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タタール人の砂漠 岩波文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 2013/04/18 |
| JAN | 9784003271919 |
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タタール人の砂漠
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タタール人の砂漠
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商品レビュー
4.1
219件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
カバー裏には「神秘的、幻想的な作風でカフカの再来と称される、現代イタリア文学の鬼才ブッツァーティの代表作。二十世紀幻想文学の古典。」とある。あまり深く考えずに、雰囲気を楽しめればと思いながら読んでいた。 主人公のドローゴ中尉の人生がテーマで、冒頭で若きドローゴは孤立した辺境の砦に配属される。結局30年余りを過ごすが、ほとんどが孤独で単調な日々の積み重ね。それでもドローゴは砦を離れられない。そして、皮肉にもラストで北方から敵軍が攻めてきたときには、病のためにドローゴは砦から外れることになる。ストーリーは難しくなく、主人公の心の揺れる様が描かれるが、明るく楽しい話ではない。 1940年に発表された小説。ちょうど、イタリアが第二次対戦に参戦し、数日後に英仏艦隊によりジェノヴァが攻撃されるという時期で、大きく取り上げられることがなかったよう。1945年に再刊されたものの、戦後早々の状況にも合わずに批判されたという。作者は北イタリアの小都市に生まれて、すぐ北には奇峰や鋸状の尾根が連なったドロミテ・アルプスがそびえ、山並みの向こうはオーストリアとの国境だというので、この小説の設定に影響を及ぼしたと想像される。
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一気に読み終えた。それほど引き込まれる作品だった。 読み始めてすぐ、カフカ的な不条理小説かと身構えた。しかし読み進めるうちに、それとは少し違う手触りに気づく。カフカの不条理が外部から個人を押しつぶす理不尽さだとすれば、この作品が描くのはもっと静かで、内側から進行するもの――時間...
一気に読み終えた。それほど引き込まれる作品だった。 読み始めてすぐ、カフカ的な不条理小説かと身構えた。しかし読み進めるうちに、それとは少し違う手触りに気づく。カフカの不条理が外部から個人を押しつぶす理不尽さだとすれば、この作品が描くのはもっと静かで、内側から進行するもの――時間そのものに侵食されていく人間の姿だ。乾いた簡潔な文体の奥には、登場人物たちへの哀惜のようなものが流れていて、それがこの小説にどこか温かみを与えている。 この作品を、私は「人生の本質的な意味のなさの確認とその肯定」として読んだ。偶然に左右されながら世界に投げ出された一人の人間。そこで思い思いに――しかし多分に社会や時代に影響されながら――目標を作り出し、それに向かうことで「充実した人生」を歩んでいるように感じる。タタール人の砂漠は、その幻想を映し出す鏡のような存在なのだと思う。 作中に「時の遁走」という言葉が出てくる。これを私は、単に時間を無為に浪費してしまったという意味には取らなかった。むしろ何かへの期待に身を委ねているとき、人は時間の経過そのものを意識しない。ドローゴが望遠鏡で遠くの荒野を飽きずに眺め続けたのも、暇を持て余していたからではなく、そこに意識を注ぎ込んでいたからだろう。期待に満ちた時間は、後から振り返れば呆気なく過ぎ去ったように見える。しかし、その渦中にいた本人にとっては、決して空白の時間ではなかったはずだ。 夢を見て、その夢が何だったのかも忘れて年老いていく。それは特別に不幸なことではなく、ごく普通のことなのだと思う。どんな夢を見て、何に耐え、何を追いかけるか――それは自由でありながら、完全に環境から自由なわけでもない。それでも人は、自分なりに人生に意味を見出しながら生きていく。最初は逃げ出したかった場所に、いつしか慣れ、居続けること。それもまた一つの人生の形なのだろう。 ドローゴの人生が誰かの人生より良かったとか悪かったとか、そんなことを言う必要はない。すべての人が、それぞれの持ち場で、自分なりに人生を終えていければそれでいい。タタールの砂漠は、誰の中にもあり得る、さまざまなものに重ね合わせることのできる象徴なのだと思う。 会社員生活を三十年経験した後の今、この作品を読んで、砦での日々がかつての自分の日常と重なって見えた。最初は居心地の悪かった場所にいつしか慣れ、本当の自分とは必ずしも結びつかない「目標」に向かって集団で動かされていく感覚。高く伸びていく城壁や、遠くに見える敵の軍勢のような甘美な夢を見ることもあったかもしれない。この作品を通して、その時間を振り返ることになった。だからといって、自分にとっての「タタール人の砂漠」が完全になくなったわけではないとも思う。 静謐で、乾いていて、それでいてどこか人間への慈しみを失わない一冊だった。読み終えたあとも、自分自身の「タタール人の砂漠」とは何なのかを考え続けてしまう。
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人生とその普遍性を描いた物語。あらすじを読んでも、題名からも、物語の中で何が起こるのか予想がつかず、読み進めていてもほとんど何も起こらず、何も起こらないまま終わった。なのに、共感できたり、こころに残ったり、不思議なお話。この人生の普遍性を受け入れるのか、自分だけは違うと特別視し、...
人生とその普遍性を描いた物語。あらすじを読んでも、題名からも、物語の中で何が起こるのか予想がつかず、読み進めていてもほとんど何も起こらず、何も起こらないまま終わった。なのに、共感できたり、こころに残ったり、不思議なお話。この人生の普遍性を受け入れるのか、自分だけは違うと特別視し、希望を待ち続けるのか、普遍性から抜け出すためにより一層の努力をするのか...。どれを取ってしても、これこそが人生なんだなと。
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