世にも奇妙な人体実験の歴史 の商品レビュー
立派な医学書だがとんでも本でもある。医学の進歩には人体実験が必要だが、自らが人体実験に挑んだ勇敢な医者を紹介している。彼らのような人がいたから医学が進歩した。
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私たちは、もっと彼らの事を知らなくてはいけないのだと思う。 今、こうして当たり前に麻酔を使って手術をしたり、輸血をしたり、抗生物質が存在するのも、彼らの自己実験によるところが多い。 だが、著者があとがきでも触れているように私は、この中ではキュリー夫人位しか名前を知らない。 自己実...
私たちは、もっと彼らの事を知らなくてはいけないのだと思う。 今、こうして当たり前に麻酔を使って手術をしたり、輸血をしたり、抗生物質が存在するのも、彼らの自己実験によるところが多い。 だが、著者があとがきでも触れているように私は、この中ではキュリー夫人位しか名前を知らない。 自己実験をした科学者と、参加したボランティア(中には何も知らされていない被験者もいたが)に改めて感謝しなくてはいけない。 ただ、内容が内容なだけに、始終眉間にシワを寄せながら、読んでいた。昆虫食や寄生虫に関してはグロすぎて、飛ばして読んだ… 45
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私たちが立脚する「科学文明」というものが、つい最近までは非常にトンデモナイ暴論や誤解、迷信に満ちていたのだということと、それらを打ち破るために「科学者」と呼ばれた人たちが取った手段が現代の常識からしたら脳ミソ沸いてんじゃねぇのかと疑うぐらい常軌を逸していて、頭の全てのネジを閉め忘れたような人たちがいなかったら、今の世の中は成り立っていないのだ、というのが分かる本。 また、そういった人たちによって知らず知らずのうちに実験台にされていたり、そういった人たちには全く悪気がなかったにもかかわらず、その危険性が解明されていなかったがために悲惨な末路を辿らされた人たちが大勢いたのだ、ということにも気づかされる。 バイパス技術を考案し、「門歯」や「臼歯」といった歯の呼称を初めて論文にし、弟子に天然痘ワクチンを開発したワグナーを抱える一方、実験のために自ら淋病にかかり、更に梅毒までもらってしまった解剖学の権威。 笑気やクロロホルム、ジエチルエーテルなどの麻酔を巡る、何人もの科学者たちの栄華と没落。 「どんな医者が原因でその人は死んだのかと聞くべきである」と言われるぐらい、医師の処方に信頼がおかれていなかった時代に薬の有効成分を分離しようと奮闘した医師たち。 斬新な食材を探し求め、動物園で死んだ動物たちの死骸を食べ続けた大学教授。 昆虫食を探求し、「昆虫の見た目が悪いのは神様の営業戦略の深刻な失敗である」と主張したダーウィンの徒弟。 寄生虫の研究のため、サナダムシを飲まされた死刑囚。 黄熱病の感染経路を解明するため、患者の吐瀉物を煮込んで飲んだ医学生(←個人的には、この本でトップクラスの「うわぁ…」エピソード)。 葉酸欠乏症の重篤性を証明するため、自ら葉酸を断って死にかけた医師(ついでにカリウム欠乏症も併発)。 白血病抗体を獲得するために患者の血液を自己注射し、ついには再生不良性貧血患者の血を注射して重篤に陥った「カミカゼ・クリニック」の医師。 外科の重鎮だが医師としては恐らく低能で、患者にまとめて麻酔をかけていたがために災い転じて集中治療看護の先駆者になってしまった医師。 全17章のうち、11章まではこうした吹っ飛んだ理性の持ち主たちのオンパレード。12章以降は少し様相が変わり、戦争に伴う爆弾や毒ガスの開発、水圧への対処、漂流からの生還方法などの模索の歴史や、飛行機の安全ベルトの開発が車のシートベルトの発明につながったことなど、様々な「副産物」たちの紹介がなされています。 あとがきによると、現代はナチスの生体実験を裁くニュルンベルク裁判で成立したニュルンベルク綱領により、被験者の自発的同意などの基本原則が定められています。さらに、医療者が自らを素材とした人体実験を縛るため、ヘルシンキ宣言も採択されています。 よって、この本で紹介されているような無茶な人体実験がなされることはもはやないであろうと言えます。 しかし、今を生きる者としては、かつて(自覚の有無は問わず)自らの身を滅ぼしてまで未知の物体や病気に立ち向かった「科学者」がいたということ、彼らにあるいは巻き込まれ、あるいは騙されて「人体実験」の犠牲となった多くの名もない人たちがいたということは、きちんと知っておくべきなのではないかと思います。
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どのエピソードも刺激的で面白い 笑える逸話も多く楽しめる。 黎明期の医療は凄まじくひどかったことが分かる 今ではできないような実験も多数あるが、そのおかげで医療が進歩した面もある 自分の体で実験をするというのは一体どんな情熱があればできるのかと半ば呆れ半ば尊敬する 自己犠牲のオン...
どのエピソードも刺激的で面白い 笑える逸話も多く楽しめる。 黎明期の医療は凄まじくひどかったことが分かる 今ではできないような実験も多数あるが、そのおかげで医療が進歩した面もある 自分の体で実験をするというのは一体どんな情熱があればできるのかと半ば呆れ半ば尊敬する 自己犠牲のオンパレード。それも金や名誉が理由の場合は少ない。 「自己実験者はマゾヒスティックなわけでも自殺志願者でもない。 彼らは勇敢な研究突撃部隊なのである。」
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全章節に渡って、科学者たちの異常にも思える探究心が迸る。狂気の沙汰と括ってしまうなかれ、彼らのお陰で現在の科学の発展があるのだから。 食事前に読むのはお勧めしない。
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タイトルから受ける物騒さは、基本的に医者・科学者自身に向いているので、興味本位の残酷暗黒史を期待してる人にはおすすめしない。
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人体実験というと731部隊やナチスなどマイナスのイメージが強いものの、実際には危険を承知で、あるいは危険を認識するのを忘れてしまった様な医者や科学者が自分の体を使って病態を追求していた。ITPの患者の血液を自分に入れてしまったりほんとファンキー過ぎてびっくりした。
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んー、巨人の肩で生きていることを感じる本でした。 命の危険に晒されながら、社会や国のために研究を続けたり、自分の探究心、冒険心のために未開の地に足を踏み入れる人々の話。 研究のために自ら病気の人の血を自分の血管に入れたり、粘液や嘔吐物を飲むなど、ちょっとグロい内容も一部あるけど医...
んー、巨人の肩で生きていることを感じる本でした。 命の危険に晒されながら、社会や国のために研究を続けたり、自分の探究心、冒険心のために未開の地に足を踏み入れる人々の話。 研究のために自ら病気の人の血を自分の血管に入れたり、粘液や嘔吐物を飲むなど、ちょっとグロい内容も一部あるけど医学はそういうことを乗り越えて進んできたこともよく分かった。 医学に興味のある方にはオススメ。
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タイトルだけ見るとキワモノ的なサブカル本かなと思うが真面目な本。自分の体を実験台にして科学を追究するマッドサイエンティスト。梅毒患者の膿を自分の性器になすりつけたとか。すごい本。
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NO! 人体実験! YES! 自己実験! はじめは軽い読み物のつもりで読み始めたが、エピソードの連続の中に貫かれた、人類のうちのごく一部の人々の持つ、勇気と愚かさに、当てられてしまい止められず。 ただ人類に対して献身的であるだけでなく、どこかしら狂気を感じさせるところ、人間だ。 たかだか100年の話なのに。この厚み。 淋病と梅毒の両方にかかってしまった医師ー性病 実験だけのつもりが中毒者にー麻酔 インチキ薬から夢の新薬までー薬 メインディッシュは野獣の死骸ー食物 サナダムシを飲まされた死刑囚ー寄生虫 伝染病患者の黒ゲロを飲んでみたらー病原菌 炭疽菌をばら撒いた研究者ー未知の病気 人生は短く、放射能は長いー電磁波とX線 偏食は命取りービタミン ヒルの吸血量は戦争で流れた血よりも多いー血液 自分の心臓にカテーテルを通した医師ー心臓 爆発に身をさらし続けた博士ー爆弾と疥癬 ナチスドイツと闘った科学者たちー毒ガスと潜水艦 プランクトンで命をつないだ漂流者ー漂流 ジョーズに魅せられた男たちーサメ 超高圧へ挑戦し続けた潜水夫ー深海 鳥よりも高く、速く飛べー成層圏と超音速
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