わたしをみつけて の商品レビュー
「きみはいい子」で引き込まれ、読みたくて読みたくて単行本を買った。こんなことは珍しい。 主人公の境遇と私は全く違うけれど、痛みの部分で共感し、引き込まれた。 前作の「きみはいい子」と繋がるところもあり、再生と希望の物語に感じた。 重く辛く苦しいけれど、私は彼女の文体が好き。 次作...
「きみはいい子」で引き込まれ、読みたくて読みたくて単行本を買った。こんなことは珍しい。 主人公の境遇と私は全く違うけれど、痛みの部分で共感し、引き込まれた。 前作の「きみはいい子」と繋がるところもあり、再生と希望の物語に感じた。 重く辛く苦しいけれど、私は彼女の文体が好き。 次作も楽しみ。
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自分がどこのだれなのか、というアイデンティティがないということ。その足元の不安定さは多分、自分がそうでない限り、絶対にわかることはできないのだと思う。 生まれてから物心つくまでのことは記憶にないからどんな環境で育ったとしても変わらないだろう、なんてことは絶対にないはず。記憶として...
自分がどこのだれなのか、というアイデンティティがないということ。その足元の不安定さは多分、自分がそうでない限り、絶対にわかることはできないのだと思う。 生まれてから物心つくまでのことは記憶にないからどんな環境で育ったとしても変わらないだろう、なんてことは絶対にないはず。記憶としては残ってないとしても、心の、そして身体のどこかに、誰かに無条件で愛されたしるしが残っている、そう思いたい。 それが親であろうと、ほかのだれかであろうと。 だから、もしも、もしも、何かの理由によって親に捨てられたとしても、だれかほかの人に愛されて育ったのであれば、それは、まだ幸せなのだと思う。 実の親に虐待されて育つよりも、はるかに、はるかに、はるかに。 これは、「救いの物語だ」、と思った。 子どもをめぐるたくさんの悪意と、悲しみと、不幸に満ち溢れたこの世界において、どこかに変わらずある希望の光を見せてくれる。 そして、どんなにつらい過去を背負って生きているとしても、どんなに深い悲しみの中に沈み込んでいたとしても、人は必ず変われるんだ、ということを教えてくれる。 どこかで、わたしを見つめていてくれる人がいる限り
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