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光圀伝 の商品レビュー

4.4

379件のお客様レビュー

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    170

  2. 4つ

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2012/09/26

テレビの黄門様のイメージが強い水戸光圀の幼少期から晩年までを描ききった大作。 700ページを超える分厚さだが、本を支える腕の疲れを忘れるほど面白く没頭した。 光圀は小市民の自分にはほとんど共感できない高みを目指す人物ではあるが、子供時代の屈託、詩に対する思い、自らの義を通そうとす...

テレビの黄門様のイメージが強い水戸光圀の幼少期から晩年までを描ききった大作。 700ページを超える分厚さだが、本を支える腕の疲れを忘れるほど面白く没頭した。 光圀は小市民の自分にはほとんど共感できない高みを目指す人物ではあるが、子供時代の屈託、詩に対する思い、自らの義を通そうとする姿勢などが胸に迫ってくる。ただ、儒教や詩について知識があったらもっと面白かったかも。 後半は藩主としての治政、将軍家との関わりなど政治的なエピソードが多くなり、光圀のエキセントリックさは影を潜めるが、日本史的に有名な事件にも言及されていたりするので興味深かった。 『天地明察』でおなじみのキャラも少し登場するのが嬉しい。

Posted byブクログ

2012/09/26
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ものすごくよかったです。 人物がとても魅力的で、それゆえに何度も泣かされてしまいました。 義とは何か 自分の生い立ちからそれを考えざるを得なかった光圀が いかに自分の義をなして さらには、ほかの者の義にどう向き合ったのか。 大変ボリュームのある本なのですが 読み応え充分どころか、通り越して大満足。 さらには、友人にどうぞどうぞと、薦めています

Posted byブクログ

2013/12/23
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良くも悪くも「若さ」こそが冲方丁の最大の魅力だと『天地明察』と続けて読んで思う。若干35歳という若き作家がこのような長編歴史小説をさらりと書いてしまうことも驚くべきことだが、若い作家だからこそ書ける歴史小説だとも思う。それは光圀の青春期の姿から伺える。 「なぜ俺なんだ」 次男の身でありながら世継ぎとなって苦しむ光圀。物語はその光圀がある解決策を持って大義を成すまでに焦点を当てている。陳腐な言い方ではあるが、それは「アイデンティティ」という文脈で捉えれば非常に分かりやすい。青春期おける光圀は「なぜ俺が世継ぎなんだ」という疑問を持って、一旦自我を失う。自暴自棄になり、遊郭通いに没頭し、放蕩を重ねる。しかし、青年期に入り、理解ある友人に恵まれた光圀は、学問の世界に己を見出すことで、己の成すべき大義を見つけ、「アイデンティティ」を取り戻す。時代背景は江戸時代の初期ではあるが、それは現代に生きる若者にも通じるものがある。いつの時代でも若者は「自分はこれから何をすればいいのか?」という将来に対する漠然とした不安を抱え、それにもがき苦しみながら、やがてあるきっかけで自分の進むべき道を見出していくのだ。普遍的なテーマを持っているからこそ、この小説は力強い。 冲方丁がこうした「若者のアイデンティティ」をテーマとしたのは『光圀伝』が初めてではない。『天地明察』でも安井算哲という算術家を通して、同じような題材を扱っている。あるいは、冲方丁の「アイデンティティ」の追求は己の生い立ちに深く関係しているのかもしれない。海外生活が長く、「日本語に飢えていた」という幼少時代。多感な時期に様々な文化に接触することによって、自身のアイデンティティにも深く考察する時間があっただろう。安井算哲や光圀の煩悶する姿は冲方丁自身に重なる。 大義を成すことでクライマックスを迎えた今作『光圀伝』。それ故に、それ以降のエピソードが少々惰性と感じることがないわけではない。「なぜあの男を殺めることになったのか?」という序盤から引っ張った伏線は、あっさりと片付けられてしまったのは物足りない。それでも、幼年期から青春期、青年期にかけての光圀の姿はそれを補って余りある魅力に満ちている。いずれ大河ドラマになっても不思議ではない、この壮大な歴史小説を書ききった若き大作家に今後も期待したい。

Posted byブクログ

2012/09/25

己の卒業アルバムを読んだときに味わう、何とも言えない懐かしさと寂寥感。これを彷彿とさせる書。 750頁に及ぶ大著でありながら一気に通読。 しかし、泰姫のキャラが余りにも強烈過ぎて…

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2012/09/24

久しぶりにのめり込んだ小説! 自分の中で水戸黄門こと光圀のイメージは 1.大日本史を編纂 2.朱舜水を師匠に学びラーメンを食った人 3.若い頃の趣味は辻斬り だったが、これを読んで「詩で天下を取る」と熱い思いを持ち、勉学に励み、暴力ではなく筆力や舌力で人を動かした義に熱い人と...

久しぶりにのめり込んだ小説! 自分の中で水戸黄門こと光圀のイメージは 1.大日本史を編纂 2.朱舜水を師匠に学びラーメンを食った人 3.若い頃の趣味は辻斬り だったが、これを読んで「詩で天下を取る」と熱い思いを持ち、勉学に励み、暴力ではなく筆力や舌力で人を動かした義に熱い人という好きな歴史人物の一人になった。 また、光圀だけでなく読耕斎や泰姫、介さんなど魅力的な人物が多いのも良かったし、その人達との離別のシーンには涙… 次は天地明察を読む!!

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2014/01/27

長編であるが、個性ある登場人物が生き生きと描かれ、面白く、一気に読んだ。 ただ、最後に明かされる紋太夫の「我が大義」は予想外というか飛躍し過ぎて、拍子抜けした。 その点で若干マイナスだが、良い本だった。

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2012/09/18

「天地明察」の光圀が魅力的だったのでかなり期待して読んだ。 光圀はもちろん水戸家家臣、林家などなど味のある人物がぞろぞろ出てきておもしろかった~ 冲方さん、次は何を書くのか楽しみです。

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2013/05/07

水戸黄門のイメージしかないひとに是非読んでほしいなと思う一冊。 「誰もがいずれ去らねばならない。だからこそ世にあることの義を思って生きるべき」 冲方さんがなぜ光圀を選んだのかが納得できる、とても魅力のある御方でした。

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2012/09/16
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手に取ってびびった。700ページもあるんだもの(笑)。 タイトルどおり水戸光圀の人生だが、「水戸黄門」の好々爺といったイメージより、若いころ辻斬りを行っていた殺人者のイメージか「天地明察」ででてきた「やたら血の熱い人」というイメージのほうが近い。 「天地の狭間にあるもの悉くが師である」と文中にもあるが、父 頼房、兄 頼重、妻 泰姫、叔父 義直、宮本武蔵、沢庵、山鹿素行 林羅山、林読耕斎、後水尾院、冷泉為景、左近、保科正之、朱舜水 などと出会い、学び、見送る。といったのが大まかな流れ。(その中で、自らの存在の確立、詩作、領地経営、史書編纂などを背景に物語はすすむ)。 ただ見送るでいえば例外は冒頭で誅する家老で、「歴史は連綿と続くわれわれひとりひとりの人生である」という記述からその歴史を断ち切る(ひっくり返す)からだった…かな? 4つの治道の記述と硬直化した幕府組織の描写がよい。

Posted byブクログ

2012/09/16
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テレビ番組のイメージが強く、若かりしころの姿や暮らしぶりは想像だにしなかった「黄門様」。徳川御三家の世子として、どう育っていったのか、周囲の人間関係含め、闊達に描き出してます。そのボリュームたるや圧巻ですが、「眉目秀麗な源氏の中将様」と、光源氏を彷彿とさせるイメージ作りや取り巻くキャラクターの設定など、これからどんどんスピンアウトできそうな内容。光の当たるところも、そうでないところも描いているところにも魅力があります。

Posted byブクログ