サエズリ図書館のワルツさん(1) の商品レビュー
紙の本はなくなるのか、資源的な問題があったかぁと考えてしまいますが、やはり絶対なくならないと思うんですよね。
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本でなければいけない理由ってなんだろう。 スマートフォン等々の電子機器の普及に従い、現代には電子書籍があふれるようになりました。「本」というものを、紙媒体とも呼ぶようになりました。そこには少しだけ、紙であることと電子であることの間に境界を無くそうとする意図のようなものを感じてしまったりもして。 言葉にならない「本」への愛を、この物語が教えてくれました。 紙であるところの本が希少価値を持つようになった「戦後」の世界。サエズリ図書館で働く特別探索司書のワルツさんこと、割津唯と、図書館を訪れる人たちの物語です。 物語を読んで、紅玉さんのあとがきを読むと、いつも胸がじんとしてしまいます。物語を創る人の想いと、そして何より、本を愛する人の想いを感じるからかもしれません。きっとこの物語は、紅玉さん自身の物語でもあったのだろうな、と。 本でなければいけない理由とはなにか。 ワルツさんにとっては、データは魂でした。けれど魂だけでは、体、質量がないから触れることができない。だからこそ、本がそこにあってよかった、と思うのです。ワルツさんの父親の残した膨大な本は、決してワルツさんを独りにしない。そして彼女も、その本たちを決して手放さない。ワルツさんはそんな自分をずるい人間だと言ったけれど、それはきっと、愛と呼ぶべきものなんだろうなと考えていました。 本じゃないと嫌だ、とは、言わないけれど。言えないけれど。 それでも、本がいい、と思うのです。
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4つの短編に分かれていて、主人公もいろんな人がいて、読んでいて飽きなかった。 紙の本が読まれなくなった未来の話だった。電書は、とても便利かもしれないけど、紙の本にしかない良さというものが、あるのかも知れないなぁ…っとシミジミと感じました。
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本かデータか、という深く考えたことがないテーマを扱ったものだったので興味深く読んだ。 どの章にも思うことがあったし、考えるきっかけになったと思う。 ただ、「…で。」とか「…から。」なんかのやたらと切れる文章は素人の二次創作みたいで苦手。(少女向けラノベ風?) 登場人物もちょっと行...
本かデータか、という深く考えたことがないテーマを扱ったものだったので興味深く読んだ。 どの章にも思うことがあったし、考えるきっかけになったと思う。 ただ、「…で。」とか「…から。」なんかのやたらと切れる文章は素人の二次創作みたいで苦手。(少女向けラノベ風?) 登場人物もちょっと行動が極端で好きになれなかった。 結局みんな良い人というのもワルツさんこそ正義という雰囲気も、なんかなあ。
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紙の本が貴重な近未来の話。 第三次世界大戦を終えた世界。 本を愛する人、嫌いな人、無関心な人、様々な人がサエズリ図書館やワルツさんとともに様々な想いを紡ぐ物語。 「第一話 サエズリ図書館のカミオさん」 ついてないOL:上緒さんがサエズリ図書館に、そこに通う人に、そして特別探索司書である割津唯と出会い、少しずつ本に興味を持ち出す。 「第二話 サエズリ図書館のコトウさん」 学校の教師且つ作家:古藤さんが娘への想い、本への想いを再認識する。 「第三話 サエズリ図書館のモリヤさん」 貧乏を嫌い、本に興味もないお金第一の会社員:森屋さんが、サエズリ図書館に寄贈された祖父の本から祖父の想いを知る。 「第四話 サエズリ図書館のワルツさん」 図書館の本が盗まれたため、取り返すべく都市部(シティ)へ出かける割津さん。脳外科医:割津義昭との過去を想起し、盗みを働いた犬塚遠に語りかける。
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「あぁ、うん。だから紙の本が好きなんだよ」と頷きたくなるような優しい描写に、作者の紅玉さんは本当に本を愛しているんだなぁと感じました。 あとがきにあった 電書ですか?本ですか?の問いに 彼女たちは何度でもやはり、本ですと答える。 その理由を探し続けるシリーズ というのが胸を打ち...
「あぁ、うん。だから紙の本が好きなんだよ」と頷きたくなるような優しい描写に、作者の紅玉さんは本当に本を愛しているんだなぁと感じました。 あとがきにあった 電書ですか?本ですか?の問いに 彼女たちは何度でもやはり、本ですと答える。 その理由を探し続けるシリーズ というのが胸を打ちました。 私も登場人物たちと共に探し続けたい。そう思えるお話でした。 取りあえずは私も「もじゃもじゃ頭の小さな女の子が出てくる、山吹に近い色をしたカバーのない固い表紙の、長く読みつがれた海外児童文学の愛蔵版」と「同じ作者の少し大人向け短編集」を近所の図書館に借りに行こうかな。
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カオさん推薦。本が大好きな気持ちや、司書のあるべき姿の一つは、とてもよく伝わってきた。でも、こういう設定じゃなきゃダメなのかな。そこが魅力なのかもしれないが、個人的にそれは苦手。
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存続が危ぶまれている図書館の司書には、心に響きました。 ワルツさんの本に対する情熱、利用者さんへの思い、見習いたいです。 電子書籍を買ったからと、たくさんの本を寄贈してくれる方が来ると、図書館や紙の本の行く末が本当に心配になります。 でも、紙の本の役目や図書館の役割はまだまだ大...
存続が危ぶまれている図書館の司書には、心に響きました。 ワルツさんの本に対する情熱、利用者さんへの思い、見習いたいです。 電子書籍を買ったからと、たくさんの本を寄贈してくれる方が来ると、図書館や紙の本の行く末が本当に心配になります。 でも、紙の本の役目や図書館の役割はまだまだ大切だと信じて…仕事もガンバろう! 続巻、楽しみに待ちます。
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紙の本がとてつもなく貴重品となってしまった近未来と思われる世界でのお話。 サエズリ図書館というのは私設の図書館で、ワルツさん(割津という苗字)はそこの代表であり特別探索司書である。 この世界では、第三次大戦が過去にあったらしく、その前後で世界の情勢は一変してしまったことが類推される。 とは言っても、別にマッドマックスのような荒廃した世界ではなく、インフラは現代よりも退行しているようだが、人々はそれなりに平和に暮らしているようである。 ただ、最初から漂う言い知れぬ不安感に疑問を感じつつ読み進めると、最後の短編での汚染され廃墟となった都市部の様子を読んで、初めてこの世界の深刻さに気付く。 そんな状況でも本を愛し、ただ本を貸し出すことによって、ワルツさんは日々を懸命に生きている。
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内容は、紙媒体としての本を愛する人々。 この話がWEB公開されているんだよなー。 そこが面白いよなー。 個人的には、WEBは読む気がなくなってしまうので こうして紙にしてくれた方が、やっぱりいいな。 三話の、おじいちゃんと孫のはなしが... どうにも弱いです。おじいちゃん大好き。 ワルツさんにも色々隠されているみたいなので 続刊も期待。本になってから、読もう。
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