経営戦略全史 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ポジショニング派とケーパビリティ派の争いが、ビジネスモデルの歴史の大半を占める。 p127. BCGのpositioning派の発明「成長・シェアマトリックス」。スター、問題児、金のなる木、負け犬の4ます。金のなる木からスターへ、一部は問題児にお金を流すのが理想、という、企業内のお金の流れをわかりやすく提案。経営戦略は定量的に計測できるとする大テイラー主義の始まり。 p145. ポーターは「競争戦略」で経営戦略はpositioningの選択に還元した。設けられるポジションと位置取りこそ重要。ポジショニング派+大テイラー主義。 - 状況を5パターンで分析し、 - 答えの戦略は3類型に落とせる。 また、ポーターは「競争優位の戦略」で「バリューチェーン」を提案。よいポジショニングの優位を保つには、ケーパビリティも重要とした。 p177 「ビジネス書」の現実、ケーパビリティ派の苦難。ピーターズ「エクセレントカンパニー」から始まり、統計情報とストーリーを組み合わせたビジネス書がはやり始める。「エクセレントカンパニー」は超優良企業では、戦略や指示ではなく「価値観の共有のによるマネジメント」が行われる」とした。これは後付けの分析とストーリーで、どのように優良になりえるかは示さない。この後も、ビジョナリーカンパニーシリーズのジムコリンズ、「コアコンピダンス経営」シリーズのゲイリー・ハメル、「リーダーシップ論」のジョン・コッター等、本を書いて講演をして、原紙をもとに調査をして、本を書く...というビジネス本ビジネスモデルが確立した。 しかし、エクセレントカンパニーで紹介された会社は15年たって43社中、半分が5年でだめになり、今では5社しか残っていない」と自分の本で紹介している。 p179. ベンチマークで復活したゼロックス。 p212. ケーパビリティ派のセンゲと野中の組織ラーニング「学習する組織」。イノベーションは「新しい知識の創造ケーパビリティー」の問題であり、どんな企業でも解決可能とするケーパビリティ派が1990年代に興る。代表が。センゲ。彼はシステム論の専門家。以下のことができる組織が学習する組織。 - 個々人が旧来の思考方法(メンタルモデル)をやめて、 - 他人に対してオープンになる(自己マスタリー)ことを学び、 - 会社や社会の実際のありよう(システム思考)を理解し、 - 全員が納得できる方向性(共有ビジョン)を作り、 - そのビジョン達成のために協力する(チーム学習) 企業の優位はこういった個人と集団の双方の学習から生まれる。 野中はこの継続的学習をSECI(セキ)モデルで形式知、暗黙知の二つに分け、学習の過程を分析した。『知識創造の経営』
Posted by
戦略、フレームワークの変遷を知ることで、フレームワークの意図が理解できる。 自社に適切なツールってのは確実にあるし、変化すると気づけたのがでかい。 何を使って何を考えるか、重要なのはメタ思考。 得たいもの ・自社の戦略がどのモデルに近いかを決める ・VIC戦略のメリットとデメリ...
戦略、フレームワークの変遷を知ることで、フレームワークの意図が理解できる。 自社に適切なツールってのは確実にあるし、変化すると気づけたのがでかい。 何を使って何を考えるか、重要なのはメタ思考。 得たいもの ・自社の戦略がどのモデルに近いかを決める ・VIC戦略のメリットとデメリットを洗い出す ・新しい戦略の種をメモする 結果 自社ではクラシカル戦略、アダプティブ戦略を中心に勉強すべきでは? B3Cフレームワークは整理に非常に役に立つのでやってみる。 また、アダプティブ戦略にあるように試行錯誤でしか生まれないので いかに高速でPDCAを回せるかが重要。 どちらかというと今まで戦略脳的なPを課題視できたが 外部の力を借りればPはできる。 そのための巻き込みや、実行のDやAの方が課題だと感じた。 VIC戦略は凝り固まる。仮説検証の意識は薄い。 これだけでうまくいくとは考えずにチャレンジし続ける。 SK領域のコアコンピタンスが何かを考え続けることが重要。 新しい戦略すぐには思いつかない。(やりたいことはたくさん出ても)コツコツ。 総じて、ケイパビリティの概念を今は軽視しがち。 人間力をコアコンピタンスとするのであれば それが発揮できる環境整備は自分の役目。
Posted by
経営戦略100年史、132名の人物、書籍72冊にわたる経営理論やツールについて、概観を端的に説明されており、充分に自社や顧客をに当てはめて考えながら読める。知っているつもりでも、改めて考えるきっかけにもなる。気になるものは、原典にあたればよいし、とても参考になったと思う。私にとっ...
経営戦略100年史、132名の人物、書籍72冊にわたる経営理論やツールについて、概観を端的に説明されており、充分に自社や顧客をに当てはめて考えながら読める。知っているつもりでも、改めて考えるきっかけにもなる。気になるものは、原典にあたればよいし、とても参考になったと思う。私にとって的確な濃度というか。、そんな感じでした。
Posted by
100年間の経営戦略の歩みについて、人物とその理論を概説した1冊。ひとつひとつの理論にはサラッと触れるだけなので、これで経営戦略のスキルがつくわけではないけれど、大きな流れがわかるので読み物としては面白い。 ただ単に仕事をさせるのではなく管理しよう⇒労働者のモチベーションも大切...
100年間の経営戦略の歩みについて、人物とその理論を概説した1冊。ひとつひとつの理論にはサラッと触れるだけなので、これで経営戦略のスキルがつくわけではないけれど、大きな流れがわかるので読み物としては面白い。 ただ単に仕事をさせるのではなく管理しよう⇒労働者のモチベーションも大切だ⇒経営戦略も必要だ⇒ポジショニングだ⇒ケイパビリティだ⇒イノベーションだ⇒理論の統合だ⇒トライアンドエラーが重要だ。。。 こうやって鳥瞰してみると、経営戦略というもの自体がビジネスであり、いかにそれにお金を払ってもらえるかという取り組みとして語れることもよくわかる。(もちろん、企業にとって戦略が重要なのは言うまでもないが) あまり神格化せずに、自分の目の前のビジネスに自ら取り組みながら、参考としてこれらの戦略を取り入れるという姿勢がやっぱり妥当なのではないかと感じた。
Posted by
どの時代にもどんな場面に通用する普遍的な経営戦略はあり得ない。通読するとそうわかります。 だからといって戦略を立てることがムダなわけでもないでしょう。行き当たりばったりでうまくいくはずもない。 大切なことは、自分たちがおかれた状況を把握して、その状況に適した戦略を選ぶことだと思い...
どの時代にもどんな場面に通用する普遍的な経営戦略はあり得ない。通読するとそうわかります。 だからといって戦略を立てることがムダなわけでもないでしょう。行き当たりばったりでうまくいくはずもない。 大切なことは、自分たちがおかれた状況を把握して、その状況に適した戦略を選ぶことだと思います。Aの場面で有効な戦略が、Bの場面では使えないことは多々あります。それを見極めることこそ戦略がすべきこと。戦略は能動的に見えますが、実際には状況に対処するための受動的なものだと思います。 どの戦略が適しているかは、過去の知恵を借りるのが一番です。新しいアイデアも過去の英知の上に生まれます。 この100年の経営戦略の歴史が俯瞰出来る本書は、どう戦略を立てるかを考えるために役立つはずです。 https://amzn.to/2UVxWQr
Posted by
こんにちは、土井英司です。 以前、雑誌のアンケートで、エグゼクティブが部下に求める教 養として、「経営学」を筆頭に挙げていました。 重要なのはわかっているけれど、経済学部、経営学部でもなけ ればなかなか学ぶことがない、この「経営学」。 手っ取り早く学べるのは、以下の2冊です...
こんにちは、土井英司です。 以前、雑誌のアンケートで、エグゼクティブが部下に求める教 養として、「経営学」を筆頭に挙げていました。 重要なのはわかっているけれど、経済学部、経営学部でもなけ ればなかなか学ぶことがない、この「経営学」。 手っ取り早く学べるのは、以下の2冊ですが、それでもまだ難 しいという方におすすめなのが、この『経営戦略全史』です。 ※参考:『マネジメントの世紀』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521135/businessbookm-22/ref=nosim ※参考:『ゼミナール 経営学入門』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532132479/businessbookm-22/ref=nosim 著者も冒頭で書いているように、<歴史を活き活きと描くには 個人のエピソードや物語が必須>。 本書では、経営戦略の歴史を作ってきた偉人たち(テイラー、 メイヨー、フェイヨル、ポーター、クリステンセン、バーニー など)のエピソードと理論を引きながら、経営戦略の基本を概 観しています。 本書が類書と違うのは、偉人たちがどんな実験をしたのか、誰 がどんな理論、フレームワークを打ち出したのか、当時の背景 を説明しながら丁寧に紹介している点。 物語のような面白さがあるので、約400ページのボリュームが まったく気になりませんでした。 ノン経営学部の方が、経営学の歴史を学ぶのに、本書は最適の 一冊だと思います。 ぜひチェックしてみてください。 --------------------------------------------------- ▼ 本日の赤ペンチェック ▼ --------------------------------------------------- ヒトは経済的対価より、社会的欲求の充足を重視する ギャップ分析:未来の自社の姿(あるべき姿、To Be)を描き、 自社の現在地(今の姿、As Is)を明確にし、その差(ギャッ プ)を埋める ◆アンゾフ・マトリクス 1.市場浸透戦略 2.市場開拓戦略 3.製品開発戦略 4.多角化戦略 企業の成功のためには、「よい(儲かる)ポジショニング」だ けでは足りない。そのポジショニングを維持するための「よい (儲ける)企業能力(ケイパビリティ)」が必要 クラウゼヴィッツによれば、ナポレオンが(当初)連戦連勝し たのは、勝てる(かつ決め手となる)ところでしか戦わなかっ たから 超優良企業では、戦略や指示でなく「価値観の共有によるマネ ジメント」が行われている 付加価値の向上(差別化)と、コストの低下(コストリーダー シップ)は、ポーターの唱えたように二律背反のものではなく、 時間短縮によって、同時に実現できるものだった その経営資源が「持続的な競争優位性の源泉」となりえるのか どうかを見分ける判断基準としてバーニーは、以下の4つを挙 げました。 ・経済価値(顧客に価値があるのか) ・希少性 ・模倣困難性 ・組織(各資源を有効に活用できる組織か) 「組織は戦略に従う」のは、組織が戦略ほど急には変われないからだ 失敗するのはリーダー企業が顧客志向でありすぎるためだ (クレイトン・クリステンセン) 「歴史から『答え』は学べない」これがワッツの主張です 「登りやすい道を探せ」とポジショニング派は言った 「登りやすい方法で登れ」とケイパビリティ派は言った ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Posted by
難しいことを優しく説明する人好き そうか百花繚乱でどこから手を付けたらええねん みんなポーター言うけどそうじゃない人もいるよな と引いていたら ポジショニングとケイパビリティの戦い だったとは こういうきれいな整理すると「単純化出来るもんじゃない」って怒る人いるんだけどじゃあ...
難しいことを優しく説明する人好き そうか百花繚乱でどこから手を付けたらええねん みんなポーター言うけどそうじゃない人もいるよな と引いていたら ポジショニングとケイパビリティの戦い だったとは こういうきれいな整理すると「単純化出来るもんじゃない」って怒る人いるんだけどじゃあんた知ってるのと聞けば自分の領域だけをうだうだと こういう俯瞰が大切なんだよ必要な詳細は原著読むしかないじゃんこれで全部が分かるわけないし 木を見て森を見ずではなく凡人には木しか見えてなくて森を見ようとしても見られない それを、、、好著 特にコラム的に著者が会話する件がよかった
Posted by
中小企業診断士試験を受けるにあたって、経営戦略に関する知識を整理したかったため購入しました。 時代背景の変遷とともに発展した様々な経営戦略理論を、軽快な語り口で紹介しています。 理論の裏にある教科書ではわからない裏事情を知ることができて知的好奇心が刺激されます。 経営学を学ぼ...
中小企業診断士試験を受けるにあたって、経営戦略に関する知識を整理したかったため購入しました。 時代背景の変遷とともに発展した様々な経営戦略理論を、軽快な語り口で紹介しています。 理論の裏にある教科書ではわからない裏事情を知ることができて知的好奇心が刺激されます。 経営学を学ぼうという人だけでなく、ビジネスマンの教養としても役に立つ良書です。
Posted by
経営学の歴史は、「科学的管理」を説いたテイラーに始まり、「人間関係論」を語るメイヨーによりソフト面が持つ複雑で深遠なものに対峙していくことになる。 人の生産性は経済的対価の良し悪しだけでなく、社会的欲求の充足を重視するもので、感情や人間関係に大きく左右されるという結論を得るので...
経営学の歴史は、「科学的管理」を説いたテイラーに始まり、「人間関係論」を語るメイヨーによりソフト面が持つ複雑で深遠なものに対峙していくことになる。 人の生産性は経済的対価の良し悪しだけでなく、社会的欲求の充足を重視するもので、感情や人間関係に大きく左右されるという結論を得るのである。これ以降、経営学の歴史において生産性向上というテーマは、人の感情というまことに複雑で深遠なものに対峙していくことになる。 ドラッカー、アンゾフ、コトラ―などの知の巨人たちが近代マネジメントを創成し、後の世で出される主要なコンセプトの原型を形作った。 ドラッカーは企業経営上捉えておくべき3つの側面を、①顧客の創造、②人間的機関、③社会的機関、と定義 アンゾフ企業における意思決定を3種に分け、戦略(Strategy)、組織(Structure)、システム(Systems)という3Sモデルを立案。現状(As Is)と未来(To Be)を繋ぐギャップ(Gap)を分析する「ギャップ分析」も紹介されている。 コトラ―は戦略的マーケティング・プロセスを5つのステップに分けた。 ・調査 ・セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP) ・マーケティング・ミックス(MM) ・実施 ・管理 その後、ポーター等によるポジショニング派、ピーターズ等によるケイパビリティ派の対立があるも、どちらが正解とも言えないとする、ミンツバーグの「コンフィギュレーション」に結び付く。 ポーターの功績を3つ上げれば、「5力分析」「戦略3類型」「バリューチェーン」。 「競争の戦略」では次のように提言されている。 ① 競争戦略を策定する際、もっとも重要なのは企業をその環境との関係でとらえること ② その環境として大切なのは、業界の定義とその構造 ③ 業界構造は自社にかかる圧力として理解できる(5力) ④ その中で最も強い力が、決め手(競争の最重要要因)となる つまり、ポーターは「ポジショニング」を重視した。「儲けられる市場」を選び、「儲かる位置取り」をしなければならないのだと。 ピーターズは成功要因を「7S」と表現した。 ハードSは、①戦略(Strategy)、②組織構造(Structure)、③プロセス・制度(System)の3つ。ソフトSは、④人材(Soft)、⑤スキル(Skills)、⑥経営スタイル(Style)、⑦共通の価値観(Shared value)の4つ。6つのSが六角形状に並び、その中心に⑦共通の価値観を置いたものである。 ミンツバーグの「コンフィギュレーション」企業の発展段階に応じて、戦略や組織のあり方や組み合わせ方が変わる、と語る。すなわち、発展期にはポジショニング重視、安定期にはケイパビリティ重視、模索期はラーニング論、革命期にはアントレプレナー論、というように。 21世紀に入り、素早く実行し、素早く修正する考え方を中心とする「リーン・スタートアップ」および「アダプティブ戦略」が評価を得ている。 21世紀に入り、どのような戦略論が主流になっているだろうか。その答えは、「試行錯誤型」経営にある。つまり、イノベーションを起こすような革新的なサービスは、「やってみなくちゃ、わからない」ので、素早く実行し、素早く修正する力が重要となる。 そこで登場するのが、エリック・リースの「リーン・スタートアップ」であり、マーティン・リーヴスの「アダプティブ戦略」である。
Posted by
頭が整理される良き本。そしてとても面白い。再読価値有り。 超要約してみると:60年代に始まったポジションニング派が80年代までは圧倒的で、それ以降はケイパビリティ派が優勢になったが陳腐化。ビジョナリーカンパニーもたくさん潰れたし、つまるところアダプティブ派が説くように一箇所に依拠...
頭が整理される良き本。そしてとても面白い。再読価値有り。 超要約してみると:60年代に始まったポジションニング派が80年代までは圧倒的で、それ以降はケイパビリティ派が優勢になったが陳腐化。ビジョナリーカンパニーもたくさん潰れたし、つまるところアダプティブ派が説くように一箇所に依拠しないで、自社がどの段階にあるのか考えて高速試行錯誤することじゃなかい。
Posted by