岸辺の旅 の商品レビュー
私はすごく好きです。 大きい出来事のない小説はそんなにお気に入りになることはないんですが、これは好き。 行方不明になった夫が死んで戻ってくる。 2人の会話も良いし、この話の中の流れが自分に合ってた気がします。 ずっと大事にしたい本になりました。 映画もみてみたい
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3年前に失踪し自殺したと思われる夫が、残された妻を連れて旅にでる。それは夫が滞在した場所を、ふたりで逆に辿る道であった。 ものごとを形容する言葉は、作者によって違う、それが楽しみなことであるけど、特にこの本は素晴らしいと思う。 水の音、記憶の音、こころの音、水の色、記憶の色、ここ...
3年前に失踪し自殺したと思われる夫が、残された妻を連れて旅にでる。それは夫が滞在した場所を、ふたりで逆に辿る道であった。 ものごとを形容する言葉は、作者によって違う、それが楽しみなことであるけど、特にこの本は素晴らしいと思う。 水の音、記憶の音、こころの音、水の色、記憶の色、こころの色・・・それらが的確な形容で語られているような、もうこれしかないだろうって思えるような。 死んだ大切な人と旅をするということに、まったく違和感がなくて・・わたしもよく、いまだにそんな感じの夢を見たりするので、、、なんとも言い難いその感覚を言葉にしてしまう作家、という職業に憧れを感じる。 映画になったらしいので観たい。 深津絵里さんと、浅野忠信さんが主演。 ぴったりだと思う。
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本屋で見たのか、ネットで見たのか、映画化されるというので、読んでみた。 三年前に失踪した夫が突然帰ってきて、二人で夫がたどった道を旅する。 すでに終わっているのに、また、終わりに向かう旅。文庫本の表紙の深津絵里の切なげな顔、悲しい。
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淡々と物語は進んでいく。 こんな感じのペースの本は好きだ。 突然行方不明になった夫が3年ぶりに帰ってくる。 聞けば、死んでカニに食べられてしまったという。 3年かけて旅をして、主人公である妻の元へと帰ってきた。 それから2人は一緒に旅に出かける。 夫が3年かけて旅をしてきた道...
淡々と物語は進んでいく。 こんな感じのペースの本は好きだ。 突然行方不明になった夫が3年ぶりに帰ってくる。 聞けば、死んでカニに食べられてしまったという。 3年かけて旅をして、主人公である妻の元へと帰ってきた。 それから2人は一緒に旅に出かける。 夫が3年かけて旅をしてきた道を、再び夫婦2人で旅をする。
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丸い白玉→満月→魚の目→滝の奥の洞窟 連想ゲームのように、読んでいて心に引っかかってくる物が、小説に滑り込んできている。 仏教の輪廻と、夫とともに流れ者のように旅する瑞希の姿には、流転という雰囲気が漂ってきていて、ゾクッとするほど、生きる者と死者との境界線が見えなくなってい...
丸い白玉→満月→魚の目→滝の奥の洞窟 連想ゲームのように、読んでいて心に引っかかってくる物が、小説に滑り込んできている。 仏教の輪廻と、夫とともに流れ者のように旅する瑞希の姿には、流転という雰囲気が漂ってきていて、ゾクッとするほど、生きる者と死者との境界線が見えなくなっていた。 ただ夫の失踪後、知らなかった夫の姿を知るために、死を実感したいがために、夫の浮気相手と会うという行為には、首を振りたくなった。 これって愛情?? 知って欲しくない面も知り得てよいのだろか?? だとしたら愛も残酷ですね。
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久しぶりに湯本さんの作品を読んだ。 こどもの時に夏の庭を読んで、いいようのない衝撃を受け、何度読み返したか分からない。 この本は最後までとても静かだった。死んだ夫がしらたまを食べに帰ってくるという始まりから不可解だが、その不可解を解くわけでもなく、ゆるゆると物語が始まり、そのまま...
久しぶりに湯本さんの作品を読んだ。 こどもの時に夏の庭を読んで、いいようのない衝撃を受け、何度読み返したか分からない。 この本は最後までとても静かだった。死んだ夫がしらたまを食べに帰ってくるという始まりから不可解だが、その不可解を解くわけでもなく、ゆるゆると物語が始まり、そのまま静かに終わってゆく。 ただ、真夜中に2人でロールケーキを貪るシーンは、妙にいやらしくてそこだけ暗く激しい絵を見たような気持ちになりびっくりした。
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死者と生者。不思議な世界に引き込まれるストーリー。でも面白い。人と寄り添って生きるっていうのも、楽しい分、失うと辛さも倍増するけど良い事だなって思える。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
不思議な不可思議な出来事から始まるのに 自然にすっと小説の中に入っていく 生と死が隣り合わせのようで 絶望と希望をいったりきたりする 海の底にいるような静けさの中で 忘れてしまえば楽になるのに これからも続くひとりの時間を想像して 余韻にひたり、いつまでも小説の世界から 抜けきれず、眠れず、夢をみる時間 苦しいけど、とても好きな小説 映画化されるので、文庫の表紙が主人公たち 映画『岸辺の旅』は 浅野忠信さんと深津絵里さんのイメージで読んでしまったけど きっと、ぴったりなんだなと思う 湯本香樹実さんの小説は 『夏の庭』、『ポプラの秋』、『西日の町』、『春のオルガン』と 全部とても好きな本ばかりだけど、 今回の『岸辺の旅』はいつもよりさらに静かで 胸に残ったものが尾をひくような感じだった
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白玉を食べたくなりました。 人が出来なかったこと、そしてやりたかったことが、 その人の魂を形作ってゆくということ。 心象風景のような、普遍的なような小説だと思いました。
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静かでゆっくりと時間の流れる世界。 穏やかであるのに生と死が対立項ではなく、 隣り合って繋がっている。 悲壮感では決してなく、不思議と優しい世界。
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