わかりあえないことから の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
表題に惹かれて買ったが、久しぶりに読んだ痒いところに手が届いた本である。 「言わなくてもわかれよ」というコミュニケーションの要求と、そうは言っても「言わなくちゃ分かんないよ」という現実。 そこを意識してないため、コミュニケーションが上手くいかないケースは多々ある。 「じゃあどうすりゃいいの?」というのもなかなか難しい。 僕にとって最もポイントとなったのは、対話と会話の違いを明確にしている点だ。これはなるほどと思った。冗長率というのも面白い。 今の日本は従来のわかりあう、察しあうコミュニケーション文化の中で、価値観の多様化が進むというダブルバインドの状態にある。 わかりあえないことからスタートしようよ、という本である。
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生徒との関わりに関して悩んだ時に買った本。「みんな違って、たいへんだ」どんな人間に育てたいのか、どんな人間がこれから必要なのか、考えさせられた。自分に何ができるだろうか。考えていこう。
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現代のコミュニケーションについての気づきを与えてくれる。 作者が実践する、その解決方法の提案もある。 ただ、残念なことに状況はわかっているはずだと看做しているところと、理路整然と話すことができるなんてことはないとしているところに少々の矛盾を感じる。 きっとコンテキストを理解...
現代のコミュニケーションについての気づきを与えてくれる。 作者が実践する、その解決方法の提案もある。 ただ、残念なことに状況はわかっているはずだと看做しているところと、理路整然と話すことができるなんてことはないとしているところに少々の矛盾を感じる。 きっとコンテキストを理解できない人も多いはず。 このコンテキストの違いをどう埋めるかの具体策があると良かった。 まぁ、でも良書ではある。 再読したい。
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「この点が、いま日本人が直面しているコミュニケーション観の大きな転換の本質だろうと私は考えている。心からわかりあえることを前提とし、最終目標としてコミュニケーションというものを考えるのか、「いやいや人間はわかりあえない。でもわかりあえない人間同士が、どうにかして共有できる部分を見...
「この点が、いま日本人が直面しているコミュニケーション観の大きな転換の本質だろうと私は考えている。心からわかりあえることを前提とし、最終目標としてコミュニケーションというものを考えるのか、「いやいや人間はわかりあえない。でもわかりあえない人間同士が、どうにかして共有できる部分を見つけて、それを広げていくことならできるかもしれない」と考えるのか。」わかりあえないことがコミュニケーションの出発点であることはわかったが、そこから、「わかりあうこと」や「わかりあえないながらも社交性を保つこと」のプロセスが端折られているように感じるのは、多くを求め過ぎだろうか。
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わかりあえないことを前提としてわかりあえる部分を探っていくというコミュニケーションの要諦を、演劇を介在して見事に現在の我々の有り様とともに切り取っていると感ずる納得の書です。 変化を恐れず、痛みを受け止め変貌を遂げていく術を背中で次世代に伝えたいものです。
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劇作家の著者が、演劇を通してコミュニケーション問題への取組み方を提示している内容です。 私には、演劇の世界のことはよく分からないが、 著者の考え方には、かなり共感できた。 「最近の若者はコミュニケーション能力が低い?」 いや、おやじ達のほうが、よっぽど低い、、、? 「伝わらない...
劇作家の著者が、演劇を通してコミュニケーション問題への取組み方を提示している内容です。 私には、演劇の世界のことはよく分からないが、 著者の考え方には、かなり共感できた。 「最近の若者はコミュニケーション能力が低い?」 いや、おやじ達のほうが、よっぽど低い、、、? 「伝わらない。わかりあえない」という経験が強くあって、 「伝える意欲」が持てると言っているようです。 今まで周りには、自分のことを”分かってくれる”人達だけで生活してきたたら、自分から”伝えようという意欲”が欠如すると考察しています。 だから欧米人は、”分かり合えない”ことがコミュニケーションの原点のようです。
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コンテクストのずれから生じるコミュニケーション不全について分かりやすく解説。ネガティヴに捉えるのではなく「現代日本ではそのような行き違いが起こって当たり前」というスタンスに基づき、そこから他者に共感したり共有するにはどうすれば良いのか、最初の一歩を提案。 演劇に関心がある人だけで...
コンテクストのずれから生じるコミュニケーション不全について分かりやすく解説。ネガティヴに捉えるのではなく「現代日本ではそのような行き違いが起こって当たり前」というスタンスに基づき、そこから他者に共感したり共有するにはどうすれば良いのか、最初の一歩を提案。 演劇に関心がある人だけでなく、教育や医療、福祉など、人との接触が多い仕事に就いている人、子育てをしていて漠然とした迷いがある人などにぜひ読んでもらいたい1冊。
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この方のコミュニケーション論については何冊か読んでる。これも論旨は同じ。 ・日本人はこれまでのコミュニケーション(以心伝心のような)ではやっていけない時代になっていること ・さりとて米欧型のコミュニケーションが優れているわけではないこと ・コミュニケーションの上手下手は人格とはま...
この方のコミュニケーション論については何冊か読んでる。これも論旨は同じ。 ・日本人はこれまでのコミュニケーション(以心伝心のような)ではやっていけない時代になっていること ・さりとて米欧型のコミュニケーションが優れているわけではないこと ・コミュニケーションの上手下手は人格とはまったく関係がないこと ・コミュニケーション方法を変えていくことは相当な痛みが伴うこと(映画「フルモンティ」では、鉄工所の労働者は女装してストリップショーに出演しなければならなかった。産業構造が変化するとき、衰退する側にはそれほどまでの痛みを強いられる。ちなみに「フルモンティ」と「ブラス!」は「フラガール」のモデルとなったとのこと。) ・演劇を教育に導入し、シンパシーからエンパシーへと促すコミュニケーション教育を行うべきであること などなど。 演劇がコミュニケーション力を養うための突破口になるという持論は、演劇に疎いわたしにはどうにもピンと来ないのだけど、読んでいるとなるほどなぁとは思う。 医療に携わる人たちにとってコミュニケーションがいかに大事かということもよくわかる。 以下のエピソードが印象的だった。 末期がんの患者の奥さんが、「薬が効かないようですが」と訴え続け、看護師さんは薬の説明をする。 その場では納得するが、毎日繰り返し同じ質問をする奥さん。 ある日、ベテランの医師が「「奥さん、辛いねぇ」と言ったら、奥さんはその場で泣き崩れたが、翌日からその質問はしなくなったという。 「要するに、その奥さんの聞きたかったことは、薬の効用などではなかったということだろう。 『自分の夫だけが、なぜ、いまがんに冒され、死んでいかなければならなか』を誰かに訴えたかった。誰かに問いかけたかった。」 そうなんだろうな。 わたしは、気持ちをわかってほしかったんだろうと思ったのだけど。 きっと同じことだよね。 気持ちをくみ取ることのできる人… そういう人が減っているということなんだろう。だから大学で教えなくちゃいけなくなった。 オリザさんがコミュニケーションの講義を行っている大阪大学から、今後どんな人材が生まれるだろう。
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だいぶ昔に読んだことのある平田オリザ。この人の基本的な考え方は「より大きな枠組みに理由や原因を求める」「出口のないところに思考を迷い込ませない」というところにあると思う。いろんな批判もあるようだけど、やっぱり共感できる。阪大の医学部が彼を迎えてやろうとしていることにも。
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コミュニケーション能力というのが漠然としたものだったけれど、少しわかってきた。噛み砕いた言葉で説明できるようになれる気がする。
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