文明崩壊(下) の商品レビュー
〈概要〉 ・存続への二本の道筋 森林資源の損なわれた江戸時代の日本 徳川幕府の解決策 なぜ日本社会は崩壊しなかったのか? 成功を収めた社会の例 ・社会が破滅的な決断を下すのはなぜか? 正しい意思決定へのロードマップ 環境問題の予期 環境問題の感知 合理的かつ非...
〈概要〉 ・存続への二本の道筋 森林資源の損なわれた江戸時代の日本 徳川幕府の解決策 なぜ日本社会は崩壊しなかったのか? 成功を収めた社会の例 ・社会が破滅的な決断を下すのはなぜか? 正しい意思決定へのロードマップ 環境問題の予期 環境問題の感知 合理的かつ非道徳的な行動 環境被害に結びつく価値観 非合理的行動が生み出す失敗 失敗に終わる解決策 希望の兆し 失敗の原因を理解すること
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「銃・病原菌・鉄」に続いて読了。 前作の大きなテーマは「現在の世界はなぜ現在の姿をしているのか?歴史の勝者と敗者は必然的に生まれたものなのか?」だったのに対して、 今作ではそうし人類の歴史上のさまざまな社会のうち「社会(文明)の崩壊」をトピックとして取り上げている。 かつて栄...
「銃・病原菌・鉄」に続いて読了。 前作の大きなテーマは「現在の世界はなぜ現在の姿をしているのか?歴史の勝者と敗者は必然的に生まれたものなのか?」だったのに対して、 今作ではそうし人類の歴史上のさまざまな社会のうち「社会(文明)の崩壊」をトピックとして取り上げている。 かつて栄えた社会はなぜ崩壊してしまったのか? 崩壊した社会に共通する要因はあるのか? そしてそれは現在の我々の社会に共通するものなのか? さまざまな分野の最新の科学的データや調査結果を分析しながら非常に緻密に論を進めていくのは前作と同様です。 ものすっごい楽しい。知的好奇心刺激されっぱなし。 ただ前作に比べると若干冗長にすぎる部分があるようにも感じるが(実際前作よりけっこう長い)、まぁそれでも飽きずに1,000ページ超を一気に読めます。 社会の危機に適切に対処する方法、可能性としてトップダウン方式やボトムアップ方式が挙げられていたが、現実の社会に照らしてみたときのこれらが成功しうる道筋はどんなもんだろう。 著者本人はどちらかというとボトムアップ方式に期待を込めているようにも感じるが、どちらを目指すにしても課題はあまりに大きい。 ボトムアップ方式に期待を込めているのは著者本人の願いが強いのかなとも感じます。この本を読んだ一人ひとりが自分にもできることをと考えて行動するための足がかりするための勇気づけの結論という意味で。(という少しひねくれた見方。。) で、じゃあ現実問題としてのこの地球社会の行く末を案じる上で一番の課題となるのは「社会を見通すことができるか否か」ではないか。 ボトムアップ方式の成功例「ニューギニア高地」、トップダウン方式の成功例「徳川幕府時代の日本」などは、どちらも社会の意思決定に影響を及ぼす人間が社会全体(やその将来)を見通し、課題を認識することができるかという部分が大きい。 もちろんこれ以外の要素もいっぱいあるけども。 それをこの現在の社会に照らしてみるとどうなるんだろう。 正直どちらの方式にしてもあんまりうまくいく気はしないんだけども、まぁでも少なくとも現在先進国のうちで「課題先進国」と言われるほどに社会課題盛りだくさんな日本で生活をしているんだから、せめてそうした課題のいくつかに意識を向けつつ過ごしていきたいよねと思います。
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文明がどのように姿を消したのか、また生き残るために社会がすべき意志決定について興味をもち手に取る。 あまり興味のなかった環境問題の本を読んで、重大な意志決定を行う(長期的な繁栄と存続のため)には多面的に捉えることが重要であることなどをはじめ、物事の見方に大きく影響を受けました...
文明がどのように姿を消したのか、また生き残るために社会がすべき意志決定について興味をもち手に取る。 あまり興味のなかった環境問題の本を読んで、重大な意志決定を行う(長期的な繁栄と存続のため)には多面的に捉えることが重要であることなどをはじめ、物事の見方に大きく影響を受けました。 上巻の内容の総括もふまえると、 世界で人口の増加が進む中で食糧消費が増大し、 それをまかなうために有限な資源(森林、海洋生物、農地)から 再生可能量を超える過剰な生産を行うことで資源が枯渇していく恐れがある。 これからの未来を人類がどう歩むべきかについてを現在発生しているいくつかの問題を例に挙げて論じている。 上巻を踏まえても、国家や人類が長期的に存続していくためには、抱える問題をしっかりを捉え、短期的な利益だけを追求することなく、長期的に安定した利益を得られるような意志決定をしていくことが必要であることがわかる。 国家は政治、経済を豊かに保つために様々な問題や情勢を踏まえて短期的、長期的に政策決定をしていくのだが、国内が抱える問題の規模などから短期的利益をもたらす選択を高い優先順位にすることが多いだろう。 また現在の社会はグローバルに結び付き、資源などを相互依存しているため 一国の利害を考えるだけで意志決定を行うことは非常に難しい。 依存しあっているからこそ、ひとつの国で起こった問題の影響は波及していくことは過去の金融危機などからも明らかであろう。 これは環境問題でも同じである。 一つの有限な資源が枯渇したり制限がかかることは、多くの国に影響を与えることにつながる。 長期的な繁栄を考える上で、環境問題は様々な利害関係が複雑にからみあっており、有限な資源をめぐっては、場合によっては双方ないしは全員に利益をもたらす選択をする、またはそのような選択を準備することは難しいだろう。 これらを成し遂げることは容易ではないが、対応するために2種類の選択があると筆者は述べる。 ・政府の徹底したトップダウン型の対策措置の実施 ・地域や人民によるボトムアップ型の対策措置の実施 トップダウンには厳格な統制機構と、それを行う社会の風潮(適切な言葉がわからないです)、そして最低限の経済の発達があるように思う。 個人的には共通の利害関係の認識をもった国民が自主的に問題を発見し、それを防止・解決するために活動をしていくボトムアップの方が望ましいと思われるが、 それには国民に共通の認識が必要であるしどちらも組み合わせてこそだとも考える。 日本は国土の70%以上を森林を持つ国であるが、国でつかわれる木材はオーストラリアから輸入し被害を他国に押し付けているとの記載があったがショックを受けた。 このようなことからも、物事には一面的にみることができないことはたくさんあるということを気づかされました。 複雑な問題を抱える現在の社会を生きる人にとって、解決策を考えるためのヒントになる本だと感じた。 ぜひいろんな人に読んでほしいです。
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下巻は巨大な人口を持つ中国、先進国のオーストラリア、さらにほぼ同じ環境にありながら差がついているドミニカ共和国とハイチについてページを割いて検証する。そして後世から見れば当然に思える危機の予測、認識、手段でなぜ防げないことが多々あるのかを考える。さらに現代において株主の利益のため...
下巻は巨大な人口を持つ中国、先進国のオーストラリア、さらにほぼ同じ環境にありながら差がついているドミニカ共和国とハイチについてページを割いて検証する。そして後世から見れば当然に思える危機の予測、認識、手段でなぜ防げないことが多々あるのかを考える。さらに現代において株主の利益のために公益を顧みない大企業をどうすれば環境に配慮させられるかを実例を上げて提示。民衆の力の使い方で企業を動かし、環境破壊を防ぎ、文明崩壊の危機にある現代文明を子孫に残すことができると主張する。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一方で問題解決に成功した文明もある。江戸時代の日本、ティコピア島などはどのようにバランスを保つことが出来たのか。さらに現代の危機としてオーストラリア、中国の惨状を分析する。しかし現代では世界のあらゆる地域が密接な関係をもち過ぎていて、特定の場所の文明だけが滅びるということが可能なのだろうか。情報の共有、資源の輸出入、ライフスタイルの平準化によって全人類が共倒れになってしまう危険を感じてしまう。問題の解決は非常に困難だと思われる。
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この前の著書「銃・病原菌・鉄」の読後感は、偉大な先人たちの足跡を知り、知識欲が満たされたのでしたが、今回は焦燥感にかられた読後感でした。過去にあったことは(文明崩壊)、大昔のことだからと決して無視できることではなく、現在から未来に繰り返し起こりうることです。 全世界の様々な民族、...
この前の著書「銃・病原菌・鉄」の読後感は、偉大な先人たちの足跡を知り、知識欲が満たされたのでしたが、今回は焦燥感にかられた読後感でした。過去にあったことは(文明崩壊)、大昔のことだからと決して無視できることではなく、現在から未来に繰り返し起こりうることです。 全世界の様々な民族、地域の歴史を辿り、検証を繰り返した著者が導き出した結論は、単なる読み物の結末でないだけに勇気を持って読む内容になっています。この地球上の人類はみんな運命共同体です。人類は今、あたかもあの大型豪華客船タイタニック号に乗り、目の前に氷山が近づいていることに気がつかず今宵、宴会にふけっているかのようです。 それでも著者が、慎重ながらも希望の兆しがあると述べているところに、私たちひとりひとりの心がけ次第で、世界の命運が変わる可能性があることに気がつきます。 環境に配慮しない生産活動は、脆弱な環境に負荷がかかる状態を生み、更に人口が過密化していくと、経済的に困窮した住民の不満から政治的混乱、崩壊を招く。住民はその土地から脱出し始め、内戦やテロリストの温床になっていくという負のスパイラルの現象は、現在のソマリアやルワンダといった貧困で政情の不安定な国があてはまるのですが、世界中が密接なつながりのある現代社会の生活は、遠い国だから関係ないこととはもう誰もいえない仕組みになっています。 ・・崩壊しつつある社会を支配する裕福な人たちは、自分や自分の子供たちの権益を確保するのではなく最後に飢える人間、最後に死ぬ人間となる特権をやみくもに買いに走る傾向にあるようだ。・・と皮肉ぽっく書いていますが、結局はひとり勝ちしても最後は何の得にもならないということなのでしょう。
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現代を中心に環境破壊を防いだ例と防ぐことができなかった例を示して、その分岐点を探っている。江戸時代の日本、現代のドミニカはそれを防いだ例として挙げられているが、共通するのは強力な統治者の存在である。しかし、その統治者がミスを犯した例としてオーストラリアが挙げられている。オースト...
現代を中心に環境破壊を防いだ例と防ぐことができなかった例を示して、その分岐点を探っている。江戸時代の日本、現代のドミニカはそれを防いだ例として挙げられているが、共通するのは強力な統治者の存在である。しかし、その統治者がミスを犯した例としてオーストラリアが挙げられている。オーストラリアは現在でこそ環境意識の高い国となっているが、かつては環境破壊先進国であったという。ミスの例として原生植物を根絶やしにすることに補助金を出したり、オーストラリアの土地に適さないヒツジやコムギの導入推進などが挙げられている。これは環境に影響をおよぼすことを予想できなかったというだけでなく、それを認めたくない心理、あるいは文化の維持に力点を置いてしまったため対応しなかったという判断が指摘されている。 もう一つ現代の視点として企業の態度についても考察している。こちらはだれが誰に圧力をかけ圧力をかけられるのか、環境を守ることが利益につながるのか否かという規準によって環境保全に対する態度が決まっているという興味深い指摘がされていた。これは言い換えれば、環境保全をしないほうが利益につながると判断すれば企業は環境保全に取り組まないということであり、環境保全を謳っている企業を安易に信用してはいけないという事でもある。 グローバル化が文明にもたらす影響についての考察はある意味あたりまえのことばかりが挙げられていたものの、改めて列挙されるとどこにも逃げ道がないことが分かる。文明を崩壊させる要因ともに崩壊せ汗ないためにできることも挙げられていたが、一番重要なのは関心を持つということではないかと思う。関心を持てば今対応できないことであっても将来対処できるかもしれないが、関心を持たなければそれを見逃してしまい何も対処できないからである。関心を持ち声を上げる、これが文明を存続させる一番の方法ではないかと感じた。
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2013 7/8読了。 ジャレド・ダイアモンドが崩壊した文明(それも外敵によって唐突に滅亡したようなのではなく衰退していった文明)に共通する要因について複数の崩壊文明/崩壊しなかった文明を見つつ検証していく本・下巻。 こちらは崩壊することなく維持しきった文明の例と、現在世界にある...
2013 7/8読了。 ジャレド・ダイアモンドが崩壊した文明(それも外敵によって唐突に滅亡したようなのではなく衰退していった文明)に共通する要因について複数の崩壊文明/崩壊しなかった文明を見つつ検証していく本・下巻。 こちらは崩壊することなく維持しきった文明の例と、現在世界にある文明崩壊に至りうる要因の検証等を行なっていく巻。 上巻のように遠い文明に思いを馳せつつ読む感じは薄れて途中ちょっとたるくなる(上巻の一番冒頭に近い)部分もありつつ、まあそこはいいかと割り切るとさくさく読めだした。 全体で説かれている諸々はもちろん、手法とかまとめ方の部分で色々参考にしたい。
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本当に読む価値のある本は少ない。本書はその一つである。 かつての滅亡した文明を分析し、一番の要因は環境破壊にあったと解く。自然科学的なアプローチで、世界の歴史、滅亡の歴史を必然として説明する。そして、現在進行中の環境破壊に対しても、警鐘を鳴らす。人類は歴史に学び、人類の滅亡から免...
本当に読む価値のある本は少ない。本書はその一つである。 かつての滅亡した文明を分析し、一番の要因は環境破壊にあったと解く。自然科学的なアプローチで、世界の歴史、滅亡の歴史を必然として説明する。そして、現在進行中の環境破壊に対しても、警鐘を鳴らす。人類は歴史に学び、人類の滅亡から免れることが出来るのか?
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・成功・存続した社会 ・アフリカの人口爆発 ・ドミニカ共和国とハイチ ・中国 ・搾取されるオーストラリア 文明社会はその絶頂期に人口を大幅に増やし、周辺環境を破壊して滅亡に至るのか。 環境が許容できる以上の人口を持ってしまった社会の結末は。 環境問題解決の2つの道;トップダウン...
・成功・存続した社会 ・アフリカの人口爆発 ・ドミニカ共和国とハイチ ・中国 ・搾取されるオーストラリア 文明社会はその絶頂期に人口を大幅に増やし、周辺環境を破壊して滅亡に至るのか。 環境が許容できる以上の人口を持ってしまった社会の結末は。 環境問題解決の2つの道;トップダウンとボトムアップ 中規模な社会はなぜ滅亡に至ったか。大規模な中央集権体制が鍵か? イースター島やマンガイア島などの中規模の社会は、島全体を治める中央主権的な政治組織を持てず、分裂した集落が互いの争いで環境破壊を促進した。 景色健忘症:徐々に進む環境変化に要注意。 変化は突然訪れない。はい進む常態なのだ。イースター島の樹木は徐々に少なくなり、重要性を失って行った。最後の一本が切り倒された時、木は、とうの昔に経済的な意義を失っていたのだ。 当然ながら、それぞれの環境にはその環境が許容できる人口がある。環境が回復に必要な時間以上に消費が早いのであれば 、その文明は崩壊する運命にあると言える。 翻って、現代社会はどうか。 持続可能な社会保障な統一的な機構を現代社会は持っているのだろうか。それぞれの国家が互いの争いで環境破壊を促進してはいないだろうか。 ルワンダの事例は、環境問題と社会的な構造が破滅的な結果を招いた事例だ。世界はこの方向に進んでしまわないか? ドミニカ共和国とハイチの例も、同じ環境でも社会が異なることで結果が大きく異なることを示している。 中国はその巨大さから、その将来が人類の将来に大きな影響を及ぼす。そして中国は振り子というべき歴史的な特徴を備えている。 中国はその統一された政治体制から、国民とその環境を大きく変更させることが可能なのだ。 オーストラリアは絶望的なほど脆弱な環境状況で、今後改善する可能性はあるのかな? 破壊される環境と環境を懸念する民間と政府の対抗措置の2頭だての競馬は果たしてどちらが勝つのだろうか。
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