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非道に生きる の商品レビュー

4.1

99件のお客様レビュー

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2012/11/30

「ヒミズ」を見た時は原作との違いと震災を脚本に盛り込んだことに違和感が残っていたのだけれど、作品から自分が受け止めた以上に真摯に震災を扱っていたのようだ。 以下、引用 「思い出すからやめてくれ」というのは、被災の映像を見なければ思い出さないということでもある。被災地ではなく、例え...

「ヒミズ」を見た時は原作との違いと震災を脚本に盛り込んだことに違和感が残っていたのだけれど、作品から自分が受け止めた以上に真摯に震災を扱っていたのようだ。 以下、引用 「思い出すからやめてくれ」というのは、被災の映像を見なければ思い出さないということでもある。被災地ではなく、例えば東京で報道を見て、そう言う人もいる。しかし本当の被災者は、自分は被害者だと声高に叫ぶ人ではないのではないか。僕はそう思いました。10年後、20年後と歳月が経った後に『ヒミズ』を見た人が「やっぱり、あのとき撮ってくれてよかった」と言ってくれることを願っています。 ここまで引用。 このパラグラフを読んで見透かされたようにどきっとした。震災があったからこその今の自分であって、忌み嫌って蓋をして隠せるものではない(過去があってこその今の自分という純然とした事実として)。また、自らその事実を否定したとろで始まらないと思っている。そんな思いを見透かされたかのような、掬い上げられたような気がしたからだ。「ヒミズ」をもう一度見てみよう。 本全体は、これまでの足跡を綴っている内容のとおり、ビラまき宣伝と同様の目を引く売り込みの一部としての側面もあるのだろうな、と思える著者らしさを味わえる内容であった。 過激に見えるオモテを撫でて真似しても、魅せたい中身を持っていないと胡散臭いだけなので、触発された人は注意が必要だなと思う。 文体が出ず増すと断定が混じっており、読む調子が時を率待ってしまったのが残念なところ。

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2012/11/27

園子温氏の、その半生についての自伝。いろいろ書きたくなるが、私の海馬がつかまえたのは、映画製作委員会として企業合同でひとつの映画を製作するが、企業それぞれの思惑やイデオロギーに対して最大公約数的な、陳腐な映画になってしまう、のくだり。知恵を出し合う組織もあるだろうけど、みんなが納...

園子温氏の、その半生についての自伝。いろいろ書きたくなるが、私の海馬がつかまえたのは、映画製作委員会として企業合同でひとつの映画を製作するが、企業それぞれの思惑やイデオロギーに対して最大公約数的な、陳腐な映画になってしまう、のくだり。知恵を出し合う組織もあるだろうけど、みんなが納得させる意見が生産物を陳腐化させることもまた、あるだろう。三人寄れば文殊の知恵という諺が落とし穴になってはいないだろうか。 現在の政局の話を持ち出すのは余計にこの書き込みを一般論化させるのでやめておこう。ともかく、渋谷ハチ公の 銅像のレプリカをすこし離れた場所に置いて、待ち合わせを混乱させる東京ガガガの活動にリアルで参加したかったと思う。

Posted byブクログ

2012/11/25

ずっと不思議だった。園子温がものすごいスピードでものすごい映画をどんどん作り出していく理由。この本で明らかになった。アンサー:刹那に生きてるから。刹那に生きてりゃ、立ち止まってる時間なんてなくて、今日死んでもいいように生きるっていうか、刹那。刹那、刹那。これが私が忘れてたものだっ...

ずっと不思議だった。園子温がものすごいスピードでものすごい映画をどんどん作り出していく理由。この本で明らかになった。アンサー:刹那に生きてるから。刹那に生きてりゃ、立ち止まってる時間なんてなくて、今日死んでもいいように生きるっていうか、刹那。刹那、刹那。これが私が忘れてたものだったんだ。 薄いのに1000円もする本だけど、買った甲斐があったってもん。 ・共感を越えて当事者になりきる。 ・覚醒させる映画=観客が普段見ていないもの、見たくないと思っているものを露にして動揺を与える。 ・映画は巨大な質問状。 ・己の敵を見つける事。

Posted byブクログ

2012/11/25

フィルメックスでの「BAD FILM」上映後のティーチインで観客からの質問に対し「『非道に生きる』に書いてあるんで...」としか答えないというww で、まんまと買って帰ってしまった。。。 小3まででもうヤバい♪

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2012/11/23

「刹那を生きる」園子温監督のかっこよさを感じました。『ヒミズ』と『希望の国』はこれを機にぜひ観たい作品です。

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2012/11/20

 ここ最近で一番クラッた。もはや何も書けないぐらいに。  小説以外でここまで刺さった本は、『芸術闘争論』以来かもしれない。

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2012/11/11

凄い惜しい本だと思う。 園子温の生き方はとても魅力的だし、そのルーツを知ることができる本書は、園子温ファンの人にとっては魅力的だと思う。ただ、如何せん内容量が少ない。自伝なのだから、もっと細かく、深いところまでエピソードを掘り下げて書いて欲しかった。簡単に園子温の半生を知ることは...

凄い惜しい本だと思う。 園子温の生き方はとても魅力的だし、そのルーツを知ることができる本書は、園子温ファンの人にとっては魅力的だと思う。ただ、如何せん内容量が少ない。自伝なのだから、もっと細かく、深いところまでエピソードを掘り下げて書いて欲しかった。簡単に園子温の半生を知ることはできるが、物足りなさは否めない。 本人も、「おわりに」で書いているように、本書を撮影の合間に書いたというのだから(その場一瞬の思いを大切にするために)、忙しい合間を縫って書いたのだろう。 次はもっと長い、長い物語を読みたい。

Posted byブクログ

2012/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最高でした 「たとえ他の奴がマスタベーションだのナルシストだの言ったところで、 平気のへいちゃらで自分が面白いと思うものだけを追求すること。 それが非道の生き方です。 非道と言いますが本来、人間は生まれながらにたった一人で、 自分の道を切り拓くために生まれたわけです。 そもそもが道なき道を行く宿命なんです。」

Posted byブクログ

2012/10/31

「愛のむきだし 」や「ヒミズ」や原発を題材にした最新作「希望の国」の園子温監督の本。 これまでの人生や映画への作品の思いや考え方がよくわかります。 園子さんの作品が好きな人は、ぜひ読んで欲しい本。 「愛のむきだし」は、前半後半であわせて4時間を超える作品だったけど、時間の長さを感...

「愛のむきだし 」や「ヒミズ」や原発を題材にした最新作「希望の国」の園子温監督の本。 これまでの人生や映画への作品の思いや考え方がよくわかります。 園子さんの作品が好きな人は、ぜひ読んで欲しい本。 「愛のむきだし」は、前半後半であわせて4時間を超える作品だったけど、時間の長さを感じず、印象に残った映画の一つです。これからも、自分の信念を貫いて作品を作り続ける園子監督のに注目したい

Posted byブクログ

2012/11/02

―――映画は「事実の記録」ではなく「情緒の記憶」――― 通知表に「性的異常が見られます」と書かれた小学生時代。 「寺山修司的なこと」を期待して17歳で家出、上京。 童貞脱却がまさかのインポテンツ事件。 飯を食うため宗教団体に入り、合宿から逃げて、左翼にはいる。 初の8...

―――映画は「事実の記録」ではなく「情緒の記憶」――― 通知表に「性的異常が見られます」と書かれた小学生時代。 「寺山修司的なこと」を期待して17歳で家出、上京。 童貞脱却がまさかのインポテンツ事件。 飯を食うため宗教団体に入り、合宿から逃げて、左翼にはいる。 初の8ミリで入選、二作目でグランプリ、その賞金で三作目と上り調子から一転、15年の下積み時代に突入。 そして40代。 私の知る園子温が現れる。 初めての商業映画「自殺サークル」はとてもじゃないが見る気になれない。題材がとても好きではなく、実際にネットでこういった集団自殺を呼びかけ実行してしまった事件も起きた。 園監督の作品は、明らかに私の苦手とするそれだった。 しかし、「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」がとてもおもしろく、「ヒミズ」は涙が止まらなかった。 新作の「希望の国」では、「ヒミズ」よりも直球に震災のストーリーを映画化した。ここまで震災と、原発と向き合った映画は日本で初めてだろう。 本書からの引用↓ 「『いまだに津波の映像を流したりすると、思い出すからやめてほしい』と言う人たちは、忘れても大丈夫な人たちなんだ」 これは、取材の折、被災者の方から監督が聞いた言葉のひとつだ。 園監督は、物語の中盤まで「想像力」というものを働かせない作品作りを心がけている。それは、彼の作品が事実に基づいたところからスタートしているから、という理由もあるが、あくまでも映画は事実を書くのではなく、情緒を書くものだと主張している。 監督自身がそのひとたちに成り代わるくらいの気持ちで作品と向き合えて初めて、「想像力」が意味を持つのだ。 実際に経験していないこと、しかも実際に起きて、誰もが知っていることを撮ろうとすると、それは頭でっかちの情報のお披露目になりやすい。 そうではなく、あのとき、被災地のひとが感じたこと、考えたこと、見たこと、思ったこと、それは意外とシンプルで、簡単な言葉だったと監督は話す。 「希望の国」を観て、私はいかに自分が同じ日本に住んでいても、震災や原発に対して「他人事」だったかを、まざまざと見せつけられた。 私の流す涙は、被災地のひとが見たらどう思うだろう。 まだ終わってない、終わってない、と映画は全身で叫んでいた。 生い立ちが奇人でも変人でも こんなに真っ当なひとはいないと思った。

Posted byブクログ