江神二郎の洞察 の商品レビュー
マリア入部までの一年間の出来事を上手く補完した短編集になっています。未成年がお酒を飲むシーンに、―未成年だからまずいのだがーというような但し書きが(おそらく加筆)してあり、そういえばこのシリーズの初期では男子学生がそこかしこで喫煙しているシーンが出てきていたことを思い出しました。...
マリア入部までの一年間の出来事を上手く補完した短編集になっています。未成年がお酒を飲むシーンに、―未成年だからまずいのだがーというような但し書きが(おそらく加筆)してあり、そういえばこのシリーズの初期では男子学生がそこかしこで喫煙しているシーンが出てきていたことを思い出しました。長い年月に渡って書かれているため時代を感じられるところがありますね。アンソロジーやコミックで半分は読んでしまっていたけれど、どの短編も緊迫感は薄めなのでEMCメンバーの個性的な推理や会話を純粋に楽しむことができました。
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探偵とは、 悲しみを養分にする屍肉喰らい 迷い込んだ者を流れへ戻す特別な手の持ち主 悲劇の幕引き役だけど、誰にでもなれるわけではない 長編よりわちゃわちゃしててみんな可愛い!ひとが死なないはなしが多いのも学生らしくてよい。 江神さん、飄々としてて素敵すぎる。複雑であろう内面をちらりとでも見せないところがいいんだけど、それはアリス視点だからで、例えば石黒とかには違う顔を見せるんだろうなあと想像すると楽しい。 「桜川のオフィーリア」 情景描写が美しい。 「月光ゲーム」のあとなので、アリスのメンタルドン底。探偵行為に嫌気がさしてるんだけど、それを救うのもやっぱり探偵。 学生アリスは、すでに殺人事件を経験した後に火村を生み出したことになるのだなあ。 「除夜を歩く」 常に他のトリック、他の真相があるのでは、という可能性がある。事実と真実は異なる。 探偵によって、暴かれる真相は異なるかもしれない。 このはなし、「探偵が江神さんで救われた」にかかってくるのかな… ミステリは超常的なるものを完全に否定する。江神さんがそれに惹かれるのは、母親の呪いと無関係ではないのだろうなあ。 あと、気になって「おけら火」を調べてみた。一度行ってみたい。
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こういう大学生活いいな。いくつか読んだ内容のもあったけど「四分間では短すぎる」みたいな、一つの言葉から推理合戦繰り返していく、っていうのがいいなー。 実際ミス研ではこういうことやってるのかな。
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いつも、このシリーズを読むと、モヤっとした気分になるのは学生たちの青春に対する嫉妬なのかなあ。事件がすっきりしないものが多いからかなあ。 でも、読んじゃう。実は好きなのか。 まだ、傷を抱えた有栖君が出てくる短編集。推理談義に優しい探偵の活躍が楽しめます。
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これにて学生時代アリスシリーズ読了かと思いきや、あとがきによると後長編一作、短編一作が出るとのこと。また江神部長やアリスやマリアに会えるかと思うと嬉しい。
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学生アリスシリーズ5作目。短編集。 「瑠璃荘事件」 アリスが実際に目の当たりにする、江神の探偵としての能力を発揮した事件。 論理的に推理を進めていく江神だが、仲間を信じるという絶対的に譲れない思いが前提にある。 「やけた線路の上の死体」 江神が読んでいたテネシー・ウィリアムズ「...
学生アリスシリーズ5作目。短編集。 「瑠璃荘事件」 アリスが実際に目の当たりにする、江神の探偵としての能力を発揮した事件。 論理的に推理を進めていく江神だが、仲間を信じるという絶対的に譲れない思いが前提にある。 「やけた線路の上の死体」 江神が読んでいたテネシー・ウィリアムズ「やけたトタン屋根の上の猫」にひっかけたタイトル。 トリックそのものは走る列車を利用したもので、被害者の腕時計が壊れた時間を指し示しているというような、ミステリーアニメのようなトリックだけれど、そこに至るまでの過程を楽しんだ。 「桜川のオフィーリア」 ドラマ「臨床犯罪学者 火村英生の推理」の中で、推理作家の有栖川が自身の作品としてタイトルをあげている。 江神の先輩が相談のために大学を訪れる。 川の中で亡くなっている美少女が写っている3枚の写真についてだった。 高校の同級生だった彼女は、ある日突然溺死体となって発見された。 第一発見者は釣り好きだった担任教師。 では、写真の持ち主である友人の穂積は、いつ写真を撮ったのか。 青春時代の淡くも純粋で切ない恋心を描いた物語。 「四分間では短すぎる」 「四分間しかないので急いで。靴も忘れずに。・・・いや・・・Aから先です」 偶然隣あった公衆電話の会話が耳に入ったアリスは、その会話が気になって仕方がない。 夜に江神の部屋に集まったとき、その謎を話しだす。 EMCの4人のメンバーは、会話だけを頼りに推理を重ねていく。 新入生のアリスを先輩3人が可愛がっているようすがみてとれて、ほほえましいラストになっている。 「蕩尽に関する一考察」 ときは春。 桜は散り、アリスが入学してから1年の時が流れた。 短編でつづるアリスの大学生としての1年間を追った短編集は、「学生アリス」シリーズを読んでいるといろいろと楽しめる。 この物語でマリアが初登場する。 余談だが火村を主人公としたドラマの中で「桜川のオフィーリア」が登場しているので、タイトルだけは知っている人もいるのではないだろうか。
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学生アリスシリーズの短編集。アリスが江神部長と出会い英都大学推理小説研究会(EMC)に入部してから、麻里亜が続くまでの約1年間のエピソードを時系列順に掲載。主に日常の謎を扱う。著者デビュー作の「やけた線路の上の死体」も収録。 【感想】 「月光ゲーム」前後のアリスとEMC部員の...
学生アリスシリーズの短編集。アリスが江神部長と出会い英都大学推理小説研究会(EMC)に入部してから、麻里亜が続くまでの約1年間のエピソードを時系列順に掲載。主に日常の謎を扱う。著者デビュー作の「やけた線路の上の死体」も収録。 【感想】 「月光ゲーム」前後のアリスとEMC部員の出来事が分かる。部員が注目する名作小説やミステリー談義で盛り上がる場面があり、トリック以外にも幅広く示唆に富む内容。「女王国の城」の人類協会が登場する件もある。 個人的に好きなのは書き下ろしの「除夜を歩く」。推理小説を創出する際の苦しみが垣間見えた。 【収録作】 瑠璃荘事件/ハードロック・ラバーズ・オンリー/やけた線路の上の死体/桜川のオフィーリア/四分間では短すぎる/開かずの間の怪/二十世紀的誘拐/除夜を歩く/蕩尽に関する一考察
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学生アリスシリーズの短編集。長編の間を埋めるようなエピソードもあり楽しい。ただこのシリーズはあと長編1,短編1の予定。さみしい。
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クローズドサークルではなくても、日常の謎でも、彼らがわいわいミステリー談義に花を咲かせているだけで嬉しくなる。このシリーズが好きなんだな、とあらためて思う。新作をずっとずっと待っています。
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読み終わって最初に思ったことは、「私にもこんな先輩がいたらなぁ」であった。 私の頭に浮かんだ稚拙な推理を、愉快な先輩たちがぽんぽんぽんと否定してくれる様は実に面白い。 ところで、この作品は昭和から平成に元号が変わる時期を舞台にしている。 昭和64年の後期は自粛ムードであったとい...
読み終わって最初に思ったことは、「私にもこんな先輩がいたらなぁ」であった。 私の頭に浮かんだ稚拙な推理を、愉快な先輩たちがぽんぽんぽんと否定してくれる様は実に面白い。 ところで、この作品は昭和から平成に元号が変わる時期を舞台にしている。 昭和64年の後期は自粛ムードであったという話は聞いたことがあるが、私はまだ幼児であったため記憶にない。 ただ、その頃は父親が頻繁にレンタルビデオ店に連れていってくれて、家にいる間はずっとアニメを観ていたと記憶している。 作中に頻繁に自粛ムードがでてくるため、少しでも楽しいものをみせてあげようという親心を、いまさらになって知った。 ちなみにそのアニメは今も大好きで、グッズを買いあさっている。 思わぬところで自分の成り立ちに出会って、嬉しい気持ちで読み終えた。
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