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タタール人の砂漠 の商品レビュー

4.3

117件のお客様レビュー

  1. 5つ

    47

  2. 4つ

    43

  3. 3つ

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2024/05/22

何年と同じ日々の繰り返しでもいつ来るか分からない恐怖、そこだけ時が止まっている砦で何を期待して生きれば良いのか。ジョバンニの消失感を身に染みて感じて苦しくなった。 若いからこそ出来る事を無駄にしない様に、時は待ってくれないのだ。そう自分に言い聞かせて本を閉じた。 時間は有限で...

何年と同じ日々の繰り返しでもいつ来るか分からない恐怖、そこだけ時が止まっている砦で何を期待して生きれば良いのか。ジョバンニの消失感を身に染みて感じて苦しくなった。 若いからこそ出来る事を無駄にしない様に、時は待ってくれないのだ。そう自分に言い聞かせて本を閉じた。 時間は有限であるのだ。 ジョバンニの思いも背負って今を存分に楽しもうと思えたそんな作品だ。

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2024/05/17

時の流れの早いこと、残酷だが平等なもの 未来や現実から目を背けて栄光に目を輝かせ、 死の間際に誇りを取り戻す

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2024/03/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一度きりの人生、やりたいことや夢に向かって懸命に生きよう、時は遁走していってしまうから、と実感した。 主人公があれだけ出たがった砦に徐々に順応していく様子や砦の人たちが意味のない仕事を必死になって遂行する滑稽さ、天命を全する人への嫉妬がリアルだった。 また年齢や立場によって感想が異なると思う。ある程度歳がいくと置かれた場所で咲く素晴らしさに目が行くし、自分は漫然とした日常に夢が埋没していく恐ろしさに震えた。

Posted byブクログ

2024/03/02

辺境の砦に配属された主人公、何も起きない砦で「いつか敵が攻めてくるかもしれない」と幻想を抱きながら無駄に時を重ねていく。 まだ若いからなんとでもなると思っていた主人公が老いを自覚する描写にゾッとした。 一種のコンコルド効果ということだろうけど、金は別の方法で稼ぐことができるの...

辺境の砦に配属された主人公、何も起きない砦で「いつか敵が攻めてくるかもしれない」と幻想を抱きながら無駄に時を重ねていく。 まだ若いからなんとでもなると思っていた主人公が老いを自覚する描写にゾッとした。 一種のコンコルド効果ということだろうけど、金は別の方法で稼ぐことができるのに対して時間は絶対に取り戻せないから怖い。

Posted byブクログ

2024/02/23

いったいどこで 進むべき道を間違ってしまったのだろう。 ふと気づけば、 思いもよらない場所、 望んでもいなかった場所に、 ひとりぽつんと佇んでいる。 人生の半ばでそんな思いを抱くひとは、 存外多いのではないでしょうか? そう気づいた時には、 後戻りしようにも、 時がたちすぎていて...

いったいどこで 進むべき道を間違ってしまったのだろう。 ふと気づけば、 思いもよらない場所、 望んでもいなかった場所に、 ひとりぽつんと佇んでいる。 人生の半ばでそんな思いを抱くひとは、 存外多いのではないでしょうか? そう気づいた時には、 後戻りしようにも、 時がたちすぎていてどうにもならない。 そして最期の時を迎え、 きょうまでのことはすべて無駄骨だったと、 思い知ることになるのかもしれません。 それは運命だとか、定めだとかいうのではなく、 自然の成り行きなのだと思います。 自分で進むべき道を選んでいるようでも、 実は皆、その時々の状況に流されて 生きているのではないでしょうか。 なかには思いどおりの生涯を生きてこられた というひともいるでしょうが、 そんなのは極めて稀で、 もしかするとそう信じたいだけか、 あるいは錯覚なのかもしれません。 本書は、人生に抗おうとして抗いきれず、 むなしい生涯を送った男の物語です。 著者は30代半ばでこの小説を書いたようですが、 そのことには、なんとなく納得できます。 晩年になるとあきらめの境地もあって、 そんなことは取るに足りないことのように 思えてくるのではないかという気がするからです。 この小説は1940年に刊行されたものですが、 普遍的なテーマを扱っているからこそ、 いまも読み継がれているのでしょうね。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

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2024/02/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本の中での時間の移ろいが現実と同様に加速していくのが生々しいリアリティがあり良かった あたかも「お前の人生もそうなるかもしれない、いやきっとなる」と可能性を突きつけ警鐘を鳴らすような本。

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2024/02/04

 就職活動で自分が本当に何がしたいのかわからない、好きな人からのLINEを期待してしまう、自分は何か特別な存在になれるのではないかとまだ期待している、このままぬるま湯のような人生で良いのかと自問する、旧友と久しぶりに会ったら、なんとなく以前の関係と違っていて戸惑う… 生きてく上で...

 就職活動で自分が本当に何がしたいのかわからない、好きな人からのLINEを期待してしまう、自分は何か特別な存在になれるのではないかとまだ期待している、このままぬるま湯のような人生で良いのかと自問する、旧友と久しぶりに会ったら、なんとなく以前の関係と違っていて戸惑う… 生きてく上で誰しもが感じる不安、焦燥を描いてる。一度でもそこを通った事がある人は、どきりとする箇所も多い。  「カフカの再来」と前口上がついているが、カフカよるはるかに明快でわかりやすい。比喩表現が出た後にきちんとなにを暗喩してるか答えを書いてくれてる。(訳者の親切か?原文にもおなじ表記があるのだろうか?)  今の自分には、戒めのように思いながら読んだ。

Posted byブクログ

2024/02/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主人公ドローゴの人生があまりにも哀しい。人生の大半を犠牲にして待っていても、望む出来事がやってこない。いざ望むことが目前にやってきたときには自身は病に倒れ、邪魔者のようにそこから追いやられてしまう。何とも悲哀な人生だ。しかし、この哀しい人生は、単に他人事として消費できるものではない。いつか素晴らしいことが人生で起こるはずだ、という漠とした希望を自分も持っている。特段の不自由もなく平和に日々を過ごしているが、自分の人生がこのまま何事もなく終わってしまう訳はない、いつか状況が一変するような特別なことが起きるはずだ、とどこかで思っている。この思いに、というか予感に何らの根拠もない。そして、この予感はきっと実現しない。そのことを真に実感するのは、死の直前だ。ドローゴと変わらない。 作中、大きな事件はほとんど起こらない。そんな作品は普通長時間読むのが億劫になってくるが、この作品は違う。ずっとこの作品の世界に浸りたいと思えるような不思議な魅力がある。人里離れた辺境の砦、その前に広がる広大な砂漠、そして存在するかどうかもわからないタタール人という想像上の敵。これらの舞台装置が巧みな描写で表現され、何とも言えない幻想的な雰囲気を作り出している。この幻想的な作風が想像力を刺激し、読者を退屈させない魅力となっている。

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2023/12/29

何か面白い作品ないかな、と探していたところ、それならブッツァーティでしょ、との事で手に取りましたが、いわゆる幻想文学。あまりイタリアらしさもなく、なんというか今じゃない感じがしました(自分だけの物語として)

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2023/11/22

砂漠の向こうのタタール人が砦に攻めてくるのをひたすら待ち続ける話。兵士たちは英雄的願望を胸に秘めているから,いつか起こるであろう戦争を待ち続けることができる。古びた砦,広がる砂漠,他には何もないような場所で彼らは何十年も待ち続け,生涯を終える。そこだけ時が止まっているようだ。変わ...

砂漠の向こうのタタール人が砦に攻めてくるのをひたすら待ち続ける話。兵士たちは英雄的願望を胸に秘めているから,いつか起こるであろう戦争を待ち続けることができる。古びた砦,広がる砂漠,他には何もないような場所で彼らは何十年も待ち続け,生涯を終える。そこだけ時が止まっているようだ。変わっていくのは位と歳だけ。止まっている時間が急に終わりを告げることになる。胸に抱く期待は今なお持ち続け、果てていく。ドローゴはやり切れないまま死を迎えた。時間は無情に過ぎていき,泣きも笑いもしない。人生は内心の葛藤はあるものの,静かに終わっていくものなんだなと思った。

Posted byブクログ