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世にも奇妙な人体実験の歴史 の商品レビュー

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54件のお客様レビュー

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2024/10/26

医療ドラマを見ていて、最初に人間の体を切り開いてツギハギしようと思ったやつ凄くないか??と思い、本書を手に取りました。読み終え、想像以上の奇人たちの歴史の上に今の医療が成り立っていることを知り、衝撃を受けました。なんのためだれのために多大な犠牲を払って研究していたのかはわかりませ...

医療ドラマを見ていて、最初に人間の体を切り開いてツギハギしようと思ったやつ凄くないか??と思い、本書を手に取りました。読み終え、想像以上の奇人たちの歴史の上に今の医療が成り立っていることを知り、衝撃を受けました。なんのためだれのために多大な犠牲を払って研究していたのかはわかりませんが、それは当人だからこそ分かる自信や理由があったのだと思います。ピロリ菌を飲み込んだ研究者の、「コンセントできるほど充分にインフォームを受けている人間は私しかいなかった。」という言葉がとても印象的でした。

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2021/11/09

久し振りのドキュメントもの。某大学のフリーペーパーで紹介されていて気になっていたのだが、気がついたら文庫化されていた。 淋病と梅毒の原因がわかっていなかった時、淋病が進行すると梅毒になると考えられていたため、自らに淋病患者の膿を移植する。麻酔がどれくらいで聴くかクロロホルムを吸...

久し振りのドキュメントもの。某大学のフリーペーパーで紹介されていて気になっていたのだが、気がついたら文庫化されていた。 淋病と梅毒の原因がわかっていなかった時、淋病が進行すると梅毒になると考えられていたため、自らに淋病患者の膿を移植する。麻酔がどれくらいで聴くかクロロホルムを吸ってみる、その他色々と自分や家族、囚人に孤児たちまでをも使った人体様々な人体実験。 著者が海洋生物学者ということもあり、中盤から水圧、気圧、サメなど、人体実験と言えなくもないが、海や空の事故や挑戦などの話が多く述べられているので、我々科学者系の人間にはちょっと残念な感じであった。我々には、序盤の自分で感染症を試してみたり、麻酔を使って公開手術をしてみるものの聞かなくて大失敗、なんて言う話が面白い。 その中間にあるのがやはり放射線の話で、害がよくわからないままベネフィットを追求するがために無茶をして、その結果命を落としているのは辛いものが有る。 人体実験や人類の挑戦については、やはり第二次大戦あたりの1900年代の初頭のものが多く、そのいくつかはノーベル賞という大きな評価につながっている。戦後も米軍を中心に、人間や技術の限界を試す挑戦についてはスリリングで、年齢や専門問わず引き込まれるものが有るだろう。米軍はそういう結果的には戦術にはつながらなくても、技術革新のために(中には原爆のようなものも有るが)協力していく地盤が有るのだろう。自衛隊にも有るんだろうかかね? また、最後は普通「あとがき」「解説」になっているものであるが、仲野徹大センセーの講義も兼ねた面白おかしい実験エピソードが「解説」になっており、そこもセットでこの本という感じがする。「解説」は読み飛ばさないように。

Posted byブクログ

2021/06/21

文字通りの命がけの実験。身をすり減らして、または命を落とし。ユーモアにカジュアルに綴られているから想像して身をよじらすような描写なんだけど悲壮感がない。医学の進歩のための人体実験の他、サメとの闘い、潜水試験から高度への挑戦も。

Posted byブクログ

2021/05/20

人体実験の歴史の本ではあるが、セーフティーネットからこぼれ落ちた人を攫って同意を得ずに…みたいな話がメインなのではなく(もちろんそういう話も含まれてるが)、自己実験で医学を進歩させた医師の話が主題。 1人の人間の好奇心と勇敢さと無謀さが医学史を大きく進める様が面白い。 終盤の...

人体実験の歴史の本ではあるが、セーフティーネットからこぼれ落ちた人を攫って同意を得ずに…みたいな話がメインなのではなく(もちろんそういう話も含まれてるが)、自己実験で医学を進歩させた医師の話が主題。 1人の人間の好奇心と勇敢さと無謀さが医学史を大きく進める様が面白い。 終盤の、どれだけ深い海底に潜れるかや、どれほど早い速度で飛行できるか、どれほど空高くへ飛行できるか等の実験は医学から少し離れているような? ジキルとハイド氏の元ネタになった、人体実験大好きマッドサイエンティストの話が面白かった。彼が現れてから死体の値段が高騰し、土葬された死体が片っ端から盗まれて売られたり…笑 本の序盤の、昔のイギリスの医療事情がどれもこれもぶっ飛んでて面白かった。 ニトログリセリンをカクテルにしていた話とか… 昔は危ないものが分かってなかったから無茶苦茶してたんだな。 江戸の医者で、世界で初めて全身麻酔を完成させた人の話も載っている。自己実験によって薬効を試したり医師とは違い、彼は実験で母親を殺したり妻を失明させたりしている…女の命が軽い!この人の家族の話が、家長に献身的な家族として美談にされてたのをどこかで見たんだけど、それは違うのではないか…?? 本書で取り上げられていた、全身麻酔の実現のために自己実験をした人の話も面白かった。 実験は成功だったが、体が麻痺していて唾液が飲み込めなくなり、自身の唾液で溺死しかけたという…危ない…けどやってみないとわからない想定外だ。 世界中のあらゆる動物を食べるのが好きだった人のエピソードも面白い。 ただ、彼は馬を食べて「膠みたいだ」と言ってるけど、それは調理法が不味かっただけでは…?馬刺し、美味しいよ。 というか、食事は、素材の鮮度と肉の下加工、調理法によって味の差が大きいから、遠い海の向こうで殺されて数ヶ月かけて運ばれてきた珍味が不味いのは当然… 彼は百科事典のような舌を持っていた。 ある時、教会の床に血のシミが浮かぶようになり、奇跡なのでは?と騒がれていた。 そこに居合わせた彼は、床を舐めて「コウモリの小便だ」と言い当てたという。 コウモリの小便の味さえ知っていた、というエピソード。

Posted byブクログ

2021/01/11

人体実験と聞いてオドロオドロしいイメージを持ったが、書き手がユーモア溢れているため、実際には身の毛のよだつような事でも昔ってそんな事もあったんだなーと笑って読める。 しかし、現在、医療や科学が当たり前のように日常生活で享受され、健康、美容便利さにおいて恩恵を受けているが、昔の科...

人体実験と聞いてオドロオドロしいイメージを持ったが、書き手がユーモア溢れているため、実際には身の毛のよだつような事でも昔ってそんな事もあったんだなーと笑って読める。 しかし、現在、医療や科学が当たり前のように日常生活で享受され、健康、美容便利さにおいて恩恵を受けているが、昔の科学者や医者が自らの体が犠牲になることを知りながら、純粋な探究心や、その他の利益の為に研究を続けたことを思うと、しみじみありがたいと思う。 コレラが20年も世界で流行していたという事実もヒヤッとする。コロナはどうなるのやら。 アメリカでは第一次世界大戦頃、放射能を有り難がるブームが起き、蛍光塗料としてや脱毛機として広く販売され、放射能により女工は歯をその歯を診た歯医者は命を落とした。女工はラジウムを塗料として塗る際に筆を舐めていた。骨はボロボロ知らないって、怖い。 鯨も人間と同じく体内でビタミンCを合成できないが壊血病にならない。プランクトンに含まれるから。 350種サメがいる中で35種が人間を襲う。

Posted byブクログ

2020/02/24

ひたすら面白い。自己保存本能よりも知的好奇心が強い人たちエピソードを集めている。読んでいて嫌な気持ちにならないのは自己実験することで、純粋に人類に貢献しようとする強い意志を感じるからだと思う。

Posted byブクログ

2020/02/02

人体実験と言っても、この本で紹介されている実験の多くは、研究者が自らの身体を使って行った実験である。だから良いというわけではないけれど、科学的好奇心を満足させたり、自分の主張を裏付けるための実験である。また、かなりの章を医学に割いているが、深海や成層圏への挑戦なども取り上げている...

人体実験と言っても、この本で紹介されている実験の多くは、研究者が自らの身体を使って行った実験である。だから良いというわけではないけれど、科学的好奇心を満足させたり、自分の主張を裏付けるための実験である。また、かなりの章を医学に割いているが、深海や成層圏への挑戦なども取り上げている。現代の知識から考えると愚行でしかなくても、医学の進歩に貢献しようとしたものである。歴史上の話が多いのだが、新しいところでは2006年にイギリスで行われた治験での悲惨な事故が取り上げられている。この本が2010年にイギリスで発行されていることを考えると、読者にとっても記憶に新しい事件だったはずである。もちろん、日本でも話題になったのだが、詳細についての報道はなかったので、原因についての考察などはこの本を読んで初めて知った。内容は深刻だが、著者のユーモア溢れる文章で救われている。というわけで、好みは別れる本だと思う。私は面白く読んだ。

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2020/01/01

タイトルから、悍ましいグロテスクな内容と思いきや 中身はいたって正統派な本。 人体実験には変わりないのだが。 他人を無理矢理に、実験すると言う物では無く 実験の最終段階に、研究者自ら「自己犠牲」をし 研究結果を出す内容となっている。 文章は研究者のストーリーや、関係性 そこ...

タイトルから、悍ましいグロテスクな内容と思いきや 中身はいたって正統派な本。 人体実験には変わりないのだが。 他人を無理矢理に、実験すると言う物では無く 実験の最終段階に、研究者自ら「自己犠牲」をし 研究結果を出す内容となっている。 文章は研究者のストーリーや、関係性 そこに及ぶまでの経緯を、皮肉交じりに書いているのだが 所謂「アメリカンジョーク」的な文章なので 「ほう」と頷く程度でしか笑いを感じ取れない。 また惹きつける文章構成では無いので 読むのに時間のかかるタイプの本であった。 だが、細かく章が区切られているので 途中に栞を挟みやすく 反復しながら読むのには最適。 また、今では当たり前になっている 薬や病気、兵器や生物の対処法に至るまで 相当な努力や、実験の末に産み出された物である。 過去の「自己犠牲の方達」に 感謝せずにはいられない。 そう言う大切な事を 再認識させてくれる本でした。

Posted byブクログ

2019/07/19

本書の解説を担当している仲野徹先生も2011年に「生命科学者の伝記を読む」を出版しており、こちらの日本語版が2012年ですがオリジナルは既に2010年に出版されておりますので、両者ともに被る内容が多いとはいえ本書の方が誕生は早かった点だけは指摘しておきます。 本書の「はじめ」で、...

本書の解説を担当している仲野徹先生も2011年に「生命科学者の伝記を読む」を出版しており、こちらの日本語版が2012年ですがオリジナルは既に2010年に出版されておりますので、両者ともに被る内容が多いとはいえ本書の方が誕生は早かった点だけは指摘しておきます。 本書の「はじめ」で、マッドサイエンティストとは、利他精神と虚栄心、勇気と好奇心のかたまりで、愚行の物語でもあるという文章に続けて、「生半可な知識が危険だというのなら、危険でないほど大量の知識をもった人間がどこにいるのだ」というトーマス・ハスクリーの言葉を重ねて物語は始まります。 では、本書の面白エッセンスを少し紹介します。 第4章「メインディッシュは野獣の死骸」では、昆虫食についても語られています。 昆虫食のメリットは絶対供給不足にならないこと、有名な生物学者は地球に存在する生命体の中でも昆虫種の多いことを念頭に「神は法外に虫好きだったんだなと思う」とこたえ、実際に昆虫の中には70%もタンパク質が含まれているものもあり、グラム当たりのタンパク質の量は肉より多く、脂肪分は少なく、ビタミンやミネラルも豊富という栄養食だが、見た目の悪さから「神の営業戦略の失敗」を嘆く・・さらに、昆虫食をしていないはずの我々の食事には実は昆虫が年間1㎏近く混入されているという事実に驚愕。(具体的には、小麦粉1kgには昆虫片450個、チョコレート100gには昆虫片60個あるいはネズミの毛1本、柑橘類ジュース250mlにはハエの幼虫1匹またはタマゴ5個などが食品加工プロセスから完全に排除できないため、許容上限を設定している) 第8章「人生は短し、放射線は長い」では、キューリー夫人が夫妻でノーベル物理学賞を受賞し、夫の死後、単独でノーベル化学賞を再受賞し、彼女の娘夫婦もノーベル賞を受賞するというウルトラCをやっています。 第14章「プランクトンで命をつないだ漂流者」、第15章「ジョーズに魅せられた男たち」、第16章「超高圧へ挑戦し続けた潜水夫」、第17章「鳥よりも高く、早く飛べ」は読み物としても面白い。 特に、オーギュスト・ピカール親子は、父親は気球を設計して1万6千9百40メートルまで飛び、さらに潜水艦も設計して息子に1万8百83メートル潜水記録を達成させる! あとがきでは、本書で紹介されたマッドサイエンティストたちこそ、勇敢な突撃部隊だと締めくくる。 読み応えのある良書です。

Posted byブクログ

2018/11/18

自らの身体を実験台にしたマッド・サイエンティスト達の列伝。 性病患者の膿を自分の性器に注射したり、寄生虫を自分の中に住まわせたり、はたまた伝染病患者の吐瀉物を煮詰めて口にしたり。これが本当に実話なのかと疑いたくなるような実験の実例が次から次へと出てくる。その範囲は医学だけでなく、...

自らの身体を実験台にしたマッド・サイエンティスト達の列伝。 性病患者の膿を自分の性器に注射したり、寄生虫を自分の中に住まわせたり、はたまた伝染病患者の吐瀉物を煮詰めて口にしたり。これが本当に実話なのかと疑いたくなるような実験の実例が次から次へと出てくる。その範囲は医学だけでなく、海での漂流者が生き延びるための実験、一万メートルを超える水深実験、人食い鮫の撃退実験など留まるところを知らない。 マッド・サイエンティスト達のグロいシーンがかなり出てくるが、それでも読後感が不快でないのは、人類に襲いかかる病気を撃退したいという純粋な気持ちや、人間の限界を追い求める知的好奇心が強く伝わってくるからだろう。ひとつ間違えるとただのゲテモノ話になるところを、良質なユーモアとテンポのいい展開で、科学者への敬意と愛情を表すことに著者は成功している。

Posted byブクログ