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ウエストウイング の商品レビュー

3.9

67件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2013/04/06

津村祭り開催中。津村さんの作品に共通する、いかに命をかけていない仕事を乗り切るかということ。その中で生まれる人とのゆるい繋がり。ふとしたことが誰かの小さな支えになっている。そしておそらく音楽や芸術も。津村作品、全体的に人との距離感が一定だな。ウエストウイングでは、ヒロシが好きです...

津村祭り開催中。津村さんの作品に共通する、いかに命をかけていない仕事を乗り切るかということ。その中で生まれる人とのゆるい繋がり。ふとしたことが誰かの小さな支えになっている。そしておそらく音楽や芸術も。津村作品、全体的に人との距離感が一定だな。ウエストウイングでは、ヒロシが好きです。

Posted byブクログ

2013/03/23

最寄り駅であるターミナル駅近くの、廃線になった貨物レーン地下の長いトンネルを抜けると現れる椿ビルディング。中庭のようなスペースをはさんで、西棟と東棟がある。 四階建て地下一階の西棟、その四階にある設計会社に勤めるネゴロ。東棟は全フロアが土質試験の試験センターが入っていて、ネゴ...

最寄り駅であるターミナル駅近くの、廃線になった貨物レーン地下の長いトンネルを抜けると現れる椿ビルディング。中庭のようなスペースをはさんで、西棟と東棟がある。 四階建て地下一階の西棟、その四階にある設計会社に勤めるネゴロ。東棟は全フロアが土質試験の試験センターが入っていて、ネゴロは西棟からその東棟をながめる。 ネゴロがさぼり場所にしている西棟四階の廊下の先にある物置き場。そこは、ヒロシが塾の休み時間の隠れ場所にしているところでもあり、フカボリがさぼり場所にしているところでもある。 ネゴロと、ヒロシと、フカボリと、三人それぞれの会社や塾や生活の話がちらりちらりと混じりながら、この古い椿ビルディング内の店や人間もようを描いて、話は淡々とすすむ。それぞれが会社や塾からちょっと離れる隠れ場所となっている物置き場で、三人はお互いに顔をあわせることなく、それでも自分以外にここに出入りする人間がいることは分かっている。 津村さんの他の小説とおなじく、大きな盛り上がりがあるわけではないが、そんな日常にも、ちょっとした事件はある。 ネゴロの同僚だったりさちゃんがビルのトイレで出産したことや、このビルから出る地下トンネルの通路がほとんど水没するほどすごい雨が降ったことや、ビルを補修するか解体するか問題、さらにはこの物置き場の配管にたまっていた水が汚染されていて、出入りしていた三人が検疫の結果、入院したこと。 違う会社に勤める二人と、塾に通う小学生と、同じ建物に出入りするといっても三人の接点は直接にはない。ただ、同じ建物のなかで、お互い物置き場を共有している相手とは知らずに、いくつかのやりとりがある。そういうのが、少しずつ少しずつ積み重ねるように描かれていく。 同じように繰り返している日常も、ちょっと視点が変われば、こんな風にも見えるのか、と思う場面がときおり挟まれる。 ▼いつもよりも二十分遅い時間に乗る電車は、休みの日のように空いていて、フカボリは拍子抜けした。たった二十分なのか、されど二十分なのか、九時までにどこかに行かなければならない、という縛りが解かれるだけで、こんなに風通しがよくなるのか、とフカボリはぼんやり車内を見回した。皆が皆、優雅に見えて、自分がそのうちの一人であることが不思議に思えた。(p.251) 津村さんの昔の小説を、久しぶりに読みなおしたくなった。 (3/22了)

Posted byブクログ

2013/02/15

平凡な主人公たちが日常の中で出来事に遭遇する。出来事はとても非日常的なのだが、主人公たちはあくまでも淡々として、その対比がおもしろい。

Posted byブクログ

2013/02/14

「災難に直面する人々のゆるい繋がりから、静かに手わたさせる日々の歓びを描いた本格長編小説。」 というのが本作の帯ですが、もうまさにその通り。またまた津村さんに、完全に読まされました、打ちのめされました…。 前半2章は少しダラダラしているものの、『とにかくうちに帰ります』を彷彿...

「災難に直面する人々のゆるい繋がりから、静かに手わたさせる日々の歓びを描いた本格長編小説。」 というのが本作の帯ですが、もうまさにその通り。またまた津村さんに、完全に読まされました、打ちのめされました…。 前半2章は少しダラダラしているものの、『とにかくうちに帰ります』を彷彿とさせる、大雨で家に帰れない人々を描いた3章、そして感染症とビルの解体を巡る4章のジワジワ熱を帯びる感覚はもう最高! 賞賛せざるを得ない理由の1つが、津村作品と同様、圧倒的な「あるある描写」。 例えばドラッグストアが、体感でしか天気を捉えられず帰宅時雨に降られる人を狙って傘を売りつけるという場面、 殺意を覚える程感じの悪い塾講師に対し、ヒロシが心の中で悪態をつく場面、 毎場面、ニヤニヤしたりめちゃめちゃムカついたり納得したり、津村節の言い回しにいちいち反応させられる、それは物語をなぞるというより、もはや津村さんの巧さを見せつけられているような楽しさがあります。 もう1つの理由が、本作の主要登場人物(特にヒロシ)が発する言葉が、純度100%のエールではないものの、決して押しつけがましくなく、捻くれ者の私にとって結果的にど真ん中のエールになっているという点。 例えばヒロシは、ヒロシを塾に通わせ、離婚した自分自身を立て直そうとしている母親と、絵を描くことが好きで、塾に行くことをどうしても肯定できない自分との折り合いをつける所まで描写されていますが、 その葛藤がとても切なく、そして友達のフジワラがどうしても愛おしい。 それを見て、読者である私はジワジワ勇気をもらいます。 こういった読者へのメッセージって、本や映画でよく「いや、所詮ノンフィクションだろ」という諦念や嫉妬みたいなものを感じやすいのですが、 本作の登場人物は皆どこか切なさを背負い、ユーモアを持っているので、何の違和感も無くスッと心に刺さります。 それが私が、津村作品を追って止まない1番の理由です。 とにかく、とにかく、大好きだ!!!

Posted byブクログ

2013/02/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「とにかくうちに帰ります」はとてもリアルで、きっと津村さんが実際に大雨に遭ってどえらい思いをしはったんやろな~と感じたが、この小説でも!余程の出来事だったのだ。 ヒロシが同じ居残り組になったフジワラくんとのんびり話す場面が好き。 若い後輩になんなんホンマ!?ってなるのもよう分かるが、このりさちゃんはドイヒー。便所で出産って壮絶やな。

Posted byブクログ

2013/02/03

今までに読んだ中のベストのひとつ。 この話も、底に流れているこの人なりの正義みたいなものがあり、それに納得させられる。というか、それが好きでこの人の小説を読んでいるんだけど。 とにかくうちに帰りたいとテーマかぶるゲリラ豪雨の話もあり、いろいろな人とのつながりもいい感じで進んでいく...

今までに読んだ中のベストのひとつ。 この話も、底に流れているこの人なりの正義みたいなものがあり、それに納得させられる。というか、それが好きでこの人の小説を読んでいるんだけど。 とにかくうちに帰りたいとテーマかぶるゲリラ豪雨の話もあり、いろいろな人とのつながりもいい感じで進んでいく。文庫出たらまた読み返したいお話。

Posted byブクログ

2013/02/02

津村作品とらしいといえばそうなんだけど、ちょっとさっぱりしすぎていたような印象も。 でも、大雨の日の様子は鮮明にイメージできたし、登場人物たちの雰囲気も「きっとこういう感じだろうな」というのが目に浮かんだ。 特別に描写が丁寧というわけでもないのに、リアルな空気感が感じられるのは、...

津村作品とらしいといえばそうなんだけど、ちょっとさっぱりしすぎていたような印象も。 でも、大雨の日の様子は鮮明にイメージできたし、登場人物たちの雰囲気も「きっとこういう感じだろうな」というのが目に浮かんだ。 特別に描写が丁寧というわけでもないのに、リアルな空気感が感じられるのは、やっぱり津村記久子だからこそ成せるワザなんだと思う。 今回は登場人物も多かったし、それぞれがまた別のストーリーに出てきても面白いかもしれない。 津村記久子の作品は、ありふれた日常のなかにあるちょっとしたスパイスに少しだけテンションが高くなる人々というのが毎回描かれていて、私だけが平凡な毎日なわけじゃないんだなぁと安心させてくれる部分がある。 この”温度”が、やっぱり津村作品の好き嫌いがわかれるところなんだろうなぁ。

Posted byブクログ

2013/02/02

ネゴロ、フカボリ、小学生のヒロシ。 面白かったんだけど、丁寧過ぎる感じあり。 でも、ネゴロの立ち位置とかはやっぱり好き。 雨の日のトンネルはドキドキ。 それから、ヒロシの将来を祈念せずにはいられない。

Posted byブクログ

2013/01/29

津村さんの作品は好きだ。津村さんの働く女子が一番身近に感じる。身近に感じつつ、理想というか。 今回は、働く女子だけでは無く、大人な小学生、働く男子も登場。それだけではなくて彼等がいるビルの人々も魅力的だ。「ワーカーズダイジェスト」「とにかく家に帰ります」そしてこの作品。とても楽し...

津村さんの作品は好きだ。津村さんの働く女子が一番身近に感じる。身近に感じつつ、理想というか。 今回は、働く女子だけでは無く、大人な小学生、働く男子も登場。それだけではなくて彼等がいるビルの人々も魅力的だ。「ワーカーズダイジェスト」「とにかく家に帰ります」そしてこの作品。とても楽しかった。

Posted byブクログ

2013/01/29

昼休みをつかってたった今、なんとか読了。お得意のオフィス関連モノだけど、今回は舞台となるビル、そして子どもの登場と、内容的に広がりができて、なかなかおもしろかった。でもあいかわらず、狭い範囲での物語ではあるのだけれど。

Posted byブクログ