1,800円以上の注文で送料無料

光圀伝 の商品レビュー

4.4

379件のお客様レビュー

  1. 5つ

    170

  2. 4つ

    127

  3. 3つ

    40

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2013/01/08

「天地明察」に次ぐ第2弾。すばらしい本に出会った。「明察」が傑作だっただけに2作目は厳しいと思っていたが、初めて山本周五郎「樅の木は残った」や司馬遼太郎「竜馬がゆく」高橋克彦「炎立つ」を読んだ時のような衝撃。しかも、単なる伝記ではなく、詩文の世界の頂点を目指す光圀、大義を追い求め...

「天地明察」に次ぐ第2弾。すばらしい本に出会った。「明察」が傑作だっただけに2作目は厳しいと思っていたが、初めて山本周五郎「樅の木は残った」や司馬遼太郎「竜馬がゆく」高橋克彦「炎立つ」を読んだ時のような衝撃。しかも、単なる伝記ではなく、詩文の世界の頂点を目指す光圀、大義を追い求める光國が、生き方のすべてを「義」の一点に集約させるために手塩にかけて育てた家老を自ら殺さなければならないドラマを中央に置いたかつてない小説。750Pの長編ということもあり「明察」ほどには受けないだろうが、文句なしの★★★★★。こちらの方が遥かに衝撃が深い。幾度も涙をこらえねばならない場面もあり、ゆっくりと時間をかけて何度も戻りながら読んだ一冊。 「大日本史」編纂という大事業。何故この世に歴史が必要なのか。「人が生きてこの世にいたという事実は、永劫不滅である。」と。 長たるもののあるべき姿も示す。「藩主として最初になさなければならなかったことは「宣言」である。・・藩主とは「託す者」である。託すことの重さこそ、宣言の重さであろう。史書は宣言の軽薄を教えるものではない。宣言ののちに到来する人の世の重みをいかにして背負うかを教えるものである。」 尚、光圀の字は、もとの「國」は惑いに通じることから、晩年、八方の字「圀」に置き換えた不惑の名ということ。

Posted byブクログ

2012/10/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 これは凄い。「天地明察」より深いなと感じました。「天地明察」は歴史物にしては軽いなあと思っていたんですが、「光圀伝」は読みごたえも充分で、まさか水戸黄門(いやもうこれが有名すぎて)で来るとはなー、やられたー、という感じです。  黄門様こんな方だったのね……。近頃は、歴史上の人物が登場する作品を読んだ後はウィキペディアも読むことにしているのですが、史実もしっかり押さえられているようで、この一生の書かれ方は見事だな、と。  ラーメン作る件は創作だろうと思って読んでいたのに、史実のようで……おおすごい。  それと、個人的に、儒学など中国思想が好きなので、その点も読んでいて非常に面白かった。  藤井紋次郎がなぜ手打ちにされたのか、の理由は創作のようだけれど、紋次郎の利発すぎることを散々書いてからの、あの大政奉還を狙っているという流れだったので、ゾクっとしました。うん、あの告白のシーンすごいかった。ついつい、「もしも、五代将軍の頃に大政奉還がなっていたら」なんてことを考えてしまいましたもの。  いやー、良かった。面白かった。    あ、ちょろっと安井算哲と絡んだのも面白かった。いらないエピソードといえば、そうとも言えるけれど、「天地明察」を既読で好きならば、ニヤっとするので、いいな、と。  次、山県さん中心でどうでしょう。そしてまたちょろっと前作と重なっていくという感じで。(って誰に語りかけているのか)

Posted byブクログ

2012/10/07

文句なしの5つ星。休日を丸一日捧げてしまった。 作者は光圀を通じて何を言いたかったのか。作家ならぬ身ではうまく表現できないが、ただ、人の営みが縷々と積み重なっていく時間の重さを感じた。 天地明察は傑作だと思ったが、本作はそれをさらに上回る出来だと思う。作者のただならぬ労力に脱帽。

Posted byブクログ

2012/10/07

作者2作目の歴史小説。美事! 前作との関係もあり、(否定するわけではなく)いい意味でラノベ的手法かも。

Posted byブクログ

2012/10/05

「生涯に、この本と出会って良かった」と思える本の一冊!700頁余の大部で、読み終えるのに一苦労かと思ったが、光圀の世界に浸り、次々に読み進み、最後の頁をめくるのも惜しくなる、もっと光圀と付き合っていたい、そんな気持ちにさせる良書である。光圀といえば、助さん格さんを従えた水戸黄門、...

「生涯に、この本と出会って良かった」と思える本の一冊!700頁余の大部で、読み終えるのに一苦労かと思ったが、光圀の世界に浸り、次々に読み進み、最後の頁をめくるのも惜しくなる、もっと光圀と付き合っていたい、そんな気持ちにさせる良書である。光圀といえば、助さん格さんを従えた水戸黄門、あるいは大日本史の編纂者ぐらいの知識しかなかったが(葉室麟の「いのちなりけり」の冒頭に光圀の紋太夫上意打ちの場面があり、光圀の別の面のある予備知識はあったが)、この作品によって初めて光圀の全体像を知った。類まれな資質に恵まれた光圀は、さらに良き理解者、優れた仲間に囲まれる。頼房、頼重、泰姫、読耕斉、保科正之、等々。なかでも、左近のなんて魅力的な女性なことか、思わずほれぼれしてしまう。そしてひたすら大義に邁進する。しかし、多士済々に恵まれながらも、やがて彼らと幽明境を異にせざるを得ず、ひたすら死者を見送るばかりの後半生。光圀の哀しみ、そして苦悩、光圀の心持はいかばかりか。読みながら、無人の泰姫の部屋の場面では、光圀とともに思わず涙した。 比類なき才能の渋川春海、豪放磊落大義のひと水戸光圀。何ともスケールの大きな英雄を、我々に呈示してくれた冲方丁氏は次にはどのような人物を登場させてくれるのか。

Posted byブクログ

2012/10/04

「義」を貫くため、不器用なほど真っ直ぐに生き抜いた光圀の一代記。 751頁の大作ながら、飽きることなく読ませる筆力は「天地明察」から一段と上がったような気もする。 テレビドラマのイメージが強いため、晩年は好々爺の諸国漫遊の世直し旅をしていたと思われがちだが、晩年までの精力的な働き...

「義」を貫くため、不器用なほど真っ直ぐに生き抜いた光圀の一代記。 751頁の大作ながら、飽きることなく読ませる筆力は「天地明察」から一段と上がったような気もする。 テレビドラマのイメージが強いため、晩年は好々爺の諸国漫遊の世直し旅をしていたと思われがちだが、晩年までの精力的な働きっぷりを読む限り、そんなことをする暇はないだろう。 「天地明察」の映像化にあたっては、作品の深い内容を2時間余りにまとめるには無理を感じ得なかった(それに恋愛映画みたいになっちゃってたし…)。本作がもし映像化されるにあたっては大河ドラマとか、じっくり時間をかけて見せる映像にして欲しいものだ。 あるインタビューで「次作は清少納言を書いてみたい」と言っていたが、著者がどう平安時代の女流作家の生涯を描くのか楽しみである。

Posted byブクログ

2012/10/03

いやあ、これは大作であった。かの大作、天地明察を凌ぐボリュームでありながら、一気読み必至であり、読み進めるにつれ、話が終わることが惜しくなるのは久しぶりである。人の一生を描く伝である以上、その誕生から死去までの全てを、偉人とはいえ、今は亡き過去の人間像を深堀した話を紡ぎだすための...

いやあ、これは大作であった。かの大作、天地明察を凌ぐボリュームでありながら、一気読み必至であり、読み進めるにつれ、話が終わることが惜しくなるのは久しぶりである。人の一生を描く伝である以上、その誕生から死去までの全てを、偉人とはいえ、今は亡き過去の人間像を深堀した話を紡ぎだすための取材と知見は、一体、如何程であったであろうかと思うと、素直に脱帽である。何故、自分なのかというレーゾンデートルに悩む幼少期と青年期から、それを義として見出し、それを助ける伴侶と友人を得た以降の壮年期が圧巻である。話は時間軸とは別に己の回想を交えながら進行するが、その回想に大きくかかわる、お手打ちに至るまでの伏線は武蔵の時代から延々と張り続けたせいか、その結末は少々、拍子抜けに終わったが、それも又、良いだろう。それにしても煌びやかに登場する歴史上の人々を生き生きと描き、まさしく人が生きたことを後世に残すという意味においては、光圀の想いに通じるものがあるだろう。いやあ、まいった。これでは、万能兵器たる鼠の物語や、天かけ地を駆る妖精達の続きを、一体いつ書いていただけるのか、でも歴史ものも読みたい、どれでもよいから早く次回作をお願いしたい。

Posted byブクログ

2012/10/02

一言、壮大だった。天地明察にも劣らぬ内容で、死を隣にあるものとして生きる時代の者たちの人生が如何に熱く、信念をもって生きていたか伝わった。義を真っ当しようとした光圀はもちろん素晴らしいが、心が最も震えたのは泰姫が光圀の義を理解し、子の取り替え案を告げた瞬間だ。また泰姫臨終の際の生...

一言、壮大だった。天地明察にも劣らぬ内容で、死を隣にあるものとして生きる時代の者たちの人生が如何に熱く、信念をもって生きていたか伝わった。義を真っ当しようとした光圀はもちろん素晴らしいが、心が最も震えたのは泰姫が光圀の義を理解し、子の取り替え案を告げた瞬間だ。また泰姫臨終の際の生きたいという言葉には涙なくしては見れなかった。そして読耕斎、左近、頼房、頼重、ことごとくあっぱれな生き様の人物たち。賞賛は尽きないが、この本は人生において出会って良かったと思える一冊となった。

Posted byブクログ

2012/10/01

面白かったです。 とにかく、少年~青年の光圀が可愛くて仕方ないっ 非常に軽い言葉を使わせてもらえば、「萌え!」の一言w 沖方氏は、人物をとても魅力的に描かれますね。 それによって、あるいは史実より遠ざかる部分もあるかもしれないけれど、こんなに面白く物語を読めて、登場人物を愛せる...

面白かったです。 とにかく、少年~青年の光圀が可愛くて仕方ないっ 非常に軽い言葉を使わせてもらえば、「萌え!」の一言w 沖方氏は、人物をとても魅力的に描かれますね。 それによって、あるいは史実より遠ざかる部分もあるかもしれないけれど、こんなに面白く物語を読めて、登場人物を愛せるのは至福。

Posted byブクログ

2012/10/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

水戸黄門こと徳川光圀の生涯を描く歴史小説。 多くのエピソードを持つ徳川光圀を少年時代からその死までを描く大河小説でありながら、エンターテイメント性もある作品に仕上がっています。 「水戸黄門」の講談的魅力とはまた異なる、その人間性の本質にも迫るものがありました。 構成的にも冒頭の家臣の殺害に至るミステリー的な要素(ちょっと強引な動機かも)もあり、大作ながら、最後まで読ませます。 特に読耕斎や泰姫との心からの交流と別れ、左近の存在による死者の如在感、紋太夫との大義における信頼と破綻が感動させます。 もちろん、スケさん、カクさんも史実に則って活躍しますし、綱吉との確執も上手に処理されています。 また、「天地明察」とのリンクもあり、「天地明察」からの読者サービスもあります。 次回作も大変期待できそうです。(次は保科正之かな)

Posted byブクログ