明治・妖モダン の商品レビュー
舞台は時代が江戸から明治に移り変わって20年ほど経った東京、銀座。煉瓦街は華やかで西洋化が進んでいても、少し路地に入ればまだ〝お江戸〟の名残を色濃く感じることができる、そんな狭間の時代の物語。 モダン銀座で暮らす巡査の原田と滝、そしてその友人たちの元には、なぜか妖怪絡みの困りごと...
舞台は時代が江戸から明治に移り変わって20年ほど経った東京、銀座。煉瓦街は華やかで西洋化が進んでいても、少し路地に入ればまだ〝お江戸〟の名残を色濃く感じることができる、そんな狭間の時代の物語。 モダン銀座で暮らす巡査の原田と滝、そしてその友人たちの元には、なぜか妖怪絡みの困りごとが頻繁に舞い込んできます。果たしてそれは妖の仕業なのか、江戸の世で人々に恐れられ親しまれていた妖怪たちはどこへ行ったのか、隣の友人は本当に人なのか———? 全体的にはっきりとモノを言わず、ふんわりと香らせて終わる物語です。まさに妖という未知の存在のような怪しくて少しひんやりするお話。私はとても面白く読ませていただきましたが、白黒ハッキリさせてほしい、事象に対して明確な理由と説明がほしいという方にはモヤっとした印象を残すかもしれません。 短編小説が五話入って一冊の本となっているので、ちょっとした隙間時間にもサクッと読めます。
Posted by
明治に変わり二十年、モダンな街『銀座』の煉瓦街。だが、美しく街を飾ろうと、この地も元は江戸の町。江戸で生きていた人が今も暮らしており、時は江戸から続いているのだ。怖いもの恐ろしいものも、ちゃんと東京は受け継いでいた。 明治と年号は変われど、庶民の暮らしはまだまだ江戸の影が色濃く...
明治に変わり二十年、モダンな街『銀座』の煉瓦街。だが、美しく街を飾ろうと、この地も元は江戸の町。江戸で生きていた人が今も暮らしており、時は江戸から続いているのだ。怖いもの恐ろしいものも、ちゃんと東京は受け継いでいた。 明治と年号は変われど、庶民の暮らしはまだまだ江戸の影が色濃く残っている時代。妖怪など非現実と笑いながらも恐れている。 逢魔が時のような、実と妖が入り混じる世界感は好み。人が起こした事件を妖に押し付けて、と見せて実は・・・というのもよくあるパターンだけれども、登場人物(?)が魅力的なので楽しめる。 第一話「煉瓦街の雨」 煉瓦街には似つかわしくない木造の派出所。雷雨を避け逃げ込んだ詐欺師と、かっぱらいで捕まった少年。巡査は、近所の牛鍋や『百木屋』で起きた、娘の行方不明事件について語り始める。 第二話「赤手の拾い子」 『百木屋』の常連客『赤手』について来た迷子の幼女。高価なダイヤモンドを持っていたため、扱いに困って巡査に相談するが、目を離した瞬間にすり替わるように成長し・・・ 第三話「妖新聞」 巷で、血生臭い事件を妖怪の仕業とする妖怪記事がもてはやされていた。その新聞記者に纏わりつかれていた銀座の巡査の『原田』と『滝』。そんな折、日本橋川に五人もの死体が並んで浮かぶという事件が起こる。 第四話「覚り 覚られ」 巡査の原田と滝は、自由民権を訴えている壮士の集会の警備で、怪我を負った男を助ける。その男は代言人をしていて、妖の「さとり」を探すのを手伝ってほしいと言う。 第五話「花乃が死ぬまで」 財産家で身寄りのない『花乃』は、ひったくりにあったところを助けてくれた巡査の『滝』を見て驚愕した。探していた人物と同じ名前と同じ姿。だがそれは、二十年も前のことだった。
Posted by
【引用】なら、あんた達は誰?(p.101) 【感想】雰囲気はよかったし楽しくはあった。でもなんとなくしっくりこないところがあった。いろいろ考えてみて、あやかしたちがもうすこしドライにできごとをおもしろがっているだけでもよかったかなと思った。ことわりも価値観もちがう存在なので。ちょ...
【引用】なら、あんた達は誰?(p.101) 【感想】雰囲気はよかったし楽しくはあった。でもなんとなくしっくりこないところがあった。いろいろ考えてみて、あやかしたちがもうすこしドライにできごとをおもしろがっているだけでもよかったかなと思った。ことわりも価値観もちがう存在なので。ちょっと人間的すぎたかも。 【内容】明治になって江戸の頃に活動していたあやかしたちはいなくなったように思えるが江戸からの連続性が失われたわけではないのでじつはあやかしたちはいまだ楽しくくらしていたのだった。 ▼簡単なメモ 【一行目】明治の世、モダンな街と言えば、まずは名が出る銀座の煉瓦街に、大雨が降っていた。 【青山】代言人。壮士の集会で押し倒されたところを滝に助けられた。 【赤手/あかて】煙草商。煙草屋というのではなくもう少し大きな商売のようだ。百木屋の常連でみなものファンのひとり。 【伊沢花乃/いざわ・はなの】滝を知っているというが滝がこんなに若いはずがないとも言う。 【伊勢】口の上手い男。「騙しの伊勢」と呼ばれる。 【おきめ】器量よしの女の子。迷子らしくてなぜか赤手についてくる。ダイヤモンドを持っていた。自称親が大勢現れた。 【お高】百木屋の常連で三味線の師匠。 【木島】下谷のボディガードのようだ。気が短く気性が荒い。 【銀座四丁目派出所】モダンな町並みのなかで目立つぼろっちい小屋。 【剣呑】この話のなかでよく出てくる単語。 【下谷/したや】胡散臭い男。こわもての木島を連れている。みなもに気がある? 【壮士】もともとは国にもの申す思想的な連中。品質が落ちて半グレ状態。 【滝駿之介/たき・しゅんのすけ】巡査。旧家の出。ルックスは御落胤。 【高良田】多報新聞記者。 【辰二郎】ひったくり。全力ダッシュで逃げておいて「逃げも隠れもしませんでしたのに」と言った。 【多報新聞/たほうしんぶん】高良田の勤める新聞社。妖怪記事も載せる。 【長太/ちょうた】十六歳のかっぱらい。 【原田】巡査。士族の出。 【丸加根/まるかね】金貸しをしているらしい。自称おきめの父。 【みずは】百木賢一の妹。女学校に通う。みなもの妹。 【みなも】百木賢一の妹。女学校に通う。 【明治時代】アーク灯がかがやき妖かしたちは遠くに行ったように見える。しかし《明治は江戸と、地続きってことですよねえ。》p.175 【百木屋】わりと流行ってる牛鍋屋。主は百木賢一、通称百賢(ももけん)、日々妹のみなもを心配している。常連は原田、滝のほか赤手、お高。みな人間なのかどうか? 【靖子】原田の妻。
Posted by
先日の短編集「あやかし」でハマった畠中恵さんの本。図書館で借りた。 いや〜1日半で読み終わってしまう面白さ。テンポも文体も時代背景もファンタジーものもドンピシャ。連作で他のもあるようなのでよまなければ。
Posted by
一体誰が妖でそうでないのか…。紛れ方が秀逸。 たまにゾワリとくる怖さがある。 お巡りさん二人がカッコいい。
Posted by
http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2013/10/post-e8fb.html
Posted by
面白かった!悪い奴にはちゃんとバチが当たるとスッキリするわー。でも誰と誰があやかしなのか、まだピンと来ないよ〜(?_?)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
江戸から明治に変わり、不思議なものなどもう古いと言われるような風潮になったけれど、所詮見た目が変わっただけ。まだまだ不思議な妖とかはいるんです、という話。 最初はいるように見せておいて実は人間の仕業といった話なのかと思って読んでいたので、普通にいる、というか身近なひとがみんなそれで、不思議な流れに吸い込まれました。 もう一人の原田さんが無駄にかっこいいです。 滝さんの最後の話で言っていた台詞をもし言われたら、ましてやひとではないものに言われたら震えますね。 これ以上ない言葉です。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
明治の世、銀座の派出所の巡査原田と滝、美人後家の三味線師匠お高、煙草商赤手、牛鍋やの百賢と、どこにでもいそうで、どこか不思議な人々の周りで起こる事件。表紙が巡査なので、若様シリーズかとおもったのだが、違った。でも、ミナかな?というような人がちらりとでているのて、同じ時期くらいのよう。 揃いも揃って人ではない(なさそう)なのだが、それだけに倫理観もちょっと違うようで、いい人たちなのに、なんだかそら恐ろしいというか。そういう話だから人情味溢れすぎているというのも違うと思うんだけど、すごく淡白にまとまっているので、スカッとはしない。
Posted by
江戸から明治の世になり夜の暗がりも減り始めた頃のお話。 話の中でその正体が推測できる人、最後までどっちなのかわかりにくい人がいた。 妖を騙り悪事を重ねてると手痛いしっぺ返しにあうぞと。 明治からさらに時を経た平成のこの世も結局は江戸から続いている訳だし、隣を行く人が本当は・...
江戸から明治の世になり夜の暗がりも減り始めた頃のお話。 話の中でその正体が推測できる人、最後までどっちなのかわかりにくい人がいた。 妖を騙り悪事を重ねてると手痛いしっぺ返しにあうぞと。 明治からさらに時を経た平成のこの世も結局は江戸から続いている訳だし、隣を行く人が本当は・・・なんて事もあるんだろうなぁ。 もう一人の原田さんはどう処理されたんだろ。
Posted by