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タタール人の砂漠 の商品レビュー

4.2

121件のお客様レビュー

  1. 5つ

    48

  2. 4つ

    44

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2022/08/11

タイトルも知らず、あらすじも一切読まず、たまたましって読んだ一冊。普段なら全く読まないジャンル。 わかっていながら、認めたくない小さな自尊心や見栄や根性や諦めや、、、。 良かった。小説読んだ!という充足感、たっぷりの一冊だった。

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2022/06/12
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とある将校が国境線の砦に配属されるところから始まる"人生"の話。読む時の年齢で感じ方がめちゃくちゃ違うだろうと思う。気になったのは他者への無関心さというか記述の淡々さ。ラッザーリやアングスティーナが死んだときにもっと感情や状況(葬儀など)を細かく描写しそうなものであるがさっと過ぎていく。自己と他者は分かり合えることなぞできない、他者は所詮は他者ということを意図的に表現したものなのか。P286の記述はその孤独的思想を端的に吐露していると思う。神が平等に下さった恩寵は死なんだろうとも思った。

Posted byブクログ

2022/06/04
  • ネタバレ

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やー、なんだろうこれ、面白かったな。確かに「人生そのもの」ではある。ドローゴの、言ってみればしょうもない人生ではあるんだけれど、誰でもそうなわけだよね。なんかいつの間にか置かれた状況でなすすべもなく、たまに大きなこともないではないけどほとんど待ち続けるばかりだったり。ちょっと期待したり失望したりしながら、何かを成し遂げるというほどのこともなくて。ある時期から時は急激に加速して過ぎていき、気がつけば次の世代へと巡っていく。 戦っているのは敵兵ではなくて、己であり、己の死。 最後かっこよかった。

Posted byブクログ

2022/04/25
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何かが起こるそんな予感を漂わせ、漂わせ続けることで、集中して読み手を引きつけながら、ついに。。。 これから読む方には、割と早いペースで最後まで読んで欲しいと思います。

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2022/04/04

・栄光への願望(ワナビー)と耐え難き凡庸さ ・習慣のもたらす麻痺 ・埋没費用を正当化する無理な意味付け

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2022/03/26

いつかくるタタール人の襲撃に備えて、何年も待ち続ける姿は、いつか一旗あげようと考えている若者の姿そのものである。 この小説は、自分の年齢によって受け止め方が大きく異なる。若者は現状に甘えている自分に危機感を覚えると同時にまだ時間はあると考え、行動に移さない。歳を重ねるにつれ、諦...

いつかくるタタール人の襲撃に備えて、何年も待ち続ける姿は、いつか一旗あげようと考えている若者の姿そのものである。 この小説は、自分の年齢によって受け止め方が大きく異なる。若者は現状に甘えている自分に危機感を覚えると同時にまだ時間はあると考え、行動に移さない。歳を重ねるにつれ、諦めを感じるのかもしれない。 人生そのものが集約されているこの小説は何度でも読む価値がある。

Posted byブクログ

2022/01/08

全体のテーマは「人生」。だが一貫して「希望にしがみついて目の前のことを凌ぐ」ことに注力している。砦のタタール人についてもそうだし、最後のドローゴについても同様。全編で言い続けていることを、この小さなエピソードで締めたのは本当に上手いと思った。 全編で「絶望の中で空想を見出して希...

全体のテーマは「人生」。だが一貫して「希望にしがみついて目の前のことを凌ぐ」ことに注力している。砦のタタール人についてもそうだし、最後のドローゴについても同様。全編で言い続けていることを、この小さなエピソードで締めたのは本当に上手いと思った。 全編で「絶望の中で空想を見出して希望を作り、目の前の現実を凌ぐ」、そして仲間の死は砦の虚無感と最後のドローゴを強調するためだろうと見ている。 全体を通して先の見えないゆったりとした霧のような小説だが、変化のない日々を過ごしているのに急速に時間が過ぎていく砦のようだった。ブッツァーティの作風は不条理が多いが、幻想小説と言うにも、この作品は幻想にしがみ続けた跡と表現した方が合っている気がする。 テーマと空気が一貫していて面白かった。やっぱりブッツァーティは好きですね。こういう作品は書けないが、現実に置き去りにされた人間は書きたい。

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2021/10/28

誰もが自分の人生において納得の行く選択をすべきで、それは何歳になってからでも遅くない。 この本を読んで感じたのはこれ。 序盤でオルティスはドローゴに「君は若い。自分は年を取りすぎた」といった旨の発言をしている。 そして中盤でかつてのオルティスの年齢になったドローゴに「君は若い...

誰もが自分の人生において納得の行く選択をすべきで、それは何歳になってからでも遅くない。 この本を読んで感じたのはこれ。 序盤でオルティスはドローゴに「君は若い。自分は年を取りすぎた」といった旨の発言をしている。 そして中盤でかつてのオルティスの年齢になったドローゴに「君は若い。自分は年を取りすぎた」と同じことを言っている。 年老いたことを理由にして行動できずに、納得の行く人生を生きれなかった大人として描かれている。多くの人はオルティスと同じような生き方をしていると思う。結局ドローゴもそうだった。オルティスや他の砦の者たちにあんなに忠告されていたのに。。。 納得の行く人生を送る、そのための行動は何歳になってからでも遅すぎることはない。

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2021/10/16

幻想文学として捉えられてるんですね。 主人公の感覚を通してみると確かに寓意に満ちた情景となる。遁走する時間を捕まえようとするが捕まえきれない。 こうあってほしいと妄想をふくらますあまり現実を正しく把握できない。 この先にきっと何か重要なことがおこると信じて判断を先延ばしにして時間...

幻想文学として捉えられてるんですね。 主人公の感覚を通してみると確かに寓意に満ちた情景となる。遁走する時間を捕まえようとするが捕まえきれない。 こうあってほしいと妄想をふくらますあまり現実を正しく把握できない。 この先にきっと何か重要なことがおこると信じて判断を先延ばしにして時間だけが過ぎたあげく、重要な時が訪れた時には自分は年老いて役に立たず除け者扱い。残る敵は死と立ち向かうのみ。 シニカルでやりきれなくなるけれど、主人公は最後の敵と向かいあって誇りと勇気を取り戻す。自分もこうありたいものです。

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2021/09/16
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幻想小説の世界的古典といわれる一冊、そしてついに手に取ってしまった岩波文庫。 本を読むなら岩波文庫だけを読めばいいと言われながらも、自分が手に取るのは10年位先で、その後会社勤めも終えてからゆっくり読んでいこうと思っていました。 そう思っていたにも関わらず手にしてしまった。 それ位、本書を読みたかったんだと思います。 実に深い。 会社の同僚が貸してくれた本を2冊間に挟んでしまい、平日の仕事を終えた後とはいえ、読み始めてから読了までに都合4日もかかってしまいましたが、実に静かなストーリーでした。 そこには華やかな色味はさしません。 主人公は辺境の砦を守るジョヴァンニ・ドローゴ。 30章、全340Pからなる本作は章を追うごとに時間の経過する速度が上がっていきます。 人生のうち30年もの時を辺境の砦でいつ襲ってくるかもわからない敵を待ち続ける人生。 それが本作の本筋ですが、それは一般的な人の人生を写し出した鏡の中のような世界。 歳を重ねる毎に時が経つのは早まり、孤独の中で夢を追い続ける。 人の生涯(人生)について今までとは違った視点で考えるきっかけとなりそうです。 読み終えたからこそ本書が世界中で多くの人に読み続けられている意味がわかったような気がします。 説明 内容紹介 辺境の砦でいつ来襲するともわからない敵を待ちながら、緊張と不安の中で青春を浪費する将校ジョヴァンニ・ドローゴ――。神秘的、幻想的な作風で、カフカの再来と称され、二十世紀の現代イタリア文学に独自の位置を占める作家ディーノ・ブッツァーティ(1906―72)の代表作にして、二十世紀幻想文学の世界的古典。1940年刊。 内容(「BOOK」データベースより) 辺境の砦でいつ来襲するともわからない敵を待ちつつ、緊張と不安の中で青春を浪費する将校ジョヴァンニ・ドローゴ―。神秘的、幻想的な作風でカフカの再来と称される、現代イタリア文学の鬼才ブッツァーティ(一九〇六‐七二)の代表作。二十世紀幻想文学の古典。

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