岸辺の旅 の商品レビュー
3年前死んだ夫がある日帰ってきた。死者と言っても生前と全く変わらない姿。そして2人は死後の軌跡をたどる旅にでる。 その旅は突然失踪した夫の後悔や、妻の喪失感を埋めるものなのでしょうが、それが強く表に出てくるわけではありません。死者となった夫が彷徨った3年間に出会った様々な人々との...
3年前死んだ夫がある日帰ってきた。死者と言っても生前と全く変わらない姿。そして2人は死後の軌跡をたどる旅にでる。 その旅は突然失踪した夫の後悔や、妻の喪失感を埋めるものなのでしょうが、それが強く表に出てくるわけではありません。死者となった夫が彷徨った3年間に出会った様々な人々との再会が中心に描かれていきます。 面白いかと問われると、ちょっと困ってしまいますが。。。 不思議な話です。死と生が渾然と混じり合って、なんとも言えない独自の世界を作り上げています。 そして如何にもこの物語に相応しい静謐なエンディングでした。
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行かないで そう言いたくてたまらないのに 胸の奥で言葉がつっかえてしまって 言えない感じ。 行かないでって言ってはいけないような気がするし それでも強烈に言いたい気持ちが膨れ上がって 心の中が破裂しそうになる。 けれど 物事は 淡々と進んでいく。 人の死は 案外、淡々と進み 死んだあとの 残された人の人生もまた 淡々と進行していく。 けれど明らかに 残される前と、後では ぱっとみて同じように見える淡々とした行動も 実は大きな違いを中に含んでいる。 そういう すぐには見えないけれど中に含まれていることが 人間の、なんだかよくわからない深みみたいなものを 作っていくのかもしれない。
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大変なものを読んでしまった、という言葉が、最初からぐるぐるぐるぐる渦巻いて、 今も胸の中で響いている。 密やかで甘く冷たく、目を閉じながら指先でどこかさぐっているような、 そのうちにざっくりと傷つけてしまったような、物語。 たぶんこれからも、私は、何度も何度もこの小説を読むでし...
大変なものを読んでしまった、という言葉が、最初からぐるぐるぐるぐる渦巻いて、 今も胸の中で響いている。 密やかで甘く冷たく、目を閉じながら指先でどこかさぐっているような、 そのうちにざっくりと傷つけてしまったような、物語。 たぶんこれからも、私は、何度も何度もこの小説を読むでしょう。 そういう予感がします。
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うーん…川上弘美っぽい…。 夏にこういうじとじとした純文学は私には合わない、かな。 冬に読み直したらまた違う感想かも。
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のっけから心臓をぎゅっとつかまれたようで、帰省の道すがら、いっきに読んだ。お盆だからかよけいに、今はもういない人に思いをはせて、気持ちが揺らぐ。ぐるぐる。
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湯本さんの書くものが好きです。 この『岸辺の旅』もしらたまをはじめ、いろいろな食べ物が出てきたり、様々な地を旅して、その地の人に出会ったりとにぎやかなはずなのに、しんと静かだ。そして、透き通った時間が流れる。それが哀しいことなのか幸せなことなのか、まだまだ私には判断がつかない。そ...
湯本さんの書くものが好きです。 この『岸辺の旅』もしらたまをはじめ、いろいろな食べ物が出てきたり、様々な地を旅して、その地の人に出会ったりとにぎやかなはずなのに、しんと静かだ。そして、透き通った時間が流れる。それが哀しいことなのか幸せなことなのか、まだまだ私には判断がつかない。それでも、このお話も好きだなと思う。
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