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反省させると犯罪者になります の商品レビュー

4.1

155件のお客様レビュー

  1. 5つ

    51

  2. 4つ

    54

  3. 3つ

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2016/04/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第5章で人間関係の核心にせまる記述を見た気がした気がする。 「あらゆる人間関係において、正論を言うことは相手との関係を悪くする可能性があることを理解しておきたいものです。」 受刑者というのは人生の様々な局面を「我慢」してきた存在である。「我慢しなさい」「強くなりなさい」「大人になりなさい」「社会人なんだから」といった言葉は一見「正論」であるが、正論は人間関係をおかしくするのもまた事実。じじつ、上にあげた「正論」を人生の様々な局面で言われ、憮然とした人は多いのではないだろうか。 こうした正論による鬱憤、またそれ以外に家庭事情などで貯めこんだ鬱憤が、いまの受刑者をつくっている。 正論は大切かもしれない。しかし正論は凶器にもなりうるもろ刃の剣であることを、われわれは知っておかねばならないのではないか。

Posted byブクログ

2015/11/26

 なかなか刺激的なタイトルの本書だが、これはもちろん、反省することを全否定しているわけではない。正確に言うと、「問題行為に至った背景や内的な抑圧を顧みることなく、無理矢理反省させると犯罪者になります」ということになる。では、これはどういうことなのか。  刑務所や少年院で、犯罪者の...

 なかなか刺激的なタイトルの本書だが、これはもちろん、反省することを全否定しているわけではない。正確に言うと、「問題行為に至った背景や内的な抑圧を顧みることなく、無理矢理反省させると犯罪者になります」ということになる。では、これはどういうことなのか。  刑務所や少年院で、犯罪者の更生を支援する活動に長年携わってきた著者は、犯罪者が犯罪者になるのには必ず理由があると指摘する。そしてそのほとんどに、家族や養育環境が関わっていると。そこで著者は、犯罪者に一方的に反省させる代わりに、みずからの内面と向き合わせ、本音を語らせようと試みる。この方法で著者との信頼関係を構築できた犯罪者は、自分の起こした犯罪を後悔し、自発的に反省するようになるという。  本書の後半では、著者は犯罪と地続きの「教育」や「いじめ」の問題にまで踏み込み、「頑張るしつけが犯罪者をつくる」と断言する。最終章の「我が子と自分を犯罪者にしないために」の提言は、全国民必見だろう。

Posted byブクログ

2015/10/07

受刑者の支援の実践に基づき、反省を求めると世間向けの偽善だけを身に付け、再犯に向かわせる結果しか生まないことを実例によって説明してくれる。 受刑者を「更生」させるなどということが可能なのかと疑わしく思っていたが、筆者は、被害者の視点で考えさせ反省させるのと逆に、加害者の視点で考え...

受刑者の支援の実践に基づき、反省を求めると世間向けの偽善だけを身に付け、再犯に向かわせる結果しか生まないことを実例によって説明してくれる。 受刑者を「更生」させるなどということが可能なのかと疑わしく思っていたが、筆者は、被害者の視点で考えさせ反省させるのと逆に、加害者の視点で考えさせることにより、最終的に被害者のことにも思い至らせることができると言う。犯罪者は、孤独に一人で生きてきているが、こう考えさせることによって、人とつながって生きる術を身に付けられると言う。 しかし、現実にはこのような教育を受けられる受刑者はごく例外的で、ほとんどの刑務所で、再犯の可能性を高める「教育」が行われているというのが、やりきれない。 犯罪者に反省を求める世間が変わらない限り、犯罪は増え続けるとしか思えなくなった。 犯罪に至る前段階になるが、学校で問題行動を起こした生徒に反省させるのも、孤立感を深め心を閉ざす結果しか生まないというのも、同じ流れで理解できる。 問題行動を起こした時がチャンスだと、筆者は言う。それまでに蓄積された内面の問題が表れた時だから。その機会を捉えて、なぜそこに至ったかを考えさせることが大事だと言う。 問題行動を起こした生徒を退学させて「我が校には問題はない」と豪語する学校の話を読んだことがあるが、まったく心が冷える。

Posted byブクログ

2015/07/20

 著者の岡本氏は立命館大学の教授である一方で、刑務所や少年院で犯罪者の更生を支援する活動されていた方。本書はその活動を通じて、得た教訓をまとめたものである。  「反省させると犯罪者になります」…かなり過激なタイトルだが、著者は反省を否定しているわけではない。正確には「(問題行為に...

 著者の岡本氏は立命館大学の教授である一方で、刑務所や少年院で犯罪者の更生を支援する活動されていた方。本書はその活動を通じて、得た教訓をまとめたものである。  「反省させると犯罪者になります」…かなり過激なタイトルだが、著者は反省を否定しているわけではない。正確には「(問題行為に至った背景や内的な抑圧を顧みることなく、無理矢理)反省させると犯罪者になります」と主張している。形式的な反省文を書かせるよりも、犯罪に至った心理的な抑圧を明らかにし、他者との信頼関係を回復させることで真の反省と更生を促すことを提案している。  本書で提案された手法に対して効果の定量的データを求める声が多いようだ。データがないのは、本当に更生されたかどうかは受刑者のその後の一生を追跡しない限り、確認することができないからであろう。しかし「内的な抑圧の蓄積が問題行動への引き金であり、その原因を明らかにしない限り真の反省も更生も得られない」という著者の主張は本質をついていると思う。著者の提案する更生法は「コーチング」との共通点も多く、幅広い実践に裏付けられている要素も含んでいる。  諸外国と比較すると日本は金銭目的の凶悪犯罪は相対的に少ないかもしれないが、動機が不明確な殺人は度々ニュースになるし、いじめや自殺は社会問題となってから久しい。これまでの更生法が効果を挙げていないのであれば、著者の提案する更生法や「刑のあり方」を試すべきではないか。また、著者の指摘するように内的な抑圧が次世代や社会に拡散するのであれば、家庭でのしつけや学校での教育でも著者の指摘を実践する価値があるのではないか。  本書では特に言及されていないが、著者は基本的に「性善説」の立場をとっているように思われる。「性悪説」の立場での更生は人の本性を矯正することが主眼となるが、「性善説」では人の本性を引き出すことが主眼になる。犯罪者にも様々な人間がいるし、中にはその境遇をもってしても同情できないほどの罪を犯した人間もいるだろう。それでも本書で述べられた「受刑者が生き続ける意味」にこそ、加害者と被害者の両方に真の救いがあると信じたい。

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2015/07/08

反省を強要するのは逆効果である。ということは十分理解できる。けれども殺人等の重罪犯にも・・と考えると、またちょっと違った気持ちが湧いてくる。もし自分が被害者側の人間だったら・・。

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2015/06/29

#読書開始 ・2015/6/26 #読了日 ・2015/6/29 #経緯 ・尊敬する上司が読んいたため。 ・業務に活用できそうだと思ったため。 #達成、満足 ・活用できるポイントがあるので十分だが、説得力に欠けるので3評価。 #感想 ・「犯罪者になります」というタイトル通り、主な...

#読書開始 ・2015/6/26 #読了日 ・2015/6/29 #経緯 ・尊敬する上司が読んいたため。 ・業務に活用できそうだと思ったため。 #達成、満足 ・活用できるポイントがあるので十分だが、説得力に欠けるので3評価。 #感想 ・「犯罪者になります」というタイトル通り、主な対象者は受刑者。それは、著者が仕事で受刑者の更生を支援しているから。 ・世の中の反省は反省ではなく、表面上のもので根本的解決には至っていないという。過ちを犯したものが、二度と犯罪をせずにまっとうに生きるには、更生させること。 ・事実を聞き、ありのままの自分を認め、愛情に触れ、更生させる。正論をかざしてはいけない。最もだが、著者も人間であり、自分が被害者の立場になれば、それは無理だとも言っている。要は予防となる教育を変革すべきなんだろうが、説得力には欠ける。 ・学生、部下、犯罪者、子育てに活用できるが、時間がかかり、マスターできるのかどうかは疑問。 #オススメ ・管理職、教育関係者にオススメ。

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2015/06/08

内容は理解できておおむね賛成するが、具体的なエピソードに乏しく説得力に欠ける。著者の経験からすれば適当な事例がいくつも見つかるはずだ。またデータをとっているわけではないので、著者の"経験"しかよるところのないのは寂しいところだ。 本当ならデータ解析をしてほしい...

内容は理解できておおむね賛成するが、具体的なエピソードに乏しく説得力に欠ける。著者の経験からすれば適当な事例がいくつも見つかるはずだ。またデータをとっているわけではないので、著者の"経験"しかよるところのないのは寂しいところだ。 本当ならデータ解析をしてほしい。 また著者はほかの研究者をやたらけなすところがあるのがきになる。 とはいえ本書が"反省"というものになげかけた大いなる疑問は、犯罪者の矯正だけでなく教育分野においても有用なものであるように感じる。

Posted byブクログ

2015/05/27

かなり挑発的なタイトルだけど、決して反省それ自体を批判したものではなく、他者が一方的に反省を強いるという姿勢について批判をしている。 で、なるほど、とは思う。 特にいじめに関する提言は、かなり説得力があると思う。 ただ、語られているのは「それらしい理念」なのが惜しいんだよねえ...

かなり挑発的なタイトルだけど、決して反省それ自体を批判したものではなく、他者が一方的に反省を強いるという姿勢について批判をしている。 で、なるほど、とは思う。 特にいじめに関する提言は、かなり説得力があると思う。 ただ、語られているのは「それらしい理念」なのが惜しいんだよねえ。 結局著者の取り組みが、取り組まない受刑者と比べてどの程度効果があったのか、とか、なんらか量的な根拠を提示してほしかった。 これからデータをためていく段階なんだろうかねえ。

Posted byブクログ

2015/05/04

反省文は抑圧を生む 被害者の心情を考えさせると逆効果 頑張るしつけが犯罪者をつくる 2015/05/03読了

Posted byブクログ

2015/05/02

教育相談の講義のネタにKindle版を買ってみた。 言っていることは、まあ分かるけれども、「反省」をキチンと定義していただきたいところですな。

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