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江神二郎の洞察 の商品レビュー

3.9

111件のお客様レビュー

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    25

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/05/12

英都大学推理小説研究会(EMC)の面々は個性豊かだ。もの静かで穏やかで黙っている姿がナチュラルに男っぽい部長の江神二郎。普通に考えたら答えが出ないような問題をするっと解いてしまう洞察力の持ち主だ。脇を固める望月と織田は、体型も好むミステリ趣向も正反対の二人だが、ひとたびかけあいが...

英都大学推理小説研究会(EMC)の面々は個性豊かだ。もの静かで穏やかで黙っている姿がナチュラルに男っぽい部長の江神二郎。普通に考えたら答えが出ないような問題をするっと解いてしまう洞察力の持ち主だ。脇を固める望月と織田は、体型も好むミステリ趣向も正反対の二人だが、ひとたびかけあいが始まれば名コンビを形成。そこに新入部員として入ることになる有栖川有栖(アリス)。本書では、英都大学に入学したアリスが、推理小説研究会に入部以降の一年間が描かれている。全9話から成る短編集。 作中の時制は1988〜89年。昭和から平成に時代が移り変わろうとする頃。電話といえば公衆電話、いつでもどこでも喫煙できる、そんな時代。 綾辻行人、有栖川有栖、法月綸太郎ら大学ミステリ研出身の若手作家が矢継ぎ早にデビューし“新本格ムーブメント”を引き起こした頃でもある。バブル崩壊前のあの時代、及び新本格ミステリに没頭していた自身の学生時代を懐かしみつつ読了。 「やけた線路の上の死体」 作者のデビュー作とのこと。時刻表を巧みに使いつつ、破天荒なトリックが瑞々しい。 「桜川のオフィーリア」 「女王国の城」との関連性が垣間見える。謎解きはやや強引。 「四分間では短すぎる」 「九マイルは遠すぎる」のオマージュ。偶然であった男の謎めいたセリフからああでもないこうでもないと真相を推論議論するプロセスが楽しい。ダブルミーニングが微笑ましい。 「除夜を歩く」 望月作の作中作「仰天荘殺人事件」の犯人当てからミステリ談議に発展。江神とアリスが語り合う“ミステリの魅力”に共感。アルファベットから元号を予想するくだりも面白い。 「蕩尽に関する一考察」 マリア登場。マリアを交えたメンバーとのかけあいにほっこりしつつ、結果オーライなラストで読後感良好。名作「ナイン・テイラーズ」を読みたくなる。 本格ミステリには様々なシリーズものがあるが、《江神(学生アリス)シリーズ》は私の敬愛するシリーズの一つ。エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理性に忠実な犯人当てに魅了されるのだ(もちろん、愛すべきキャラクター達にも)。 作者によると、本シリーズは長編5冊と短編2冊で完結させるという。本書が刊行されてからはや12年経過。次は長編か短編か、いずれにしても次作が待ち遠しい。 本格ミステリ・ベスト10 6位 SRの会ミステリーベスト10 8位 《江神(学生アリス)シリーズ》 1.月光ゲーム 2.孤島パズル 3.双頭の悪魔 4.女王国の城 5.江神二郎の洞察

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2023/11/06

学生アリスシリーズの短編集。アリスが大学に入学し、江神二郎との偶然の出会いからミステリ研究会に入部。その後マリアが入部するまでの一年間を9話短編で描く。短編ながらお話がしっかりしていて、謎解きにも満足で面白い。火村准教授も良いのだけれど、江神部長がとても魅力的なので、やっぱ学生ア...

学生アリスシリーズの短編集。アリスが大学に入学し、江神二郎との偶然の出会いからミステリ研究会に入部。その後マリアが入部するまでの一年間を9話短編で描く。短編ながらお話がしっかりしていて、謎解きにも満足で面白い。火村准教授も良いのだけれど、江神部長がとても魅力的なので、やっぱ学生アリスシリーズは良いな。

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2023/08/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

単行本未収録があるので希望はあるけど 年数経ってるからなぁ… とりあえずここでラストなのかも… 青春してるねぇ!! こういうのを味わう機会がなかった陰キャなので 作品で堪能できるのは幸せだー 1作品のみ一応再読。 ある長編の前日譚のお話ね。 だけれどもこれはこれで悲しいお話。 あとは探偵の法則を 何とか破ることのできた作品もあるのよね。 本当、これはよかったと思うな。 大丈夫、ちゃんと事実が伝われば 彼の名誉は回復するから。

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2023/04/05

アリスが大学時代の設定。ミステリー談義が、全部は理解できなかったが、面白かった。 これもシリーズ物。すでに図書館で予約済み。 連読が楽しみ。

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2022/09/27

久々に読む学生アリスシリーズ。読もう読もうと思っていたのだが刊行されてから10年後の今、ようやく手に取ってみた。今回は短編集という事だが、アリスが英都大学に入学してからEMC(英都大学推理小説研究会)に入り、望月、織田、江神といった面々と様々な謎に直面してそれらを見事解決に導いて...

久々に読む学生アリスシリーズ。読もう読もうと思っていたのだが刊行されてから10年後の今、ようやく手に取ってみた。今回は短編集という事だが、アリスが英都大学に入学してからEMC(英都大学推理小説研究会)に入り、望月、織田、江神といった面々と様々な謎に直面してそれらを見事解決に導いていくというパターンのお話。日常の謎系が多いが殺人事件も出てくる(やけた線路の上の死体)。望月の書いた小説の犯人あてにアリスが挑む「除夜を歩く」が印象に残った。学生アリスシリーズも残すところあと長編1冊、短編1冊になった。いちおう学生アリスシリーズは全部読んでいるのだが作家アリスシリーズがほとんど未読なのでそれらをこれから片づけたい。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou1007.html

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2022/02/24

最高でした。短編はどうも苦手だけれど、これはもう味わって読める。大学生活でのEMCの仲睦まじい様子も知れて嬉しい。4作では、事件の謎解きががもちろん中心なので、この短編では江神さんやEMCみんなの会話が聞けて楽しめました。物語の筋が華麗で、短編の短さでも何度ハッとした事か。 日常...

最高でした。短編はどうも苦手だけれど、これはもう味わって読める。大学生活でのEMCの仲睦まじい様子も知れて嬉しい。4作では、事件の謎解きががもちろん中心なので、この短編では江神さんやEMCみんなの会話が聞けて楽しめました。物語の筋が華麗で、短編の短さでも何度ハッとした事か。 日常ミステリーも最高ですね有栖川有栖先生。

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2021/12/19

学生アリスシリーズ。長編は昔読んだが、短編はまだだったので今更ながら読了。推理小説としてはいまいちパッとせず、江上という謎多き男についてもあまり言及されない いまいち物足りない一冊だった。やはりこの作者には長編を出してほしい。学生アリスでも作家アリスでもどちらでもいいので。

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2021/11/03

学生アリスシリーズ初の短編集。 全9編です。 アリス1年生から2年生の最初あたりの物語。 ミステリーは好きなんですけど、 ミステリー論は難しかったです。 一番好きな作品は、 「四分間では短すぎる」でした。

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2019/06/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

その人の落とした『虚無への供物』が、英都大学推理小説研究会(EMC)入部のきっかけだった―。 大学に入学した一九八八年四月、アリスは、江神二郎との偶然の出会いからEMCに入部する。 江神、望月、織田とおなじみの面々が遭遇した奇妙な出来事の数々。 望月の下宿でのノート盗難事件を描く「瑠璃荘事件」をはじめ、アリスと江神の大晦日の一夜を活写する「除夜を歩く」など、全九編収録。 (アマゾンより引用) どこかで単行本になってるのかもしれないけど、『あの夏の出来事』が何なのか分からないから微妙。

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2019/06/17

もう元祖ミステリという感じの短編集。ミステリとは。のやりとりはなかなかついていけない感じだったものの、ミステリ好きはやはりこういうトリックや謎と解きに痺れるんだなーと、漠然と思い。もしかしたら、私はミステリ好きではないかもしれない。 と、ふと気がついた一冊でした。 トリックと...

もう元祖ミステリという感じの短編集。ミステリとは。のやりとりはなかなかついていけない感じだったものの、ミステリ好きはやはりこういうトリックや謎と解きに痺れるんだなーと、漠然と思い。もしかしたら、私はミステリ好きではないかもしれない。 と、ふと気がついた一冊でした。 トリックとかより、心情や背景にこだわったものの方が心に響くし、読んでて夢中になるもんなぁ。トリックは解こうとは思うけど、それ自体を楽しむことはそんなにないかな?と、思い、エセミステリファンを気取っていたな。と。そんは気持ちです。 もう、がっつりどっぷり謎解きの短編集。 なんかそんなのもありにしたら、むしろなんでもありなんじゃ?と思わざる得ないけど、そうならないようにちゃんとなってるんだろうな。多分、わからんけど。可能性が否定できないなら根拠すらなくなる気もするけど、そこはうまく紡いでるんだろうねぇ。 そうなってくると、本格ミステリの大御所たちの言葉の選び方と、場面構成の作り方、話し言葉一つ一つに一つの可能性しか残されていないように物語を書き上げる作業って想像を絶するな、、、、と思ってしまいました。 勉強中に読む本じゃないかも。脳みそ超疲れる。

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