箱の中 の商品レビュー
女性向けBLというのはキラキラとした現実の影のないファンタジーのようだと個人的には感じています。でもこの本はそうではないです。変な泥臭さを持ち、BL界の芥川賞作と謳われたのにも妙な納得を覚えます。子供のまま育ってしまったような純粋な喜田川と、自分の信じる平穏を貫こうとする堂野。読...
女性向けBLというのはキラキラとした現実の影のないファンタジーのようだと個人的には感じています。でもこの本はそうではないです。変な泥臭さを持ち、BL界の芥川賞作と謳われたのにも妙な納得を覚えます。子供のまま育ってしまったような純粋な喜田川と、自分の信じる平穏を貫こうとする堂野。読ませる筆力は相当なもので、ものすごい勢いで一気に読んでしまいました。BLの枠をはめるのは惜しい、というのがわかるいろいろなものが詰まっていますが、登場する女性に嫌になるほど悪役しか割り振らないところなどはBLらしいですね。
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驚くほどサクサク読めて、自分の中に新しい感情が生まれた。自分の想像を超えた感情が潜んでいる広がりと可能性にワクワクした。
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名作と知りつつずっと読めてなかった&久々の木原さん本。冤罪、刑務所、もう舞台から重いし本当に木原さんの書かれる物語は人間の弱さ醜さや本質を突きつけてくるなあ!人間とは、愛とは、、、軽く人間不信になる。畳み掛けるような嫌な予感の的中と絶望、さすがとしか言えないけど、持ってい...
名作と知りつつずっと読めてなかった&久々の木原さん本。冤罪、刑務所、もう舞台から重いし本当に木原さんの書かれる物語は人間の弱さ醜さや本質を突きつけてくるなあ!人間とは、愛とは、、、軽く人間不信になる。畳み掛けるような嫌な予感の的中と絶望、さすがとしか言えないけど、持っていたものすべて剥がされたところに人の本質はあるんだね……堂本が本当に普通の男だからこそ安穏な日時から現実の絶望感とかが際立って恐ろしかった!
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だいぶ長いこと積読になっていたのを、やっと読みました。 喜多川の想いが一方的過ぎて狂気を感じた。木原音瀬さんの本は何冊か読んだけど、一方が一方を盲目的に愛す、大体そんな感じだ。この本は、最終的に喜多川と堂野をくっつけるために堂野の嫁子供が都合よく処分された、という感じがして好きじ...
だいぶ長いこと積読になっていたのを、やっと読みました。 喜多川の想いが一方的過ぎて狂気を感じた。木原音瀬さんの本は何冊か読んだけど、一方が一方を盲目的に愛す、大体そんな感じだ。この本は、最終的に喜多川と堂野をくっつけるために堂野の嫁子供が都合よく処分された、という感じがして好きじゃなかった。 講談社文庫から出ているBLとは…というのが木原音瀬さんの本に興味を持ったきっかけなので、そういう意味ではBLという枠に囚われず手に取ってもらいやすい一般レーベルから出版されるというのはいいことだと思う。新たな性癖に開眼するかもしれません。
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痴漢の冤罪で否認し続けた結果実刑判決を受け、刑務所に淹れられてしまった主人公。現実に打ちのめされながら過ごすことになった雑居房で彼は、風変わりで無愛想な、けれどやさしい一人の男と親しくなっていく… もともとはBL専用のレーベルから発売されていた小説が一般レーベルにというのも珍し...
痴漢の冤罪で否認し続けた結果実刑判決を受け、刑務所に淹れられてしまった主人公。現実に打ちのめされながら過ごすことになった雑居房で彼は、風変わりで無愛想な、けれどやさしい一人の男と親しくなっていく… もともとはBL専用のレーベルから発売されていた小説が一般レーベルにというのも珍しい展開だと思うのですが、読んで思ったのは「そもそもこれがBLレーベルで!?」という意外さでした。 まったく甘さもうっとりするような「いわゆるBL」というイメージな展開はまるでなく、どこまでも残酷で容赦のない世界で出会うべくして出会った二人がたまたま男同士で、必然として関係を持ち、結びついていくという「運命のなりゆき」を描いた物語としてこれほど隙がなく骨太なものはそうそうないのでは、と感じました。 不運によって堕ちた人間ともともとリスクを背負って育って来た人間が出会い、違う苦しみを抱えながらともに生きていこうと不器用に進んでいく。 不合理なことばかりの現実で、大切なものもひとときのすれ違いで無残にこぼれ落ちていく世界で。 それでもかけがえのない人がひとりいれば生きていけると信じられたなら、捨てたものではないのかもしれない。 そんなほのかな灯りをともして、苦くて辛い物語は幕を閉じます。あまりにほのかだけれど、すがりつきたくなるようなあたたかさがそこにあって、きつく胸を打ったのでした。
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久し振りに会った知人に「最近何か面白い物読んだ?」挨拶代わりに云ったらば、甚く勧められ手にした一冊。 刑務所の話と聞き、「モリのアサガオ」的なヒューマンドラマを予想していたのですが…そしてBL界の芥川賞と呼ばれる名作の様でして…期待が高すぎたのもありますが…うん、紛う事無きBL小...
久し振りに会った知人に「最近何か面白い物読んだ?」挨拶代わりに云ったらば、甚く勧められ手にした一冊。 刑務所の話と聞き、「モリのアサガオ」的なヒューマンドラマを予想していたのですが…そしてBL界の芥川賞と呼ばれる名作の様でして…期待が高すぎたのもありますが…うん、紛う事無きBL小説でした。 前半「箱の中」と「脆弱な詐欺師」はグイグイ読ませるものがありましたが、「檻の外」は主人公たちが結ばれる為に若干都合良すぎやしないか?と云う気もしました。全体的には、どんなに凶悪な展開も、主人公達の清廉さと正義ばかりが貫かれているのがどうにもファンタジー。其処を楽しむのがBLの嗜み方なのでしょうけれども。 この手の小説にしては文章も読みやすく、独り善がりで無い書き方には著者の巧みさを感じました。
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Holly NOVELSのみ取り扱いの地元図書館。 BL小説の出版社から離れて講談社文庫で出版されるという 垣根を越えた小説らしい。 「檻の外」の途中までが収録されているらしく、 両方読んで観た。 何軒か回った本屋さんには講談社文庫版は置いていなかった。 BLデビューである。 ...
Holly NOVELSのみ取り扱いの地元図書館。 BL小説の出版社から離れて講談社文庫で出版されるという 垣根を越えた小説らしい。 「檻の外」の途中までが収録されているらしく、 両方読んで観た。 何軒か回った本屋さんには講談社文庫版は置いていなかった。 BLデビューである。 前半は喜多川の純粋さというよりは強引さが怖くて怖くて。 でも堂野は驚きつつも怖がってない様子なのが不思議だった。 後半で愛を理解する喜多川に驚いた、堂野って、愛ってすごい。
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凄い 最初から最後までとにかく目が離せない 良い方向へのご都合を許さない厳しさと 三浦しをんの言うところの「うっとり」の配合が絶妙 美しい
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木原音瀬さんの小説を初めて読んだけど、文体が淡々としているのにびっくりするほど登場人物の気持ちが伝わってくる。BLにありがちなお約束展開は一切存在しないし、王道のラブストーリーが読みたい人にはお勧めできないけど、人間の卑劣さと純粋さを愛を通して痛いくらい表現している作品だと思う。
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もともとはBLノーベルから2冊出版されていたものが一般書として文庫化したものだと知り、驚きましたが「BL」と一括りにしてしまうのはやっぱり惜しい作品。痴漢冤罪、詐欺、不倫、殺人、そして、人を愛することとは一体何なのか?様々な人間の心理や感情を痛いほどに追求し描かれていて、こんなに...
もともとはBLノーベルから2冊出版されていたものが一般書として文庫化したものだと知り、驚きましたが「BL」と一括りにしてしまうのはやっぱり惜しい作品。痴漢冤罪、詐欺、不倫、殺人、そして、人を愛することとは一体何なのか?様々な人間の心理や感情を痛いほどに追求し描かれていて、こんなにも人間の心理を突きながら心に深く入り込んでくる恋愛小説は他に無いと思います。
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