サエズリ図書館のワルツさん(1) の商品レビュー
なんでもない日常をいやらしくない絶妙な具合で切り取る物語。偽善じゃない、一人じゃない、優しい空間。優しいだけでは世界は成り立たない。失われたもの、取り戻せないもの、生活を営む上で感じる様々な感情。包み込む優しさ。聖人でなく人間であるから嬉しかったり悲しかったり、生まれてきてよかっ...
なんでもない日常をいやらしくない絶妙な具合で切り取る物語。偽善じゃない、一人じゃない、優しい空間。優しいだけでは世界は成り立たない。失われたもの、取り戻せないもの、生活を営む上で感じる様々な感情。包み込む優しさ。聖人でなく人間であるから嬉しかったり悲しかったり、生まれてきてよかったと思ったり思わなかったり、そんな日常。 「本」そのもの自体が至高のものというわけではない。時代は変わる。想いは変わる。関わっている人々がいる限り本という媒体は途絶えることはない。
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うーん期待していただけに残念。舞台は電子書籍が普及したあまり、紙の本が極端に高額で珍しいものになった時代。まず、現代じゃなくて未来の話なのだと分かってくるのが遅すぎます。完全にそれに気づくまで、意味が分からないまま読み進めなければいけないのは苦痛です。伏線のつもりならもっと上手く...
うーん期待していただけに残念。舞台は電子書籍が普及したあまり、紙の本が極端に高額で珍しいものになった時代。まず、現代じゃなくて未来の話なのだと分かってくるのが遅すぎます。完全にそれに気づくまで、意味が分からないまま読み進めなければいけないのは苦痛です。伏線のつもりならもっと上手く仕込めと言いたい。あと、所々日本語が変。これまた読みにくい。他にもツッコミどころは山のようにあります。例えば、ワルツさんが本の横で煙草を吸う話。書庫では湿度はある程度低く保たれるべきであり、燃えやすい環境に燃えやすい物が詰め込まれているのだから、本を扱う者として火気厳禁は常識のはずです。加えて煙草は臭いもつきますし。それを貴重な古本ばかり集めた場所で吸うというのは、彼女の本への愛情と矛盾すると思います。そもそもどうしても必要な設定でしょうか。読めば読むほどテンションが下がって、それでもなんとか読了した時、この小説の登場人物のうち誰も好きになれなかったことに気づいて悲しくなりました。こんなにひどいもの読んだのは、食堂かたつむり以来かも。表紙と題名だけで期待してしまいましたが、失敗だったようです。続きものらしいけれど、私にはもう無理。
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最初はごくごく普通の図書館の司書さんのお話だと思いました。 でも違いました。 ちょっとだけ贅沢な、何処からお金を得ているのかわからないお金持ちの娯楽な感じの私設図書館……そんなお話だと思っていました。 設定は多分、今より先の未来の話。 あんまり話すとネタバレになってしまう……というか、「何でだろう?」「何でだろう?」と思って読む楽しみを奪ってしまうので、ちょっとだけ秘密にしながら、感想とちょっとしたあらすじを。 物語は私設図書館である事は間違いなくて、そこはとある理由で今ではなかなか手にする事もできない紙の本を登録するだけで、誰にでも無料で貸してくれる図書館。 ただし、本を傷つけたり、盗んだりする事は厳禁。 そんなことをしたら特別探索司書のワルツさんが地の果てまでだって追いかけてきます。 だって、ワルツさんは本は貸してはくれるけれど、誰にも一冊たりとも譲るつもりはないのだから。 どうしてワルツさんにそんなことが可能なのか……はこの本の終わりの方までの秘密なので、大事にとっておくとして。 ワルツさんにもワルツさんの事情があって。 本を一冊も譲る事もできなくて。 貴重な文化的な資料である本を貸す事を怒られたり。 こっそり一ページ持ってかれたりもするけれど。 ワルツさんにはワルツさんの矜持があって、とても頑固だなーって思うんですけど、なんだか、そういうのって作者さんにとっても似てるような気がしました。 この作者さんが書く本の主人公って、いつも信念がある。 自分がそれを選んだんだって矜持がある。 だからぶれないし迷わない。 この巻では、ワルツさんが本を誰にも譲れない理由はわかったけれど、どうして私設図書館を開くようになったのかは書かれていないので、それはこれから先に明かされていくのでしょう。 楽しみにしています。 ちゃんと2巻も出たし、買ったので、時間を見つけて少しずつ読んで行きます。
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サエズリ図書館で繰り広げられる様々な人と本との出会いと関わり。漂う雰囲気が今自分達の居る世界や時代と違い、緊張感というか痛みが感じられるな~と思ったら、あとがきを読むとやはり東日本大震災に少なからず影響を受けたみたいです。たびたび登場する「良い読書を」というセリフに本に対する思い...
サエズリ図書館で繰り広げられる様々な人と本との出会いと関わり。漂う雰囲気が今自分達の居る世界や時代と違い、緊張感というか痛みが感じられるな~と思ったら、あとがきを読むとやはり東日本大震災に少なからず影響を受けたみたいです。たびたび登場する「良い読書を」というセリフに本に対する思い入れが感じられます。
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表紙から想像するに、ほんわかしたお話かと思ったら。 意外や現在より先のお話なのね。 もう一般的に本は読まれず、高尚な存在になってる未来。 それだけじゃなく、内容を読み進むうちに今より住みづらい世界になってるというか・・・ あとがきを読んで納得。 私も同じ病に思い悩みますから。
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電子書籍化が進み、紙の本が希少になった時代。人々はタブレット端末を多様化した。サエズリ図書館では本の大切さや、本を愛する人のあたたかい気持ちがやわらかく包みこむように描かれている。 本はやっぱり本でなくちゃイヤだと強く思わせてくれる1冊。
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少し未来の、紙の本がほとんど電子書籍に駆逐されてしまった、そんな時代のお話。 本は、なくならないよ。 誰かが昔言っていたことを、不意に思い出したのですが。 どんなに電子書籍が便利だとしても、紙ではないというその一点で紙の本には劣るのです。 私はやっばり、本がいい。 あの、真新しい...
少し未来の、紙の本がほとんど電子書籍に駆逐されてしまった、そんな時代のお話。 本は、なくならないよ。 誰かが昔言っていたことを、不意に思い出したのですが。 どんなに電子書籍が便利だとしても、紙ではないというその一点で紙の本には劣るのです。 私はやっばり、本がいい。 あの、真新しい本を開いた時のインクのにおいや、古びた紙のにおいがいい。 魂、には、器が必要だと、思うのです。 本が電子化しはじめてる時代だからこそ、読んで欲しいおはなしです。
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緑に溢れたのどかな町にあるガラス張りで丸いフォルムの 美しく静謐なサエズリ図書館。 「図書館戦争」とはまた事情が違うけど、本が紙媒体であることが 本来の姿ではなく、電子に役目を変わられて、本がとても 珍しく高価で貴重なものになり、図書館は過去の遺物のような 存在となり、自分たちで制御しきれない力を人間が暴走させて しまった代償を背負っている時代のお話。 特別な資格「特別図書探索司書」を持っている、図書館の代表で 若く美しい割津(ワルツ) 唯さん。 本に埋め込まれたマイクロチップで本がどこにあっても その本の位置情報にアクセスができるワルツさん。 本がとても貴重となってしまった時代の中で 特に貴重な資料でも、本の損傷が激しくて修繕が必要なものや 一部の特別な本以外は無料で貸出もしてくれるサエズリ図書館。 でも、貸した図書はなにがあっても返却してもらう。 それが唯一のルール。 本を読む習慣がなく、本が読めなかった上緒さん。 どうしたら本が読めるようになるかとの問いに 「好きになれば読める」面白ければ好きになるし、 ディスプレイで読むことと紙で読むことは「同じことだし、違うこと」 と話してくれた老人、岩波さん。 「嬉しい日の読書は楽しいし、悲しい日の読書も、格別だから、大丈夫」 たしかに。本でしか感じられない空気や過ごせない風景もある。 本の中からするすると流れてくる景色や感情、物語に 心を任せて埋没していく幸せが、サエズリ図書館のそこここから溢れていて、 改めて本を読めることの幸せを噛みしめたり、感謝したり。 より本が好きになったり。 絵本から抜け出したような、現実味のない綺麗な子供、 本が嫌いな警備のタンゴくん、我が子に1冊の本を 語り継ぎたいと思う母親。 本の電子化。本がデータ化されることの便利性、かさばらず 資源も使わず、紙の本にできないことを可能にしてくれることや 素晴らしいこともたくさんあること。 「データは本じゃない、と言うかね?」 との問いかけに「データが魂だ、と思います」というワルツさん。 「魂だけじゃ抱きしめられない」 「どうして本なのかははっきりと答えらないけど、わたしの 宝物が本でよかった。そう思います」と言うワルツさん。 私もどうしてそんなに本が好きか、紙の本であることの 必要性を問われれば、すべてを言葉として取り出して 理由づけることができないけれど、やっぱ手で触って その本その本の手触りや匂い、本から感じる温度や音、 行間、装丁に込められた想いも含めて 本であることの感動が忘れられないから、やっぱり今日も本を手にとる。 抱きしめるという行為は、生き物同士に限らず とても大切で幸せな行為だなぁと改めて実感したワルツさんの言葉。 少しずつ明かされていく、何も持たずに始まったワルツさんの原点。 愛の証となった記憶回路(ネオメモリー)。 本に固執しながらも、本より大切なことがあることも知っているワルツさん。 本は死なない。 愛する人が、いる限り。 本の世界。人間の世界。愛情。記憶。 失われるもの、後に残るもの。 本と本を愛する人たちへのあったかく包むように佇むサエズリ図書館。 これからもたくさんの物語をサエズリ図書館の中で読みたいなぁ。 小説に先駆けて読んだ、コミカライズ版のサエズリ図書館も とっても素敵だったから、コミックス化されるのも楽しみ♡
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本が手の届かないほど遠くにあると思っていたこと。 本が母と娘を繋ぐ絆であったこと。 本が祖父への畏れであり、忘れ得ぬ思い出であったこと。 そして、強すぎる願いゆえに、たった一冊の本すら手放せないこと。 そこにあるすべての本には数え切れない“想い”があり、そこに集うすべての読者に...
本が手の届かないほど遠くにあると思っていたこと。 本が母と娘を繋ぐ絆であったこと。 本が祖父への畏れであり、忘れ得ぬ思い出であったこと。 そして、強すぎる願いゆえに、たった一冊の本すら手放せないこと。 そこにあるすべての本には数え切れない“想い”があり、そこに集うすべての読者にはその数だけの“物語”があった。 さえずり町のサエズリ図書館。 それは本の“未来”が収められた、美しく、不思議な図書館。 紅玉いづきが詠う、すべての書物への未来譚(ラブソング)——。 あなたにとっての大切な一冊は、きっとここでみつかる。 ■『最前線』での試し読みはこちらです。 http://sai-zen-sen.jp/fictions/saezuriwaltz/
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紙の本はなくなるのか、資源的な問題があったかぁと考えてしまいますが、やはり絶対なくならないと思うんですよね。
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