岸辺の旅 の商品レビュー
読むたびに、自分のなかの「寂しさ」が溢れてくる。寝る前に読むと眠れなくなる。でも寝る前しか読めない。 いつかはいなくなってしまう。そう分かっているけど、行かないでほしい。ずっとそばにいて欲しい。 そうやって縋りついても、寂しさや不安は消えない。愛しているのに、愛しているから寂し...
読むたびに、自分のなかの「寂しさ」が溢れてくる。寝る前に読むと眠れなくなる。でも寝る前しか読めない。 いつかはいなくなってしまう。そう分かっているけど、行かないでほしい。ずっとそばにいて欲しい。 そうやって縋りついても、寂しさや不安は消えない。愛しているのに、愛しているから寂しい。 最近別れた恋人に感じていた事を、代弁しているように感じました。 読んでも辛くなるって分かってるのに、読むのをやめられない。そんな本でした。
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西日暮里 BOOK APARTMENTで購入。 表紙が見えないようにされており、「考えると変な話ですが妙に残ってしまいます。」という一文の紹介で購入。 感想「確かに。」
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朝ドラの深津絵里が17歳の役を!すごい!となり深津絵里を検索したときに映画『岸辺の旅』のことを知った。原作が小説だったので読んでみることにした。 最初からなかなか掴みどころがないふわふわとした話だと感じた。死んだと思って3年間探し続けた夫が急に目の前に現れた時、そのときの二人の会話からああ、この夫は死んだんだろうなとは何となくわかる。そのあとすぐにふっと消えてしまうのだろうと思ったら、なかなかどうして、ずっとそばにいる。普通にご飯も食べているようだし、主人公以外の人にも見えているようだ。 いわゆる幽霊なの?なんなのこの存在は?と思いながら、いつ消えるのか、いつ消えるのかと思いながら読むけどなかなか消えないので、あれ、これはこのままいくのか?と淡い希望も持つ。 このままずっとそばにいてくれたらいいのにな、と思うけど、そうはいかなさそうだということはきっと主人公にも初めから分かっている。分かっているからこそ、夫のことをしっかり見つめていよう、この手からすり抜けないように掴んでいようとする姿が切ない。 ちょっと中だるみしそうかな…と思った時に、夫には実は浮気相手がおりその人と会って話をするシーンはまた物語に惹きつけられるきっかけになった。夫がいなくなった時に見つけてしまった浮気相手からの手紙が、怒りというよりは夫を探そうという気持ちを応援するお守りのような存在になっていて、そのある意味不謹慎な内容が夫を失踪や死から遠ざけていると感じられて救われていたんだろうなという辺りには、人間の複雑な心のありようを感じた。
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深津絵里に興味を持って主演映画の原作ということで読んでみた こんな本も書く人だったのか そういえば生き死にについてよく書く人だな 夏の庭を読み返そう こんなにも集中して情景を想像するって作業は初めてしたかも 岸辺の旅ってタイトルと装丁がぴったり これも浅野忠信だからか、私の男の、日本の果ての海を思い出した 別れが分かっている時に、おっきな月だねえだなんて関係ないこと言わせるの理解できなかったけど、もし私が同じ場面に立たされたら、ほっとするのかもしれないって初めて思った
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行方不明だった夫が帰ってきた しかし体は蟹に食べられたという・・・ 死者?となった夫との旅物語 語り手の女性はでも普通に受け入れて旅生活を続ける そんな世界があってもいいのかなと感じたけど でも実際にあったらいろいろと混乱するなとも
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静かでじんわりとした余韻が残る作品。 三年前に失踪した、瑞希の夫・優介が、ふいに現れます。 ですが、優介いわく“俺の体は海の底で蟹に喰われてしまった”と。つまり、既に死んでいるというのです。 そんな優介に導かれ、彼の三年間の足どりを遡るように二人は旅に出ます。 旅の間、失踪中の不...
静かでじんわりとした余韻が残る作品。 三年前に失踪した、瑞希の夫・優介が、ふいに現れます。 ですが、優介いわく“俺の体は海の底で蟹に喰われてしまった”と。つまり、既に死んでいるというのです。 そんな優介に導かれ、彼の三年間の足どりを遡るように二人は旅に出ます。 旅の間、失踪中の不在だった期間を埋めるようによりそう、二人の何気ないやり取りに、かけがえのない人と過ごす時間の尊さというものが伝わってきます。 もしかしたら、個人的に最近身内を亡くした事もあり、そうした事情で、“死者との繋がり”というものが殊更心に染みてくるのかもしれません。 全体的に“水の気配”が濃厚に漂う、朧げな雰囲気は、常世と現世の狭間を感じさせるものがあります。 この作品は、深津絵理さんと浅野忠信さん主演で映画化されているので、そちらも観てみたいと思いました。
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死んでしまった人に思いのある人にとってなんと心に響く物語だろう。 白玉を作っていたらひょっこり現れた優介。生者のような死者と根源に向かうような旅。静かに流れる時間がそれぞれの過去の時間軸と重なり合ってたゆたって存在している。現実感のある不思議な世界でした。
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非現実的な設定なのに、不思議とすごくリアルで現実的。なんだかずっとふわぁッと夢の中を漂っているようで、堅実に日々の営みを繰り返している。本当に不思議な時間だった。 生と死はそのくらい曖昧なのかな。 その時の自分のステージで受ける印象が変わりそうな作品。またいつか読もう。何度も読ん...
非現実的な設定なのに、不思議とすごくリアルで現実的。なんだかずっとふわぁッと夢の中を漂っているようで、堅実に日々の営みを繰り返している。本当に不思議な時間だった。 生と死はそのくらい曖昧なのかな。 その時の自分のステージで受ける印象が変わりそうな作品。またいつか読もう。何度も読んでみたい。
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行方不明になって3年後、瑞希の夫・優介が突然家に帰ってきます。川を隔てた向こう岸の死後の世界(彼岸)から現世(此岸)へと、たゆたえながらの旅をしながら妻に逢いに来る、哀しさと切なさに震える幽玄界の物語です。優介は瑞希に「さよさら」を伝える旅に誘い出します。優介失踪の背景を探りなが...
行方不明になって3年後、瑞希の夫・優介が突然家に帰ってきます。川を隔てた向こう岸の死後の世界(彼岸)から現世(此岸)へと、たゆたえながらの旅をしながら妻に逢いに来る、哀しさと切なさに震える幽玄界の物語です。優介は瑞希に「さよさら」を伝える旅に誘い出します。優介失踪の背景を探りながら始まった旅先で待っていたのは・・・。「いかないで。きえないで。このままずっと、そばにいて。」永遠の別れを切ないまでに語り紡いだ本作は、いつまでも記憶に残る愛情物語です。
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