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終わりの感覚 の商品レビュー

3.7

59件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2024/05/19

〈人生〉〈歴史〉についての思索だった。ウィットに富んだ文体でやや難しさも感じられた。“若さ”と“老い”の対比が絶妙で、トニーの一人称の語りはレトロスペクティブに進行していき、場末で暗澹たる気持ちにもなった。トニーとエイドリアン、ヴェロニカ。漱石の『こころ』にも通じるような。

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2024/05/15

主人公の一人称で物語が展開されていくが、曖昧な記憶が徐々にクリアになっていく(一方で主人公の思い込みもある)ことで真相が分かっていくところが面白い。学生時代の授業の話等も伏線になっているところがすごい。 繊細な表現が多いので原書を読みたいところ。

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2023/05/20

引退生活を送る男のもとに弁護士から手紙が届く。高校時代の自殺した友達の日記と500ポンドが遺されているという内容。自殺した友人は、かつて男が分かれた女性と付き合っていた…。ラストは確かにちょっとした衝撃がある。けれども物語の筋よりも時間の流れ、過去の表現の仕方が好み。

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2022/06/28

とても好き。年老いてから過去を見る目線の感覚の描写が今の自分にないもので、でも理解できそうで、ずっと読んでたいと思った。 今の自分の過去を見る目線、記憶の曖昧さが求める補強、「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」というフレーズに納得。トニーのダメ...

とても好き。年老いてから過去を見る目線の感覚の描写が今の自分にないもので、でも理解できそうで、ずっと読んでたいと思った。 今の自分の過去を見る目線、記憶の曖昧さが求める補強、「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」というフレーズに納得。トニーのダメさ、過去をやり直そうとする思い上がりが自分に当てはまる。 「当時、私たちはどこか囲われた場所に留め置かれているように感じていた。人生に解放されるまで一時的に、と。」 「先を見て、その地点から過去を振り返ることーそれが若者にはできない。•••たとえば人生の証人が次第に減っていき、記憶の補強がおぼつかなくなり、自分が何者であり、何者であったかが次第に不確かになっていく。」

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2022/04/29

背伸びして、外国文学を読みたかったけど、未熟な私には理解できないところが多い。どうしても主人公の行動や考え方が分からない。読み心地がちょっと悪い感じ。これが、この作品の良いところかもしれないけれど。

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2021/12/21

 久しぶりにジュリアン・バーンズを読みました。「​ベロニカとの記憶​」という邦題で映画化された作品らしいですが、映画は見ていません。でも、映画が見たくなるタイプの作品でした。  小説らしい(?)小説でした。「あなたは何もわかっていない」という言葉が、作品から出てきて、読んでいるぼ...

 久しぶりにジュリアン・バーンズを読みました。「​ベロニカとの記憶​」という邦題で映画化された作品らしいですが、映画は見ていません。でも、映画が見たくなるタイプの作品でした。  小説らしい(?)小説でした。「あなたは何もわかっていない」という言葉が、作品から出てきて、読んでいるぼくのなかに突き刺さる、久しぶりにそういう体験をしました。  ブログで、少し書きました。覗いてくださればうれしい。   https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202111070000/

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2021/10/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

軸:他人の見え方は変化するということ。   自分から見えている他人像は、他人のごく一部に過ぎないということ。 エイドリアン:秀才で、世を憂い自殺したと思っていた。 が、実際は彼女の母親を妊娠させ、その事実/責任から逃れるため自殺していた。 ベロニカ:学生時代に翻弄される。エイドリアンに乗り換え最低というイメージ。久しぶりに再会し、苦労が滲み性格は前よりもキツくなっている部分も大人になっている部分もある。 キーフレーズ ・「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」 ・「歴史とは、勝者の嘘の塊」であり、「生き残った者の記憶の塊」であり、「敗者の自己欺瞞の塊」である。

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2021/08/21

あれ?最近ジュリアン・バーンズ読んだはずだけどな、なんだっけ?え?『イングランド・イングランド』?!全然作風が違う。訳が土屋政雄だから?作家も人生色々あって作風が変わったんだろうか。それともブッカー賞を今度こそ取ろうとしたんだろうか。『トーマの心臓』のような話かと思ってたら、イア...

あれ?最近ジュリアン・バーンズ読んだはずだけどな、なんだっけ?え?『イングランド・イングランド』?!全然作風が違う。訳が土屋政雄だから?作家も人生色々あって作風が変わったんだろうか。それともブッカー賞を今度こそ取ろうとしたんだろうか。『トーマの心臓』のような話かと思ってたら、イアン・マーキュアンのような物語だった。小説中に何度も「人生」「記憶」「歴史」といった言葉が並ぶ。人生の終わりにこんなことが待っているなんて、記憶が掘り起こされ、自分が知らないところで流れた時間を知ることになるなんて。やりきれない。けどこれから折々再読しそうな予感がする。そんな一冊だった。

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2021/06/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ブッカー賞を受賞した中編. 主人公の学生時代の回想に始まり,高校時代の親友の自殺の真相に主人公に気がつくラストで終わる. 人の記憶というものは当てにならない,ということが冒頭から語られ,リタイヤした主人公が自分の過去を振返りつつ,自殺の真相に徐々に迫っていく姿を描くが,最後のどんでん返しで明らかになった40年前の出来事は意外で,主人公は自分がそのきっかけとなったことについて痛惜の念に堪えない. 「あなたはわかっていない」とベロニカに言われたが,わからないままの方が良かったのだろうか.

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2021/02/10

穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロ...

穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?―ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞受賞作。

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