わたしをみつけて の商品レビュー
生まれてすぐに、産婦人科医院の前に捨てられた主人公、山本さん。 新しく赴任して来た藤堂師長の下で働くうちに、彼女の奥に隠れていた純粋な気持ちが目覚めていく。 作家の中脇初枝さんは、人がもつ心の弱さをどうしてこんなにも分かり易く伝えられるのだろう? 主人公の看護師、山本さん、上司...
生まれてすぐに、産婦人科医院の前に捨てられた主人公、山本さん。 新しく赴任して来た藤堂師長の下で働くうちに、彼女の奥に隠れていた純粋な気持ちが目覚めていく。 作家の中脇初枝さんは、人がもつ心の弱さをどうしてこんなにも分かり易く伝えられるのだろう? 主人公の看護師、山本さん、上司の藤堂師長、同僚の神田さん、皆それぞれの過去を持ち、苦しみを背負っている。でも、苦しみへの向き合い方で、同じ看護師でありながらこんなにも生き方が変わってしまう。 苦しみへの向き合い方=その人の人生その物のように思えてしまった。 変えられるのは、自分の力だけではないんだね。 周りで支えてくれる人達とその愛情が必要なんだ。 私もいつか支える人になれるだろうか?
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「きみはいい子」の続きのような作品。 辛いことや諦めの毎日に、少し希望の光が見えてきて、読後感は良い。
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主人公である弥生の心情や会話を中心に物語が 進められていくので、とても読み進めやすかったです。 自分の事しか考えられず、例え他者がどんなに 傷つこうとも自分を守る事しか眼中にない人間もいれば、 自分以上に他者を大切にし、優しくし、見守ることを 知っている人間もいる。 藤堂師長...
主人公である弥生の心情や会話を中心に物語が 進められていくので、とても読み進めやすかったです。 自分の事しか考えられず、例え他者がどんなに 傷つこうとも自分を守る事しか眼中にない人間もいれば、 自分以上に他者を大切にし、優しくし、見守ることを 知っている人間もいる。 藤堂師長の言った「そんなに悪い人ばっかりじゃない」 と言う言葉には、当たり前の事なのに、なぜだか 改めて感心させられました。 人は、本当に優しくされる事で初めて、優しくなれる 生き物なのかもしれないと思いました。
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きみはいい子を読まずにいたら、続編といえるような本が発刊されてしまった。これもいつか読みたいと思っている。
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前作を読んだ時も思ったのだが、リアリティが中途半端な印象を受ける。 物語に救いを与えるなという意味では決してないのだが、テーマが重いものであるだけに、実質的な、安全弁のような部分があると、一気に嘘っぽく感じる。 救いは精神的な範囲だけでいい。 例えば、素晴らしい上司が道を示してく...
前作を読んだ時も思ったのだが、リアリティが中途半端な印象を受ける。 物語に救いを与えるなという意味では決してないのだが、テーマが重いものであるだけに、実質的な、安全弁のような部分があると、一気に嘘っぽく感じる。 救いは精神的な範囲だけでいい。 例えば、素晴らしい上司が道を示してくれるのはいい。 しかし、その上司が再就職の保険にまでなってくれるとなると、安全なレールの上で戦っているようなものだ。 このようなテーマを扱うなら、ご都合主義的展開はいらないと感じる。
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まあまあの程度に暗い内容。親に捨てられで施設で育った主人公の職業は准看護士。自分の素性は周りの人には誰にも言っていない。職場の仲間にも患者さんにも、自分の気持ちを顕わにせず只黙々と仕事をこなし、自宅へ帰る毎日。 親もいるかも知れない兄弟の存在すらも知らず、自分がどこからきたのか分...
まあまあの程度に暗い内容。親に捨てられで施設で育った主人公の職業は准看護士。自分の素性は周りの人には誰にも言っていない。職場の仲間にも患者さんにも、自分の気持ちを顕わにせず只黙々と仕事をこなし、自宅へ帰る毎日。 親もいるかも知れない兄弟の存在すらも知らず、自分がどこからきたのか分からない、そのアイデンティティの不在とはどういった気持ちなのか、想像してみようとしたけれど全く出来なかった。自分自身が誰なのか、誕生日もわからず、氏名さえ施設の人に付けてもらって、誰も疑わずその名で自分を呼んでいる。一瞬記憶喪失になって錯乱する状態が、生まれた時からずっと続いている様な感覚なのだろうか? いい子にしていれば捨てられない。いい子の仮面だけ被っておけば大丈夫と思って生きてきた彼女が、新しい看護師長や、あるきっかけで顔見知りになり、偶然にも勤め先に入院してきた菊池さんとの出会いで彼女が人との関係性や自分自身との向き合い方の道しるべを見つけだす。 菊池さんが彼女に九九を教える場面ば胸打たれる。
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いい子でないといけませんか? 主人公の弥生は生まれてすぐ親に捨てられ、施設で育ったため、「いい子」のふりをして、生きてきた。 必死に勉強して準看護師になった彼女は真面目で優秀、医師の杜撰な仕事ぶりにも不満を言わない「いい子」。 だが、新しくやってきた看護師長の完璧な仕事ぶり...
いい子でないといけませんか? 主人公の弥生は生まれてすぐ親に捨てられ、施設で育ったため、「いい子」のふりをして、生きてきた。 必死に勉強して準看護師になった彼女は真面目で優秀、医師の杜撰な仕事ぶりにも不満を言わない「いい子」。 だが、新しくやってきた看護師長の完璧な仕事ぶりと患者と親身に向き合う様子に、築き上げてきた自分が揺らぎ始めて… 愛情を注いでくれる家族がいるから「わるい子」にもなれる。「いい子」でなくても見捨てられない。 周囲の大人を試すことでしか愛情をはかれない子供は孤独で不幸だ。 だけど、ずっと一人ぼっちと思ってきた弥生も一人で生きてきた訳ではない。 虐待するような親なら、いない方が幸せでさえある。寮を出て初めて、それまで毎日誰かにご飯を作ってもらっていたことに気付く。人は一人では大きくなれない。 「赤ちゃんだった私にはわからなかったが、誰かが私を拾い上げてくれた。誰かが私を見てくれていた。神田さんを見守っていた菊池さんのように。そのとき、私はきっと祈られていた。今、私が菊池さんを思うように。」 育児放棄、DV、虐待、医療ミス…重たいテーマと登場する医師のひどさにショックを受けるが、読後には希望が感じられる作品。
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生後すぐに捨てられた看護師の弥生。いい子でいなければ。病院での出来事や人との出会いによりその意識が少しずつ変わっていく様子。よかった。
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「いい子」が本当に良いことなのかはわからない。 人は失敗を学ぶべき。たまには「悪い子」も歓迎しなきゃ。
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気づいたら涙が流れていました。前作「きみはいい子」に通じる作品。家族が抱える問題と現代の医療が抱える問題に切り込んだ作品。人は誰しもいい人と思われたい、揉め事を起こしたくない、面倒なことに関わりたくない…と思いがち。今までなかなか居場所を見つけられなかったのならなおさら。今までの...
気づいたら涙が流れていました。前作「きみはいい子」に通じる作品。家族が抱える問題と現代の医療が抱える問題に切り込んだ作品。人は誰しもいい人と思われたい、揉め事を起こしたくない、面倒なことに関わりたくない…と思いがち。今までなかなか居場所を見つけられなかったのならなおさら。今までの自分がそうでなかったとは言い難い。 職場での師長、患者さんとの出会いによって、自分と向き合い変わっていく主人公に希望の光が見える作品。
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