私とは何か の商品レビュー
家族といるときの自分、会社の同僚といるときの自分、 外のコミュニティにいるときの自分、友達といるときの自分。 俯瞰してみるとやはりそれぞれ違いがある。 じゃぁ、その中のどれが本当の自分?と問われると答えは出せない。 強いていうなら全てが本当の自分と言える。 その?に本書では分人...
家族といるときの自分、会社の同僚といるときの自分、 外のコミュニティにいるときの自分、友達といるときの自分。 俯瞰してみるとやはりそれぞれ違いがある。 じゃぁ、その中のどれが本当の自分?と問われると答えは出せない。 強いていうなら全てが本当の自分と言える。 その?に本書では分人という概念で答えてくれています。 初対面の人と話すときは、「この人はどういう人なんだろう」という 手探り状態から始まり、その後の会話や周りの状況により その人向けの「分人」が自分の中に現れてくる。 つまり「分人」は相手との相互作用、環境によって生まれる。 そして「分人」はいくつも存在し、その集合体が「自分」である。 とても腑に落ちる考えだと思う。 「ポジティブな分人もあればネガティブな分人もいる。 分人が他者との相互作用である以上、、(略)、、ポジティブな分人もまた、 半分は他者のお蔭である。だからこそ相手への感謝の気持ちや 謙虚さも芽生える。」 好きな「分人」を生きる時間が長ければ、 充実していると感じることができる。 その好きな「分人」を足場にして生きていけばいいとのアドバイスには 救われる人が多いのかもしれない。 いまの自分はどの「分人」が多くを占めるのか、 どの「分人」を中心に生きていきたいのか。 嫌な自分を受け入れ、好きな自分で生きていくための 「分人」という考え方が、今まで頭の中で靄に包まれていた部分を すっかり晴らしてくれました。
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「分人」という視点はとて新鮮だった。個人の中に様々な分人がいて、様々な人との関わりで様々な分人が現れる。それらすべての分人が自分を成すものである。 この考え方は最小単位を個人として、本当の自分、仮の自分を追及していたわたしにとって、目からうろこものだった。 「分人」はすべて真実の...
「分人」という視点はとて新鮮だった。個人の中に様々な分人がいて、様々な人との関わりで様々な分人が現れる。それらすべての分人が自分を成すものである。 この考え方は最小単位を個人として、本当の自分、仮の自分を追及していたわたしにとって、目からうろこものだった。 「分人」はすべて真実の自分の姿。そう捉えることによって、ちょっと生きやすくなりそうな予感がしている。平野さんの小説もかじってみたいと思います。ひとまず「日蝕」から。
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平易な文章で、大変わかりやすく「分人」という概念を論じているが、その内容は非常に奥深く、また、人間という存在に対して大変優しい。個人的には、今のところ人間関係に深刻な悩みはないし、この手の「人付き合いの悩み解消しまっせ型新書」は疑ってかかるタイプだけれど、胡散臭くなく、とても誠実...
平易な文章で、大変わかりやすく「分人」という概念を論じているが、その内容は非常に奥深く、また、人間という存在に対して大変優しい。個人的には、今のところ人間関係に深刻な悩みはないし、この手の「人付き合いの悩み解消しまっせ型新書」は疑ってかかるタイプだけれど、胡散臭くなく、とても誠実な語り口が好感度。 また、本書全体に著者の小説についての記述が多く、ぜひ読みたい気分にさせる。(巧い宣伝?)
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分人を詳細に。三部作とも繋がっているから、頷くこと多し。他人様あっての自分なんだけど、なんだか肩の荷が下りた。
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"職場での自分は偽物。家での自分も本当の自分じゃない。本当の自分はひとりのときだけ。" なんていうような「本当の自分」っていう言葉は、「分人」という単位と概念で人間を考えると意味があまり無いことだと思えます。 「個人から分人へ」 自分のことを考える上でも、人間...
"職場での自分は偽物。家での自分も本当の自分じゃない。本当の自分はひとりのときだけ。" なんていうような「本当の自分」っていう言葉は、「分人」という単位と概念で人間を考えると意味があまり無いことだと思えます。 「個人から分人へ」 自分のことを考える上でも、人間関係を考える上でもとてもいい考え方です。
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indivdual(個人)でなく、dividualの分人と言う考え方を提唱した本。新書でコミュニケーションだとか私とはとか言うとありがちな自己啓発に見えがちだけれど、これは平野さんが小説家としてずっと考えてきた人間の在り方の問題なので、とても興味深い話だった。個人は、仮面と本質と...
indivdual(個人)でなく、dividualの分人と言う考え方を提唱した本。新書でコミュニケーションだとか私とはとか言うとありがちな自己啓発に見えがちだけれど、これは平野さんが小説家としてずっと考えてきた人間の在り方の問題なので、とても興味深い話だった。個人は、仮面と本質と言う風に見られる事が多いけれど、そうではなく、他者との関係性の中で多くの分人を並行させるのが自然である。云々。特に、1つの個人と言う考え方は一神教の、全知全能に向かい合う時に作られたと言うのも印象的だった。分人主義。と言う事で、コミュニケーションや悩みに関する事などが中心だけれど、実際真っ向から個人主義を解体してしまう様な話で、とても刺激的でした。
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「分人」という概念により、「本当の自分」という幻想の正体や、相手によって様々に変わる自分自身のことを、具体的かつ丁寧に書き表している。 なんとなく感じていたことが明確に言語化されていて、思わず膝を打つ。 これほど深く人間や社会について考察したうえで小説を書いている著者は、本当にす...
「分人」という概念により、「本当の自分」という幻想の正体や、相手によって様々に変わる自分自身のことを、具体的かつ丁寧に書き表している。 なんとなく感じていたことが明確に言語化されていて、思わず膝を打つ。 これほど深く人間や社会について考察したうえで小説を書いている著者は、本当にすごいと思う。
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読みやすさが光る。 私たちは「個人」を生きているのではなく、その場その相手に合わせた「分人」を生きているのだという。 そんなに斬新な主張ではないものの、めちゃくちゃ丁寧に説明されていて、それゆえの説得力はある。 上の考え方を発展させて「うまくふるまえる自分は相手のおかげでもある」...
読みやすさが光る。 私たちは「個人」を生きているのではなく、その場その相手に合わせた「分人」を生きているのだという。 そんなに斬新な主張ではないものの、めちゃくちゃ丁寧に説明されていて、それゆえの説得力はある。 上の考え方を発展させて「うまくふるまえる自分は相手のおかげでもある」「他人のよくないふるまいは自分のせいでもある」という風に論を延長したのはうまいなあと感じた。 独特の恋愛論もおもしろい。「その相手といるときの自分の分人が好き」な相手が好きな人。なるほど。 アイデンティティに悩む若者は勇気を与えられるかもしれない。自分もすこし励まされました。 ひととのつながり、を本気で考えられる本。
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この本を読んでいて思い出したのが、精神科医の中井久夫氏が多重人格について書いていた文章です。 "われわれは皆、プルーストが『失われた時を求めて』で描いたように、超多重人格者であって、たまたま人格の数の少ない人、あるいは変化の不器用な人が社会から析出されるのかもしれない...
この本を読んでいて思い出したのが、精神科医の中井久夫氏が多重人格について書いていた文章です。 "われわれは皆、プルーストが『失われた時を求めて』で描いたように、超多重人格者であって、たまたま人格の数の少ない人、あるいは変化の不器用な人が社会から析出されるのかもしれない。 (家族の深淵/P221)" 多重人格というとジキルとハイドのような「入れ替わり」のイメージがありますが、これは誰もがひとつの固定的な人格を保持しているという考えの裏返しです。 平野氏の「分人」概念は、こうした入れ替わりが常に起きていることを前提に、移ろいゆくものとして人間を捉え直す試みであると言えます。
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平野さんが「ドーン」の中でテーマの一つとされた「分人」という考え方について,まとめられている作品です。小説での取り上げられ方とは異なり,個人individualとの違いや,平野さん御自身や回りでもよくあるような人間関係の具体例を元に,個人と分人の考え方の違いが述べられているので...
平野さんが「ドーン」の中でテーマの一つとされた「分人」という考え方について,まとめられている作品です。小説での取り上げられ方とは異なり,個人individualとの違いや,平野さん御自身や回りでもよくあるような人間関係の具体例を元に,個人と分人の考え方の違いが述べられているので,分かりやすく「分人」という考え方を把握することができる内容になっていると考えます。 個人としての多くの人と接しているときの姿勢の違いを説明しているこの考え方を,全面的に受け入れられるかどうかと言われると,個人的には疑問に思うところもあります。ただ,このような考え方があり,個人の中で,そのときどきで対応する人達や,環境に応じて姿勢を変えて行くというような「分人」というこの作品における考え方を知っておき,頭の片隅にでもいれておくと,いろいろと人間関係を構築することや,人間関係における問題点があるときの解決に役立つのかなと思い読み進めていました。 今後も平野さんはこのテーマで作品をいくつか書かれるのだと思いますが,この作品で「分人」という考え方について知っておくと,「ドーン」や今後の平野さんの作品をより楽しめるのではないかと思います。
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