死ねばいいのに の商品レビュー
ミステリではあるけど、ミステリ部分はメインではない。登場人物は、何だかんだと理由をつけて自己を正当化し、自分の問題から目を反らし、自分に満足できないことに苦しんで卑屈になる。なかなか極端な人もいたが、どの登場人物も自分に重なる部分があり、読みながら気分悪くなった。でもやめられない...
ミステリではあるけど、ミステリ部分はメインではない。登場人物は、何だかんだと理由をつけて自己を正当化し、自分の問題から目を反らし、自分に満足できないことに苦しんで卑屈になる。なかなか極端な人もいたが、どの登場人物も自分に重なる部分があり、読みながら気分悪くなった。でもやめられない。 題名「死ねばいいのに」は、他者に対して負の感情を向けるときに使う言葉だが、本作では、その言葉で自分の醜さを知り、同時に救いにもなるように思えた。人によって捉え方は違うかもだけど。 犯人の言い分は納得できるような、でも納得できてしまうと、自分の価値観とか立ち位置とかがわからなくなりそう。ゾッとする小説でした。
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死ねばいいのに。インパクトあるタイトルだが、わりと馴染みのある言葉。学生時代はわりと軽いノリで言っていたような。 人間はみんな不満を抱えていて、次から次へと不幸話が出てくる。自分は悪くないのに周りのバカな人間や生まれた環境のせいで… こんなはずじゃなかった、やりきれない。 ...
死ねばいいのに。インパクトあるタイトルだが、わりと馴染みのある言葉。学生時代はわりと軽いノリで言っていたような。 人間はみんな不満を抱えていて、次から次へと不幸話が出てくる。自分は悪くないのに周りのバカな人間や生まれた環境のせいで… こんなはずじゃなかった、やりきれない。 そんなときに一言「だったら、死ねばいいのに」 内容は嫌いじゃないけど、ケンヤの「馬鹿だから」「クズだから」という態度は読んでいてイライラした。 言葉足らず過ぎて話が噛み合わない感じもストレス。 なんだかんだでコイツ自己中すぎ。おまけに説教くさい。 自分ならこんなウザい奴相手にせず、無視するかな。
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ケンヤの言葉は、誰にでも多少心当たりがありそうなことで、いい加減そうな割に鋭くて、言い負かせて帰っていくところはスッキリする。でも、最後の最後にぎくっとした。恐ろしい。ソシオパス。返事次第で死人はアサミだけじゃなかったかもしれない。
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集中して読書したい気分だったので、きっと熱中できるだろうと京極夏彦さんのこの本を手に取りました。 なんとも物騒なタイトルです。 殺された女性のことを知りたい、そう言って訪ねてきた若者。自分は人より劣っていると話す少し無礼な彼。 でもその彼に最初は警戒していた殺された女...
集中して読書したい気分だったので、きっと熱中できるだろうと京極夏彦さんのこの本を手に取りました。 なんとも物騒なタイトルです。 殺された女性のことを知りたい、そう言って訪ねてきた若者。自分は人より劣っていると話す少し無礼な彼。 でもその彼に最初は警戒していた殺された女性と関わりのある人々は、どんどん本音を引き出され、周囲が悪いんだ、自分は悪くないのだと話す。 とても耳が痛い話でした。自分にも思い当たります。 女性の殺人事件よりも、女性と関わりのある人たちの話に引き込まれ、自己嫌悪を感じました。京極さんの描く人物はそういう人が多い気がします。 それでも自分を愛せる人は1人は作ってあげないと、自分だけは自分を許したい、そんなことを考えました 。 しばらくは京極さんの本を読んで癒されたいと思います。
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死んだ女のことを教えてくれないか。三箇月前、自宅マンションで何者かによって殺された鹿島亜佐美。突如現れた無礼な男が、彼女のことを私に尋ねる。私は彼女の何を知っていたというのだろう。交わらない会話の先に浮かび上がるのは、人とは思えぬほどの心の昏(くら)がり。
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「死ねばいいのに」。 よく知りもしない他人にいきなりこう言われたら、大概の人は驚くだろう。 そして、言った人間を警戒し反論したくなる。 「あんたになんか、そんなこと言われる筋合いはない!!」と。 たった4回しか会ったことのない亜佐美のことを知りたくて、渡来健也は亜佐美の知人たちを...
「死ねばいいのに」。 よく知りもしない他人にいきなりこう言われたら、大概の人は驚くだろう。 そして、言った人間を警戒し反論したくなる。 「あんたになんか、そんなこと言われる筋合いはない!!」と。 たった4回しか会ったことのない亜佐美のことを知りたくて、渡来健也は亜佐美の知人たちを訪ね歩く。 だが、誰もみな、亜佐美よりも自分のことばかりを健也に話して聞かせる。 知りたいのは亜佐美がどんなことを考え、どんなふうに生きていたのか。 亜佐美という人間を知りたかっただけなのに。 運が悪いときもある。 思い通りに仕事が進まないことも、失敗やトラブルが次々とやって来ることもある。 健也が訪ねた人たちはみな、自分は悪くないと考えている。 運が悪かったから、自分の能力を認めてくれないから、私は悪くない…悪いのは他の人…だから私は悪くない。 しつこいほどに、健也にグダグダと語って聞かせる身勝手な論理は、読んでいても苛ついてくる。 「じゃあ、あんたは何も悪くないのか!」と言いたくなる。 さすがに面と向かって「死ねばいいのに」と言う勇気はないけれど。 でも、自分は悪くない…そう思いたくなるときがある。 健也が訪ねた人たちほど極端ではないけれど、どうして自分だけ?と思ったり、私は何も悪くないのに!と思ったり。 誰でもそんなふうに考える瞬間はあると思う。 甘えだといわれても、逃げだといわれても、そう思うことでちょっとだけ救われるときだってあるのだ。 もちろん、ずっとそう考えていたのでは全然ダメだろうけれど。 この物語の本当の怖さも深さも、すべては最後の1ページに詰まっている。 読み終わったとき、亜佐美という人間を、健也という人間を、はたして理解することが出来るだろうか。
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この小説を読み終わって、何の気なしに「死ねばいいのに」と呟いてみて下さい。 …何ともいえない気持ちになる事請け合いです、笑
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3 自分が辛いのは人のせいというのが当たり前と思ってる人が沢山出てくる。特にアサミの母親は嫌い。ケンヤの終始卑屈な感じもイライラするが、的確に物事を見てる感じが多くなかなか面白い。
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不出来なケンヤの恐ろしさ、日本語の巧者で最強のインタビューアー、この作品の「透明な中に隠れた毒」がわからない人とは話してもつまらないだろうな
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ある女性が死んだことについて、その女性に4回しか会ったことない謎男が、女性の関係者にインタビューして回る話です。で、その関係者が色々自分の置かれた環境に対して愚痴を言うのを聞いて、謎男が「死ねばいいのに」と言い放つ、という話。 誰が喜ぶ本なのか。周囲の環境を受け入れられないけど受け入れる方法もその不満を解消する術もない、そのことに気付いてすらいない人々に対して、20代ぽっちの若者が「死ねばいいのに」と言い放っていく話を読んで、痛快とか、爽快とか、身をつまされるとか、そういう感じの小説なんでしょうか。良いじゃないの、問題抱えたまま不満なまま生きてたって。この小説を読んで「本当その通り!私も頑張る!」みたいなことを思える人は非常に健康です。 特に後半から説教じみてくる。大作家様の説教を聞く会。 日本の小説って、虐待や犯罪にあっても「ひたむき」に「前向き」に生きてる人が普通で、PTSDや人格障害を発症すると甘えだからって「改心」させられるじゃないですか。個人個人の痛みを比較して、「死んだあの子はもっと辛かったんだから、お前だって死ぬ気で頑張れよ」って説教することが普通にまかり通る。何で誰かと比較して叱咤激励されなければならないのか。この作者にメンタルの相談はしないことをお勧めします。
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