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炎上する君 の商品レビュー

3.6

188件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

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  3. 3つ

    52

  4. 2つ

    18

  5. 1つ

    2

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2024/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

西氏の2010年の作品。8編の短篇からなる作品。 なお、表題作「炎上する君」は映画化もされた模様。 https://youtu.be/3BbgS5cPMiA?si=POQKNgmpfT73323X ・・・ これまで「ことば」の女王として私の中で(だけ?)際立っていた西氏。 しかし、本作を読み、かなりふかぁーく感じた次第です。 何というのでしょうか、彼女の夢・深層心理、はたまた幻想?を本作で追体験しているかのような感覚でありました。 それ程までにシュールで、心を逆撫でするような、ざわっとした肌触りの作品であったと思います。 ・・・ とりわけ気になったのは、「炎上する君」、「トロフィーワイフ」、「私のお尻」、「舟のまち」、「ある風船の落下」ってか5/8ね。 「炎上する君」 世の中のルッキズム的風潮に反旗を翻した?女性二人組の話。高校からの友人であったこの二人、そこそこ賢く、既に20代にして人生は安定していた。そこで二人は人生の「スパイス」として突如バンドを始める。そのさなか、銭湯につかりつつ聞いた噂「炎上する男」。これは文字通りの足が燃える男、である。 これは見るしかない。二人は炎上する男を探すが・・・。 「トロフィーワイフ」 未亡人の祖母と孫の話。文字通りのそれであった祖母は、金銭的豊かさを享受しつつ、美貌だけだった?自らの過去をちょっと悔しそうに振り返る。「それだけで十分じゃない」と述べる孫は、若さ・美しさに漲り、その恩恵に気づかないのか。穏やかな筆致ながら二人のすれ違いに、そこはかとなく感じる不協和音を忍ばせた筆致は秀逸かと。 「私のお尻」 「尻」のパーツモデルの話。周囲から顧みられない地味な子であったが、「尻」が売れた途端、彼女の人生は輝きだす。仕事もお金も、そして彼氏さえも舞い込んでくる。そんなある日彼女は自らの「尻」に嫉妬し、「尻」と訣別することを心に決めたが・・・。 「舟の街」 心的なダメージがふと迷い込む舟の街。「わたし」はひどい失恋を経て、いつの間にか舟の街へ迷い込んでしまった。そこで出会う人との嚙み合うような噛み合わないような生活。 「ある風船の落下」 自殺願望が身体的影響をかもす病気「風船病」が蔓延する地球。病状のステージは1から4まであり、4になるとその風船(というか人間)はふっと浮き、そして空の彼方へと消えていくという。そんな空の彼方に消えた(死んだ)と思った「私」は世界中からやってきた風船に出会う。これ以上傷つけあわず、人との絶対距離を保つのが良いのか、傷をつけ合っても人と触れ合い生きていくのが良いのか。寓意に満ちたお話。 ・・・ ということで西作品でした。 これまで西作品は結構読んできましたが、私の中では、今のところ本作が彼女のベストではないかと思います。琴線に触れる何かがありました。「ある風船の落下」とか、将来中学校の教科書とかに載りそうな雰囲気。 人間関係に疲れた方、ちょっと落ち込んだ方にはおすすめできるかもしれません。みんな似たようなことで悩んでいるのが分かるかもしれない作品。

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2024/09/05

すごく面白いと思うわけでもないけど、不思議とイメージが残った。「なんか覚えてるな、、」と思い出せる作品です。「炎上する君」がお気に入りです。

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2024/08/31

西先生の本、二作目読了! 若い女性を題にした短編集。 忙しい都会の中での生活に疲れた人は読むと笑い飛ばせそう。 初っ端から性描写がインパクト強くシーンには笑えた。食堂のおばちゃんの性欲の強さ笑。 どのストーリーも、妄想なのか現実なのか一つ一つ読みながら、ん?と思う場面が多かったが...

西先生の本、二作目読了! 若い女性を題にした短編集。 忙しい都会の中での生活に疲れた人は読むと笑い飛ばせそう。 初っ端から性描写がインパクト強くシーンには笑えた。食堂のおばちゃんの性欲の強さ笑。 どのストーリーも、妄想なのか現実なのか一つ一つ読みながら、ん?と思う場面が多かったが、その謎的要素、かなりはまった。 クセが強い作家さんですが、好き嫌いはかなり分かれるかなぁ。

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2024/08/29

短編集。全話どれも色味が違うけれど どれも色彩鮮やか。 頭にイメージがすっとが入ってくるけど、 え?性別違ってたとか、これはあなたのことだったの?とか、 いい意味でイメージが覆されて 読んでいて飽きない。

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2024/06/12

友達が西加奈子面白くて良いよ! と言っていたのを思い出し(数年ぶりに) 古本屋で見つけ薄くてさらっと読めそうと決めた ちゃんと読んだのは初めてだったが その独特の世界観に驚いた 一作目がいきなりセックス描写て、、 でも他の話も読んでいくにつれ なんとなく評価される理由が分かって...

友達が西加奈子面白くて良いよ! と言っていたのを思い出し(数年ぶりに) 古本屋で見つけ薄くてさらっと読めそうと決めた ちゃんと読んだのは初めてだったが その独特の世界観に驚いた 一作目がいきなりセックス描写て、、 でも他の話も読んでいくにつれ なんとなく評価される理由が分かってきた 不思議なSF感はあるがどこか現実的で 奥深い内容がハマりそう もっと他の作品も読んでみたい!

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2024/06/10

西加奈子読める。 最後の風船の話とあっくんの話が印象的。 主人公が男かなって感覚で読み進めちゃうけど実際は女の子だったり、急に官能的になったり不思議な感覚でスルスル読めた。

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2024/05/04

偶然、家の本棚にあり、手に取った小説。もともと西加奈子さんは好きなので、読んでみた。 情景がころころ変わっていく、まるでSFのような短編集。その中でも、タイトル「空を待つ」の「ひとりだと嘆いても、手を伸ばしても、私の体は世界から抜け出すことはない、死ぬまで。私は分かっている。分...

偶然、家の本棚にあり、手に取った小説。もともと西加奈子さんは好きなので、読んでみた。 情景がころころ変わっていく、まるでSFのような短編集。その中でも、タイトル「空を待つ」の「ひとりだと嘆いても、手を伸ばしても、私の体は世界から抜け出すことはない、死ぬまで。私は分かっている。分かっている。」というフレーズが印象的だった。孤独が重なって、自分が何者か分からなくなる、そんな感覚を違和感なく文章に落とし込んでいて、読みながらいつか見た東京の人混みを思い出したりした。切なさが良い。 最終話「ある風船の落下」の「何かを望み、欲し、それが得られなかったり、それに裏切られたりして、傷つくことを避けるために、僕たちは望みを捨てるのですか。そのために、地上を捨てたんでしょうか」という言葉は、ずっと大事にしたいと思う言葉だ。 全体を通して難しい表現もあるけれど、自分に自信を失いかけた時、失敗が怖くなった時、手に取りたい小説です。

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2024/04/10

西加奈子のSF妄想ファンタジー短編集。空へ飛んで行ってしまう風船病、そんな発想がどこから出てくるのか?

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2024/02/20

「私のお尻」「ある風船の落下」がよかった。他人のことを気にしすぎたら、一度その自分を置いていこうと思った。

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2024/01/31

君は戦闘にいる。恋という戦闘のさなかにいる。 誰がそれを笑うことができようか。 君は炎上している。 その炎は、きっと誰かを照らす。煌々と。熱く。 戦闘、銭湯、

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