千年鬼 の商品レビュー
2012年刊。話の展開と共に、物語の始まりの設定説明が成されていくので、設定を話題にするとネタバレになってしまう…。千年という単位の長さと、想いの深さが繋がっている。貧困や理不尽がたんまり詰まっているので、「楽しい読み物」という訳には行かない。鬼が天女を……まくったりとかウンザリ...
2012年刊。話の展開と共に、物語の始まりの設定説明が成されていくので、設定を話題にするとネタバレになってしまう…。千年という単位の長さと、想いの深さが繋がっている。貧困や理不尽がたんまり詰まっているので、「楽しい読み物」という訳には行かない。鬼が天女を……まくったりとかウンザリする設定もあるが、神話世界には良くある話か。鬼の力を科学的に説明していたり、ああ、アイデアだなぁと感心する部分も。最終盤は意外な展開だったが、ジンワリ感動。
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読み終わって、思わずため息が出た。 小鬼と民のいじらしさが堪らない。 一見粗雑そうな黒鬼の優しさも滲み出てくる。 無駄やよどみのない、柔らかくて物悲しい文章。 物語の流れもよくて、希望と悲しみの調和がすごい。 子供にも大人にもおすすめしたい。
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3匹の小鬼「過去見」によって過去を見せてもらう人々の短編連作かと思っていたら、5話目で繋がりが証され、タイトル『千年鬼』の意味も分かる。小鬼の一途さに、愛しさに泣いてしまう。
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弟を探して森にやってきた民と会った小鬼。 黒鬼に頼み、禁断の過去見をして、民の弟の居なくなった時を見せた。 それは、悲しい現実であった。 それが元で、民は身内に『鬼の芽』を宿してしまった。 鬼の芽は、破裂し、非道を働けば地獄に落とされ、現世へは、二度と戻れない。 千年を地獄で暮...
弟を探して森にやってきた民と会った小鬼。 黒鬼に頼み、禁断の過去見をして、民の弟の居なくなった時を見せた。 それは、悲しい現実であった。 それが元で、民は身内に『鬼の芽』を宿してしまった。 鬼の芽は、破裂し、非道を働けば地獄に落とされ、現世へは、二度と戻れない。 千年を地獄で暮らし、その果てに命は無に還される。 小鬼は、民を助ける為に、「生まれ変わる民にずっと張り付いて、悪さをしそうになったら止める」 と、天女に約束した。 千年の間、過去見の術を使って、鬼の芽を摘み続ける それが、小鬼と、黒鬼に与えられた罰であった。 民は、何度か生まれ変わり、時は過ぎ、ようやく千年が過ぎようとしていたが… … 小鬼の墓場で、小鬼を生き返られる為、たとえ、千年かかってもと、赤い砂を拾い集める民。 思わず、ほろりとさせられた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一話目の小鬼と少年のお話がすごく良くて、ああ、こうやって自分の中の暗い部分=鬼を解消していくお話の連作なのね、と思ったら…一話目の結びでもっと壮大な核になるストーリーが出てきて、「お、これはすごいぞ」となりました。 全部で7つの短編は、「鬼の芽」を宿す主人公が小鬼と出会い、小鬼の過去見の力を使って主人公の心の闇が解消され、その鬼の芽が摘まれていく物語で、なんとも言えないカタルシスがあります。無邪気な小鬼の奮闘もいじらしい。けれど、実は哀しい過去があることがだんだんわかってきます。なぜ小鬼はそんなことをしているのか。短編は、時系列にはなってなくて、「どうしてこうなった?」と謎が残るので、続きを読まずにはいられない。 クライマックスで、普通なら、こんなに頑張った小鬼の願いは叶いました…となるところ、そんなに単純には終わらないのがまた良かった。 長い年月、小鬼が想い続けた少女が、今度は小鬼を想い続ける。ハッピーエンドではなくても、希望が残る、ある意味とても幸せなエンディング。 最後まで読んで、もう一度おさらいをすると、ああ、そういうことかだったのか!とさらに切ない余韻に浸れる物語でした。
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一つ一つの章については、記憶に薄い しかし一つの作品として見たとき、とてもきれいに終わっている 読む前、読み終わった後、表紙と裏表紙に感じるものが違うと言うのは、初めて味わった感覚だった 万人にオススメするわけではないが、読んで損はしない
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かなり読んでからこの本の良さ、表紙の意味がわかった。 それまでは、小学校の国語の教科書の後ろの方にある長文みたいだな、としか思わなかった。 それにしても、ファンタジーノベル大賞受賞作なのに、天上人が甘くない!なにかと言うと「本人が強く望んだ」って…。 アドバイスの一つ位してあげ...
かなり読んでからこの本の良さ、表紙の意味がわかった。 それまでは、小学校の国語の教科書の後ろの方にある長文みたいだな、としか思わなかった。 それにしても、ファンタジーノベル大賞受賞作なのに、天上人が甘くない!なにかと言うと「本人が強く望んだ」って…。 アドバイスの一つ位してあげて!と思ったが、それは私がただのニンゲンダカラなのかもしれない。
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気にはなっていた・・・なっていたんです・・・。 満を持して手に取りましたが・・・な、泣いた・・・めっちゃ泣いた・・・。 かわいくてほのぼのするんだけど、人間の業とか後ろ暗さもちゃんと書かれる鬼の物語だった・・・、だけど愛があるんです・・・。 な、泣く・・・(号泣)
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本を読んでて泣かなかったのは、だれも諦めてなかったから、かな。 帯に「ファンタジー」という文字があって、とても面白そうな小説だとは思っていたのだけれども、ずいぶん手に取るまでに時間がかかってしまいました。 ※ファンタジーもの大好きなのですが、年々冒険的なガツガツ行くファンタジー...
本を読んでて泣かなかったのは、だれも諦めてなかったから、かな。 帯に「ファンタジー」という文字があって、とても面白そうな小説だとは思っていたのだけれども、ずいぶん手に取るまでに時間がかかってしまいました。 ※ファンタジーもの大好きなのですが、年々冒険的なガツガツ行くファンタジー(雰囲気だけ伝わって…)は気力がついていけず……なんてことも多かったので、こういう経緯になりました。 私がついに読み始めたとき、ほっとしたのが短編連載の形をとられていたこと。一つ一つのお話が短いスパンで切り替わって、謎を深めたり、キャラにより魅力を追加したりしてくれました。 後半はそういうわけにはいかず、切なくて苦しい状況が続きましたが、その前までに作り上げた千年鬼への信頼感・期待感が、ラストまでしっかり支えてくれます。 とても良かったです。 物足りないくらいがちょうどいい。良かったです。
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最後にあまりの切なさに胸が締め付けられました.でもあまりにも実現しそうにないながらも希望があり,そっと見守る目もある事が救いです.
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