折れた竜骨(下) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なぜタイトルが「折れた竜骨」なのか?と思っていたが、 読み終わった後で、なかなかタイトルのつけ方が乙のものだと感じる。 魔術という心理トリック制限を設けた上でのミステリ。 呪われたデーン人とのバトル表現が凄い。 バラバラだった各容疑者との関係が収束されていくのと同時に、物語に引き込まれる感覚は楽しかった。 トリックフラグも気付かず、謎解けなかったけれど面白かった。
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面白すぎた。 これ、図書館で借りてきたけど文庫本買おう。 全ての謎が明らかになる下巻。 殺人事件の調査をしている最中に、デーン人がソロンに攻めてくる。 その戦いの最中の描写も、後の謎解きに必要な情報だった。 そうして一つ一つ情報が整理され、普通のミステリのように、最後にみんなが...
面白すぎた。 これ、図書館で借りてきたけど文庫本買おう。 全ての謎が明らかになる下巻。 殺人事件の調査をしている最中に、デーン人がソロンに攻めてくる。 その戦いの最中の描写も、後の謎解きに必要な情報だった。 そうして一つ一つ情報が整理され、普通のミステリのように、最後にみんなが集まった席で謎解きが始まる。 謎解きに魔法が絡んでくるのが面白い。 推理をしていたのだけど、全く裏切られ、どんでん返しが待っていました。 面白すぎます。 続編を強く望む。
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―理性と論理は魔術をも打ち破る― 作中のこの一文に終着する話だった。 ラストの儀式(セレモニー)の部分は本を捲る手を止められなかった。 少しキャラ立ちしすぎて、無駄も多いようにも思ったが、読んで損はない。
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騎士や傭兵たちと呪われた敵のファンタジー色の強い手に汗握る戦闘描写と、「論理は魔術をも打ち破る」の言葉通りの完璧な解決編!そしてちょっと苦みのある終わり。本当に、おもしろさ満載。十二世紀末のヨーロッパって舞台設定もメイン登場人物もみんな好みで魅力的だし。再読なので、伏線が何気ない...
騎士や傭兵たちと呪われた敵のファンタジー色の強い手に汗握る戦闘描写と、「論理は魔術をも打ち破る」の言葉通りの完璧な解決編!そしてちょっと苦みのある終わり。本当に、おもしろさ満載。十二世紀末のヨーロッパって舞台設定もメイン登場人物もみんな好みで魅力的だし。再読なので、伏線が何気ない一文としてたくさん落ちているのを一つずつ拾いながら読めるのもまた楽しかった。あとがきの『特殊設定ミステリは「読者との知的遊戯」というミステリ本来の魅力を引き立てやすい…(略)』って文章にはもう頷くしかない、楽しい読書時間だった!
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魔術や呪いが跋扈する世界で、推理の力は真相に辿り着くことができるのか? 第64回日本推理作家協会賞受賞ほか、各種年末ミステリ・ランキング上位を総嘗めにした話題作!(amazon)
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上下巻読了。舞台は魔術や死なない一族などが登場する12世紀イングランド。ファンタジー設定だが堂々たるミステリーでした。戦いの場面の血沸き肉躍る面白さ、論理的に容疑者を一人ずつ消去しつつ真実に迫る快感、さまざまに張り巡らされた伏線に後で何度も膝を打ちました。
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自然の要塞であったはずの島で、偉大なるソロンの領主は暗殺騎士の魔術に斃れた。容疑者の候補は八人。魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は果たして真相にたどり着くことができるか。 本下巻では、推理調査に加え、蘇った「呪われたデーン人」の襲来と展開が激しくなります。そして戦いが終...
自然の要塞であったはずの島で、偉大なるソロンの領主は暗殺騎士の魔術に斃れた。容疑者の候補は八人。魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は果たして真相にたどり着くことができるか。 本下巻では、推理調査に加え、蘇った「呪われたデーン人」の襲来と展開が激しくなります。そして戦いが終わった後、関係者一同を集めての解決、終焉。 まず、上下巻を読了して感じたのは文章が丁寧で読みやすいということ。若干芝居がかった体は多分、洋物風を意識してのことだと思うし、個人的には地の文に「!」が使われていると眉をひそめてしまうのだけど、これはこれで良いのかなとは思います。 物語としては、まあ、面白いかなと思います。作品タイトルの意味(?)がラストに添えられるのですが、少々お粗末かなとは思いますけども。 推理部分は少々物足りなかったですかね。ネタバレになってしまいそうなので、多くは書きませんが、上巻で気になっていた部分がそのままだったので、特に驚くこともありませんでした。ただ、その切り返し部分の切なさというか思惑の働き具合が美しかった。 私は、本作品を読む前、「魔術と推理」というキーワードから緻密な頭脳戦を想像していました。でも、本書は違います。どちらかというと爽やかな冒険小説風、青春小説の香りがします。登場人物たちのほとんどが年齢不明ですし、この時代、土地の風俗に全く見識がないのですが、会話等に重みが感じられないんですね。凛としてはいるけど。 そういう意味ではガッカリした作品ではあるけれど、面白いことに違いはないですし、ファンタジー読者への推理小説入門としては良い作品かなと思います。 最後に。 上下巻と分冊されている理由は分かりませんでした。 この程度なら一冊に収められると思うし、実際、もっと容量のあるものが一冊に収まっているはずなんだけど…。 商売上の理由?でも上巻で飽きられる可能性だってあるし…。
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上巻を手元に置いて読むべきだった…! アミーナとニコラが話し始めてからがなんかすきでした。二人の会話がぽんぽんと進むからかもしれない。 しかし彼であったのなら、ビスケットがあの付近に落ちていることははじめっからしっていたはずなので、本来なら避けるのでは、とかも思ってしまったり。迂...
上巻を手元に置いて読むべきだった…! アミーナとニコラが話し始めてからがなんかすきでした。二人の会話がぽんぽんと進むからかもしれない。 しかし彼であったのなら、ビスケットがあの付近に落ちていることははじめっからしっていたはずなので、本来なら避けるのでは、とかも思ってしまったり。迂回できたんじゃないかなぁとか。無意識の無意識が、彼に踏ませたのだろうか、とか、明かされたあとだからこそ思ってしまった。
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米澤穂信の『折れた竜骨』を読了。 第64回日本推理作家協会賞受賞作。他、『本格ミステリ・ベスト10』2012年版国内ランキング第1位、「ミステリが読みたい!」2012年版国内篇第1位、『このミステリーがすごい!」2012年版国内編第2位、『週刊文春2011ミステリーベスト10」...
米澤穂信の『折れた竜骨』を読了。 第64回日本推理作家協会賞受賞作。他、『本格ミステリ・ベスト10』2012年版国内ランキング第1位、「ミステリが読みたい!」2012年版国内篇第1位、『このミステリーがすごい!」2012年版国内編第2位、『週刊文春2011ミステリーベスト10」国内部門第2位と、各種ミステリ・ランキングで上位に入選した作品。実際、相当面白い作品。 この作品がどんなものかは、以下の作者の言葉をご覧いただきたい。それが一番分かり易いはず。 「『折れた竜骨』は、魔法が存在する十二世紀末のヨーロッパを舞台にしたミステリです。魔法とミステリの取り合わせに面食らう方もいらっしゃるかもしれませんが、幽霊や超能力など、現実にはあり得ない力を援用するミステリはけっこうあるのです。私はかつて、それら特殊な設定を用いたミステリを、心躍らせて読んだものでした。読者とのあいだに交す約束事さえしっかりしていれば、その約束事がたとえこの世のものでなかったとしても、ミステリは成立する。そこにミステリという知的遊戯の懐の深さを見たからです。本作がどこかの誰かに、かつて私が覚えたような昂奮を与えてくれることを願ってやみません。」 つまり簡潔に述べれば、ファンタジー要素を含んだ本格推理小説というわけである。実際、このように特殊な設定がある作品を読むのは初めてというわけではないので、面食らうこともなかった。 本作は最初に登場人物の名前が横文字で書いてあり、誰が誰だか混同してしまわないか不安だった。だがその心配は杞憂に終わった。皆それぞれ個性的ですぐ覚えられたからだ。たまに人物の書き分けが出来ていない作品が見受けられるが、本作はその点に関して言うことはまるでなかった。 また、終盤には戦の場面がある。まぁ考えてみれば、剣や魔術がある世界なのだから、それらを最大限に活かさない手はない訳だが。 そして巧妙に張り巡らされた伏線。これは基本的にどんなミステリにも言えることだが、本作の伏線は先程の戦の場面にも張られているのが面白い。 あらすじにある「走狗(ミニオン)」とは魔術で操られた人間のことで、領主殺害の犯人。犯人は操られていた時の記憶がないので、自分でも殺したかどうか判らないというのがこの作品の一つのミソ。当然アリバイなどを聞いても狼狽えることはまずない。このように作品世界の設定を上手く活かしていると思うことが多々あった。 最後、全員を集めての推理は自然に消去法形式になるが、論理的で面白かった。結末も意外といえば意外かもしれないが途中で何となく判る人もいるだろう。 読後感は少し切ないものがあったけれど、非常に面白い作品だった。
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とにもかくにも、ファンタジーとミステリを見事に融合させた作者の力量に脱帽。 冷静にふりかえれば、単体のファンタジーとして、もしくはミステリとして、秀作なれど突出した傑作とまでは言えないと思う。しかし、本格読みも惹き込む謎解きの要素と、ロマンに溢れる世界観にキャラクターたち。 騎士...
とにもかくにも、ファンタジーとミステリを見事に融合させた作者の力量に脱帽。 冷静にふりかえれば、単体のファンタジーとして、もしくはミステリとして、秀作なれど突出した傑作とまでは言えないと思う。しかし、本格読みも惹き込む謎解きの要素と、ロマンに溢れる世界観にキャラクターたち。 騎士と魔術師とゾンビ。英雄と愚者とが入り乱れた大活劇。 最後は謎をきれいに回収し、どんでん返しも交えて、ストーリーをおそらく最高の形で収束させた。 ブラボーだ。
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