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タタール人の砂漠 岩波文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 2013/04/18 |
| JAN | 9784003271919 |
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タタール人の砂漠
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タタール人の砂漠
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商品レビュー
4.2
148件のお客様レビュー
滑稽な寓話であり、平凡な私の人生の物語でもある。存在さえ不確かなタタール人の侵攻に備えるためだけに築かれた砦、に配属された青年中尉。僻地勤めの失望、無為と停滞、延々と続くルーチンワーク。劇的な変化を期待しながら、抜け出そうとせず、過ぎ去っていく数十年。それが詰まらないかと問われれ...
滑稽な寓話であり、平凡な私の人生の物語でもある。存在さえ不確かなタタール人の侵攻に備えるためだけに築かれた砦、に配属された青年中尉。僻地勤めの失望、無為と停滞、延々と続くルーチンワーク。劇的な変化を期待しながら、抜け出そうとせず、過ぎ去っていく数十年。それが詰まらないかと問われれば、決してそんな単純ではなく…という摩訶不思議な一冊。
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流されるうちに最も望んだであろうはずのものを逃し死にゆく主人公 ではドローゴはどうすればよかったのだろうか 彼は幸福であったのだろうか これを読んでドローゴが変わるには!環境を変える!と啓発的に落としこむのはこの作品の良さをあまりに近代的な読み方であり、良さを捨象しすぎるように感じる。 時間と死をモチーフにした書籍といえば人生の短さについてがあるがあの本には通底する怒りがあったがこちらは時や運命の残酷さが感じられた。 奇しくも青年期のドローゴに、仮病を断り砦に残ることにしたドローゴと近い年齢にある私。 習慣的とすらなった仕事にこのまま居座って良いのかいつかくるかもしれないタタール人という「希望」を待ち続けて良いのだろうか。 そういえばなぜシオメーニが司令官になり、戦さの栄光に預かったにも関わらず、ドローゴにはかのような運命が待ち構えていたのだろうか? 読み取れるところからは両者の違いはないように見える。 しいていうなら一応はドローゴの顔を立てたり(彼は臆病なやつだと非難していたが)規律正しく砦を管理していたようだが。 そもそもなぜドローゴは病に倒れたのだろう。辛苦や疲労を感じることがあったのだろうか。 ここから健康が大切、「人を動かす」ことの大切さを抽出するのは軽率にすぎるがどうしてもこの両者の明暗を分つものを考えてしまう。 両者不条理な運命と死としての対比なのは分かるがそれではあまりにドローゴが居た堪れず残酷にすぎる。 この残酷な最期はドローゴの本性に帰責するものだと、シオメーニの栄光は彼の本性に帰責するものだとしなければあまりに残酷で不条理に感じられてしまう。
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砦に向かうまでの場面は何と無くカフカの『城』を読んでいる時と同じような雰囲気がした。砦についてからも大きな事件も起きることなく淡々と物語が進んで行くだけな気がするけど読むのが止まらない。何のために砦にいるのか?ようやく砦にいたことが報われる瞬間になっての悲劇。何とも言えない感じはいいです。
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