最初から最低な家で最低な家族だったら、これほど傷つかずに済んだかもしれない。”(P.260) “「自己評価が低すぎるのって、高すぎるのと同じく...
“私が子供の時、うちの中にもこんなふうにくつろいだ時間がいっぱいあった。その時間がなければ私はこんなに苦しまなくて済んだのかもしれない。最初から最低な家で最低な家族だったら、これほど傷つかずに済んだかもしれない。”(P.260) “「自己評価が低すぎるのって、高すぎるのと同じくらい鼻もちならないのかもって最近気が付いたんです」”
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なぎさカフェ 家族、というつながり 永遠につづくことはない、というあきらめ 築いていくものと、淘汰されるもの そんな繰り返しが人生 2016.12
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山本文緒さんってこんな作風だったっけなぁ。。といぶかしながらも登場人物紹介的な前半。 後半になって色々と見えてきた人間模様。みんなどことなくいけ好かない人達だなぁ。描き方も中途半端な様な感じでどこへ向かうでもない終わり方。 冬乃の両親が一番あり得なかった。
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久々の山本文緒 一時期恋愛中毒をはじめとして何冊か読んだんだけど、この人の小説は女性でないと真髄分からんわ、と思って離れてしまってた。 俺が読んでないだけで、コンスタントに作品書いてるんだろうなと思ってたけど、病休してたみたい。山本文緒にとっても意味でも本作は本格復帰長編やったみたい。 作風は以前と変わってる感じである。特に冒頭、佐々井夫婦や川崎君の生活をツラツラと書いてるあたりは「どうしちゃった山本、けだるい午後系日常小説でいいのか?毒はどうした毒は!」と思ってしまってたけど、 川崎君が馬の世話しだすあたりから、じわじわと毒がにじみ出す。その構成が上手い。日常が少しずつ壊れて行く様を、丁寧に、でもページを割きすぎないように絶妙のバランスをもってけだるい午後を解体していく。 どこにでもいそうな普通の人の周りに、いかに悪意が満ちているか、その悪意も決して高尚な悪じゃなく「自分さえ良ければ」程度の悪意が、いかに他人の生活をボロボロに侵食していくか、中盤から後半にかけて、悪意を書く山本文緒の筆は冴えわたっていく。 善意ある人も登場するし、そういう人たちのおかげで佐々井夫婦や川崎君もちょっと立ち直ったりするんだけど、その回復をあざ笑うかのような悪意が彼らを包み、ついには彼らも悪意に病み染まり… 最後の最後、やっと行方に薄明かりが見えたところで物語は終わる。救い…というところまで行かずに寸止めする、冴えてるなぁ。 単純に楽しい物や美しい物を読んでハッピーになりたい人には勧められない。俺も気持ちがフラついている時にこれ読んでたら、かなりしんどくなっていたと思う。復活の山本文緒は要注意やぞ。
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大事件が起こるわけじゃないストーリーを淡々と読ませる筆力はさすが。どす黒い感情を描かせたらこの人は天下一品だが、冬乃と佐々井くんのような善良というか、素直な人を描くのもいいなと思った。
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