深い疵 の商品レビュー
これは良く書けてるなあ。この作者はすごくバランスがいい。話はかつてナチスの親衛隊が個人的な恨みと財産乗っ取りで無実の人達を自分達の利益だけために無差別に殺害し、なに食わぬ顔で60年ばかし生き延びて生きてきた歴史を暴くという、壮大なドラマ。死人が出るが、むしろ昔の事件を暴くためと復...
これは良く書けてるなあ。この作者はすごくバランスがいい。話はかつてナチスの親衛隊が個人的な恨みと財産乗っ取りで無実の人達を自分達の利益だけために無差別に殺害し、なに食わぬ顔で60年ばかし生き延びて生きてきた歴史を暴くという、壮大なドラマ。死人が出るが、むしろ昔の事件を暴くためと復讐のための行動に裏付けられたもので、警察側は無駄に撹乱させられる。普通に面白かった。このシリーズ追いかけるぞ。
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これはもう、一気読み。 事件が起こって、手がかりが見つかれば見つかるほど、事件の謎が深まるというストーリーの上手さ! これはひとつの、いや、ふたつの家族の物語でもあり、戦後のドイツの混乱が生んだ悲劇でもある。 「深い疵」というのは最初、ドイツが負わせた疵のことであり、ドイツが負ってしまった疵のことかと思ったのだが。 “…、六十年経っても癒えない深い疵を負わせたのです。” たった一度、本文の中に出てきた「深い疵」は、ひとりの人間の失われた人生のことだった。 誰が誰の人生を奪い、誰が誰を糾弾したかを書いてしまうとネタバレになってしまうから書かないけれど。 そうか。 だからあの人は最初からああいう態度を取っていたのか、と腑に落ちた。 ただ、ナチスの武装親衛隊に入るような人は、生粋のドイツ人のはずだけど、ユダヤ人を名乗ってばれないものなのかが疑問。 だってイメージとしては、ドイツ人は金髪碧眼で、ユダヤ人はカギ鼻という特徴があって、見た目が全然違う気がするんだよね。 勘違いかな。 で、元は迫害した側でも、60年間ユダヤ人としてユダヤとドイツのために働いてきたのなら、それでも罪は許されないのかな、なんて最初のうちは思いながら読んでいたけど、読了後は、思想で評価すべきなのか行動で評価すべきなのか、わからくなった。 哀しい事件の大本は胸が悪くなるような自分勝手で、それが是正されなかったことで、負のドミノ倒しが起きてしまった。 そんな事件でありました。
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登場人物が多くしかも名前が難しく覚えられない。文章も読みにくく途中何度も放り出しそうになった。が、最後1/4は引き込まれて一気に読み!総合的には面白かった。前作までのエピソードも沢山散りばめられてる様なので、これから読む方には、シリーズの1作目から順に読むことをお薦めします。
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シリーズ第3弾。しかし、日本ではこれが最初に出版されてたみたいだけど、これはやっぱり最初から読むべき。 1作目、2作目、と確実に作者のレベルがあがっている。 特にプロットの緻密さはこの作品が群を抜いているのでは。 前2作である程度メンバーのキャラ紹介も終わっている分、今回はプロットに重きが置かれているのかもしれない。今までの作品ほど、オリヴァーやピアの私生活は描きこまれず、比較的安定してサラっと描写されている。 短い文章で様々な視点で事件を多角的に描く手法もより密度が高くなっていて、片っ端から伏線が張られて読んでいて謎の多さにこちらがこんがらがってくるほど。 ドイツの氏名や地名は憶え難さもあるうえ、歴史も絡んで過去と話が交差するし、偽名やなりすましも多いし! どうしてもナチスに絡む戦争被害者の執念は、実感として分かりにくい部分もあるが、最後まで捻ったプロットで十分物語を堪能できた。次回作がますます楽しみ。
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登場人物の数が多い上にドイツが舞台なので、名前に馴染みがなくてややこしかった。犯人達の心理描写がほとんど無く、物足りない。
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オリヴァー&ピアシリーズ第三作。 戦争中にはこうしたことは世界中で起こっていたのだろうなと思う。だからこそ日本でも戦中戦後の混乱を利用したミステリーが数多くあるわけだし、面白い。 それにしてもドイツというとヨーロッパの中でもお堅いイメージがあったが、このシリーズを読むとや...
オリヴァー&ピアシリーズ第三作。 戦争中にはこうしたことは世界中で起こっていたのだろうなと思う。だからこそ日本でも戦中戦後の混乱を利用したミステリーが数多くあるわけだし、面白い。 それにしてもドイツというとヨーロッパの中でもお堅いイメージがあったが、このシリーズを読むとやはり男女関係(もしくはその他の恋愛関係も)は随分発展しているのだなと思う。捜査関係者、事件関係者と安易に個人的関係を結ぶなんて日本の刑事小説では考えられないことなのだが、その辺がお国柄を感じて海外小説は面白い。 またこんな大昔の事件を実際に起訴出来るなんていうのもお国柄を感じる。日本ならいくらこれだけの証拠が揃っていてもどうせ起訴猶予処分で終わりそう。
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思いもしなかった人が犯人。 犯人の過去の体験がおぞましい。こういう被害者の人たちは沢山いたんやろな…。人間は、どこまで残虐になれるのか…。 このシリーズ、発行が順番通りじゃないから、人間関係が混乱する。
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オリヴァー警部は、今回とんだ災難だったな 警部が飲まされた液体エクスタシー(無色透明)が気になる すんごい威力やな 日本で商品化したらバカ売れしそう ピアのヘニング(元夫)と、クリストフ(現夫)どちらがいいか…? ピアには、ほっとできて癒してくれるクリストフがいいんだろうな ...
オリヴァー警部は、今回とんだ災難だったな 警部が飲まされた液体エクスタシー(無色透明)が気になる すんごい威力やな 日本で商品化したらバカ売れしそう ピアのヘニング(元夫)と、クリストフ(現夫)どちらがいいか…? ピアには、ほっとできて癒してくれるクリストフがいいんだろうな 私はヘニング派ですけどねw 腹黒女ユッタにも最後ギャフンと言わしてほしかった
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クリスやヘニング、オリヴァーといった素敵な男たちにちやほやされる(?)ピアがうらやましい・・・ 人物造形が良い。あ、もちろん話もちゃんと面白い。
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ある方のレビューで興味を持ち本屋さんで探して購入した本書。 第二次世界大戦でナチスのユダヤ人迫害を生き残り、アメリカ大統領顧問を務めたユダヤ人男性が射殺される。戦争時の拳銃が凶器で現場には謎の数字が残されていた。 ところが被害者はユダヤ人ではなくナチス親衛隊員だったことが判明す...
ある方のレビューで興味を持ち本屋さんで探して購入した本書。 第二次世界大戦でナチスのユダヤ人迫害を生き残り、アメリカ大統領顧問を務めたユダヤ人男性が射殺される。戦争時の拳銃が凶器で現場には謎の数字が残されていた。 ところが被害者はユダヤ人ではなくナチス親衛隊員だったことが判明する。 そしてまた同じように老人が殺されていく。 こう始まる物語で、ナチスやヒトラーに興味のあるわたしは当然読んでみたくなるわけで、読んだ感想をまず一言で言うと、面白く読めた。 ナチスが物語全体に関わるため、暗く重い内容にはなるのだが、事件を解決するオリヴァーとピアのコンビが魅力的で物語を救っている。 登場人物は多いというほど多いわけではないが、ややこしい長い名前であることと、本名と偽名とが出てくるので、少し気をつけて読まないと散らかってしまう。 ナチス崩壊後、ドイツやヨーロッパで生きるためには、ナチスに関わったことは隠していくひとが多いだろう。 進んでナチスに加担したひともいれば、戦争を生き抜くためにナチスにならざるを得ないひともいただろう。 また、ユダヤ人の苦しみや、直接迫害こそしていなくとも止めることも出来なかった多くの一般人のことなど多く考えさせられた。 ナチスやヒトラーについてどれだけ文献を読み映像を観ても、当時のひとびとの思いは想像するだけでしかない。 それでもこういった軽く読める作品からでも、戦争とそれにまつわる犯罪など学び考える機会を持つこと大変貴重で重要なことではないだろうか。 本作はネレ・ノイハウスのオリヴァーとピアシリーズの第三作目ということらしい。他の作品も随時翻訳されていくらしいが、個人的にオリヴァーとピアを好きになったので出版が待たれる。 また、「深い疵」というタイトルも素晴らしいと思う。 推理作品としてだけでなく、戦争のことまで思いを深められる良い一冊だった。
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