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ウエストウイング の商品レビュー

3.9

67件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

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2024/09/04

「ウエストウイング」(津村記久子)を読んだ。 
今回も津村記久子さん独特の優しい眼差しで人々の人生を動かしていく。 
とにかく登場人物のうちのほとんどと友達になってみたいと思わせる。 
西棟の妖精ではないのかと疑ってしまうネゴロさん。
東棟の妖精はもちろん白衣の彼女だな。 
胸の...

「ウエストウイング」(津村記久子)を読んだ。 
今回も津村記久子さん独特の優しい眼差しで人々の人生を動かしていく。 
とにかく登場人物のうちのほとんどと友達になってみたいと思わせる。 
西棟の妖精ではないのかと疑ってしまうネゴロさん。
東棟の妖精はもちろん白衣の彼女だな。 
胸の中がほんわかとした気分になって《おー癒されるわー!》ってなる。 
あー読んでよかった。

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2024/02/14

通勤の電車で読んでいたが、もはや職場に向かうよりこの本を読むことが目的になっているぐらいだった。 筆者の魅力はいい意味で小説っぽくないところだと思う。展開も言葉のチョイスや文章も力感がなく、無理していない感じがよい。 この小説はビルに関わる3人をそれぞれの視点で描く。それぞれに何...

通勤の電車で読んでいたが、もはや職場に向かうよりこの本を読むことが目的になっているぐらいだった。 筆者の魅力はいい意味で小説っぽくないところだと思う。展開も言葉のチョイスや文章も力感がなく、無理していない感じがよい。 この小説はビルに関わる3人をそれぞれの視点で描く。それぞれに何か起こるものの、日常感のある展開で、心地よい。時折ある、文学的なセンスある描写には圧倒され、筆者の凄さを感じさせられる。 筆者の他の作品と同様、読後は今の自分を肯定してくれるように感じて豊かな気持ちになる。

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2023/06/02

ターミナル駅から長い地下道をくぐった先にある椿ビルディング。OLのネゴロ、平凡な20代サラリーマン・フカボリ、進学塾に通う小学生・ヒロシの三人は互いに顔を合わせることも無く、4階の廊下の先にある物置き場を休憩場所にしていた。 椿ビルディングの存続という話題を背景にしながら、職場の...

ターミナル駅から長い地下道をくぐった先にある椿ビルディング。OLのネゴロ、平凡な20代サラリーマン・フカボリ、進学塾に通う小学生・ヒロシの三人は互いに顔を合わせることも無く、4階の廊下の先にある物置き場を休憩場所にしていた。 椿ビルディングの存続という話題を背景にしながら、職場の人間関係、将来の見通し、苦手な勉強と母親の期待といった三人の抱える問題が、ズルズルとテンション低く、でも何か埋め尽くすように話が進んでいきます。とにかく等身大。 普通ならラストに向かってグ~~~ッと盛り上がって大団円と云う所なのですが、津村さんにかかると”グ~~~ッ”が”グッ”くらいに縮んで、でもうま~く収まってしまいます。なんかうまいな。 決して跳ねたりしないのですが、読んでいてなんだか楽しい。登場人物達がつぶやく愚痴への共感もあるけど、それだけじゃなく、真面目なのだけど、どこかちょっとズレたところがユーモラスなのです。 津村さんらしい空気感に溢れた話でした。

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2022/12/14

いわゆるキラキラしたお仕事小説とは対極にあるとも言える、著者ならではの中小企業雑居ビル小説(そんなジャンルがあるなら)である。 女、男、小学生の3人が主人公でありつつ、真の主人公はこのビルそのものかもしれない。ビルの住人である会社やお店の人々が通りすがりのモブに近い人まで細かくき...

いわゆるキラキラしたお仕事小説とは対極にあるとも言える、著者ならではの中小企業雑居ビル小説(そんなジャンルがあるなら)である。 女、男、小学生の3人が主人公でありつつ、真の主人公はこのビルそのものかもしれない。ビルの住人である会社やお店の人々が通りすがりのモブに近い人まで細かくきっちりいかにもいそうなキャラクターを持って描き分けられていて、それぞれがそれぞれに役割を果たしていく。 感心するのは半ば悪役・嫌われ役を割り振られているキャラクターにも彼らなりの人生があり、読者の溜飲を下げるためにこてんぱんにやられたりはしない。あくまで「小鬼」として役目を全うしていくのである。まさにアンド・ライフ・ゴーズ・オン、という感じだ。

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2022/05/22

なんと表現をすれば良いのかわからない。少ししめやかで温かい大阪的なものと、普遍的というと大げさだけどずっと大切にしたいと密やかに思うことの両方が詰め込まれている気がする。

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2022/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

プチ災害、ビルの存続危機&感染症疑惑、と大きなふたつのトピックを、三人の視点でとらえる長編。 面白くて、けっこうなページ数あったけど飽きることなく読み終えた。小難しい言い回しを使っていないけど表現が豊かでチープさがなく、文章もスムーズで読みやすい。 相変わらずサラリーマンとしての心情の描き方が絶妙。今回は会社員のネゴロとフカボリだけでなく、小学生のヒロシも登場するのでそこまで「お仕事小説!」という感じではないのもまた楽しかった。ネゴロが「雑用係」と言われてザラッとした気持ちになるところなど、フィクションながら共感する部分もあり。 p316「うるせえ、とわめきながら、モニターを投げつけてやりたくなるが、それは頭の中だけのことにしておく。人が仕事をしている時ほど邪魔をしてくる。ネゴロには、杉本次長が、そういうことだけを生業にしている下等な悪魔のように見えてくる。」 そしてウケ狙いではないんだろうけど、ここで声出して笑ってしまった。「悪魔」じゃなくて「下等な悪魔」というところとか上手いなあ。

Posted byブクログ

2019/02/19

初読み作家さんですが、とても面白かった。 ゆるく繋がった3人それぞれの視点で進む、ほのぼのとした優しい話かと思いきや、意外に波乱万丈でした。 なのになんだか淡々としていて面白い。 仕事をしないイラつく後輩とどうなるんだろうとか、大雨が降って帰れなくなってその夜の話とか、いくらで...

初読み作家さんですが、とても面白かった。 ゆるく繋がった3人それぞれの視点で進む、ほのぼのとした優しい話かと思いきや、意外に波乱万丈でした。 なのになんだか淡々としていて面白い。 仕事をしないイラつく後輩とどうなるんだろうとか、大雨が降って帰れなくなってその夜の話とか、いくらでもじんわりとした良い話に出来そうなのに。 意外な展開に驚きました。 最後のビル自体の危機に対する3人の活躍の仕方も、3人いる意味がちゃんとある。 災いは次々とやってくるけど、ただ最善を尽くすだけ、という帯の言葉がなるほどです。

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2018/08/29

あらすじ 多分大阪。ターミナル駅(大阪駅)が最寄りだが、地下道を歩いてしか行けない、四階建て地下一階の大きくて古いビルディング西東棟。そこにはオフィス、学習塾、居酒屋、カフェ、文房具店などが入っている。  ネゴロは設計会社の支所で働く30手前のOL。仕事に飽きると、廊下の突き当...

あらすじ 多分大阪。ターミナル駅(大阪駅)が最寄りだが、地下道を歩いてしか行けない、四階建て地下一階の大きくて古いビルディング西東棟。そこにはオフィス、学習塾、居酒屋、カフェ、文房具店などが入っている。  ネゴロは設計会社の支所で働く30手前のOL。仕事に飽きると、廊下の突き当たり、書類棚の隙間のスペースに行く。ところが、そこには、別の検査会社に勤めるフカボリもサボりに来る。小学生ヒロシは絵を描くのと物語を創るのが好き。学習塾に通っているが、全然身が入らない。  3人は、お互いの存在は知っているが、誰なのか知らない。メモを通してカメラを貸し合ったりする。時には後輩OLの出産に立ち会ったり、大雨で地下道が川になり、ボートで渡しになったり、最後は物置場でパイプの水をかぶって、ちょっとおおごとの感染症の疑いになったりする。  めっちゃ面白かったー。もうずーっとお話が続いてくれたらいいのにーと思った。大雨とか出産とかトラブルはあるものの、のんびりと進む日常。登場してる人はみんな普通。関西の人なら「いるいるこういうひとー」って感じ。それぞれの登場人物が入れる小さなツッコミも「わかるわー、そう言いたい気持ち。」とか、「上手いこと表すわー」って感じ。それを余すことなく、しかも過剰にもならず、心地よく描いてくれてるこの作品はほんまに最高。  あと、このビルディングは何かモデルがあるんだろうけど、こういうところで働いてみたい。みんな魅力的。

Posted byブクログ

2017/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

津村作品としては珍しく、色々と大きな事件がおこる。といってもあくまで津村作品ならの規模…何しろコピー機が言うことをきかないってことだけで短編書いてしまう人だから…なんだけど、トイレ出産、地下道水没、パンデミック…なんだからしくないドタバタ展開である。 とはいえ、あくまで津村作品、「なんぎやな、かなんな」ペースで話は進み、最後まぁこれは大団円なんだろう…という終焉を迎える。珍しくオチも決まって…これもあくまで津村作品の中では…読後感もすっきり。 津村作品の醍醐味、登場人物たちの悲壮感漂わない悲壮感、緊迫感の少ないドキドキ感、総じていうとダルユルさもしっかり味わえるし、個性をしっかり残しつつオモロい小説を書く技術をどんどん身に着けてはるなぁ。 現実大阪では、あのトンネルはもうすぐ閉鎖る。この本読んだしもう1回くぐりに行ってみようかな。と思ったりした。

Posted byブクログ

2017/10/20

不思議な三人のつながりがよい。似ている三人。特にヒロシが好き。ヒロシがネゴロに消しゴムはんこをあげた時のネゴロの様子も好きだった。

Posted byブクログ