千年鬼 の商品レビュー
子鬼と黒鬼が罰としてあたえられたことは人間の中に潜む鬼の芽とよばれる悪心の芽を摘み取ることだった。そして、人間のこどもタミとの出会いが絡み、話が進んでいく。我々が持つごく普通の願いが踏みにじられたとき、人間の中に潜む小さな悪心が芽をはじけさせ、やがて大きなものに変化し、人間そのも...
子鬼と黒鬼が罰としてあたえられたことは人間の中に潜む鬼の芽とよばれる悪心の芽を摘み取ることだった。そして、人間のこどもタミとの出会いが絡み、話が進んでいく。我々が持つごく普通の願いが踏みにじられたとき、人間の中に潜む小さな悪心が芽をはじけさせ、やがて大きなものに変化し、人間そのものを中身から変えてしまう…。「地獄」の絵本と関連させてブックトークなどでも紹介できそうな一冊。
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鬼と人鬼の話。千年という時間をそれぞれに捧げる話。切ないけれど、なんだかあったかい気持ちになる。 2012/10/13
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小鬼は時を超えて追い続ける。少女の笑顔をもう一度見るために。 短編が7つのようでもある。1話1話はそれぞれ、心に黒い澱を抱えてしまった人の物語である。だがその短編をつなぐ一本の糸がある。それは千年の時を渡る「思い」である。 1匹の小鬼が、あるとき、1人の少女に出会う。 小鬼は...
小鬼は時を超えて追い続ける。少女の笑顔をもう一度見るために。 短編が7つのようでもある。1話1話はそれぞれ、心に黒い澱を抱えてしまった人の物語である。だがその短編をつなぐ一本の糸がある。それは千年の時を渡る「思い」である。 1匹の小鬼が、あるとき、1人の少女に出会う。 小鬼は少女と楽しい時を過ごす。しかし小鬼は、それと知らずに、少女の心の澱を露わにしてしまう。その結果、少女は過酷な運命の手に囚われる。 小鬼の一途さ。少女のいじらしさ。 2人を見守り、手助けする黒鬼は、邪慳なようでいて、よい「兄貴分」である。 天上界と人との関わり、過去を見せる過去見の術など、舞台装置もなかなか楽しい。 挿絵のかわいらしさも作品によくあっている。 総じて、温かい涙に浸れる佳作だろう。 以下は野暮かもしれない。が、個人的には瑕疵に感じられた。 ・大元の事件は大変痛ましいが、実感を持って読めるかというとなかなか難しい。現代人も抱える悩みであれば、より説得力が増したような気がする。 ・それぞれの話の時代設定が曖昧で、最終話を除いてどの話がどの時代なのかよくわからない。それもあって、千年の時の流れを感じにくい。ファンタジックでそこがよいのかもしれないが、ややぼやけた印象も受ける。
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はじめのうち、人の心に芽生えた「鬼の芽」を摘んでくれる良い鬼のお話かと思ってたら…いやはやこれはなんとも切ないお話でした。表紙の絵がすんごく可愛いだけに、読み通してみればなおさら切ない! 民と小鬼がいつかきっと逢えますようにと願わずにはいられません。ただ、一つ一つのエピソードがわ...
はじめのうち、人の心に芽生えた「鬼の芽」を摘んでくれる良い鬼のお話かと思ってたら…いやはやこれはなんとも切ないお話でした。表紙の絵がすんごく可愛いだけに、読み通してみればなおさら切ない! 民と小鬼がいつかきっと逢えますようにと願わずにはいられません。ただ、一つ一つのエピソードがわりと短くて、トータルでやや物足りない感があったかな…。でも久々に、きゅんとなれるお話でした^^
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心に黒い感情が芽生えたとき、小鬼が突然目の前に現れて過去を一つだけ見せてくれるという。小鬼が過去見の術を使い続ける理由とは…。小鬼と少女の健気さが切なくてじんわりくる和風ファンタジー。 傍から見たら苦行のようでも本人はただひたすらに希望の光を追っているだけという場合もある。果てし...
心に黒い感情が芽生えたとき、小鬼が突然目の前に現れて過去を一つだけ見せてくれるという。小鬼が過去見の術を使い続ける理由とは…。小鬼と少女の健気さが切なくてじんわりくる和風ファンタジー。 傍から見たら苦行のようでも本人はただひたすらに希望の光を追っているだけという場合もある。果てしない時が過ぎた後、きっとそこに小鬼と少女の笑顔があると信じてる。
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鬼の芽は、鬼ではなく人に宿る。怨み辛みを糧として 子供のころ、お化けを怖がっていた私に「いちばんこわいのは、人間」と教えてくれたおばさんがいた。ずっとその通りだと思っていたけれど、この本を読んだら案外そうでもないかもと思えてきた。 鬼姫さまや隻腕の鬼では、鬼の芽をつんでいる...
鬼の芽は、鬼ではなく人に宿る。怨み辛みを糧として 子供のころ、お化けを怖がっていた私に「いちばんこわいのは、人間」と教えてくれたおばさんがいた。ずっとその通りだと思っていたけれど、この本を読んだら案外そうでもないかもと思えてきた。 鬼姫さまや隻腕の鬼では、鬼の芽をつんでいるのは、人の優しさや力強く4生きようとする姿だと思う。 希望がある限り、地獄ではないという終わりかたは、とてもいいと思った。
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哀しいけれど、希望のある本です。 悪鬼とは、人が鬼になったもの。鬼の芽をその身に宿した少女・民は、人鬼と化してしまう。 だが、民と一緒に弟探しをしていた小鬼は、自分の命を削っても、民を救おうとする…。 人は誰でも鬼になってしまう要素を抱えているんですね。 哀しいけれど、小鬼と...
哀しいけれど、希望のある本です。 悪鬼とは、人が鬼になったもの。鬼の芽をその身に宿した少女・民は、人鬼と化してしまう。 だが、民と一緒に弟探しをしていた小鬼は、自分の命を削っても、民を救おうとする…。 人は誰でも鬼になってしまう要素を抱えているんですね。 哀しいけれど、小鬼と民のまっすぐな思いに、じんとしました。
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すごく悲しい話。賢者の贈り物みたいな。お互いに相手のことを強く想っているのに…。 早く、子鬼の砂粒を全部見つけ出し、民と子鬼が出会えるように―。と強く願わずににはいられない。
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泣いた。 もう、もう、なんだこの物語は。 最初のエピソードで物語にぐいぐい引き込まれて。 読み進めていくにしたがって、いろいろな人々と、小鬼が出会い。 そして、やがて明らかになる真相。 そしてその真相の遙か先にある、永遠の苦行と、そして、救済。 すごい物語に出会えた。...
泣いた。 もう、もう、なんだこの物語は。 最初のエピソードで物語にぐいぐい引き込まれて。 読み進めていくにしたがって、いろいろな人々と、小鬼が出会い。 そして、やがて明らかになる真相。 そしてその真相の遙か先にある、永遠の苦行と、そして、救済。 すごい物語に出会えた。 何度でも読みたい。 そう思える本はなかなか出会えないが、この本は、間違いなくそんな一冊。 少年が、姫様が、おババが、片腕の男が、そして、ひとりの優しい少女が。 小鬼と出会うとき。 優しさと苦しみと怒りと辛さと苦しさに心をかき乱され、そして―― はてしない安らぎを得る。 そんな物語。 優しい、優しい、これは小さな鬼と、人間の、心の物語。
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人の心にできた鬼の芽を摘んでくれるかわいい子鬼たち。 誰の目にも見えるというわけではなく、鬼の芽がありそうな人にしか見えないという。 なんでこんなことになっているのだろう? と疑問に思いながら読んでいると、民(たみ)というひとりの少女との出逢いに理由が。 「あぁ、そういうことだっ...
人の心にできた鬼の芽を摘んでくれるかわいい子鬼たち。 誰の目にも見えるというわけではなく、鬼の芽がありそうな人にしか見えないという。 なんでこんなことになっているのだろう? と疑問に思いながら読んでいると、民(たみ)というひとりの少女との出逢いに理由が。 「あぁ、そういうことだったのか」 と途中でわかる展開。 人が鬼になる……あー、恐ろしや。 殺人など凶悪犯人は人が鬼になったのかもしれない。
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