わたしをみつけて の商品レビュー
準看護師から見た不毛な医療 というか、医師のひどい状態なのだが・・・ さすがにここまでひどい状況はないのではないかな 非現実的な感じがする
Posted by
わたしは此処に居るのよ!と云いたいのか,本当の私が漸く判ったから・・・と云いたいのか~弥生という名を告げると三月生まれかと聞かれる。捨てられた私が拾われたのが3月で,名付け親の区長の山本という名前だったのだ。施設で暮らし,小一で養父母と暮らし始めたが,良い子でなくても面倒を見てく...
わたしは此処に居るのよ!と云いたいのか,本当の私が漸く判ったから・・・と云いたいのか~弥生という名を告げると三月生まれかと聞かれる。捨てられた私が拾われたのが3月で,名付け親の区長の山本という名前だったのだ。施設で暮らし,小一で養父母と暮らし始めたが,良い子でなくても面倒を見てくれるのか試すために,玄関の花瓶を階段から投げ下ろした。児童相談所に入って学校へ通えずにいたため,九九を覚える機会を失ってしまった。高校卒業後,寮に暮らし病院に勤めながら学校へ通って准看の資格を手にした。産科のない病院に勤めて施設長に保証人になってもらってアパートを借りたが,正看のくせに私より仕事ができず,男から暴力をふるわれて,抵抗できない神田さんみたいな人もいる。遅刻して来る内科医は最低だし,手術前にナースの尻を撫でる院長もまともじゃない。新しい師長が来た。小さくて白衣のサイズはSだが,笑顔を絶やさず,患者の状態もカルテで把握している。夜勤が明けて自転車でアパートに帰るが,雨の中,犬と一緒に途中のアパートを心配そうに見ているおじいちゃんが居た。それが菊地さんだった。院長が虫垂炎と診断して手術をした患者が急変して死亡した。師長はレントゲンを見て,フリーエアを見落とし,上部消化管穿孔なのを誤診したのだという。患者の両親が説明を求めに来て,私は昨日手術した患者のカルテを持ち出すことで院長に協力した。大腸ガンで入院してきたのは菊地さんだった。集団就職で八百屋に勤めたが,それが今やチェーン展開するスーパーだ。病院の行き帰りに,例のアパートを見てきて欲しいと云われて頷いたが,良い子で居るのが嫌で,わざわざ別の道を使った。菊地さんの孫が九九を練習している場に立ち合って,九九を知らないのを見破られ,ひらがなの九九表を手渡されて観念し,アパートに寄ってみると,件の部屋の住人は同僚の神田さんだった。子への暴力で男は逮捕され,子は児童相談所に居ると云い,生活を変えたいのだとも云う。又しても院長が上部消化管穿孔を虫垂炎と誤診した。このままでは死ぬと断じた師長は,院長が退勤したタイミングで知り合いの医者に電話して,大学病院の救急への搬送を行った。翌日呼び出された師長と協力者の私は院長と看護部長に詰られ,師長は院長の誤診だと断言してしまった。師長を引っ張ってきた理事長も残念だと漏らす。師長は,そもそも自分は母子家庭で,准看を取り,正看,認定に進んだのだと教えてくれた。この病院の改革はならなかったが,看護師が看護の仕事に専念できるようにすることが大事で,正看を取って市立に来ることを勧めてくれたが,菊地さんが退院するまでは,この病院に居るつもりだ。菊地さんの患部は広がっておらず,簡単な手術に思えたが,リンパ節の切除を始めたら出血が止まらない。院長は輸血を拒否し続けるが,菊地さんが死ぬのを見過ごせない私は独断で日赤に電話し,Rh+O全血を8ユニット用意して貰う~医師と看護師と師長と部長と准看と・・・話に出てこない看護助手。放射線技師や薬剤師もいて,経営を担う理事や事務方もいる。そうそう・・・患者もいる。差別社会の縮図だ。そういえば,准看育成を行っていた人は皆,制度に矛盾を感じながら仕事をしていたなぁ。准看の試験はほぼ100%合格,正看は85%位だったろうか? 弥生さんは九九ができなかったが,それでも高校は卒業できたんだね。濃度の計算なんて出来なくても,大丈夫? 乳児院・児童福祉施設で,誰も親しい人がいないと,学び直しの機会はなかったかも知れないが,施設職員やボランティアも気が付かなかったのだろうか? 30数歳になるまで,自分を捨てた親の気持ちを理解できないのは鈍すぎないか! 病室に花を持ち込ませないようになっているのを作者も編集者も知らないのは問題だ
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
やっぱり好きだな、中脇初枝さんの作品。 捨て子だった山本弥生が、藤堂看護師長、菊池さんとの出会いによって、人として、看護師として成長するお話。 「自分ひとりで大きくなったわけではなかった」と気づくまでの道程。 「わたしはわたし」だという心持ちにまで至る。 その過程の描き方が良かった。 シンプルで、淡々とした印象を受ける文章がまた効果的。 優しくて強い人の話はとても好きだ。
Posted by
中脇さんの本は初めて読んだのですが 最初はひらがなが多いのが気になったのですが 読み始めると一気に読めました。 産婦人科に捨てられていた主人公の山本弥生 人に心を開かないで、面倒な事を避けていた そんな毎日が菊地さんや藤堂師長に出会い 優しさに触れて、少しずつ変わってゆく 後半...
中脇さんの本は初めて読んだのですが 最初はひらがなが多いのが気になったのですが 読み始めると一気に読めました。 産婦人科に捨てられていた主人公の山本弥生 人に心を開かないで、面倒な事を避けていた そんな毎日が菊地さんや藤堂師長に出会い 優しさに触れて、少しずつ変わってゆく 後半に「わらった」という言葉が増え、表情も生き生きして 言葉も曖昧から強さをもってくる。 自分の足で他人を気にせず歩いてゆける 人ってこうありたいなと思わせてくれる内容でした 現実世界でも、人の何気ない優しさに触れ 助けられる事ってあるなぁと思える話でした。
Posted by
親に捨てられて施設で育った山本弥生は、いい子の仮面をつけて准看護師として働いている。 いい子でないと捨てられる、いつでもその不安の中で生きているから。 そんな弥生が、新しく看護師長としてやってきた藤堂師長や、帰宅途中で知り合ったおじさんとの出会いによって、次第に自分を見つけ、明...
親に捨てられて施設で育った山本弥生は、いい子の仮面をつけて准看護師として働いている。 いい子でないと捨てられる、いつでもその不安の中で生きているから。 そんな弥生が、新しく看護師長としてやってきた藤堂師長や、帰宅途中で知り合ったおじさんとの出会いによって、次第に自分を見つけ、明日への希望を持ち始める。 少しご都合主義な部分も目についたけれど、とにかく心を揺さぶられ引き込まれる作品でした。
Posted by
読み始めたらのめりこんでしまって、2時間くらいで読破してしまった。 人生において、大きな影響を与えてくれる人との出会いがあるって、とても幸せなことですね。
Posted by
痛い、私も。 でもこの本には希望があるから大丈夫。 読み終えて、すぐまた読みたくなった作品です。 2度3度読むことで、違う角度からもっと沢山の希望を見つけられそうな気がするから。
Posted by
ほどよく暗く、救いもあるお話で、するする読めました。師長さんのような上司がいるといいですね。 最後はちょっと主人公の女性の独白がくどいです。それさっきも言ったよ、と思うところが何か所かありました。もっと淡々としてる方がリアルかな、と。
Posted by
いい子じゃないと、いけませんか。 施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。 なぜならやっと得た居場所を失いたくないから―― 『きみはいい子』(第28回坪田譲治文学賞、第1回静岡書店大賞、2013年本屋大賞4位)で 光をあてた家族の問題に加え、...
いい子じゃないと、いけませんか。 施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。 なぜならやっと得た居場所を失いたくないから―― 『きみはいい子』(第28回坪田譲治文学賞、第1回静岡書店大賞、2013年本屋大賞4位)で 光をあてた家族の問題に加え、医療現場の問題にも鋭く切り込む書き下ろし長編。 中脇初枝が再び放つ感動作! 内容(「BOOK」データベースより) 施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。なぜならやっと得た居場所を失いたくないから―。『きみはいい子』で光をあてた家族の問題に加え、今作では医療現場の問題にも鋭く切り込んでいく。新境地となる書き下ろし長編。
Posted by
『きみはいい子』の中脇さんの著書。 ひととかかわっていくなかで変わっていくことの尊さと大きさが、描かれているように思った。 ところどころ、ズシンとくる場面がある。やはりこのひとの小説はいい。
Posted by