千年鬼 の商品レビュー
物語としては王道的な意味で★4、容量としては物足りないので★3で3.5という気分。きみの魂のために、千年かけて罪を濯ぐ。 黒鬼の手癖の悪さがクセになる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「本とも」にシリーズで掲載されていた作品を加筆修正したもの。 七編からなる物語の前半四話では、時代は変われど、憎しみや苦しみなどの不幸ゆえに鬼の芽を持ち始めた人間が登場。 その人鬼になりかかった人間に対して、過去の世を見せられる力を持つ三匹(三人?)の子鬼と時代を跳梁する力を持つ黒鬼が絡んで、鬼になるのを踏みとどまらせる話が続く。 後半の三編にわたり、彼らがなぜ鬼の芽を持つ人間を探し求めているのか、千年に渡る黒鬼と子鬼の因縁が明かされる。そもそもの始まりから、長い時代を超えた苦難の旅とその行く末が語られていく。 まあ、なるほどとしか思えない感想。人が鬼になる因縁はその心にあり。西條流の天国、地獄の解釈はやや仏教的だが、独特のもの。
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西條奈加先生、新横浜三省堂書店(@sinyok_sanseido)さまに、感謝。 なんかもう、発想が全然違ってびっくり。 そして、全然誰も救われてない、報われてないのに明るくてほわっと気持ちいい結末にまたびっくり。 なにこれ、なにこれなにこれ。 不思議なお話でした。
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長い贖罪の後、最後にほんの少しの希望が残っている・・・。という印象の作品でした。 時系列がバラバラなため、一度読んでからもう一度読むことで二度楽しめた。
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そっか、「千年」の「鬼」というタイトルはこんな悲しいお話を根底に持っていたからなのか…。 清浄な森の中にしか住めず、人の過去を見せてくれる小鬼が三匹・・・。 その過去によって救われる人間の物語と、段々に弱って行く小鬼たちという二つの流れが興深く、さくっと一気に読めました。 ただ...
そっか、「千年」の「鬼」というタイトルはこんな悲しいお話を根底に持っていたからなのか…。 清浄な森の中にしか住めず、人の過去を見せてくれる小鬼が三匹・・・。 その過去によって救われる人間の物語と、段々に弱って行く小鬼たちという二つの流れが興深く、さくっと一気に読めました。 ただ、実はメインとなる、「千年」というキーワード。うんうん、そうだったのか、と思いつつ、なんかちょっと芯となるには弱いかな、なんて。 人の心に発生する「鬼の芽」の扱いも面白いものではあったけど、邪悪な心を持つゆえに芽が出てしまう、というわけではないのだ、という設定が、少々、説明過多とも思えたし、可哀想な方向に持っていこうとしている意図が気になった・・・なんて、ゴメンなさい、偉そうだけど。 好きな作家さんなので、もっと面白くなったはず!と欲張りになってしまった読者でありました。
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+++ 友だちになった小鬼から過去世を見せられた少女は、心に“鬼の芽”を生じさせてしまう。小鬼は彼女を、宿業から解き放つため、千年にわたる旅を始める。 +++ 「三粒の豆」 「鬼姫さま」 「忘れの呪文」 「隻腕の鬼」 「小鬼と民」 「千年の罪」 「最後の鬼の芽」 +++ 心に鬼...
+++ 友だちになった小鬼から過去世を見せられた少女は、心に“鬼の芽”を生じさせてしまう。小鬼は彼女を、宿業から解き放つため、千年にわたる旅を始める。 +++ 「三粒の豆」 「鬼姫さま」 「忘れの呪文」 「隻腕の鬼」 「小鬼と民」 「千年の罪」 「最後の鬼の芽」 +++ 心に鬼の芽を宿している人に近づき、小鬼が過去世を見せて、鬼の芽が芽吹く前に心のしこりを取り除いていくという連作短編集である。ところどころに出てくる「民」とは誰のことだろう、という疑問は、「千年の罪」で明かされ、小鬼の振る舞いのわけに納得するのである。命がけで長い長い淡い恋心の物語でもあり、切なくあたたかな心地にもさせられる。小鬼の千年と、民のこれからの千年をじっと見守りたくなるような一冊である。
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