わかりあえないことから の商品レビュー
誰でも彼でも、コミュニケーションじゃなくて。口下手な子供が、人格に問題がえるわけもない。そういう子供にはあと、少しだけ、ハッキリとモノが言えるようにしてあげる事が大事。
Posted by
<私たちは、多様な社会的役割を演じながら、かろうじて人生の時間を前に進めていく。そんなことは、みな知っているはずなのに、子どもたちには、「本当の自分を見つけなさい」と迫る。それは大人の妄想だろう。(略)仮面の総体が人格を形成する。ただし、その仮面の一枚だけが重すぎると、バランス...
<私たちは、多様な社会的役割を演じながら、かろうじて人生の時間を前に進めていく。そんなことは、みな知っているはずなのに、子どもたちには、「本当の自分を見つけなさい」と迫る。それは大人の妄想だろう。(略)仮面の総体が人格を形成する。ただし、その仮面の一枚だけが重すぎると、バランスを欠いて、精神に支障をきたす> これは、さまざまな仮面(分人)の併存を認めて「分人ごとの比率を調整していく(不健全な分人の肥大を抑制する)」ことを提唱する平野啓一郎の分人主義(私とは何か-「個人」から「分人」へ)を教育の立場から語ったものと言えよう。 著者が実践するコミュニケーション能力を育てていくための総合学習(体験型学習)の普及は、技術的にだけでなく、政治的にも、容易ではないだろう(著者の考えに反し、体験型学習の授業時間はむしろ削減されていっている。保守的な教育権力の抵抗はそうとうなものだと推察するに難くない)。 ただし、企業の求める人材へと子供を育てることが教育の目的であるべきなのかどうか(すなわち、初等教育からグローバリゼーションを前提とした教育を行うべきかどうか)は議論の余地があると思うが。 「喋らないという表現」や「日本語は対話としての言葉を確立していない」「冗長率を操作する」など、コミュニケーション教育の現場に限らず、教育や医療など対人関係にかかわるすべての分野に敷衍できる視点が多く提示されている。臨床的にも興味深い。
Posted by
面白かったです。冗長性についての話、コンテクストの話、著者が以前ラジオでチラッとしていたのと同じ内容の話もちらほら。それぞれ関連がないようだけれど、ひとつの事を言わんとしているようでした。東京物語のせりふの話にはなるほどー!としか
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
現代日本人のコミュニケーション能力はなぜ低下しているのか? その答えを演劇的手法を用いて問い、改善していく試みを続ける著者。「なんとなくみんなわかりあえていた」日本社会の幻想を捨て、「他者とはたやすくわかりあえないもの」という事実を受け入れることからスタートする必要性を説く。社会の変化に伴ってコミュニケーションの方法は変わらざるを得ない。そこに教育がついていっていないのが原因だろう。そういえば自分の学生時代を考えると教師っていちばんコミュニケーションがとりにくい人種だったりもしたものだ。そこから変えていく必要があるのではないか。
Posted by
タイトルに「コミュニケーション」とつけている本で、ここまで納得できた本はなかった。最高だ。★10個でもいい。 これ一冊で、ここ数年自分の中でくすぶっていた子育てだとかいじめだとか介護だとか政治だとか自殺だとか殺人だとか戦争だとか、そういったものにめどがついた感じ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
コミュニケション能力の定義と、それを高めるにはどうすればいいか、なにを教えれば良いか が分かりやすく書いてある 日本語について 言葉についてもいろいろ発見がある 適切に冗長であること 理論的にしゃべれない人は弱者なので リーダーはそのコンテクストを理解する必要がある など なるほど と思うと同時に 同意する事に怖さを感じる...過激さがある
Posted by
演劇のコンテキストからコミュニケーション能力、コミュニケーションデザインなど、コミュニケーションに必要な考え方についてアプローチしたとても新鮮な一冊、とても面白く読みつつ大変勉強になった。 冒頭に布部小学校に関する記述があり、全校生徒11名そのうち外国籍5名とあった、その名前に懐...
演劇のコンテキストからコミュニケーション能力、コミュニケーションデザインなど、コミュニケーションに必要な考え方についてアプローチしたとても新鮮な一冊、とても面白く読みつつ大変勉強になった。 冒頭に布部小学校に関する記述があり、全校生徒11名そのうち外国籍5名とあった、その名前に懐かしさを感じるとともにあまりの過疎化に驚き、外国籍が5名というのも気になる。今度北海道へ行く機会があれば訪ねてみたい。
Posted by
本書の「"バラバラな人間が、価値観はバラバラなままで、どうにかしてうまくやっていく能力"が今後日本でもいよいよ重要になってくるだろう」という見通しに深く同意する。日本の教育は”正解”を教え込む教育になることが多いため、その教育を受けて育った大人が議論をしていて...
本書の「"バラバラな人間が、価値観はバラバラなままで、どうにかしてうまくやっていく能力"が今後日本でもいよいよ重要になってくるだろう」という見通しに深く同意する。日本の教育は”正解”を教え込む教育になることが多いため、その教育を受けて育った大人が議論をしていても、どうも”正解”を求めて議論をしているような節があるが、重要なのは”正解”を言い当てることではなく(そんなものはない)、議論を経て関係者の合意を形成することである。このことを忘れてはいけないと思う。 著者の話に時折出てくるダブルバインドの話が非常に面白い。確かに日本の企業が学生に求める能力は、矛盾をしているというか、はっきりとしない側面がある。会社は表向き自分の意見をしっかり持っていることを学生に求める一方で、特に明言はしていないが、職場の調和を保つような協調性も学生に求めているのは間違いないだろう。学生からすれば「どちらが重要なの?」ということだろうが、会社の人間からすれば「どちらも重要である」としか答えようがない。全く平等に重要なのか、どちらがより重要なのかなどという議論はあまり有用であるようには思われない。これはささいな一例ではあるが、これに限らず、人間はあらゆる葛藤、ダブルバインドの状況を乗り越えながら、成熟していかなければならない。 本著を素晴らしいと感じるのは、そのダブルバインドの状況を単純に悪とせず正面から向き合おうとしていること、また教育の観点から、どうすれば子供がその状況を乗り越えられるのかを誠実に考えてきた著者の姿勢が伝わってくるからだろう。内容、文章ともに平易に書かれてはいるが、とても大切なことを言っていると思う。コミュニケーションは、まさに「わかりあえない」という認識から始まるのである。いや、始めなければならない。
Posted by
コミュニケーション能力という捉えどころの難しい言葉に疑問を持っている就活生、疑問を持っていた新卒社会人にオススメの良書。 演劇というアプローチからコミュニケーションに関するワークショップを多数開いてきた筆者の経験を例に論を進めているので、イメージしやすく頷きながら読めると思いま...
コミュニケーション能力という捉えどころの難しい言葉に疑問を持っている就活生、疑問を持っていた新卒社会人にオススメの良書。 演劇というアプローチからコミュニケーションに関するワークショップを多数開いてきた筆者の経験を例に論を進めているので、イメージしやすく頷きながら読めると思います。
Posted by
「同じ日本語を話していても、私たちは一人ひとり、違う言葉を話している。 こういった話し言葉の個性の総称を、「コンテクスト」と呼ぶ。」 とあり、このコンテクストの差異をコンテクストの「ずれ」と呼んでいる。 共有できる部分が多すぎることで、摩擦が顕在化せず、 「ずれ」が生じてることが...
「同じ日本語を話していても、私たちは一人ひとり、違う言葉を話している。 こういった話し言葉の個性の総称を、「コンテクスト」と呼ぶ。」 とあり、このコンテクストの差異をコンテクストの「ずれ」と呼んでいる。 共有できる部分が多すぎることで、摩擦が顕在化せず、 「ずれ」が生じてることがわからない。 こういうケースはとても身近にあると思った。 なるべく言葉を尽くして伝えたつもりでも、 違う背景を持っているってことで摩擦が生じているかもしれない、 ということを気遣うことも必要ですね。 併せてオススメの映画 『演劇1』『演劇2』 http://engeki12.com/
Posted by