非道に生きる の商品レビュー
非道って書いてるけど,そんなことない!というのが読後感。最初の方は幼少期から振り返り,いかにもはちゃめちゃな行き方をしているかのように読めるが(ま,実際そうだけど),読み進めるにつれていかに真摯に映画作りに取り組んでいるか,いかに真摯に生きているかが分かる。
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お名前が、芸名ではなく本名だと知って驚きました。 やはり、自信に裏打ちされた破天荒な人は、何をやっても面白いし成功するのだな、と思いました。
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何かしらヒントをもらえるこのシリーズ。 生き方について、園監督から良いアドバイスをいただいた気になっている。 正直、園監督の映画は苦手なのだけれど、(『恋の罪』しか観たことないけど)苦手な理由が自分なりに納得できた。 映画は苦手なのに、監督の我が道を突き進む姿勢、体当たりで生きる...
何かしらヒントをもらえるこのシリーズ。 生き方について、園監督から良いアドバイスをいただいた気になっている。 正直、園監督の映画は苦手なのだけれど、(『恋の罪』しか観たことないけど)苦手な理由が自分なりに納得できた。 映画は苦手なのに、監督の我が道を突き進む姿勢、体当たりで生きる姿勢に共感して、一気に読了。やはりアーティストはこうでなければ!特に日本映画と世界について語られているところは、もの凄い頷いた。日本て、なんでも道になってしまうけれど、それじゃぁつまらない。だからこのタイトルなのだと納得!破壊なしに新しいものは生まれない。 監督の波瀾万丈な人生が、まんま作品になるんだな。人生に無駄はない。 自己肯定し、自分の本音を言える(私の場合、いつも言ってるらしいけど)ようになる。勇気のわく本。
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非道に生きる事はエネルギーがいるんだね。調和して生きるほうが楽な時もあるし…。非道とか正道とかよくわからないけど、自分の信念を貫いて生きることが自分にとっての正道なのかも?!
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自分で話したものを、テープ起こししているので、とても読みやすい、監督の自伝。 破天荒な生き方には、びっくりするようなことが待ち受けているもの。 そんなことはたいしたことではないかのように軽々と語り、 むしろ、映画への姿勢、表現、ニンゲンへの語りには、どっしりとした重みを感じた。...
自分で話したものを、テープ起こししているので、とても読みやすい、監督の自伝。 破天荒な生き方には、びっくりするようなことが待ち受けているもの。 そんなことはたいしたことではないかのように軽々と語り、 むしろ、映画への姿勢、表現、ニンゲンへの語りには、どっしりとした重みを感じた。 なんか不思議な元気がもらえる本。
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映画監督園子温の半自伝。破天荒な思春期を経て映画の道へと進んでいった道程、不遇時代の生活ぶりや果敢に売り込みを図っていくようすなどが綴られている。映画という表現形態に求めているものや映画製作のスタンスについて、ぶれることのない信念を持っていることを再確認できた。誰になんと言われよ...
映画監督園子温の半自伝。破天荒な思春期を経て映画の道へと進んでいった道程、不遇時代の生活ぶりや果敢に売り込みを図っていくようすなどが綴られている。映画という表現形態に求めているものや映画製作のスタンスについて、ぶれることのない信念を持っていることを再確認できた。誰になんと言われようと、どんなに悪評されても、自分が表現したい、発露したい感情や言葉をそのまま創作にぶつけること。そして「質よりも量」を目指し、たった1人でも10人分の作品を生み出せばムーヴメントを巻き起こしていくことができるのだ、そうするのだと、あらためてここで宣言されている。 ”報道やドキュメンタリーでは取材する相手をカメラに収め、彼らの言葉を収めていきます。しかし、その言葉はすべて過去形で語られます。「あのとき、何が起きたか、どうだったか」――決して、現在進行形で「その刹那」が語られることはありません。いま現在の体験を描くこと。これが、実話を基に僕がドラマを作る理由の一つです。”(p114) ”映画に込めるべきは「情報」ではなく「情緒」です。(・・・)出来事の追想ではなく、出来事の真っただ中にいるときの気持ちや情感を、貧弱な言葉でもいいからそれで綴ること、それがドラマ映画にあるべきスタンスだと思います。映画は「事実の記録」ではなく「情緒の記憶」なのです。”(p135-136) これらの言葉は、くしくも、その回顧展で感動させられたばかりのフランシス・ベーコンの芸術論を想い起こさずにはいられない。画家いわく、鑑賞する者に呼びかけるのには、彼らの「脳」(思考や言語)にではなく、「神経システム」を経由して、すなわち情動によってそうしたい、と。ベーコンが抽象芸術同様に、説明的な物語的な芸術を拒絶するのは、それらは「脳」に働きかけるだけで「神経システム」に働きかけないからである(ベーコンが用いる「脳」は高次機能を司る大脳皮質を指し、「神経システム」とはそれ以外を意味していると思われる)。 対象を極端に歪めたり分解して描いているのは、そうすることによって鑑賞する者の感覚領域そのものを押し広げたり変容させることになるからだとベーコンは言っているし、歪めて描かれた対象そのものがむしろ鑑賞者自身の「歪められた神経システム」を表現しているともいえるだろう。 思考や物語的読解を拒み、情緒を揺さぶることを志向する態度が彼らには通底している。この立場はむしろ現代アートにおいてはしごくまっとうで正統であるように思えるが、商業的であることが製作の前提とされている映画の世界においては、すでにいま社会に分かりやすく充満している欲望を満たす物語が資本に要請されているのが現状である。心地よいストーリー、涙を誘う展開。そこに驚きやあらたな広がりをもった世界は、ない(共同出資による「○○製作委員会」システム=合議制をとりわけ園は批判している)。芸術家としては王道である園子温は、映画監督としてはいつまで異端児なままなのであろうか。
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『映画監督・園子温の自伝的な本。 少年時代から最新作『希望の国』に至るまでの監督自身の体験談 、考え方、さらに映画に込めたメッセージが書かれている。 僕は、園子温監督作の『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒズミ』の4作は観ていた。それらの映画は、強烈だったが、本書も強烈である。 例えば、『愛のむきだし』では勃起や盗撮など変態を描いている。しかし、監督自身も、小学校に裸で登校してみたり、授業中にチンコをだしてみたり(実験らしい)と、とにかく強烈だ。 特殊な生き方をしてきた監督自身の体験は、実際に映画にも取り入れられているという。映画も面白いけど、この本も面白い。 本書で特に響いた4つの文。 「今しかできないことを何でもやっておこうと思っていた(セックス以外は)。」 「「世界にひとつだけの花」というSMAPの歌のなかで、(略)「だれもが特殊な花である」とは歌われません」 「ロールモデルは、その都度の自分にあわせて切り替えが可能です。」 「メディアや著名人があおり立てる面白さを安易に信じないで欲しい。本当は面白くないと思っている実感をないがしろにして、」
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「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「希望の国」などバイオレンス、エロ、アンダーグラウンドから原発事故まで、常にタブーに挑戦し続ける気鋭の映画監督による自伝。残念な事にまだ彼の映画を観ていないので本書を読んで何かを語る資格もないのだけれど、ものづくりに関わる人間の端くれとして、ひどく打ちのめされたので、その辺を少し考えてみます。 そもそも彼は小さい頃から普通じゃなかったようです。なぜかキリスト教に傾倒して聖書をはじめとする関連書物からシェイクスピアやドストエフスキーなんかも読み漁る。映画も洋画ばかり観まくって、イングリッド・バーグマンと結婚したいと真剣に考える(年齢の差など問題ではない!)。素っ裸になって教室に入る。放送部では校長の股間のアップばかりを放送し、新聞部では団地妻の爛れた手記を連載して発禁処分を喰らう…。紙一重という意味で天才でもあり、異常でもあります。というより天才というものはなにかが過剰なんでしょうね。学校や社会生活の「常識」にはまったく溶け込まなかった一方で現代詩を書けば「ジーパンを穿いた朔太郎」などと渾名されるほどに注目を浴びる。まったく羨ましくなるほどの才能と行動力です。自分にはそういった常軌を逸した部分がまったくない。過剰なものがない。それを自覚しているからこそこうした天才たちに憧れるのです。嫉妬という苦い感情とともに。 そんな天才っぷりを発揮し続ける園子温ですが、映画監督としては、業界からはなかなか受け入れらない日々が続きます。ぴあフィルムフェスティバルで入選し、スカラシップで「自転車吐息」を撮ると、自主上映を行い、パブリシティや宣伝もすべて自分自身で手探りで続けて記録的な動員を獲得しますが、その後低迷が続き、路上パフォーマンス「東京ガガガ」や自主制作映画「自殺サークル」などで社会をザワザワと騒がせながらも商業的にはまったく成功せず、40代になるまで極貧の生活を続けていました。 その後、日本よりも海外での評価が高まり、いくつもの賞を受賞することで、徐々にメジャーな映画を撮れるようになりますが、彼はいっさい「売れるための妥協」はしていないようです。「絶対に人とは違うことをする」というクリエイターとしての基本を、頑なに守り続けている。だからこそ毎回物議を醸しながらも、誰もが無視できない存在であり続けられるのです。実にしんどい生き方だと思いますが、僕にはそれが羨ましくて仕方がないわけです。「映画の常識を壊すこと」こそが想像の源である、そんな彼の作品をまずは観てみようと思います(たぶんあんまり好きじゃないと思うのですが…)
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園子温が、常識の通用しないメチャクチャな人間の様で、実はちゃんと幼少の頃から大量の映画を観ていて、その上で自分の作品を作った人と言うのが分かる本。ブレイクするまでの、メチャクチャな半生がおもしろ過ぎる。後半に入ってからの、自分の映画を語ってる部分はつまらなくて読み飛ばした。
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園子音が自分の歴史・遍歴を口述し、自ら編集した自伝。各作品を撮影した時代の自身の人生を説明。タイトル「非道に生きる」どおりの人生が、彼の映画を規格外の作品にしている事に気がつく。 家出をして東京に出て来た高校生時代、美大生時代、ゲリラ的な騒乱行動の中心となっていた時代、アメリカ...
園子音が自分の歴史・遍歴を口述し、自ら編集した自伝。各作品を撮影した時代の自身の人生を説明。タイトル「非道に生きる」どおりの人生が、彼の映画を規格外の作品にしている事に気がつく。 家出をして東京に出て来た高校生時代、美大生時代、ゲリラ的な騒乱行動の中心となっていた時代、アメリカでの生活。ひとつひとつのエピソードが極端に突き抜けている。 震災は多く人達の考え方や行動を変えたが、園子音は制作準備をすすめていた「ヒミズ」のストーリーに震災をリアルタイムで取り込んだ。この本では「ヒミズ」の各シーンの意図も語っている。今後、他の作品を見るたびに読み返すであろう本。 蛇足だが、ページ数・装丁・紙質・紙の色が良い。パッケージとして良く出来ている。
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