わたしをみつけて の商品レビュー
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親に捨てられて、養護施設で育った私。 准看護師として長く病院に勤めていくうちに、 横暴で傲慢な医者の態度に麻痺していく日々。 患者の命を直視しない病院側の体制に慣れてしまっていた心。 誰かに拒絶されることを恐れて、悪いことだとしてもそれに従っていた弥生。 たった2ヶ月のあいだ病院に在籍していた師長の温かな人間味あふれる物腰に言葉に態度に、 これ以上傷つかないために必死に自分だけを大切に守ってきた弥生の内側の殻が、徐々に破れていく変化。 病院の先生って偉そうだよね~。 看護師すらも人を人と思っていないような接し方する人いるもんね。 傷つけられた自分、でいることは簡単。 傷ついた自分を、どう変えていくかは自分次第。)^o^(
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よかった。 捨てられて施設で育った看護師が、看護師長や患者との出会いのなかで前を向き、自分をみつけて歩き出す。 人にみつけてもらい、自分で自分をみつける、そんな話し。
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「きみはいい子」を読んで、中脇さんの他の作品も読みたいと思い読んだこの作品 主人公の山本さんが 藤堂師長や菊池さんと出会って価値観や志、気持ちが変化していくのは、自分を見つけ自分自身を肯定することだと思った 「きみはいい子」でも出てきた神田さんも、幸せになって欲しいと強く願う
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中脇さんの『きみはいいこ』が良かったので2作目。 まだ途中だけど、臓器と対話する先生、本当のお医者さんに私は何人会えるだろう。 心臓って1日10万拍も打つんだ…!ありがとう心臓。 私にも3歳の娘がいる。渡邊さんの話は読むのが辛かった。想像すると、何てかわいそうなんだろうと娘を抱き...
中脇さんの『きみはいいこ』が良かったので2作目。 まだ途中だけど、臓器と対話する先生、本当のお医者さんに私は何人会えるだろう。 心臓って1日10万拍も打つんだ…!ありがとう心臓。 私にも3歳の娘がいる。渡邊さんの話は読むのが辛かった。想像すると、何てかわいそうなんだろうと娘を抱きしめたくなった。 施設の男の子の話、 『優しくしてもらって、やっと痛みがわかるようになったんだね。』『これでやっと、いやなことはいやだって感じられるようになる。自分を大事にできるようになるんだよ。』 ってとこを読んで、嫌だったと感じたことを、嫌だった!と話せないのも優しさが足りないんだろうか…と思った。 恥ずかしそうに、照れながら、嫌だったことは言うのを避け、告げ口みたいで言うのを躊躇う上の娘を考えた。優しい声かけが、足りないのだろうか。
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きみはいい子と少しずつつながってくる。 子どもたちへ愛情を与えることの大切さを教えてもらえる。特に小さい時の影響は大きいということがわかった。
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親と子の深い傷痕が心に痛い。 見舞いに来る娘より、ほったらかしの息子の名前ばかり呼んで亡くなった母親を見守る娘にかけられた師長の言葉に泣けた。 全部ウソでもいい。 あんな風に誰かの心を助ける言葉は、 強く、優しい。
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いいことをすれば、いい子。悪いことをすれば、悪い子。だから私はいい子でも悪い子でもない。私は私。この一節がとっても好き。接続詞の使い方が飛躍しすぎていて、でもそれが作品の全てであって。ギリギリのところでつながっている文だけに、研ぎ澄まされている感じが美しい。温かい内容なのに鋭利な...
いいことをすれば、いい子。悪いことをすれば、悪い子。だから私はいい子でも悪い子でもない。私は私。この一節がとっても好き。接続詞の使い方が飛躍しすぎていて、でもそれが作品の全てであって。ギリギリのところでつながっている文だけに、研ぎ澄まされている感じが美しい。温かい内容なのに鋭利な刃物のようで、そのギャップがたまらん。きみはいい子を読んでちょっとツボに入ったから読んでみたが、やっぱりこの人、好きだわー。藤堂師長と山本の最後は、泣きそうになった。こういうベタなのも大好きです。
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わたしをみつけて タイトルの8文字に込められた、主人公の思い。 3月生まれだからではなく3月に捨てられていたから、そう名付けられた准看護師の弥生。 淡々とした性格の主人公。喜怒哀楽はほとんどない。 物語も淡々と進行していくが、弥生の思いが切なくて苦しい。 気づいたら涙がこぼれていた。 淡々と生きていくことで、自分を守っている弥生が本当に切なすぎて。 菊池さんとの九九のやり取り。 外出中に読んでいたにも関わらず、涙がこぼれてきて困った。 菊池さんや藤堂師長との出会いで、じぶんをみつけていく過程が心地いい。 またゆっくり読み直したくなる作品。
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「きみはいい子」がとても良かったので、中脇初枝さんの「わたしをみつけて」も借りて読んでみました。 「好き嫌い」がハッキリ別れる本だと思います。 『小説新潮』7月号・山本周五郎賞の選評を事前に読んだので、・・・どうかなー・・・「きみはいい子」のほうは良くて、こっちは全然ダメなのかな...
「きみはいい子」がとても良かったので、中脇初枝さんの「わたしをみつけて」も借りて読んでみました。 「好き嫌い」がハッキリ別れる本だと思います。 『小説新潮』7月号・山本周五郎賞の選評を事前に読んだので、・・・どうかなー・・・「きみはいい子」のほうは良くて、こっちは全然ダメなのかな?と、あまり期待していなかったんですが、とても良かったです。 読んで良かった。 「きみはいい子」同様に、虐待が根本を流れています。 親に愛されているか、愛されていないか。子どもが愛されていることを実感しているか・・・。まだ2冊しか読んでいませんが、きっと中脇氏の「描く原動力」というか、著作テーマなんだと思います。なので「虐待」とか「愛されていないかもしれないという不安」とかいうテーマに、まったく共感できない方は、中脇氏の本は全然面白くないだろうな。と。 人は愛されていることを自覚して育ったタイプと(経済的なものは関係なく。)、 程度の差こそあれ、(たとえ虐待とはいえないものだったとしても)家庭での立場にすごくさみしさを感じていたり、愛されていないかもと感じたりした子ども時代を経たタイプの人がいて、 両者はこの本をどう感じるか、まったく違うと思うのです。 あるいは「子どもが可愛くて可愛くて仕方ない、育児は天職だ」と思えるタイプは読まなくていいかな。「子どもは可愛いんだけど、仕事から疲れて帰ってきて、自分の思うようにいかずに子どもを叩きたくなった、怒鳴りたくなった(実際に叩いてなくても)。悲しい。」と思うような(これすなわち私)母親ならm共感できるかもしれない。 「児童養護施設」「病院の現場」あたりのリアリティは低いです(どうしてわかるかというと、かつての職場だから。苦笑。でも、中脇氏も児童養護施設等に思い入れがあるのかもしれません。)でなければ、数十年前の現場の姿なのかな。現代の病院の問題点にメスを入れる!とか、そういうテーマではないです。そもそもこれは、この物語の主要軸ではない感じがする。 主人公・弥生の成長物語。 本屋でこれを見かけたら最初のページだけでも読んでみて、もし物語に入っていけそうだったら読んでみることをオススメします。 (主人公が自分を一番憐れんでる、とか、かわいそうな自分に酔ってる、とかいう評をいろんなところで見ましたが、もし私自身が弥生だったら、そうやって自分自身を憐れまなければ(実際、弥生はかなり自己評価低いし)生きていけなかっただろうなあと思います。) 「わたしは自分ひとりで生きて育ってきたわけではなかった」と、師長とのやりときで気付き、前を向いて生きていこうとするあたりは感動します。弥生は、痛みを乗り越えたんですね。 私は師長と弥生の、「笑顔についてのやりとり」を見てから、仮面でもいいから「笑顔のおかあさん」をやろうと思いました(笑。30年続けたら、きっと「いつも笑顔のお母さん」となるでしょう。 「僕が悪い子だから、うちにはサンタさんが来ないんだ。」と言っていた、 「きみはいい子」の神田さん、こちらにも。(実際にこの子は登場しないんだけど) 幸せになってね、神田さん。
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比較的大きな病院で看護師として育った私としては、舞台となっているこの病院が現在の病院とは思えず、30〜40年くらい前の話としてしか読めなかった。 ただ、それと小説の筋とはあまり関係ないといえば、関係ないので気にしないように読み進めた。 読み始めは、共感しにくい小説だった。 無機質...
比較的大きな病院で看護師として育った私としては、舞台となっているこの病院が現在の病院とは思えず、30〜40年くらい前の話としてしか読めなかった。 ただ、それと小説の筋とはあまり関係ないといえば、関係ないので気にしないように読み進めた。 読み始めは、共感しにくい小説だった。 無機質に働いていることが、主人公の孤独を際立たせていたと思う。物語の最後、1人で生きてきたわけではないと改めて気づくところではほっとした。
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