私とは何か の商品レビュー
individualとはdivideできない,不可分のものという意味。 実際はdividualな存在である。いろいろ分かれている自分の総体?が個人としての自分。統一された自分。「唯一無二の本当の自分」があるという神話に挑戦する。 自己(self)を真実の自己と表出されるペルソナ...
individualとはdivideできない,不可分のものという意味。 実際はdividualな存在である。いろいろ分かれている自分の総体?が個人としての自分。統一された自分。「唯一無二の本当の自分」があるという神話に挑戦する。 自己(self)を真実の自己と表出されるペルソナとしての自己という垂直軸としてとらえるのではなく,自分が関係する人々との間に構成される自分らしさの総体として水平軸でとらえようとする。 他者との関係を絶った自己(self)は社会的生物である人間ではありえないこと。唯一無二の真実の自己があるのではない。関係する相手のとの相互作用によって自己が構成される。唯一無二の真実の自己を探そうとすると,他者との関係をも断ち,自分の中で完結しようとする引きこもり状態になるか,あるいは,自分が知らない他者との相互作用によって新しい自己を作り出すことによってそれを真実の自己と思うようになる。 自分について悩む青年期や対人関係で悩む人にお薦めの本である。 文中にはゴシックで強調されて書かれているとことが散見される。読みづらいのだが,一度読んでからそれを拾い読みするとざっとレビューできて考えを整理できるので便利ではある。
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人間の本質を、一貫した人格を持つ「個人」から、相手や状況によって様々な顔を見せる「分人」と定義し、対人関係から恋愛まで、自己のあり方をあらゆる意味で考え直す本。 人間があらゆる場面で同じように一貫した振る舞いや言動を続けるのは本質的に無理だし、そんな生き方ではトラブルばかりが起...
人間の本質を、一貫した人格を持つ「個人」から、相手や状況によって様々な顔を見せる「分人」と定義し、対人関係から恋愛まで、自己のあり方をあらゆる意味で考え直す本。 人間があらゆる場面で同じように一貫した振る舞いや言動を続けるのは本質的に無理だし、そんな生き方ではトラブルばかりが起こる。相手や場面によって違った顔が出るのは、人として当たり前であり自然。そのことが素直に納得できる。 書いてある通りに受け取って安心するのも良いし、逆に一貫性にこだわってトラブルメイカーの道を進むことで、普通の人とは違う生き方を目指す指針にもなる。 主張への賛否を別にしても読む価値がある本だった。
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現代において、いかに「私」は在ることが可能か、ここ最近の著者の小説のテーマを噛み砕いた本。小説からは想像できないほどに、いい意味でライト。
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歳をとって何となく感じていることが見事に言葉に綴られていて頷きっぱなしだった。スローリーディングの時もそうでしたが平野さんには共感することが多いです。
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人は一面ではなく、他者があって形成され、いくつもの顔を使い分ける。自分とは何かということと他者との接し方で考えさせられた。
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家族といるときの自分、会社の同僚といるときの自分、 外のコミュニティにいるときの自分、友達といるときの自分。 俯瞰してみるとやはりそれぞれ違いがある。 じゃぁ、その中のどれが本当の自分?と問われると答えは出せない。 強いていうなら全てが本当の自分と言える。 その?に本書では分人...
家族といるときの自分、会社の同僚といるときの自分、 外のコミュニティにいるときの自分、友達といるときの自分。 俯瞰してみるとやはりそれぞれ違いがある。 じゃぁ、その中のどれが本当の自分?と問われると答えは出せない。 強いていうなら全てが本当の自分と言える。 その?に本書では分人という概念で答えてくれています。 初対面の人と話すときは、「この人はどういう人なんだろう」という 手探り状態から始まり、その後の会話や周りの状況により その人向けの「分人」が自分の中に現れてくる。 つまり「分人」は相手との相互作用、環境によって生まれる。 そして「分人」はいくつも存在し、その集合体が「自分」である。 とても腑に落ちる考えだと思う。 「ポジティブな分人もあればネガティブな分人もいる。 分人が他者との相互作用である以上、、(略)、、ポジティブな分人もまた、 半分は他者のお蔭である。だからこそ相手への感謝の気持ちや 謙虚さも芽生える。」 好きな「分人」を生きる時間が長ければ、 充実していると感じることができる。 その好きな「分人」を足場にして生きていけばいいとのアドバイスには 救われる人が多いのかもしれない。 いまの自分はどの「分人」が多くを占めるのか、 どの「分人」を中心に生きていきたいのか。 嫌な自分を受け入れ、好きな自分で生きていくための 「分人」という考え方が、今まで頭の中で靄に包まれていた部分を すっかり晴らしてくれました。
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「分人」という視点はとて新鮮だった。個人の中に様々な分人がいて、様々な人との関わりで様々な分人が現れる。それらすべての分人が自分を成すものである。 この考え方は最小単位を個人として、本当の自分、仮の自分を追及していたわたしにとって、目からうろこものだった。 「分人」はすべて真実の...
「分人」という視点はとて新鮮だった。個人の中に様々な分人がいて、様々な人との関わりで様々な分人が現れる。それらすべての分人が自分を成すものである。 この考え方は最小単位を個人として、本当の自分、仮の自分を追及していたわたしにとって、目からうろこものだった。 「分人」はすべて真実の自分の姿。そう捉えることによって、ちょっと生きやすくなりそうな予感がしている。平野さんの小説もかじってみたいと思います。ひとまず「日蝕」から。
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平易な文章で、大変わかりやすく「分人」という概念を論じているが、その内容は非常に奥深く、また、人間という存在に対して大変優しい。個人的には、今のところ人間関係に深刻な悩みはないし、この手の「人付き合いの悩み解消しまっせ型新書」は疑ってかかるタイプだけれど、胡散臭くなく、とても誠実...
平易な文章で、大変わかりやすく「分人」という概念を論じているが、その内容は非常に奥深く、また、人間という存在に対して大変優しい。個人的には、今のところ人間関係に深刻な悩みはないし、この手の「人付き合いの悩み解消しまっせ型新書」は疑ってかかるタイプだけれど、胡散臭くなく、とても誠実な語り口が好感度。 また、本書全体に著者の小説についての記述が多く、ぜひ読みたい気分にさせる。(巧い宣伝?)
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分人を詳細に。三部作とも繋がっているから、頷くこと多し。他人様あっての自分なんだけど、なんだか肩の荷が下りた。
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"職場での自分は偽物。家での自分も本当の自分じゃない。本当の自分はひとりのときだけ。" なんていうような「本当の自分」っていう言葉は、「分人」という単位と概念で人間を考えると意味があまり無いことだと思えます。 「個人から分人へ」 自分のことを考える上でも、人間...
"職場での自分は偽物。家での自分も本当の自分じゃない。本当の自分はひとりのときだけ。" なんていうような「本当の自分」っていう言葉は、「分人」という単位と概念で人間を考えると意味があまり無いことだと思えます。 「個人から分人へ」 自分のことを考える上でも、人間関係を考える上でもとてもいい考え方です。
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