図書館の魔女(下) の商品レビュー
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二ザマの策略で一の谷とアルデッシュの開戦が濃厚となってきた。 マツリカは秘策をもって緊張を孕むアルデッシュとの関係改善を提案するが、その矢先、呪をかけられてしまう。 戦を回避し、呪を解くためにマツリカはキリヒトと二ザマに乗り込む。 上巻の前半が嘘のように一気に緊張が加速して、厚さが気にならないほど。 今度はやられるもんか!と読んだので、先は読めたけれど、もうそんなことは関係ないくらい爽やかな読後。 ヒヤヒヤドキドキももちろんあり、でも、最後は彼と彼女の可愛さに悶えた。可愛いようー! 「図書館の魔女にとっては、そこに無い文字、そこに無い言葉すらが、何よりも雄弁に一つの物語を紡ぎ出すことになる。存在した言葉ばかりには限らない、存在しなかった言葉すらも、図書館の魔女にとっては読む対象と成りうるのだ。」 「一の谷俗語しか話さぬキリヒトと、東部山岳方言しか話さぬイシュトバーンの間には、すでに彼らだけに取り交わされる耳に聞こえない言葉があるようだった。ならば"言葉"とはいったい何なのだろうか。」 言葉と読むことをさりげなく深く考えさせられる。異国語と自国語、手話、どんなに拙くても伝わる時には伝わることにジンとくる。 机上で語られていたことが、現実となって、更に二ザマ帝により人情味までプラスされる。圧巻。 「指輪物語」の読後に似てるかも。戦友って熱い。 まだまだみんなと別れたくないよーって気持ちになるとこが。 「運命だろうと、生まれだろうと、マツリカにはそれらは従うものではありえなかった。意志によって、決断によって、人は運命や宿命を超えていくのだ。」 「お前は言葉を手段か何か、道具のようなものと考えてたんだろう。だから"道具"を奪えばこと足りると考えたんだろう。黙らせられると考えたんだろう。それが最大の踏み外しだった。言葉は何かを伝えるためにあるんじゃないよ。言葉そのものがその何かなんだ。言葉は意志伝達の手段なんかじゃない。言葉こそ"意志"、言葉こそ"私"」
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15/05/16読了 面白かった…!! 久しぶりに読書に没頭させてくれた。ファンタジー好きの心をくすぐる細部に渡った細かい設定と、長さを感じさせず喜びにすらしてくれるミステリ要素を含んだストーリー。 マツリカの聡さが、情深くはなくとも毅然としてある思いを、意味のある行動にして...
15/05/16読了 面白かった…!! 久しぶりに読書に没頭させてくれた。ファンタジー好きの心をくすぐる細部に渡った細かい設定と、長さを感じさせず喜びにすらしてくれるミステリ要素を含んだストーリー。 マツリカの聡さが、情深くはなくとも毅然としてある思いを、意味のある行動にしていて素敵だなと思う。たとえば、ヴァーシャールヘイに、返信の宛名としての名付けを約束するところとか。 マツリカとキリヒトがこれからについて固く約束を交わすシーンは、少し行儀良すぎるだろうとは感じたけども。 キリヒトはマツリカの瞳の中に、運命を否定するものを、運命を超えていくものを見ていた。運命だろうと、宿生だろうと、生まれだろうと、マツリカにはそれらは従うものではありえなかった。意志によって、決断によって、人は運命や宿業を超えていくのだ。 一つの文に句点を打たねば次の文が始まらぬように、二行ごと韻を押さなければ詩行が続いていかぬように、一冊を閉じねば次の巻には進めないように、新しく門を開いていくために閉じなければならない扉がある。
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言葉って文字だろうか?言葉って言語だろうか?言葉ってコミュニケーションツールなんだろうか?言葉は武器?言葉は癒し?言葉は無力?言葉は全て… この小説を単純にくくるなら異世界ファンタジーなんだろう。けど、この世界には魔法やオカルトは出てこない。物理学や化学や土木工学が社会を救おうとし、麻薬や退廃や人間のしがらみが社会を堕落させる。そういう一種堅実な世界で主人公たちは丁々発止の大活躍をする。そのアクションシーン、論争シーン、プラトニックなラブシーン…全てにおいて「言葉」がとても重要なファクターになる。 言葉は何を伝えるのか、言葉は何を成し遂げるのか? ペンが剣より強いなら、暴力ではなく対話で世界を変えることはできるのか… 言葉をテーマにする小説を、作者は膨大な言葉の質と量で描き上げる。総ページ数1400、難解な単語の嵐、張りまくる伏線と陰謀、濃いキャラクターが山ほど登場する政治小説かつアクション小説かつうぶな恋愛小説かつ人間小説 ムッサ読み応えありました。前半で何度か挫折しかけたけどラストまで読んで良かった。もちろん続編希望。しかしこの物量、この密度でシリーズ化されたら、読み手 のこっちも相当な体力気力をもって挑む覚悟が必要だなぁ。この出来を維持してくれるなら望むとこやけどねぇ。
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面白かった〜。満足。しかしながら、流動的な視点の変化(慣れるけどね)や文化度合の掴めなさや少々御都合な偶然が多いといった端々を厳しめに見て4.6。ハヨ続き読みたい。
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キリヒトの使命が明らかになり、ニザマの帝は病に臥し、西方では今にもアルデシュとの戦役が始まろうとしていた。マツリカは農学者や地理学者、職工たちを図書館に招いてある装置の開発を急いでいた。そんな中、視察のついでに通りがかった街の祭りで、一団はとある人形芝居を目にする。その人形芝居は...
キリヒトの使命が明らかになり、ニザマの帝は病に臥し、西方では今にもアルデシュとの戦役が始まろうとしていた。マツリカは農学者や地理学者、職工たちを図書館に招いてある装置の開発を急いでいた。そんな中、視察のついでに通りがかった街の祭りで、一団はとある人形芝居を目にする。その人形芝居は、マツリカの左腕を奪った。言葉を奪われたマツリカは、それでも開発した装置を伴ってニザマを訪れる。ニザマ、アルデシュ、一の谷の和議に向かって世界が変わろうとしていた。 長い長い上巻の前振りを経て、下巻はあっという間に読んでしまった。終わってしまうのが切ないほどの言葉たち、しかしのんびり読むのがもどかしいほどの展開。それぞれの別れの章は泣いてしまった。マツリカもキリヒトも、ハルカゼもキリンも、衛兵たちも皆愛おしい。まだシリーズとして続くようなので今後が本当に楽しみ。また長いこと付き合えるシリーズができて嬉しい。
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意欲作。評価が高い作品だし、事実そうだと思う。あらすじを書けば、それがわかります。人物に魅力があるし、ストーリーの意外性や、深いところで表現される人や学問のくだりも素晴らしい。これなら夢中で読めるはずなのに、私は読むのに骨が折れました。 たとえばキリヒトがはじめて入る図書館の中を...
意欲作。評価が高い作品だし、事実そうだと思う。あらすじを書けば、それがわかります。人物に魅力があるし、ストーリーの意外性や、深いところで表現される人や学問のくだりも素晴らしい。これなら夢中で読めるはずなのに、私は読むのに骨が折れました。 たとえばキリヒトがはじめて入る図書館の中を描写するのに4ページ、特殊な世界を描くのだから、事細かに説明してくれるのはありがたいけれど、こんなに子細に描かれているのに脳内にイメージが湧くよりさきにうんざりしてしまうのは私だけ?(汗) マツリカが、キリヒトに自分の意志で戻ってほしいことを訴えるくだりには6ページ。リアルなやりとりはこういうことかもしれないけれど、それを印象的に表現するにはもっと短くまとめて、演出してほしかった。 この世界とお話はすばらしい。それにちがいないとは思う。でも、言語学のトリビアすぎるところや、いつまでも続く描写や饒舌さに嫌気がさしたのも、残念ながら事実でした。
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806頁読み切りました♪図書館に来た新しい仲間、そして向かったニザマではニザマ帝との言葉での主導権争い。失った左手を取り戻すべく双子座を追う中で深まる緊張感と戦いのシーンは息を呑むばかりで…。「言葉は意思伝達の手段じゃない、意思だ、私そのものだ」。言葉とは本とは…活版印刷の功罪、...
806頁読み切りました♪図書館に来た新しい仲間、そして向かったニザマではニザマ帝との言葉での主導権争い。失った左手を取り戻すべく双子座を追う中で深まる緊張感と戦いのシーンは息を呑むばかりで…。「言葉は意思伝達の手段じゃない、意思だ、私そのものだ」。言葉とは本とは…活版印刷の功罪、この人にしか書けないであろう事がファンタジーの世界に見事に溶け込んで生き生きと訴えかけてきました♪上下巻合わせて1500頁弱、壮大な世界観にどっぷりはまった一週間でした♡時間かかったー!人文字たりとも逃せませんでした。
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まさかこんな展開になるとは!!! とにかく続きが気になって、夢中でページをめくった。 今度はじっくり咀嚼しながら読みたい。
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長すぎ。本が分厚く長いのは嬉しい限りなのだけど、これはまどろっこしくて飽きる。もっと部分部分を簡潔にテンポが良かったら★は4つだった。 話自体はとても面白いのに残念。
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