なぎさ の商品レビュー
【あらすじ】故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。(Amazonより) 粛々と進んでいく物語はなんともリアルであらすじには...
【あらすじ】故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。(Amazonより) 粛々と進んでいく物語はなんともリアルであらすじには書かれていない妹の友人(?)かつ後輩の知人、近所に暮らす所さん(ニックネーム)がキーパーソン。 ままならない日常と目をそらし続けられないこと。 踏み飛ばした階段は引き返して踏まなければ前に進めないし、人生は何も無駄じゃない。 夫婦だって兄弟だって親子だって言葉を交わさなければ分からないことばかりだし、本音でぶつかっても分かり合えるとは限らない。
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初山本文緒作品。読み始めたら止まらなかった。妹の身勝手さにイライラしつつ、もう少しうまくできんかねと主人公に檄飛ばしながら後半明らかになっていく家族の姿に、なるほどそういうことかと静かに合点の行く形に。 理不尽さに対しての程よい救いと、因果応報のような結末がうまく調和していた、モ...
初山本文緒作品。読み始めたら止まらなかった。妹の身勝手さにイライラしつつ、もう少しうまくできんかねと主人公に檄飛ばしながら後半明らかになっていく家族の姿に、なるほどそういうことかと静かに合点の行く形に。 理不尽さに対しての程よい救いと、因果応報のような結末がうまく調和していた、モリはいつか地獄に落ちればいい。
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長野県須坂市で生まれ育った冬乃は、同じ中学・高校の先輩である佐々井と結婚し、久里浜で暮らしている。佐々井と同じブラック企業に勤める川崎は元お笑い芸人。この2人の一人称で交互に物語は語られる。 様々な鬱屈した思いを抱えた冬乃は、妹の菫の言うがままにカフェを手伝うことになり、徐々に自...
長野県須坂市で生まれ育った冬乃は、同じ中学・高校の先輩である佐々井と結婚し、久里浜で暮らしている。佐々井と同じブラック企業に勤める川崎は元お笑い芸人。この2人の一人称で交互に物語は語られる。 様々な鬱屈した思いを抱えた冬乃は、妹の菫の言うがままにカフェを手伝うことになり、徐々に自分を解放していく。 家族、仕事、生活の基盤である土地。生きていく上で避けて通れないそれらといかに向き合っていくかが、“なぎさ”というタイトルに込められているように思う。重いけれど、読み応えのある力作だった。
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山本文緒さんの小説は初めてでしたが、彼女のユーモアのセンスと、感情を凄く豊かに表現されているストーリーに釘付けとなりました。 いい思い出よりも、思い出したくないことばかり人は鮮明に覚えている。 絶望感と無力感に浸っていると、ふと気持ちの底の方で何か不思議な物がかすかに湧いてきて...
山本文緒さんの小説は初めてでしたが、彼女のユーモアのセンスと、感情を凄く豊かに表現されているストーリーに釘付けとなりました。 いい思い出よりも、思い出したくないことばかり人は鮮明に覚えている。 絶望感と無力感に浸っていると、ふと気持ちの底の方で何か不思議な物がかすかに湧いてきて、私は顔を上げた。まるでお腹の中で、まだ勾玉みたいに小さい赤ん坊が、かすかに子宮の内側を蹴ってくるような、そんな感じがした。 深い水底からかすかに湧きだす酸素みたいに淡かった気持ちがだんだんと確実に発泡してくるのがわかった。 喧騒に優しく包まれ、泣きたい気持ちを知らない人の営みがなだめてくれているような気がした。 自己評価が低すぎるのって、高すぎるのと同じくらい鼻持ちならない。 一緒に働くという言葉が、天から一粒の雫みたいに落ちてきてかすかだけれど確かに私たちの乾いた土にじわりと染み込んだのがわかった。 生きていくことは、やり過ごすということ。自分の意志で決めて動いているようでも、ただ大きな流れには人は動かされているだけだ。成り行きに逆らわず身を任すのがいい。できることはちょっと舵を取るくらいのこと。 家庭というのは、家の庭と書くけれど、自分はそこがどんな庭か思い描いたことがあっただろうか。 きっと山本さんが、感じていることを、登場者の口をや場面を通じて、表現しているのではないかと感じた。 登場人物にはそれぞれ有り余るほどの個性があって、今までお目にかかったことがないような方々ですが、文脈に流れるものは、家族や友人との繋がりの大切さだと受け止めた。 残念ながら山本さんの作品が増えることは無くなってしまったが、いろいろ読んでみよう。
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山本文緒さん追悼読了。 皆さん思うところは同じなのか、図書館へ行って山本さんの作品を探したが、残っていたのはこの単行本一冊。これは私が読むんだな。 直木賞他気になる作品が多かったが、初読。 うん。古典でも文豪でもライトノベルでも無い。久しぶり、こっくりした小説。 人生に潮流の様...
山本文緒さん追悼読了。 皆さん思うところは同じなのか、図書館へ行って山本さんの作品を探したが、残っていたのはこの単行本一冊。これは私が読むんだな。 直木賞他気になる作品が多かったが、初読。 うん。古典でも文豪でもライトノベルでも無い。久しぶり、こっくりした小説。 人生に潮流の様な物があるのなら、その流れに少し外れてしまった登場人物達の物語。それぞれ心の距離は残るが、逆らわずさりとて流されず、次に進もうとする。読み手により多様な感想を持たせそうな読後。 コバルトブックスからの活動で若い読者をたくさん開拓されたでしょう。功績は大きいと思います。
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読み手を次々誘う作者の巧みな構成に感心します 家族っていいですか? 功績を残した人が「家族の支えがあったから」という言葉を聞くたび ぞわっとします 成功者が言える言葉です 「家族という足かせがある」そう素直に認めてもいいのですと言われたようで ほっとしました 家族がなくても家族...
読み手を次々誘う作者の巧みな構成に感心します 家族っていいですか? 功績を残した人が「家族の支えがあったから」という言葉を聞くたび ぞわっとします 成功者が言える言葉です 「家族という足かせがある」そう素直に認めてもいいのですと言われたようで ほっとしました 家族がなくても家族を疎ましいと思ってもいいのです 既存の家族ではなく人生の中で家族を見つけていく 人にはその力が備わっています 自信を持たせてくれました
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とても心揺さぶられました。故郷の長野を離れ、久里浜に移り住んでいる冬乃と佐々井夫婦。連絡を絶っていた妹の菫が、突然転がり込んできて姉の冬乃にカフェをしようと誘う。冒頭から、訳あり感が漂う。 夫婦、親、姉妹、様々な人間関係が複雑に絡み合う。ブラック企業の闇、仕事をすることの厳しさ、...
とても心揺さぶられました。故郷の長野を離れ、久里浜に移り住んでいる冬乃と佐々井夫婦。連絡を絶っていた妹の菫が、突然転がり込んできて姉の冬乃にカフェをしようと誘う。冒頭から、訳あり感が漂う。 夫婦、親、姉妹、様々な人間関係が複雑に絡み合う。ブラック企業の闇、仕事をすることの厳しさ、自分の意思を相手に伝えることの大切さ。 人間模様のじわじわの重さが長く感じ、中盤から読むのが辛くなりました。けれど、深い丁寧な心情描写に読み入っていきました。いつか光が見えますようにと。 とんでもなく自分勝手な登場人物に憤慨し、イライラさせられる。実際に似たような人はいそうでリアリティーがあった。 酷い目にあって傷ついた冬乃は、 「世界が違って見えた。(中略)悲しいのに、生きていけそうな気がした。こんなに泣きたいのに、なんで力がみなぎってきているのだろう」 この境地に達っする。もうこれ以上のことはないだろう何だって出来る気がする。この気持ちに共感する。 親の呪縛からも逃げれなかった。「こうしなさい」と言われ、生き、自分を縛ってきた。もう大人なのだから自分を認めればいい。わかってもらえないとしても、感じたこと思ったことそのまま。個人的には、佐々井がとても魅力的にみえた。冬乃の一番の理解者、冬乃と二人、幸せになれる。時に思いが伝わらなくて、もどかしさも抱えるが、静かな穏やかな夫婦愛を感じた。 ラスト冬乃はどうしようもない両親、妹菫を認める、許すでなく。その中に深い家族の絆を見た。 冬乃はすごく地道に努力している。感情移入していただけに、徐々に逞しくなっていく様子が良かった。 真っ青な沖の光のなぎさ、冬乃が見たのは眩しい光。
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なんとなく読み始めた一冊。後半から読むスピードアップ。懐かしい、鼻歌フレーズは、佐野元春だった。これは、もう、好き。 主人公(だよね?)の妹の名前をずっと「かおる」と読んでいて、途中から「すみれ」だと気づき、修正に時間がかかった、という話しはどうでも良い。 わりと牧歌的な展開か...
なんとなく読み始めた一冊。後半から読むスピードアップ。懐かしい、鼻歌フレーズは、佐野元春だった。これは、もう、好き。 主人公(だよね?)の妹の名前をずっと「かおる」と読んでいて、途中から「すみれ」だと気づき、修正に時間がかかった、という話しはどうでも良い。 わりと牧歌的な展開かと思いきや、決してそうじゃなかった。他の作品も読んでみたいです。
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家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何をやって...
家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何をやっても中途半端な川崎は、恋人以外の女性とも関係を持ち、自堕落に日々を過ごしている。夫と川崎に黙々と弁当を作っていた冬乃だったが、転がり込んできた元漫画家の妹、菫に誘われ、「なぎさカフェ」を始めることになる。姉妹が開店準備に忙殺されるうち、佐々井と川崎の身にはそれぞれ大変なことが起こっていた―。苦難を乗り越え生きることの希望を描く、著者15年ぶりの長編小説!
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228いろんな人のモノローグが交互に続き斬新だけど疲れた。ちょっとだけ前向きになれるストーリーでしたよ。
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